2019/03/06

神さましてる兼任司書と兄がぎんたまいり

まったくもって、変な世界に来てしまったらしい。周りをキョロキョロと見れば、着物を着た人物がちらほらといることと背が縮んでいることがわかる。低い視線にため息をつきたくなるが、それよりも驚きが優った。宇宙人が、闊歩していたからである。隣にいた狐面を相変わらず被った兄も驚いたのかあんぐりと口を開いている。呆然とする私と兄に和傘を指した女の子が現れる。
「お前ら、見かけない顔アルな」
その言葉に兄は頭を抱えたのが見えた。

とりあえず女の子ーー神楽ちゃんと遊び、色々わかる。ここは江戸らしいし、でも東京の地名だし、宇宙人は天人というらしい。相変わらず声は伝わらないので喋れないのかという話になった。また遊ぶ約束をしてバイバイしたのだけど、私たちは帰る場所なんてないわけで。どうしようかと二人で軒下にいれば、数時間後に神楽ちゃんが前を通った。
「何してるアルか?」
「あれ、神楽ちゃんの友達?」
「今日一緒に遊んだアル」
「へぇ、でも、家に帰らないと危ないよ。親も心配するんじゃないかな」
目線に屈んだ青年に首を左右にふる。彼は目を瞬いた。
「其奴ら喋れないアルよ」
「えっ、」
「なんだ、お前ら迷子あるか」
その言葉に、私も兄も頷いた。

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なんやかんやとこの人はいい人らしい、と、銀髪の人をみる。兄が私を置いていこうとしたらなんやかんやと置いてくれるらしい。親が来たら金踏んだくってやる、とぼやいた彼に兄は苦笑いした。とりあえず、夕飯は下のスナックで食べさせてもらい、銀髪の人ーー銀時さんの隣で眠ることにする。明日は親探しをするらしいが、親は恐らく来れない気がする。
目が覚めた。むくりと起き上がれば、兄も起きたらしい。腹減った、とぼやいた兄に、私もうなずいておいた。ご飯は作らないのだろうか。朝ご飯の当番は銀と書かれている。とりあえず冷蔵庫の卵を拝借する。卵焼きつくろ。兄が台をどこからかもってきて、おいた。とりあえず飯頼むわ、掃除するから、といった兄にうなずいて料理をつくる。定春がのそのそとやってきた。「定春もご飯?」と尋ねれば、ワン、とないた。
とりあえず私達の分のご飯を食べ、二人の分は並べる。のそのそと起き上がった銀時さん達が料理を見て驚くのはまだ先の話だ。

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新撰組の漢字が違うが、どうやら世界の成り立ちが違うらしい。おまわりさんだそうだ。とりあえず、私の親を探したい警察の仕事だろ銀時さんvs捨て子なんざいっぱいいるだろ土方さんの争いである。私をちらっとみた彼に私は一応しょんぼりしておく。
「第一、名前がわからねぇなら話にならねぇ。名前は」
「それができたら苦労はしねぇよ。こいつら喋れねぇんだ」
「喋れない?」
「なんでかはしらねぇけどな。料理と掃除はできる」

==なんやかんやと万事屋に二人で居着いてる。ナマエはお登勢さんのとこで料理つくったりしてるし兄は万事屋手伝ってるし、真選組と仲良し。

兄を含む万事屋一行が仕事にでるのでお弁当を作って渡しておいた。私の分もお弁当をつくり、お登勢さん達にも渡し、どうせならその弁当を売ってきな、と言われたので売りに向かってみる。まぁ、顔見知りなら買ってくれるだろう。山崎さんあたりなら多分。うろちょろしていれば、山崎さんを見つける。くいっと服を引っ張れば、あれ、ナマエちゃん?と首を傾げられた。ちなみに名前は兄が紙に書いたことによってわかってもらった。私はとりあえず「お弁当売ります」と書いた紙(お登勢さんが書いてくれた)を山崎さんに見せる。
「お弁当屋さんごっこかな?」
違うのだけど、まぁいいか、と頷く。本業ではないからごっこといえばごっこだ。
「一つ貰おうかな」
そういった彼にとりあえずお弁当をいそいそと出して渡す。一つ五百円と紙を見せれば、彼はお弁当を覗いて目を瞬いた。
「本物売ってたの!?でもまぁ、お昼まだだし、五百円だし、貰うよ」
よし、一つ目売れた。アルバイト頑張ってね、と手を振った彼に、手を振っておく。やっぱりいい人である。

歌舞伎町は基本いい人が多いので、子供の私が売ってると買ってくれる人は多い。まぁ、知人が多いけど。あと一つどうしようかな、と思っていれば、公園のベンチで新聞を読んでいる人がいた。ずいっと隣に座ればその人はこちらをみて、子供?と首をかしげる。お弁当売ります、と書かれた紙を見せる。買ってください、と口をパクパクとすれば、主は喋れないのか、と彼を告げた。
「そういうば昼がまだでござる。一つ貰おう」
そう緩やかに笑った彼に、こちらもニコニコと笑いながら値段の紙を見せる。お札を出した彼にお釣りを返そうとすれば、お釣りはいい、という言葉を初めて聞いた。
「その代わり、拙者をみたことを黙っておいてほしい」
もしかして:ちょっと厄介な人。
とりあえず頷けば頭を撫でられる。悪い人ではなさそうだけど。
ちなみに材料費はお登勢さん持ちなのでお金を全部お登勢さんに渡したら、お小遣いくれた。兄を通してお登勢さんに預けて貯金お願いしとこ。

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「は?ナマエに弁当作らせて売らせてる?」
「あぁ、ほら、ナマエの料理美味いだろう?試しにこの間あんたらが出かけてる時に弁当作らせて売らせたんだよ。そしたら案の定売れるわ売れるわ」
気前のいい客もついたようだし。
ごくり、と息を飲んだ兄以外の万事屋に、苦笑いをしておいた。ちなみに真選組は山崎さんをはじめとした監察さんを筆頭に買ってくれるし、この前あったサングラスの人も買ってくれる。「まぁ、あの子を考えればそんなにたくさん作れないんだけどねぇ」と告げたお登勢さんの言葉は果たして聞こえてるんだろうか。

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銀時さんそっくりな猫がいた。あ、猫、といえばその猫は目を瞬く。可愛い、おいで、といえば猫は遠慮がちにやってきた。もふり、とした触り心地に、にゃんこもふもふ、といえば猫はされるがままである。にゃあ、と声が聞こえてそちらを見れば芳一である。
あ、芳一だ、と言いながら手を伸ばせば猫は擦り寄ってくる。可愛いらしい。今日は友達と一緒?といえば頷いた彼に、近くから黒猫とゴリラがやってきた。……ゴリラ?
「ナマエー、銀時さん見つかったか?って、ゴリラ?」
かけてきた兄は同じく足を止める。私と兄を見る猫はやっぱり銀時さんそっくりである。
「みて、銀時さんそっくり」
「おー、ほんとだな。でも人間が猫になるわけないだろ。芳一もいんのか」
「煮干し買ってくる。ゴリラって何食べるんだろ。バナナ?」
「ゴリラは動物園から脱走か?密輸か?とりあえず真選組に連絡いれるか。ひとっ走り屯所行ってくるからお前はここにいろよ」
「にぼしとバナナだけコンビニで買ってきます」
「ついでに俺が買ってくる。悪いけどゴリラと猫ども、俺が帰ってくるまで妹頼むわ」
それはどういう意味だろうか。とりあえず芳一がニャアとないて私の横に香箱座りした。可愛い。

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銀時さんが帰ってきたら、喋れと言われたので喋る。首を傾げた彼は、あん時はたしかに聞こえたんだよなぁと頭をかいた。あいつがいってたのはこういうことか、とも。何だろうかと思っていればかいぐりかいぐり頭を撫でられたけど、本当に何だったんだろう。

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もう完全に万事屋の一員とかした私と兄である。何か物騒な事件に巻き込まれるのは兄だけであり、私は基本は穏やかかつ面白い事象にしか巻き込まれない。……と、思っていたんだけれど、そうはいかないらしい。まぁ、今回はお前も道連れと兄が言ったのだけど。
「わ、万事屋の幼女ちゃんと少年くん、ホントに二人だと意思疎通できるんだ」
そう言ったのは最近真選組にやってきた女隊士さんである。坂本さんの部下やら鬼兵隊の人、桂さんの仲間のアヤ姉もいるのをみると大集合的な感じである。桂さんが私をちらりとみて口を開く。
「銀時、カナタはともかく、ナマエが何でいるんだ」
「仕方ないだろ。一緒にいる時にこれが起きちまったんだから。ナマエ、カナタとはぐれんなよ」
その言葉に、はーい、と言いながら手を上げておく。鬼兵隊のちょんまげを結ってる人が私をみたけど。お菓子持って私に渡そうとしてるけど。ロリコンがー!とは金髪の女の子の言葉である。まぁ、何処かに全員で逃げる時は近くにいた誰かが私を抱えるけどな。所属問わず。

現状を言いますと、化け物みたいな海賊と鬼ごっこである。しかも結構閉鎖的な場所で。兄ーーカナタくんが私に筆を渡したそうにしたのでそろそろどうにかしろよ的なことなんだろう。
「カナタくぅぅん!?いま筆なんて必要ないんだけどなぁぁ!?」
銀時さんの言葉に、カナタくんは首を左右に振って私を指差した。
「ナマエちゃんに渡せばいいの?」
新八くんの言葉にカナタくんは頷いた。よくわかっていないだろう新八くんが私に筆を渡す。私はジタバタして銀時さんの肩から乗り出して、そのまま飛び降りる。おい、ナマエ!?と叫んだ彼に、手のひら文字を書く。壁、と書いてフッと息を吐きかければ桜の花びらと共に壁が現れた。その後ろに一方通行により通行止めとかいておいた。すると反対方向に走り出す音がした。となりでハイタッチを要求した兄にハイタッチしておく。イェーイ、といえば、いやいやいや、イェーイっていうノリじゃないから!!とツッコミをいただいた。
「いやいや、ナマエ、なにこれなにこれ!こんなことできたの!?いつから!?銀さんに教えなさい」
そう私の肩を掴んだ銀時さんに口を開く。
ーー最初から。
「そうだったよ!この子の言葉、わかんないんだったよ!カナタァァ!」
そうカナタくんを見た銀時さんに、カナタくんも口を開く。
ーー最初から。
「だからわかんねぇぇんだった!」
ものすごいやりとりが面白いのでケタケタ笑っていれば、笑い事じゃありません!と言われた。いやでも面白いし。
「……もしかして、ナマエちゃんが寺子屋や文字の練習を嫌がったのはこういうことが起きるから?」
新八くんのその問いは正しいので頷いておく。
「昔から起きるの?」
その問いにも頷く。
「……話は後だ。ガキンチョ、お前が書いたもんは実体化するって認識でいいのか?」
その問いには首を左右にふる、が、カナタくんがややこしいからと頷いた。カナタくんがもう一本筆を取り出して文字を綴る。
ーー妹、特殊。俺も、特殊。よく狙われる。
「そういうカミングアウトいまする!?」
ーー俺たち、何者、晴明達、見抜いてる。今、力、不安定。喋れない、その一貫
「ああ?カナタ、そりゃどういう意味だ」
ちょいと休憩という雰囲気になったのか、土方さんがタバコをふかしながら告げた。
ーー親、捨てられた、違う。ここ、連れてこられた。誰か、俺たち、呼び出した。
「呼び出した?」
頷いたカナタくんはもう式神の類って話でいいよな?とこちらに話をふる。別に構わないので頷いた。
ーー黙ってた、悪い。信じないかと。普通、信じない。
ーー俺たち、式神の類。正しく召喚されなかった、式神。人間じゃない。
そこまで綴って、万事屋や他は動きを止めた。式神、と繰り返した彼らに、カナタくんは正しく俺たちを使う方法と紙に書いた。
一つ、祝詞を正しく唱える。
一つ、俺たちの名前を呼ぶ。
ーー元が不安定、おそらく、長くはいい状態、続かない。
「おいおい厨二病ははやいぞ」
だらだらと汗を流した土方さんのそんな言葉をよそに、私はカナタくんに簡易的な祝詞を伝える。それをさらさらと書いたカナタくんはそれを読めと言わんばかりに周りに見せた。
「ありはや……?」
「読めばいいのか。ありはや、あそばぬともうさず、あさくらに、おんかみよ、おりしましませーーこれでいいの?カナタ、」
桂さんの言葉にひらりと紅葉が舞う。それが渦巻いて、カナタくんをかこみ、紅葉が散らばって本来のカナタくんが現れた。あんぐりと口を開いたまわりにカナタくんはぐるりと肩をまわす。
「はぁぁぁぁ!?!?いやなに、何でイケメンが現れてんの!?」
「いや、これでブサメンだったら萎えるだろ」
「喋ったぁぁぁ!?」
叫んだまわりが面白くてケタケタ笑う。カナタくんが若干面倒臭そうにした。
「波長が合わなかったんだよ。定春とか……動物に近いなら聞こえてたみたいなんだけどな」
ひょいっとカナタくんが私の首根っこを掴んだ。

没!

追記も没!
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