2019/07/17

スランプ脱却のために書きなぐってるだけ 16


例えばである。これを機に私が足を踏み外せば、あの物語の筋書き通りになるのだろうと思う。自らも殺人をし、そして他人にその計画を与え続ける。それはおそらく20年先もそのままだろう。どうするか、を、考える。ずっとずっと、違うのだと思っていた。なぜなら、私の姓は近宮であるし、起こるべき事件はおきなかったし、そもそも秀英にもかよわなかったし、母親は死なない。だからこそ、自分はいつかマジックで彼女に追いついてみせる、いつか共にステージに立つのだと、どうしようもなくーー。両手を見つめる。全部知っている。アリバイ、トリック、全てを知っている。母親を殺した犯人も知っている。なぜなら私はーー私が愛読していた物語の登場人物に成り代わってしまったからだった。これからどうするか、を漠然と考える。そうしてたどり着いた答えに、私は日本に帰国したのであった。


「近宮」
名前を呼ばれるのを無視してゲームをする。最近は散々である。事件解決たのしーとばかりに解決していれば、某犯罪組織に同類とばかり言われ誘われてしまった。確かに私の元ネタはそっちであるが、私はいま正反対の位置にいるのだ。行くわけがない。
「近宮」
そもそもである。なんで私怪奇事件担当みたいになってるんだ?警察官もさ、もっと他を頼もうよ。不動市があるっていうことは素人探偵くんもいるんだし。
「近宮!」
そう言ってスマートフォンをとった七海に、ため息をついた。
「何かな、七海。私は今疲れてるんだけど」
「だろうな、顔見りゃわかる。ほら、お前宛に手紙だ」
手紙を寄越した彼にそれを受けとる。差出人をちらりと見てため息をつきたくなった。きたか。ついに、きてしまったか。
「七海、私しばらく有給取得するよ……」
「は?」
「パーティーへの招待状だから」
そう口端をあげていってみる。七海は目を見開いてーーこちらにかおをよせた。
「……大丈夫なのか」
「私はね。で、qクラスの誰に届いたの?」
彼の心配はもっぱらそっちだろう。彼はため息をついて、お前には敵わないなと告げる。ま、おそらく薔薇の名前がある人物など限られているのだけども。
「流だ。まぁ、内容は青薔薇を展示するからっていう内容なんだが……お前は違うのか?」
「さぁね、開けてもないし」
そう言って手紙を触る。毒針も何もなさそうである。差出人はローゼンクロイツ。薔薇十字さん。中を見れば、きょうだい云々が書かれているわけで。それを覗きこんだ七海が口を開く。
「お前、兄弟いたのか?いやこの書き方だとわからないのか」
「さぁ、私は母に育てられましたから」
そういって手紙を畳む、さてさてーー私が自分の昔を思い出した時、てっきり自分が高遠遙一だと錯覚していたのだが、この世界には犯罪プロデューサーこと高遠遙一という別人がいるのだ。私がぶち当たるのが冥王星の事件ばかりであるからか、彼の事件はまったくもって当たったことがなくファーストコンタクトといえる。しかしながら、恐らく彼は私の親類であることなんぞ予想はできた。彼と私は育った環境が違えど、同類なのである。

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「えっ!?近宮先生!?」
一人が来るということはもう一人くらいもきますよね、と思う。やれやれとため息をつきたくなる。これが行きのバス待ち中でよかったと心底思った。いや、狙いましたけどね。
「どうして先生がここに?」
「素敵な招待状が届きまして。あーっと、私はとりあえず、駆け出し小説家の環ナマエと名乗りますので呼び名は注意してください。まぁそうですね、近所に住むお姉さん的な役割だと思ってください。あと、何があってもDDSだと名乗らないように」
「どうして?」
「ちょっと色々ややこしいんです」
肩をすくめてやってきたバスに乗る。薔薇十字館はもうすぐそこだ。

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顔面偏差値が非常に高い。ソファに座りながらそう周りを眺める。きゃっきゃと騒ぐ二人は可愛らしい。本来主人公である彼らはまだきていない、が、恐らくはもうじき来るだろう。ちなみにちゃんとフェイク小説なんかも準備したし、出版社の知り合いにも頼んだ。これでちょっとやそっとでは素性がわからないだろう。ようやくやってきた主人公達をみる。名乗った彼らに、恐る恐るというように口を開いた。
「私は環ナマエと申します……駆け出しの小説家です。彼らは近所に住む、流くんとキュウくんです」
そう言って名乗るように促せば、彼らもまた名乗る。とりあえずこのキャラで行くとする。
ーーなので、デスマスクを見て悲鳴をあげてビビる。顔面蒼白なフリをする。今回は助言はするが基本スルーだ。
外に行こうとした彼らをやんわりと止めてみせるが、彼らが止まるはずもなくーーまぁ、毒に突っ込む前に他の人が止めたけど。とりあえず部屋に入りたいので小さくクシャミしておく。
「みなさん、とりあえずはいりませんか……風邪をひいてしまいます……警察に連絡しましょう」
そう言えば彼らは中に入った。まぁ、警察来れないんですけどねー。

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金田一くんが私をみてデレデレするのを見て、いつのまにか仲良くなっているリュウキュウコンビがやめといたほうがと告げる。私はとぼけて首をかしげ、どうかされましたか?金田一くん、だなんてはにかんで笑うのだ。
「環さんって、小説家なんですよね?どんな小説を?」
「うっ……一応は探偵小説、なのですが……児童向けですし……デスマスクはちょっと……」
そう目をそらす。探偵小説?と首を傾げた周りに、小説を先に読んだらしいリュウキュウコンビが口を開く。
「環先生の書く小説、面白いんですよ!」
「ふふ、ありがとうございます」

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祭沢さんの死体とこんにちはして、ちゃんと怯えました、まる。そしてトリックは知ってるので捜査は丸投げである。死体見れないとかそういう理由であるが、ちゃんと尋ねられたらヒントは言えるようにしてある。はい、さてはて、次は友禅さんのターンであるが、殺害を止めるのは無理な為番狂わせをしたいと思う。
「あれ?遠山さん?」
そう見かけた後ろすがたに声をかける。どうしたんですか?こんなところで、と問いかければ彼は笑みを貼り付けてこちらを見た。
「……環さん?いえ、ローゼンクロイツからここに来るように言われて。環さんは?」
「ちょっと迷子になってしまって……指定された場所がわからなくて……時間が過ぎてしまいました」
しょんぼりしながらそういえば、彼は目を瞬いてみた。そうして彼は何か思い当たったんだろう。クスクス笑いながら、「そう言えば移動するときは二人に誘導されてましたね」などという。うん、ワザとです。私はとりあえず苦笑いして、髪を差し出す。
「ここからどう行くかわかりますか?」
「ああ、それならーー」
ドタバタという足音が聞こえる。高遠!という声と、近宮先生!という声が聞こえた。彼は目を少し見開いてこちらをみたが、とりあえず私は何かあったんですか?と尋ねる。友禅さんが!とかけて行った彼らに続き私達もまたその部屋に向かった。そして犯人の自滅を確認し、両手を合わせておく。遠山さん改め高遠さんからの視線は無視ということで。

「私、迷子になってしまいまして、遠山さんと一緒にいましたが……」
そう苦笑いしておく。紙をみた金田一くんとリュウキュウコンビが「ホントだ」と口を開く。ちなみに指定された場所は真壁くんと同じ場所である。だから、遠山さんは違うと思います、と擁護すれば妹(仮)が地獄の傀儡子とバラしました。
「おや、ならば私も共犯になってしまいますね」
割と素でそう言えば、周りがアンタも違う名前で呼ばれてただろ!と言われた。
「当たり前じゃないですか、環はペンネーム。呼ばれた名前は学校の講師をしてるときに名乗ってる名前ですし……」
「ペンネーム?」
「はい、作家名義の活動をするときはペンネームを使うので……」
苦笑いである。
「私を信じていただけるなら、彼は何もしていませんが……」
「……そんなに僕を疑いたいならば、僕を閉じ込めてしまったらどうかな」
彼はそう言って前に一歩進む。まぁ、佐久良さんが彼を閉じ込めたのだが縄抜けできることを知っているため何にも言えない。とりあえずしゅん、としておく。相手は凶悪犯云々言われたが、まぁ、私は凶悪犯など慣れているのであるが。

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さて、そろそろ冥王星の目星もついたことだし、妹を止めるかと思っていれば金田一くんがひょこりと顔を出した。
「環さんって、きょうだいとかいるの?」
「どうして?」
「ちょっと気になって」
そう笑った彼に、わからないが答えかなぁと言っておく。よってきた彼らは首を傾げた。可愛いな。
「わからない?家族のことなのに?」
「はい、私は母親に育てられたので……」
そう言って目を伏せる。もう隠すこともないかと、口を開く。
「ただ、双子の片割れと妹がいる、とは母親に言われたことはあります」
「あったことは?」
「双方ともに、一度だけ。でも、恐らくは私がそうだと感じただけですが」
「……環先生はどうしてこちらに?」
リュウがそう言って私を見た。先生はホテル火災に巻き込まれたわけじゃないでしょう?と言われて仕舞えばお手上げである。そっと両手を挙げて口を開く。
「来なければ兄妹を殺すと脅されました」
「ーーえっ?」
「しかし殺された方々は私の兄妹ではありません。そもそも、誰が兄妹かなんて分かっています」
そう淡々と告げる。彼らは目を見開いて私を見た。私はそっと目を伏せる。
「ーーただ、言えるのは私はこの事件の真犯人を許すことはできないでしょうね」
ただの、普通の人であった彼女を唆した人間を許すことなどできない。
「……失礼、少し席を外させていただきます」
そう告げてマグカップを持ってそのまま部屋に向かった。

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わぁ、この事件を仕組んだ冥王星、悪意しかない。そう思いながら息を吐いて冷静になろうとする。ジゼルが私を呼んだのは高遠遙一とジゼルと私が兄妹だからとバラした。まあ、それはいい。予定調和だ。しかしながら、恐らく冥王星の誰かにとっては違う。彼女に私の昔を教え、怒りや復讐心なんかを煽らせるために作られた構図だろう。ただ無表情に腕を組み、ちらりと冥王星が化けているであろう人物を見る。しかしながら、ケルベロスではないだろうし……誰かの独断だろうか。
「貴女にはわかるでしょう!?」
はらはらと涙を流すジゼルに意識をそちらに向ける。
「唯一の母親を、事故と偽って殺された貴女には!」
その言葉になんと返すか考える。別に化けの皮を剥いでしまっても構わなかった。
「おやーージゼル、それを誰に?」
そっと目を細める。
「生憎、そのことを調べようとする人間なんて少ない上に今はもう情報すらも出てこないはずなのですが」
その言葉にまわりが凍りつく。彼女が戸惑ったような表情をむける。さてはて、そろそろ彼女の催眠がかかり始める頃ではなかろうか。カツンカツンと靴音を立てて彼女に近く。
「あと、もう一つ、君に尋ねるのならーーその情報と君の計画をサポートしたのは何処の誰でしょうか」
カチリ、と、恐らくはスイッチが入ったのだろう彼女はナイフを持つと私に突き刺す。痛い。
「近宮先生!」
「環さん!!」
私はそんな声を無視して彼女の肩を掴み、合言葉を告げる。その瞬間意識を失った彼女をとりあえず横に避けた。
「さて、と……本来ならば、素人探偵くん達がいらない知識を持って帰らないようにしたかったのですが」
そのまま手を傷口から避ける。そしてそのナイフを帝さんに投げた。すんでのところで避けた彼であるが、マスクが落ちるわけで。まぁ、畳み掛けて薔薇を飛ばしたが避けられた。ふーむ、まぁ、高遠遙一が隣で進行方向にナイフ投げた上に警察に紛れていた七海が捕まえたけど。
「なるほど、彼女が計画を立てたわけではなかったわけだ」
彼はそう淡々と告げた。さすが察しがいいと彼に言えば、彼はこちらを見下ろした。
「彼らにとってはーー商売敵である僕と君をまとめて始末できるチャンスなわけだから」
「おや?知ってたんです?」
「巧妙に細工してくれたようだから、探すのには時間がかかったけれどね。まさか君が探偵になってるとは思わなかったよ。どうして幕を下ろした?」
「決まってるじゃないですか。母親を殺した人物を社会的に殺したからですよ。彼らは舞台に立てません。そして、私もまた舞台に立つことはできません」
「社会的に殺した、か。復讐するなら手を貸そうかと思ったのに」
「片割れのマリオネットなんて嫌ですよ」
そう言って彼の背中を叩く。
「残念ながらーー私は貴方が求めるルーツなんてものは知りません。が、間違いなく、貴方は血をわけている」
そのまま七海の方に歩き出す。
「貴方のかけた謎は解きたくないので、まちがえてもこちらに来ないように」

==

「近宮」
画面はゲーム画面である。ガチャガチャ中だ。新しいキャラが来ないだろうか、と頬杖をついて画面を見つめる。
「近宮」
というか、今回私損だけじゃないか?と思わなくもない。傷えぐるだけ抉りやがって。これだから冥王星は。
「ナマエ!」
そう取り上げられたスマートフォンに恨みがましく七海を見る。
「報告書ならあげたでしょう?私は疲れてるんです、七海。スマートフォンを寄越しなさい」
「あぁ、報告書はよんだ……って、違う。高遠遙一が脱走したんだよ」
「でしょうね、彼、何処かの番犬さんと思考回路がほとんど一緒なのでそりゃあ脱走するでしょうよ。私と同じでネジか外れてるんですよ。唯一の普通の女の子が事件起こしちゃってまぁ血筋的に呪われてるんじゃないですか」
やれやれとしながらそう言えば、七海が黙った。というか眉間にシワをよせた彼がこちらを見下ろす。私はそれから目をそらして机の上をみる。
「ーーあぁ、聞かなかったことにしてください。理由はどうであれ、今の言葉は他者を傷つける」
そうしばらく考えーー悶々としても意味がないためにため息をついて立ち上がる。
「……気にしないでください。ちょっとお昼ご飯食べてきます」
ひらりと手を振って歩き出した。

==没!




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雑多 

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