2019/03/13
兼任司書特殊if
・神さま兼任司書が封じられる→むっちゃんが守る→刀剣側は記憶あり文ある側はなしの学パロ軸主軸の世界になる→幼女?として目を覚ます(イマココ)
・神さま兼任司書のつれてるむっちゃんは分霊のため、別に陸奥守がいる。
・文あるにたどりつくまえに力尽きた。
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それは、人の形はしていた。ただ人と違うのは全身が赤茶色なのだ。人の形ではあるが、みるからに人ではなかった。動くたびに何かが落ちるそれをみて、怪談は本当であったのだと悟る。たしかにそれは化け物だった。ただ、それが、見覚えのあるシルエット、見覚えのある服をきていなければ、だが。
「陸奥守?」
そう言って彼らの視線は同じようなシルエットである人物に向く。彼は目を瞬いて、確かにワシにそっくりじゃが、と言葉を濁す。一歩前に出た彼に、それはまた刀に触れた。
「おんしは陸奥守吉行かえ?」
その問いにそれは答えない。ただ、威嚇するように刀を構えたままだ。発された言葉はわからない。ただ、それが言葉を発した瞬間、部屋から弾き出されるように体はでると、人知れずとびらがしまる。それは、怪奇現象としか言いようがなかった。
「そういえば、ひとり、分霊ば帰って来んかった気がするぜよ」
食事中のことである。陸奥守はそう言って箸を止めた。
「は?なんだそれ?」
「ひとり、主に着いときたいゆうて、帰って来んかった」
「じゃあ、そいつがアレだってことか?」
「なになに、なんの話?」
「ほら、あの怪談だよ」
そこから話は周りに回る。話を聞いていた薬研が口を開いた。
「じゃあ、その陸奥守の旦那は主だったものを守っているってことか?」
「体が茶色ってことは刀が錆びてるってこと?」
「それはいけない。どうにかしないと」
石切丸が眉間に皺をよせた。
「御荒魂になったのかもしれない。連れてこよう」
そういうことになった。
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まず、札で動きを封じる。ピクリとも動かないはずなのに、それは未だ動こうとする。それの体からパラリと錆がおちる。
「ーーっ!ーーーー!」
「君の主はもう何処にもいない」
そう言った石切丸にそれは首を振って抜刀した。
「ーーる!主、はっ、ここっ、に!人間っ、ば!」
「……?」
「人間っ、が、主っ、を!封、じっ、た!ワシ、は、まも、る!あの子、は、泣き虫、やき、ひとり、には、させん!」
それの動きが止まる。そして、体が透けてゆきーー最後にガシャンという音と共に刀が落ちた。その先にあったのは箱だ。紐を括られ、札を貼られた。
「何これ、遺骨、とか?」
「……いいや、それは……とりあえず、刀と共に祓う必要がある。持って行こう」
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その屋敷は、顔見知り同士が暮らす場所だった。審神者と呼ばれる人物がいたのなら、ここは本丸というものに変わるだろう。しかしながら、そんなものはいない。何故なら彼らは人間になったのだから。しかしながら、元々誰かの本丸であっただろうそこには刀を磨く術は充分にあったし、知り合いの刀匠もいた。名を白露という三十代程の男である。
「じゃあ、なんだ、この陸奥守吉行はその箱を守ってた訳か」
綺麗に磨き上げられた刀を見ながら白露は告げる。この男、悪戯っぽい節がある。恐らく、二言目にはーー。
「開けようぜ」
「そういうと思った」
「お前らも気になってるんだろ?」
そう尋ねた白露に、加州や大和守は「う、」と息を止める。確かに気になる。ただ、それで怪談ものになっても困る。
「やめた方が」
「石切丸と青江がいるし大丈夫だろ」
そう言って白露は紐に手をかけた。札を剥がし、するり、と紐の一部を解いてしまえば後の紐は勝手に解けていく。
「やっぱやばいやつじゃん!」
「でも解けるだけみたいだぞ」
白露は箱に近づくと箱を開ける。その瞬間、何かが飛び出すように現れて、三人は悲鳴を上げた。まるで小さな貞子だった。幼子のようである。髪は身長よりも長く床に付いており、顔は見えそうもない。三人は大きく距離をとり、悲鳴を聞いた人達が現れる。
「なにご、っ!?」
「なんだあれなんだあれなんだあれ!!」
「白露が、箱、あけた!」
それ、は口を開くがそれは言葉にならない。よく見ると、こちらを恐れるように後ずさった。近くにあった刀をひっつかんで。
ーーむ、つ、。
それの周りの宙に文字が舞う。
ーーむっちゃん、おき、て、
ひらりと桜が舞ったと思えば、それが重なってひとりの青年を作り上げた。そこにいるのはやはり刀剣の陸奥守である。彼はそれを見下ろして、泣きそうな声を出して抱きついた。
「主!」
あぁ、封印が解けたんじゃな、よかった、ほんに、よかった。
それを見て周りは顔を見合わせる。遅れてやってきた石切丸はその様子を見て怒るのだが、それは別の話だ。
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とん、と足に衝撃が走る。なんだと陸奥守が見下ろせば、例の子供が抱きついていた。恐らくは付喪神である陸奥守吉行ーーややこしいが為にそちらは吉行さんと呼ばれるーーと自分を間違えたのだろうと高校生であるもう一人の陸奥守吉行は息を吐いた。名前がわからない「これ」は吉行しかこういうことはしない。しかし、その吉行は手伝いとして買い物に行っている。しばらくのにらめっこが続き、陸奥守が折れた。子供を抱き上げて、部屋に向かうことにする。まぁ、入って早々獅子王や和泉守に叫ばれるのは目に見えていたのだが。
「寝ちょる」
すやすやと寝息が聞こえる。白熱するゲームの間、膝で大人しくしていると思ったらである。
出来心だ。ただの。邪魔だろうとそっと髪をかきあげたのだ。彼らの間では口裂け女だとか恐ろしい形相だとかそういう推測が立っていたので気になった、ともいう。そこにあったのは当たり前ではあるがただの子供の顔である。
「なんじゃあ、ちゃんと子供の顔ぜよ」
そう呟けば他も覗き込んだようで、なんだ、という話になった。騒がしくなったのか、子供が薄っすらと目を開く。覗いたのは青だ。
「う、ぇ、青!?」
「……?」
「陸奥ー、ここに主ばきちょらんか?」
現れた吉行に子供は目を瞬き、陸奥守が違うと理解したのだろう。ワタワタと陸奥守の膝から抜け出して吉行の後ろに隠れた。
「なんじゃあ、主、人見知りが治ったわけやないがか?まぁ、大方ワシがおらんかったき、間違えたんじゃろうけんど」
「吉行さん、そいつ外国人か?」
「ん?あぁ、顔見たやが?」
「ソイツが陸奥守の膝の上で寝てた」
「おぉ、顔見えるようになったやが!」
「え?」
固まった周りを気にせず、吉行はそう言ってそれの髪をあげる。確かに顔ばある!と笑って鼻を突いた。
「すまんなぁ、主はまだ不安定みたいなんじゃ。やき、この前まで顔が多分見えんかった。これで飯を食えるぜよ!」
ケラケラ笑いながら吉行はそれを抱き上げる。固まったままの彼らをみてそれと吉行は首を傾げた。
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「燭台切、おやつ欲しいんじゃけんど」
「おやつ?吉行さんのかい?」
「いや、主のぜよ」
その言葉にそこにいた燭台切と歌仙は首を傾げる。吉行さんの主、といえば。抱きかかえられている子だろうか。
「食べれるのかい?」
「おん!」
吉行はそう言ってそれを椅子に座らせた。長い長い前髪を髪紐でゆったそれ。青い目とぱちりと合うと、それ、は、首を傾げた。
「え、こんな顔してたの、この子!」
「今までご飯どうしてたんだい!?」
「食べるまで安定しとらんかったき、食べちょらん」
口もなかったぜよ。
吉行の言葉に二人はピシリと固まる。が、子供の姿をするソレに意識が向けることで取り直した。
「食べるっていっても、柔らかいものの方がいいね。ゼリーか何かがあったはず」
「夕飯はどうする?お粥とかスープとか……何か作ろうか?」
「おん、頼むぜよ」
そう言って吉行もソレの隣に座る。程なくして出されたゼリーを匙ですくい、吉行はそれの口に入れた。その瞬間、桜の花びらが舞う。
「これは、誉桜、かな?」
「口にあったみたいでよかったよ」
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結果として、懐いたらしい。というより、美味しいものをくれる人というか、そういう認識になったのだろう。これ以上はお腹いっぱいになっちゃうから夕飯ね、と言われてしゅんとしたそれは子供である。
「そういえば、名前は……ああそうか、君は付喪神だから聞いていないのか」
「いや、昔は知っちょった」
「昔は?」
「主は元々特殊やき、名前もしっちょった。けんど、周りが主を穢らわしいといって封じたんじゃ。その結果、ワシは主の名を忘れた。ワシだけやない。他も、恐らくは忘れちょるんじゃ」
「……あぁ、やっぱり人じゃないんだね」
「おん。主が姿を留めちょるのは、ワシが覚えちょったからぜよ。でも、ワシが最後に見た姿からだいぶ幼くなっちょる。恐らく、主は自分が何かわかっちょらん。でも、人にされた事は覚えとるき、今や人見知りぜよ。ま、そのうち治るじゃろ」
ケラケラと笑った彼に、二人はなんともいえなくなる。主、散歩いくぜよ、とそれを抱き上げた吉行は厨から消えた。
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食堂に似たそこに、二つ膳が増えている。と言っても、一つはお粥とスープなのだけど。これはなんだろうか、と思って首を傾げていたが子供を連れた吉行が現れたので周りが一度静まった。吉行にしがみついて離れない様はまるで子供であるが。石切丸が二人をみて首を傾げる。
「おや?今日はこちらで食べるのかい?」
「おん、食べれるようになったき」
「はっきり見えるようになったんだね」
ーー何が。恐らく多くがそう思ったが、青江は笑うだけだ。ほら、ここに座るんじゃ、と座らされた子供に顔が見える。それに一拍おいて、周りが叫んだ。
「うぇ、普通に子供の顔じゃん!」
「誰だよ口裂け女みたいとかいったやつ!」
「なになに、目、青いんだけど!」
「こら!驚くでしょ!」
燭台切の一喝により立ち上がろうとした周りは席につく。両手を叩く音と、いただきます、という言葉が聞こえる。周りを見渡したそれは、同じように手を叩いた。
ーいた、だき、ます、
宙にまた文字が浮く。それを目撃した周りが目を瞬いたが、子供と吉行が何かを食べ桜を散らしたのに驚いた。
「おいしいとさくらがまうってことは、そのこはとーけんですか?」
「近しいけど違うようだ。ほら、さっきも文字が浮いただろう?多分、それに関連するものだとは思うけど。名前がわかるといいのだけど」
「まぁ、焦っても仕方がないき、ゆっくりいくぜよ」
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馴染んだ
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それが来たのは、新月の日である。ざわりと襲った嫌な感覚に元刀剣男士達は食堂に集まっていた。嫌な感覚である。子供ーー便宜上桜と名付けられたーーは何故集まっているのかわからないようで首を傾げていたが。
「この感覚」
吉行はそう言って扉の外を見る。ガタガタと窓が揺れ始める。誰かが小さく悲鳴をあげた。雷のような轟音がしたと思うと、足音が聞こえ始めた。周りが息を呑む。何かが扉を開けようとしているのだろう。ガタガタと扉がゆれる。それが数分続いたと思えば、ドアが割れた。真っ二つに。微かに歌が聞こえた、と思えばドアが蹴り飛ばされた。
「ーーこが、ほしい、あのこ、じゃ、わからん、はないちもんめ、」
現れたのは面をつけた男である。刀を持った。
「にんげんども、かえせ、かえせ!」
そう刀を振りかぶり机を切った男に、吉行が眉間に皺を寄せた。
「いけん、あいつは……ワシが足止めするき、石切丸達は怒りを納めてほしい」
「わかった」
「ただ、ワシでもそんなもたん」
「は?」
「あれは、今は荒れとるが元はちゃんとした神ぜよ」
「え、」
「主を頼む」
吉行はそう言って刀を抜き、他を斬りかかろうとした男を止める。ガチガチと鍔迫り合い特有の音が響く。
「ーたなごときが!」
「おんしも半分、そうであるはずじゃけんど」
段々と押され気味になる吉行に、子供が陸奥守の腕から抜け出した。む、ち、つ、や、ん、宙に浮く文字はまた解けるように消える。飛ばされた刃に男が刀を大きくひいた。突かれる、と吉行が思った瞬間である。そこにいた子供に刀の軌道が僅かばかりそれた。大きく腕を開いて止めに入っている子供に周りは子供を回収しようとするが、男が持っていた刀が消えたことに動きをとめた。
「あははは、なんだよ、なんの冗談だよ」
そう言った男が膝をつくのがわかる。
「なんで庇うんだよ、お前は人間のせいでそうなってるんだぞ!あのひ、あの日!人間の身勝手な行動でそうなったんだぞ!ナマエ!」
その瞬間、カチリ、となにかがはまったように子供は動きをとめた。その隙に石切丸が男に札をはる。ぐらりと揺れた男は地面に落ちる瞬間一振の刀に変わった。
「刀?」
「いいえ、普通の刀ではございません」
言葉を答えたのは子供である。刀を抱き上げた子供は吉行をみる。
「陸奥守、迷惑をかけました」
「元に戻った、か?」
「恐らく名が呼ばれたからでしょう」
手を伸ばした子供に、吉行は首を左右に振る。
「なんちゃあないき」
「なんちゃあなくない、むっちゃん、ダメ、手入れするから」
「……わかった」
そうため息をついて刀を渡した吉行は消える。子供は息を吐いて彼らを困ったように見つめた。
「申し訳ございません、私がきたばっかりに皆さんの家がぼろぼろになってしまいました」
「えっと、桜?」
「えーと……そう、なのですが……名を呼ばれた為不安定が安定に近づいたと言いますか……私の名前はナマエと申します」
「ナマエ?それが君の名前かい?」
「正しくは人間であったころの名前でしょうか」
「今は違うんだね」
「今の自分の立ち位置がよくわからないのでなんとも言えないのですが」
「あの男は?」
「……私の兄にあたる人物です。彼は列記とした神にあたります」
「では、君もそうだったんだね」
「えぇ、昔は。社を壊されて封じ込められてしまったんです。信仰をなくしてしまえば記憶から消える。そうして私は徐々に消え、人間に対する恐怖のみがのこりああなった。兄が覚えていたのは単に私と血の繋がりがあったから結びつきが強かったのでしょう」
「うーん、君は御荒魂には見えないなぁ」
そう言った青江に、子供は苦笑いした。
「まぁ、私の社が壊された時は国がきな臭くなってる時でしたから仕方ありません。時代とともに価値観が変化し、私が加護するものは弾圧される対象だった、たったそれだけです」
ぽん、と頭に乗った手に子供がピクリと肩を揺らす。御手杵!と誰かが制止するが、だってよ、と彼は言葉を続けた。
「桜、大変だったんだなって」
撫でられながら告げた言葉に、桜の花びらがたくさん舞うのは別の話だ。
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「いや、ホントに悪い。まさか妹の封印解いてくれてるとは思わなくて……妹散々虐めといて隠しやがって人間の癖にボロ出しやがったなコイツしか考えてませんでした」
そう頭をかきながら告げた男はこの前のような雰囲気はない。
「出るもん出るんだろうなぁ?」
「仕方ねぇから武芸の加護付けといてやんよ。良かったな、これで体育は学年一位だ、よかったな、ガキンチョ」
ひらひらと手を振った男に石切丸が首をかしげる。
「武芸?武芸といえば、山の方にある神社だけど」
「あー?それ俺のだわ」
「んっ?」
「元は俺が武芸、妹が文芸、二つ合わせて参拝すれば文武両道……だったんだが、先の戦争で俺だけが崇められ妹は貶されて社ごと潰されたんだよ」
「なっ!?」
没!
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