2019/10/26

カゲデソウロウ4

「熱を出してたって聞いたけど」
なんとなしに里の中を歩いていれば助けた子供や大人たちに声をかけられる。それに笑いながら相槌を打って交わし、人が少ないその場所でテキストをめくる。またもややってきたその人は私を見下ろしてそう告げた。
「熱は下がったので」
「病み上がりに出歩くものではないと思うよ」
それもそうだ。同居人であるマゴイチがせっせと武器を部屋に所狭しと並べていなければ私は家にこもっていただろう。私の部屋使っていいよ。マジか、サンキュー。そんなやりとりなのはもう随分と長い付き合いだからだが。
「同居人が忍具の手入れをしてたので」
「同居人?」
「マゴイチです。雑賀マゴイチ。と言っても貴方は知らないかも知れませんが」
「雑賀マゴイチ……あぁ本選で綺麗な戦術を練ってたもう一人の子か」
あとの一人は恐らくシカマルくんだろう。あまり関わったことはない。まぁ、私やマゴイチが一歩引いた立場にいたからであるが。
「君、笛でこの葉を操ってたろ。どうやった?」
「さぁ?教えてもらったことしかできないので」
「木を操れるのかい?」
「いいえ、木の葉や花びらぐらいでしょうか。元は目眩しの術だったそうですけど」
そう言いつつこの世界には木遁があるんだろうか、と思う。……血継限界っぽいな。私は氷遁の血継限界にしといたとはマゴイチは部屋の氷を溶かす私に投げかけた言葉だ。彼は私の返答に一息ついた。そして彼はひょいっと私の持っていたテキストを手に取った。
「あ、ちょっと」
「今度返すよ」
そう言って消えた彼にため息をつく。
ーーまぁその今度は案外近かったのだけど。

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右の二の腕でなく、左の二の腕に入った刺青。それが意味するのは暗部に入ったということだ。ナマエとしてではなく、カゲマルとして。そして私の教育係になったのがテキストを奪っていったテンゾウと呼ばれる男性だった。チャクラ切れを心配されたり当初は怒られたが数度こなしてしまえば微妙な顔で納得されたのだけど。まぁ、どこからかーー恐らくバンサイさん達からーー話を聞いたらしい。ちなみにマゴイチはマゴイチで中忍になり、ヤサカくんは戦わないまま終わった為下忍のまま、私も一応は中忍扱い、らしい。らしいというのは一緒に住むマゴイチから聞いた話であり私が確かめた話じゃないからだ。あれから逆に先生にも会っていない。読んでいたテキストもこの国や周りの国の情勢についてのものに変わってしまった。まぁ、あれだ。この国についてよく知らなければこの仕事もできやしない。
「でも意外だったな」
「なにがですか?」
「嫌がるかと思った」
「孤児に拒否権なんてないでしょうに」
「まぁ、そうなんだけど」
そう言った彼もまた何か思うところがあるんだろう。
「先生の夢はいいの?」
「安心してください。この仕事から解放されたらなります。仮面ばかりの年上に囲まれより年下に囲まれた方が癒されるので」
「そりゃあそうだ」
ぽん、と頭に手を置いた彼に私が何もしないでいると周りが目を瞬いたのだが。

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まぁ、子供の姿をしてるとこっちに敵はきますよね。そう思って隊長ことテンゾウと呼ばれる人物と組むときは大人の姿になったりするのだが、人数が増えた状態でそれをすると結構反感を買う。常に男に化けてるのを知られていないからもあるだろう。チャクラを無駄に云々と言われる。が、今更なのであるけれど、元の世界の忍者とこちらの忍術は違うと思われる。チャクラを扱った忍術もできる。アカデミー時代はセーブしていたので最近であるが本格的に覚え始めたのだけど、超楽しい。チャクラのコントロールはアカデミー時代に極めた。じゃなきゃわざと失敗もできない。閑話休題。基本元の世界の忍術はノーモーション忍術であるし、疲れるか否かと言われたらノーだ。慣れているからもあるが。それくらいは余裕なのだ。まぁ、しかし、最初に述べたように子供はよく狙われる。追い付きやすく、発達途中の体も心もまわりほどだとおもわれるからだろうか。なので、陽動、敵の引付役にはもってこいだそうだ。私も偶に利用する。この間テンゾウさんともう一人の暗部と釣り野伏したらめちゃくちゃ釣れてしまった。なぜこんなにつらつらと考えているかといえばテンゾウさんがいない状態で任務に入ったら話を聞いていたからか捨て駒的な役になったからだ。死ぬつもりはちっともないため影に溶けて片っ端から殺したが。逆にそれがいけなかったのか、傷一つ負わなかった私に化け物と誰かが告げた。化け物で結構。しかし、そこにいたテンゾウさんが「そんなことを言わない」と注意した。
「カゲマルは言う通りにしただけだろう」
「いいよ、テンゾウさん、僕はまだ大丈夫だ」
「……カゲマル、今日と明日は休みだ。たまには遊んでおいで」
そう促したテンゾウさんに、ありがとうございます、と一礼して家に帰った。マゴイチにシャワー室に突っ込まれたけど。

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ナルトくんが五代目火影を連れてきた。女の人である。どうやら医療忍術がすごい上に怪力らしい。医療忍術に興味があるのでなんとなしに眺めたが使えたら便利そうなので使いたいところである。医療忍者が治療中ジッと見るのはそれだ。聞いたら教えてくれるのでなんとなく理解したような。偶にこういうことですかと聞けば頷かれて感動された。暗部やめてこちらにきませんかとも言われた。この前テンゾウさんが怪我をしたので試しにやったら「いつのまに」とつぶやかれてしまった。
「理論だけ聞いて貴方で試しました」
「隊長で実験する奴がいるか?」
「ははは」
「治ったからいいものの……」
「治ってるんですか」
「治ってる」
「ふーん、なるほど」
「バンサイさんに教わったわけじゃないんだね」
「先生ですか?」
「あの人元医療忍者って聞いてない?」
「聞いてません。今度教えてもらおう」
というのがその時の会話だ。まぁ私の医療忍術は置いておいて、私が暗部の任務から帰ってくると五代目に呼ばれた。隊長と目を合わせてとりあえず隊長とそちらに向かう。そこにいた五代目は私を見て「お前がカゲマルだな」と告げる。
「はい、いかにも」
「ナルトやシカマル、マゴイチたちの同期だと聞いた」
「……」
「こら、返事。五代目に警戒しない」
そう小さな声で怒られたので返事をする。
「はい。……彼らに何かあったのですか」
私の問いかけに五代目が答える。うちはくんが里を抜けたらしい。そしてそれをナルトくんやマゴイチ達が追ってるんだそうだ。医療忍者と上忍をおわすからお前もいけとのことである。
「それば暗部としてですか」
「いや、ナルト達の同期であるお前としてだ」
ならばと私は変化を解いて元に戻る。あとついでに服もいつもの服にかえる。仮面をそのままテンゾウさんに渡しておいた。
「ではナマエとして行ってきますので、テンゾウさんはカゲマルを預かっててください。集合場所はどこですか」
「……大門だ」
その言葉に私はそのまま部屋を後にした。

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大門にいけば、ヤサカくんと先生、数人の人がいた。いきなり現れた私に先生以外は驚いたようである。
「ナマエだー!久しぶり!」
「ヤサカくん久しぶり」
そう彼の頭をかいぐりかいぐり撫でる。癒しだ。そのまま先生を見上げてお久しぶりですと言えば「元気そうだな」と言われた。
「話は聞いたな」
「大まかなことは。道すがら細かいことお願いします」
「阿呆お前は先頭で俺が殿だ」
「先輩、私が説明します」
そう言ったのはよくみる医療忍者の人だった。

出会った誰もが重傷であるのをみると、マゴイチも危ういだろう、と思ったら足が折れて動けないだけでピンピンしていた。頭を殴った私は悪くない。とりあえず見様見真似で覚えた術で腕の傷は治しておく。
「……ナマエ、どこで覚えた?」
「聞いた理論と見様見真似で」
「は?俺は実験体かよ」
「その前からしてる人はピンピンしてるから大丈夫大丈夫。先生、そのまま連れ帰ればいいんです?」
「……あぁ、ヤサカ達に合流すれば紙船に乗せてもらえるだろうが……いや、あの状態じゃ難しいだろうな」
「それとも私がこの先に走りましょうか?」
「いいや俺がいく。他の救援と落ち合う話になっているからな」
「じゃあわかりました」
そう言って大人の姿に変化する。マゴイチが唖然として私を見たのは女のままだからだろう。そしてそのまま担いで先生に片手をあげた。
「私が戻るまでご無事で」
「……軽いな」
それを返答ととり消える。マゴイチが「カゲマルじゃねぇの!?」と暴れたが、カゲマルは所属のためにダメになってしまったと言えば理解したらしい。そのまま私が医療忍者達と合流すれば私の姿に驚かれたが紙船にマゴイチを投げ込み元の姿に戻れば安心された。シカマルくん(今更だがあまり関わったことがない気がする)が私をみた。
「苗字じゃねぇか。どこにいたんだよ」
「別の方と任務に。帰ってそのままここにきたんです」
私の言葉に彼は何とも言えない顔をした。ぐしゃりと頭を撫でる。は?みたいな顔をした彼に「ごめんなさい」と謝った。
「もう少し早く帰ってきていれば、シカマルくんのお手伝いができたんですけども」
そう言って撫でてから手を離す。そっぽを剥かれてしまったが。
「……しゃーねーだろ、任務なら」
ふむ、年相応で可愛いらしい。


大門についたあと私はぐるりと辺りを見渡す。テンゾウさんがいるかと思えばそうでもない。五代目のそばだろうか。私はシズネさんやシカマルくんに一言断り、マゴイチに「腕落とさない程度に養生しなよ」と言葉を告げ、頑張ったヤサカくんの頭をぐしゃぐしゃ撫でるついでにカカシ先生のそばにいたバンサイ先生に今度医療忍術教えてくださいね、と告げて消える。そのまま五代目のいる建物へ向かえばやはりテンゾウさんがいた。報告はシカマルくんとバンサイ先生だろうから近づけば私の些細な気配でわかるようになったテンゾウさんが口を開く。
「ナマエ」
「なんだかテンゾウさんにその名前で呼ばれるとむず痒いです」
そう下に降りて仮面をつけてカゲマルに変わる。服も変えておいた。
「任務は終わったのか?」
「はい、といってもナルトくん達を追いかけるだけだったんですが。報告は先生とシカマルくんがするでしょうし、先に帰ってきました」
私の言葉に彼はクシャクシャと撫でる。最近の癖だな、この人の。嫌ではないので大人しくしておくけれど。



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nrt/brt 

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