2019/05/08
タイトル未定 ver2
・君僕主if
・サチともう二人くらい出すかもしれない
・書き直し書き直し
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視界が暗い。意識がぼんやりとする。周りの音もまるで水中にいるように聞こえた。息苦しさ、不自由感、そんなものに合わせて誰かの声がする。日本語ではない。恐らくは英語、だろうか。
「ーー昏睡から目覚めた後、そのようになったという報告があります。DDであることには間違いありません」
「そうか……連れて行け。DDは貴重な戦力になる」
そんな言葉と同時にまた誰かに抱えられる。抵抗する気力もない。また、意識が闇に沈むーー。
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ーー諸君は選ばれた人間なのだ!
そう繰り返す教師に似た人物にうんざりとしそうになった。選ばれたからこそ連れてこられたという割にはぞんざいな扱いだ。まぁ、一応ハイスペックなコンピュータを与えられ、最新鋭の設備に囲まれて研究生活を送ることができる。ここにいる人は全員ランク付けされ、管理される。まるで某ゲームのマザーベースみたいだと思うけれど、そのゲームの存在は気づけばなくなっていたため同意は得られない。ちなみに私のランクは開発コンピュータがCあたりだった気がする。まぁ、最初わけもわからない状態でつけられたからちょいちょいランクには誤りがあったりするのだが。なので、ランクは変動したりする。大人の判断で。私は普段から手を抜いて就業時間ギリギリまで作業していたりするのでCランク固定である。それに対し、同じ国からきたーーしかも同じ高校に通っていた彼女は優待を受けるランクだ。サチ、いるか?だなんてラボの窓から顔を出した彼女に、同じラボに所属している子たちが声を上げた。彼女の胸元に掲げられたランクはA。この施設でも有力な存在であることは間違いがない。
「おーい、サチ、ジョーカーエースが呼んでるよ」
「ってことは、みなのども、ついでに休憩タイムだー」
そう言ったラボの責任者であるBランクの青年に、私はやれやれと息を吐いた。窓から顔をのぞかせていた彼女はその言葉にクスクス笑う。楽々と窓枠に座った彼女に私はコーヒーに入れるために席を立った。
この組織が何をしたいのか。それはたまに上がる話題である。地球侵略だったりして、だなんてみんな冗談をいうが彼女は「冗談じゃ済まされないかもしれないぞ」とコーヒーを一口飲んだ。
「え?」
「ここにいる人材を使えばある程度のことはできる。地球侵略、は、大袈裟かもしれないがある程度の国家なら抑えることができる」
彼女がそういうものだから、他の子が固まった。でも、私もたまに思うのだ。ここに集うのはある意味天才ばかりだ。そんなものが集まれば色んな事ができる。本格的に動けばSOPシステムも愛国者も恐らくは作ることができるし、彼女の属するところが動けば軍事介入だってできてしまう。そういう場所なのだ、ここは。
「まぁ、時期にアメリカかロシアあたりが勘ぐってくるだろう」
「ジョーカー・エース、君の部署は何を?」
「傭兵ビジネスの真っ最中だな」
「え、そんなことをしてたの!?というか子供兵ってアウトでしょ!?」
「顔を隠して話さないでいたらわからないものだぞ」
そう肩を竦めて彼女はチョコレートバーの包みを開けた。隣にいた大食感君に隣から取られたけど。
「まぁ、大人が何をしたいかはわからないがまたもうすぐ客人が来るらしい」
「客人?」
「外からの大人だ。まぁ、君たちのところには顔を出す事はないとは思うが」
「わかった、いつも通り引きこもってるよ!僕らは下請けだしアレで話せないからね!」
そうグッとサインをだした責任者の彼に、彼女はそうしてくれと手を振った。
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呼び出された部屋には上司に似た人物と男がいる。何処かで見たことがあるような既視感に目を細めたが、答えなどないので黙ったまま彼らを見た。
「傭兵部隊は5つある。それぞれエースと呼ばれる者が取り仕切っている……だが、5つのうち3つは貸し出し中でね 」
「貸し出し中?」
「おっと、それ以上は教えられない。クライアントについて教えるようなものだからな。貴方達に貸し出せるのは一つだけだ」
「残る部隊は二つじゃないのか?」
「後の一つはここの警備でね。でも、アンタ達は運がいい。ジョーカーは、所属する奴らがどうであれここで一番任務を確実にこなす部隊だからな。ジョーカー・エース」
そう呼びかけた大人にそっと手をあげる。こちらに向いた視線に壁にもたれたまま上司に似た存在の人物に目を向ける。
「新しい『パトロン』だ。付いていけ」
その言葉に手話で何人必要なのかと彼をじっとみたら
といっても私の部隊は少数精鋭なので六人しかいないが。それを見て「お前含めて六人全員だ」と答えた彼に、中々の酷使だと眉間にシワを寄せたが顔を晒していない今誰にもわからないだろう。パトロンーークライアントの意味だーーは私が一向に喋らないのを見て上司を見たが。
「……喋れないのか?」
「必要がないだけだ。契約は守ってもらうぞ、シャラシャーシカ。同郷のよしみで貸してやるんだ」
そう念を押した上司にパトロンは「わかっている」と頷いた。そうして彼らは私に部隊を連れてヘリポートに来るように告げる。それに頷いてその部屋から出た。
ーーまぁ、こんな事だろうと思った。
数日前線に立たせて、休めばいいと言われた時からなんとなく予想はついたというか。圧倒的武力に包囲された今、ため息をついて命令通り武装を解除するように他に指示をする。他の五人が武器を置いたのをみて私もまた武器を置いて両手を上げた。シャラシャーシカと呼ばれた例のパトロンが誰かと連絡を取るのが見える。ため息を一つ零せば指示を仰ぐように他の五人がこちらをみた。大人しく従うとしよう、と手を動かせば五人は頷いたが大人には反感を買ったらしい。何をしている!と怒られてしまったので大人しくすることにする。
「連れていけ」
そう告げたパトロンに周りの大人達は私達を誘導する。両手を拘束され、銃を突きつけられ、先に進むしかないのだ。
輸送された先は何かの施設だった。掲げられた国旗は米国であるのを見ると米軍の駐屯地に近いものだろうか。やはりあの組織を勘ぐる奴が出てきているなと思いながらそのまま誘導される。たどり着いたのはガランとした部屋だった。何人かの大人が座っているのが見える。糸が張りつめられたような雰囲気である。しかし、五人のうち誰かのお腹がぐう、と音を立てたのでそれは少し変わったのだが。他の4人が揶揄うように手話で緊張感のない奴、と囃し立てお腹を鳴らした本人は生理現象なんだから仕方ないだろ!と告げた。それもそうだ。
「喋れないのか?」
パトロンにそう尋ねた声には聞き覚えがあった。パトロンは「わかりません」と答える。
「戦場では常にこうだったので。向こうは必要がない、と」
そこでまた視線が向く。真ん中にいる、眼帯をつけた男性が眉間にシワを寄せて口を開いた。
「お前達は一体何者なんだ?」
それを聞いて5人とも首を傾げた。なになにこれどういうこと、いみわからね、そもそもおれえいごわからねぇしあいつのいうことがわからん、おれもおれもロシア語たのむわ、ロシア語はおまえとエースしかわからねぇよ、という手話での会話が続いた後、あっはっはっ、と5人が笑うような仕草をする。相変わらずゆるいことで、と思っていれば、何がおかしい?とパトロンの近くにいた人物が眉間にシワを寄せた。威圧感に固まった彼らにため息をつく。仕方ないので口を開くことにする。
「彼らは貴方方を笑ったわけではありませんよ。ただ、英語が理解できないと言った身内話をしただけです」
そう告げれば、パトロンと眼帯をつけた男性が動きを止める。驚いたように目を見開いた彼らに、ああ、やっぱりなぁ、と目を伏せた。
「女……?」
「いけませんか、部隊の隊長が女なのは」
「……喋れたんだな」
「パトロン、貴方は『大人達』に聞いたでしょう?喋る必要がないから喋らないだけだと。今は喋る必要があると判断しただけです」
そうやれやれと肩をすくめる。パトロンが口を開く。
「……賢明な判断だ。お前の名は?」
「ジョーカー・エース。彼らは右からベニー、ワイルド、オールドミス、バウワー、ユーカー」
「本名は?」
「その情報は開示できません。貴方達にその権限はありません」
相変わらず機械的な言葉である。私の言葉に彼らはあまりいい顔をしなかったが。ふぅむ、これは面倒臭いことになった。拷問紛いなことになっても困るので正直に言うとする。
「我々には貴方方に敵意などありません。敵意を向けられても困ります」
「なら質問に答えろ」
「私たちが許される範囲ならば構いません。というより、私たちが開示できる情報ならば構いません。私たちは下働きであり、上から開示されていない情報がたくさんあります」
「なら、名前は?」
「個人の名は私たちに開示されていません。MSEに所属した時点で個人の名、同じく国籍は秘匿されます」
「MSE?」
「我々の組織の名です」
「何をする組織だ?」
「傭兵ビジネス。正しくは民間軍事会社、または警備会社でしょうか」
「自分達の行いに疑問はないのか?」
「我々は業務及び命令に疑問を抱いてはいけないことになっています。なのでパトロンと呼ばれるクライアントから任務を与えられるまで何も知らない状態で任務に当たります。そしてそれらはクライアントとライターが交わした秘密保持の契約により口外出来ません。我々には権利がありません」
「ライター?」
「我々の上官を指します」
「そのライターは何人いるんだ」
「わかりません。また、彼らの目的もわかりません」
「お前達は何の為に働く?」
「我々は、選ばれた人間です。ライターに利益を与え、また、ライターの為に戦う。それが我々の使命であり、ライターの為になることこそ我々の幸福です」
そう答えれば異様なものを見るような目でこちらを見られたが、建前はそうなので仕方がない。異様な存在、確かにそうだ。視界の端でオールドミスが何かを操作するのがみえる。
「まるで崇拝だな」
「ライターは我々を救いました。異質である我々を解放し、救いました。救ってくれた彼らのために命を投げ出す。それは至上な幸福です」
そう答えればオールドミスがロシア語で口を開く。
「エース、スイッチを入れた」
「何分持つ?」
「エースの仲良しラボの面々だからな、10分は持つ」
「わかった」
そう返答してまた彼らを見る。警戒してるな、と他人事のように告げる。
「まぁ、建前の話はここまでにして」
「建前?」
「私たちは常に監視されているので、穴を利用しないと実情を話せないんですよ」
「アメリカが動いてるってことは他の国も動いてんもんなぁ、あー、ヤダヤダ、これだからダブってない奴らは」
そう座り込んだバウワーにならい、他もしゃがむ。まぁ、疲労が溜まってるんだろう。私に全部丸投げはどうかと思うけど。いつものことといえばそうだが。
「簡潔に言うと、私たちはライターが何をしたいか知りません。ただ、貴方達が勘付いている通り、あの組織は軍事的に動く可能性はあります」
「組織を売るのか」
「私達はあの組織を好ましく思っていないので。しかしながら、貴方達がもし進攻し危険組織として制圧つもりなら注意してほしい」
そう前置きを置いておく。彼らは眉間にシワをよせた。別に危険といえば危険だが、彼らが警戒しているそれとはまた違うだろう。
「何をだ?」
「ライターと呼ばれる面々以外は18歳未満です。MSEはライターと呼ばれる大人と子供だけで成り立っています」
「お前達が子供だって?」
その言葉にマスクをとる。それに習って他もマスクを取った。まぁ、わかりにくいのはいるが、18歳未満なのはたしかだ。ユーカーなんて特に幼い顔をしている。また誰かが息を詰める。サングラスの男性が私をみて口を開いた。
「……日本人?」
「よくわかりましたね」
「日本人の未成年がなにを?非日常にでも憧れたか?」
「いいえ。端的に言えば誘拐されました、ですかね。ライター曰く、解放と言われましたが」
「解放?」
「俺たちは記憶がダブってる。本来なら持つはずがない技術や記憶を得てるんだよ。理論上は親がいなくてもやっていけるから、解放」
「DDーー解離性人格障害者か!」
そう声を上げたサングラスをつけた男性に、バウアーがそう言うことだ、と告げた。DD?と首を傾げた私にバウアーが口を開く。
「エースは知らないだろうけど、アメリカじゃそう言われんだ。ま、あの組織はDDを掻き集めた組織ってわけだ。エースや俺たちみたいに誘拐されたやつもいれば自分から志望したやつもいる。ま、我らがジョーカー部隊は全員誘拐されてきた。そんな俺たちが組織に忠誠を誓うと思うのか?」
バウアーの言葉に、向こうは難しい話だな、と告げた。ぼそりとオールドミスがロシア語で『まぁ、エースにならついていくけどな』と告げたが。
「英語喋れよ、オールドミス。お前、理解してんだろ、どうせ」
「ワタシ、エイゴ、ワカリマセーン、ロシアゴ、クダサーイ」
「ワタシモ、エイゴ、ワカリマセーン、チョコバー、クダサーイ!」
オールドミスにつられてそう声を上げたユーカーに、ポルトガル語で「あとであげるから静かにしてなさい」という。彼は元気に返事をした。
「あそこには君達のようなDDだけか?」
「いいえ、他にも様々なDDがいますよ。あそこはある意味ワンダーランドですから」
『エース、そろそろやばい』
そう告げた彼らにマスクをつけるように手話をして、マスクをつける。さて、もう少し話しておきたかったけどもそれは出来そうもない。終わった、と手を動かした彼に口を開く。
「繰り返しますが、我々にはなんの権限もありません。我々はライターの為に戦い、それが自らの幸福へと繋がるのです。これ以上お話できることはありません」
我ながら機械のようだ、と思う。真ん中に座っていた眼帯をつけた男性が口を開いた。
「ーー最後に一つ、ハンドサインはなんだ」
「我々の部隊の共通の言語です」
「そうか……普通の部屋に案内してやってくれ」
「いいんですか?」
「何をする様子もなさそうだからな。あぁ、あとチョコバーも、だな」
そう悪戯っぽく笑った彼に、ユーカーが目をキラキラとさせた。ありがとう!と手を動かした彼に説明しておくか、と口を開いた。
「ユーカーがありがとう、と」
「……いいや」
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与えられた部屋は六人一室であるが、まぁ寝るところがあるだけマシだろう。寝るときさえも外せないマスクは最初はうっとおしかったがいまは別に気にならない。銃火器や刃物は没収されているが、その実服に仕掛けがある為なんとでもなったりする。
ーー拷問されるかと思った。
そう手話で告げたベニーに、私も思った、と返しておく。
ーー子供でもする奴らはするからな。
ーーユーカーは怖くなかったのか?
ーーエースがなんとかしてくれるって信じてた。
ーーあー、それはある。
ーーだいたいエースに任せとけばなんとかなる。
ーー買い被りすぎだ。
ーーぶっちゃけ、アメリカとか相手に戦争できると思うか?
ーー無理!
ーーいいや、戦争は可能だろう。勝ち負けはどうかわからないが。それに、多部署が何か今作らされている。
ーー何か?
ーー恐らく兵器の類だ。詳しくはわからない。
ーーそれがバレてるんですかね。
ーーいいや、名前を上げすぎたから警戒をされているとは思う。私達は地味だが他はそうじゃない。戦場で偶に聞くだろう、他の噂。
ーー確かにな。虐殺まがいなことやテロまがいなことまでやるって噂だしな。
ーー他のトランプ達はあの時施設にいた。
ーーパトロンが俺達をご指名ではないのですか。
ーー違う。恐らくは正規軍に近い奴らには私達しか貸し出さないつもりだろう。
ーー俺たちは目くらましってわけね。1番に被害を被る危険があるのかよ。あーやだやだ。
ーーまぁ、君達はスペアでもあるから大丈夫だろうが。
そう手を動かして肩をすくめる。ポロリとチョコバーを離したユーカーに、これはいらないことを言ったな、と思う。なので、安心させるために笑って、大丈夫だ、と手を動かす。
ーー私は死なないよ。
それはきっと、とんでもない嘘だ。
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部屋に閉じこもっていても暇だろう、と告げたパトロンに、肩をすくめる。まぁ、集まっていても何をするかわからないから、もあるだろうが。手だけの会話はわからなければ一層不気味に違いない。まぁ、スコアを図りたいがため、情報を得たいがため、というのは大きいだろうが。あとは身体の測定あたりか。身長が伸びた、と報告にくるユーカーは実に子供である。……ボスもこんな気持ちだったのだろうか。とりあえず頭を撫でておいたが。そのまま流れるように、私は別行動である。一瞬全員顔を強張らせたが、私が女だから一緒に計測するなんてできないなどと言った。この際一緒に寝たりとかしていることは黙っておこう。結局、警戒しても何も起こらなかったが。そうして遅れてみんなに合流すれば、他の隊員達がいる訓練所のような場所である。ユーカーがポルトガル語を興奮したように話すのが聞こえる。それもあまりいい興奮の仕方じゃない。ベニーが私に気づいて、私を呼んだ。
ーーユーカーが興奮してる!
その言葉に中に入る。犬のように威嚇するユーカーの先にはあの眼帯をつけた男がいた。それにしても興奮したユーカーは物騒な言葉をよく吐く。仕方ないので後ろから忍びより、振り向いてナイフを刺そうとした彼を転がした。そのまま武装解除し、ユーカーを背後から押さえつけるように拘束し耳元で口を開く。
「ユーカー、落ち着きなさい」
「離せ!」
「離さない。ユーカー、10数えなさい」
「離せ!!」
彼の耳元で彼の本来の名を紡ぐ。恐る恐るこちらを見たユーカーは、今度は泣き出すのが目に見えているので拘束から手を離す。こちらに抱きついた彼は本当にまだ子供だった。
「彼に何をしたんだ?」
「そこのオッさんが挑発したのとこの状況でフラッシュバックしたんだと思う」
「ワイルド、怪我は?」
「こっちにはない」
「そちらに怪我は?」
「ない」
「申し訳ありません、彼は一番年下で一番不安定なんです。本当は戦場に立たせたくない」
「だろうな。だが、お前が率いる部隊の中で能力が高い」
「それは何を起点に置くか、で変わってきますよ」
そう言って彼の頭をぐしゃぐしゃと撫でておく。ぐすぐすと鼻を鳴らした彼に気にしてない、と言っておいた。その様子に眼帯をつけた男がこちらをみる。
「……あの技、誰に教わった?全員お前に教わったと聞いたが」
「あの技?」
「ーーCQCだ」
その言葉に眉間にシワを寄せて彼を見る。しまった、とは思うが、あれはなかなか友好的なのである。
「今、戦闘における近接格闘術の多くは他のものが採用されている。CQCはCIAの準軍備部隊しか採用されていない。しかも、原案の動きに近い」
「それを知って何になるんですか。私達はあなたがいうDDです。前の知識かもしれないでしょう」
「ーー前の知識であるなら尚更なんだ。お前が持つ記憶は誰のものだ?」
「誰だっていいでしょう」
そう言ってユーカーの頭を撫でる。ぐすぐすと鼻を鳴らす彼は恐らく手を離すことはない。
「ヘイト、に、聞き覚えは?」
そう尋ねたパトロンに、「嫌悪、ですか?」と白々しく返す。
ーー認めたくない。
パトロンが私の手を掴んだ。ユーカーや他がすぐ警戒したが、大丈夫だといってやる。真面目な顔をしてこちらに話す。話すというよりは単語の羅列であるが。
「ザ・ボス……コブラ部隊……ソ連……1964年……8月31日……ヴォルギン……山猫部隊……スネーク」
あげるな、心拍数を。落ち着け。そう言い聞かせたところで恐らくは無理だ。この体は訓練をこなしているわけじゃない。
「ヘイティ」
「ーーナマエ。ナマエ・クラウディア」
優しい声でそう名を呼んだ眼帯の男に目を伏せる。せめての対抗だと、口だけは抗おうと笑ったが。
「……ーーなんの話ですか?」
「……ヘイティ、随分と嘘が下手になりましたね」
そう笑ったパトロンと記憶の中の青年が被って見えた。
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もう一つの記憶。突如思い出すそれは、どう扱うかはその人次第だ。何故なら過去の記憶だけでなく同じ時代を生きた記憶もあれば、未来もあるからである。だから、私はあの記憶を夢だと判断した。昏睡している中で自分が見ていた夢であると。
「一人だけ随分年下だな、ナマエ」
そう可笑しそうに笑った彼に息を吐く。
「あれは、夢だと」
「なら、俺はーー俺たちは君と同じ夢を見たことになる。それもそれで面白いが。認めたく無いか?」
彼はそう言って私を見た。私は目を伏せる。
「あれは、夢だ」
「違う、記憶だ」
頬に手を添えられる。そちらを見れば彼は優しく笑った。やめてほしい。心臓が激しくなる。
「ナマエ、俺はお前を探してた。俺だけじゃない。みんなお前を探していたんだ」
動きを止めた私に、ユーカーが彼の手をはたき落した。
『触れるな、ロリコン!』
『ロリッ……!?』
『アンタとエースじゃ歳いくつ離れてると思ってんの?エースに触れないでくれる?そういうのは他の部隊に頼んでよ』
その言葉に、笑う。それはそうだ。あの世界では同い年であったが、今は違うのである。
『ユーカー、チョコバー食べるか?』
『食べる!』
==いっつも前世もの考えてると思うんだけど、どこで折り合いつけてるんだろうかという話を書きたかった。
若ソリッドさんが乗り込んでサチのラボ面子助け出したりエクセトラも考えたけど、ちょっとかなり長くなるので保留。
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