2019/11/08

ハルアカツキニテ3



「先生、先生になるには忍者にならなきゃいけないの」
職員室でそう聞いてみる。シノ先生は「え」とこちらを見た。近くにいたイルカ先生もまたこちらをみる。
「忍者になりたくないのか?てっきりなりたいんだと思ったが」
「悩んでるんです。学校の先生にもなりたいし、バンサイ先生みたいな医療忍術もつかってみたい。でも、それって忍者にならないとできないこと?」
そう言って問いかけてみる。シノ先生は言葉を止めたがイルカ先生は首を左右に振った。
「いや、今の時代必ず忍者にならなければできないことではないよ。先代はなんて?」
「自分で選べっていうの。決めてくれた方が嬉しいのに」
「そうか。迷うなぁ」
イルカ先生はそう言って、じっくり考えたらいいさ、と告げた。
「な、シノ先生」
「あぁ、はたけがやりたいようにすればいい。先生も協力しよう」
その言葉に頷いておく。ありがとうございます、と頭を下げてそのまま職員室を出た。うーん、困ったなぁ。

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「ナマエとボルトってどっちが強いの?」
「……お父さんと七代目様だと七代目じゃないかなぁ」
いのじんくんに問いかけられた内容をワザとずれた回答をする。まぁいつかは出ると思っていた内容である。経験も積んだ今絶対にナルトくんの方だろう。
「ちげぇよ、お前とボルトだ。親の話なんざ一回もしてねぇだろうが」
なんやかんやマゴイチとも仲がいいイワベエくんが私に問いかけた。ボルトくんじゃない?とはっきり言おうとしたらサラダちゃんに口を塞がれた。これは面倒くさい雰囲気である。この前男女対抗で校舎を壊し、解決したところじゃなかったんだろうか。ちなみに私もマゴイチも周りの応援をしていた。やられてる人にいちいち反応しない!とはサラダちゃんの言葉である。マゴイチは女の子をすれ違いざまに助けていたので一部からの好感度は爆上がりである。
「なによ、ナマエに介抱されてたくせに」
「だからだよ、コイツ周りを介抱するだけであん時参加してなかったようなもんじゃねぇか」
イワベエくんの言葉にサラダちゃんの手をのけて口を開く。
「いたいの苦手だから」
「ならなんでこの学科にいるんだよ」
そりゃそうだ。いたいのが嫌ならここにいないはずである。納得していれば、納得しない!とサラダちゃんに怒られた。いつのまにかやる気になっているボルトくんが「手加減はしてやるってばよ!」と意気込んでいる。やめてほしい。マゴイチがヒラヒラと手を振った。
「ボルト、やめとけやめとけ」
「なんだ、シカダイもだけどマゴイチも結構過保護だよね」
「阿呆、ボルトが怪我するから止めてんだ」
「なんで俺が負ける前提なんだってばさ!」
「無理無理」
「マゴ、焚きつけるのはやめてよ……私いたいのは苦手だからやりたくないよ」
首を左右に振っておく。
「否定はしないんだ」
「私が強いかどうかはともかく、ボルトくんの強さと私の強さは方向が違うと思う」
「強さは強さじゃないの?」
首を傾げた周りに、じゃあ、と私は口を開く。
「シカダイくんの強さとボルトくんの強さは同じ方向を向いてると思う?」
「強さに方向もクソもないってばさ!」
その言葉にうーんと頭を抱える。難しい話だっただろうか。そもそも質問のいとをわかってもらえていない気がする。
「困ったなぁ」
頬をかいて息を吐く。まぁ模擬戦に行く流れになって引きずられるはめになるのだが。


ひらひらとボルトくんの攻撃をよける。霧隠の術をしてもいいんだけどやる気はない。トンっと大きく飛んで柱の上に立つ。霧隠に見せた幻術を使うかなぁ、と幻術の印を組み霧隠のポーズをする。見抜いたマゴイチがため息をついた。きっと深い霧が立ち込めているようにしか見えないだろう。現に周りやボルトくんはザワザワしている。私は危なくないようにマゴイチの隣に並んだ。
「あんまり焚きつけないでよ」
「わりぃわりぃ。でもいい機会だったろ」
「うーん」
そう頬杖をつく。しばらく眺めていれば、卑怯だってばよ!と言われたので仕方ないかと術を解きにいく。すっと彼本体の近くに立って腕を捻りあげるついでに幻術をとく。
「私の勝ちでいい?」
首を傾げてそういえば彼はこちらをみた。まぁ勝負は決まったようなものだから手を離して、教室に戻ろうよ、と促してみる。
「隠れるなんて卑怯だってばさ!」
「アホ。忍者は隠れるもんだろうが。つーか、ナマエは早々に俺の隣にいたぞ」
「はぁ!?」
「あ、私場外出ちゃってたね。私の負けかぁ」
「なに言って」
「お前が見てたのは全部幻だよ。確かに霧隠れの術と同じポーズは取ったが組んだ印が全然違うかったろ。お前はなにもない場所で一人でいもしない相手と戦ってたわけだ」
「そう、あれが幻術だな」
ウンウンと頷いたのは木ノ葉丸さんとシノ先生である。きっちりと体術幻術忍術の三つを説明した彼らに授業の時間だもんなぁと思う。後で謝っておこう。木の葉丸先生はぽんと肩を叩いて口を開く。
「ま、お前ははたけの高度な幻術に引っかかっちまったってわけだ」
果たしてあの術は高度なんだろうか。こてん、と首を傾げた。最近先代との修行が楽しすぎてちょっとおかしくなってる気がする。ボルトくんが拗ねたように口を開く。
「幻術とか卑怯だろ」
「……卑怯なのかな」
それは、違うと思う。幻術は一種のツールなのだ。卑怯もクソもない。
「幻術は怪我人をだすこともなく、穏便にことを進められる手段の一つだよ。私は戦うことだけが忍者の仕事じゃないと思うし、どんなことでも基本的に戦闘は回避できるなら回避するべきだって思う」
まぁ回避できない時は仕方ないから腹を括るが、それは昔も今も変わらない。木の葉丸さんが「穏便……」と複雑そうな顔をしてるのは幻術で人を殺したりできると知ってるからだろう。でも、と口を開く。
「ボルトくんの強さと私の強さの方向は違うから、ボルトくんはそのままでいいとおもう。後衛と前衛、近距離と長距離、主戦力に縁の下の力持ち、強さにも色々あるんだから。ね、先生、木ノ葉丸さん」
そう伺うように告げる。頭をガシガシかいたボルトくんは「次は勝つ!」と声を上げた。それで良いと思うのだ。ぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた木ノ葉丸さんは私を見下ろす。
「はたけは将来が楽しみだな」
「忍者になるからわかりませんけどね」
苦笑いしながらいえば、ピシリと周りは動きを止めた。木ノ葉丸さんの視線にシノ先生は頷いた。
「まだ決めてないんだな」
「もうちょっと考え中です」

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「忍者にならないのか」
そう尋ねたシカダイくんを見上げる。火影岩の上からぼんやりと景色を見ていたのだが、どうやらシカダイくんは雷車から飛び降りてきたらしい。そういう乗り方もあるのかと思いながら「迷い中」と言ってまた里を見下ろす。
「なりたいもののために忍者にならなきゃいけないのかがわかんないから」
「なりたいもの?」
シカダイくんは隣に座った。
「アカデミーの先生か、お医者さんになろうかなって。バンサイ先生が、医療忍術?使ってるのを見て、できるようになりたいなって。でも、その為に忍者にならなきゃいけないのかはわからなくって。先生に聞いたらならなくてもできるって言われちゃった」
「先代はなんて?」
「自分で選べって。シノ先生やイルカ校長先生もそういうんだ。なれって言われたらなるのになぁ。もう一人面倒見てくれてる人はなってほしくなそう。七代目には夢を叶えろっていわれちゃった。困っちゃうよ」
眉尻を下げてシカダイくんをみる。彼はため息をついた。
「なんか自由なのも自由なので面倒くせぇな。俺なんか一族があるから忍者になるのは決定事項だし……」
彼はそう言ってワンクッションおいて私をみる。
「あーあ、ナマエが忍者になるように説得しようと思ったのに、忍以上に向いてる職業言ってこられたらなんもいえねぇ」
「……シカダイくんは私に忍者になってほしい?」
そう首を傾げれば彼は数秒黙って目を逸らしながら頭をかいた。
「……どっちかっていうとな」
「そっか」
私はそう言って里をみる。忍者にもう一度なってみようか。この子たちをまもるために。

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nrt/brt 

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