2018/01/29
怪奇譚、回帰譚、皆起譚
・謎の怪奇譚?
・断片
・司書と文豪が閉じ込められた結果、設定が入り組んだ変な話ができたらしい
・本の中の世界、尚且つ誰が何に特化してるかバレてるので設定が変わってるし、入った時間軸が違う。
ナマエ:体が弱く病院から殆ど出れない高校生あたり。とある事故によって起きてる時間がすくない。でも一番怪奇譚に強い。
→佐藤さん:ナマエの幼馴染の年上の作家。若くして大学で教鞭をとる。ナマエが病院から出れなくなったのは自分のせいだと思ってる。とある事故の関係者。精神が安定に見えて不安定。
按司:大学生。とある事故によって利腕を失ってるが、本の中のことなのであんまり気にしてない。ただ、戦闘面でハンデがでることは気に入らない。オダサクとは親友。
→オダサクさん:按司の親友で大学生。按司や他二人と仲良くキャンパスライフを送りながら出口を探している。とある事故は知らない。
他はそんな変わらないかも。
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本の世界から出れないでどれくらい経っただろうか。何日、何週間、何年。日々を過ごしているのか、繰り返しているのかわからない。でも、おそらくは全てコレの布石だったのだろう。それを封じて仕舞えば確かに俺たちの勝ちで、逆に殺されて仕舞えばあの人の思惑通りなのだろう。ガチャリ、と音を立てて開いた扉に俺たちは――。
「あとはナマエ達だけやけど、お司書はんなんか知らんの?」
そう尋ねたオダサクさんに、按司は器用にハンバーガーを口だけで頬張りながら新聞を読む。新聞の一面にはこちらでは野球選手をしている正岡先生が顔をのぞかせていた。先日、「俺は引退するし後は頼んだぞ!」と発言して彼は行方知らずになっている。あオダサクさんがため息をついてハンバーガーを引っこ抜いて初めて按司が言葉を紡いだ。
「佐藤センセは大学の教授としているが、お前らが一番期待してる奴は病院でオネンネ中だ。まぁ、誰がどんなやつか分かってるなら一番にそいつを潰すだろ。俺の腕みたいにな」
そう言った按司はどこからともなくカードを取り出す。彼はたまにこうして『セッテイ』が書かれた髪を取り出すことがある。どんな荒技なんだい?と徳田先生が苦言を発したのはつい最近である。
「佐藤春夫――大学教授兼作家。苗字ナマエ――病院から出れない元高校生。あの人達は病院拠点だろうよ」
「病院は何処に?」
「近くのでかい病院だ。ただ、アイツの病室に入るには伝手がいる。今のところ入れるのは8人だけで、8人それぞれがちょっとした有名人、まぁアイツの会派だろうよ」
「なんとか会えないかな」
「佐藤せんせに頼むとか?」
「無理だ。なんせ、その佐藤せんせが拒絶する。なんというか、ナマエよりあの人の精神状態が危うい」
そう言って按司は頬杖をついた。徳田先生が眉間にシワを作る。
「何かあったの?」
「言ったろ。作者は一番有力な奴を潰すって。病室から出れないナマエだが、成人の男――佐藤先生みたいなガタイの男、というかアイツの会派がいりゃあ抱えて外に出れるし、森先生は医者だから付き添えば外出はオールクリアになるだろ。でも、なんらかの理由で佐藤先生が拒むようにしてみろ」
「……みんなそれに従うね。一応、転生された順じゃ彼が一番の古株だから」
「まぁ、それだけじゃないとは思うが。推論だが、アイツら全員俺たちより先に来て何かに巻き込まれた。で、何かから守るためにアイツの病室に人を寄せ付けてないんだ。そうだな、接触するなら」
按司がもう一度カードを取り出す。
「大手出版社で編集者してる菊池さんと高校生してる徳永あたりだろうよ」
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「よぅ、菊池さん」
そう声をかけてみる。彼が一人になったタイミングを見計らって、だ。振り返った菊池さんは目を見開いた。
「按司、お前、」
「あの事件ぶりだな」
「……あぁ、そうだな」
そうゆるく目を伏せた彼はタバコを加えると火をつける。
「何の用だ?」
「司書を全員見つけたモンで」
「そうか」
「苗字は」
「まだはっきりと目が覚めない」
そう紫煙を見つめた菊池さんに俺は何も言わない。
――あの日。
棋院たちがいないから、俺たちだけで解決できると踏んだあの日。正しい順番を踏んだはずだった。なのに。いや、正しい順番を踏んだからこそ、一人の犠牲で『出口のない本』は守られた。
「たまに、目を覚ますようなんだがなぁ、俺が会いに行くタイミングが合わないんだよ。あぁでもこの前は正岡先生とプリン食べてるのはみたな」
「まだ自我はあるか?」
「嫌な質問だな」
「でも、事実だろ。精神が死ななきゃいいが」
「まだ死んでない。が、俺は、長く持つとも思わない」
「何かあったのか?」
「喋れないんだ。いや、恐らくは俺たちが誰であるかもわかっていないのもあるんだろう。だから、お前達があっても無駄だと思うぞ」
「が、ここから出るにはアイツの力がいる」
「また失敗する可能性は?」
「さぁな。あれはあれで成功だとは思うが。一人を犠牲に世界は救えた」
「仮初めの世界だけどな」
「だが、ここが壊れれば俺たちは死ぬぞ。どんな悪意でこの世界が作られたかは知らないが」
「……わかった、出来るだけ協力する。が、」
彼はタバコを灰皿に押し付けた。
「佐藤を動かすのは無理だと思え。最悪のパターンが今チラチラ見えてるからな」
「最悪のパターン?」
「狂った佐藤が、ナマエを殺す事だ。俺たちはそれを止めることで忙しい」
「……不定の狂気か?あわさなきゃいいだろ」
「あわさなきゃ佐藤が死ぬからな、難しいんだ。インクがないから治りも遅い。俺達は佐藤にナマエを殺させたくないし、アイツを自殺に追い込む事もしたくない」
彼は懐から名刺を取り出す。何かあればかけてくれ、と言った彼は喫煙所を後にした。
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「クリア難易度あげてんじゃねぇよ」
そうイライラとしたような按司に私たちは首をかしげる。今日の授業サボってどこに言ってたん?と聞いたオダサクさんに按司は名刺を置いた。
「寛の名刺じゃないか」
「昨日会って来た。協力はするが、今は手一杯らしい」
「仕事で?」
「佐藤センセとナマエが思ったよりヤバい」
イライラとした按司がタバコに火をつける。
「春夫先生とナマエが?」
「不定の狂気発祥しやがった」
「不定の狂気?この前遊んだゲームで出たね」
「俺も思ったが、リアルなんだよ、芥川せんせ。ナマエは声は出せねぇわ誰が誰かわかってねぇわ偶にしか目を覚まさなねぇわって状態らしいぞ。佐藤センセは太宰病発祥してる」
「俺病ってなんだよ」
「心中したい病兼自殺したい病。ナマエが夢で苦しんでるからの、殺したらコイツは救われるのでは、でもナマエが死んだら俺も死ぬ、みたいな」
「――何か、あったの?」
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