2019/11/09

ハルアカツキニテ4


転校してきたミツキくんが大蛇丸とそっくりなのはまぁうんそっとしておく。大工さんが暴れたのはちょっといただけない、が、違和感がするので様子見。チョウチョウちゃんあらため委員長のストーカー事件は青春だなだと思いながら若干加わった。シカダイくん曰く最近こう言った事件がよくあって、そのどれもがアカデミーの近くで起こっているらしい。ボルトくんが何か見えてるとも。ナマエも気をつけとけよ、と注意されたのはつい先日だ。
「おいかけてきてる」
屋根の上をビュンビュンと走っていればついてくるのは忍者ーーではなく普通の人だ。行きつけの服屋さんの店員さんである。何かに怒っているのか憤慨している彼は終えるはずもないはずなのに私の後ろをついてきていた。距離が縮まっているのをみると、スピードがだんだん早くなるのがわかる。カカシ先生、こと、お父さんは七代目の手伝いに駆り出されていた。引退したんだけどな、とは朝ぼやいていた言葉だ。逃げ切れるかな、とおもっていれば、はた、と目があった。サイくん、改め、いのじんくんの父親であるサイさんである。方向転換をしてそちらに向かい、サイさんの後ろに行く。どうやらいのじんくんの修行中だったらしい。いのじんくんが私をみて首を傾げた。
「ナマエ?」
「お店の人が追いかけてくるから」
「ナマエのことだし、何かしたんじゃないの」
「前通っただけだよ。それにあの人、あんなことできる人じゃないし、ろりこん?っていうのでもないと思う」
そう言ってみたが、追いかけてきた相手を見る限りそんな感じの人だったのかもしれない。ちょっといただけないのでサイさんの後ろに隠れる。まぁ隠れるならこっちにとかぎゃあぎゃ言われたけど。
「普段あんな人じゃないのに」
私の言葉にサイさんは眉間にシワをよせた。こっちに向かってきた相手を簡単に捻り上げたサイさんはそのまま気絶させる。
「何処から追われてたんだい?」
「大通りでお花屋さんに行こうとしたんです。そうしたら、追いかけてきて。この人屋根を走れないから屋根に逃げたのに」
「元忍者とか?」
「そうだったのかなぁ」
「というか、ナマエ、幻術でどうにかできたんじゃないの」
いのじんくんの問いはもっともである。いつも走って逃げるので浮かばなかった。
「お父さんとシカマルさんにこうなったら近くの大人に助けを求めなさいって言われたよ?でも次からそうするね」
そんな会話をしていたらサイさんは分身をつくりあげた。その分身は追いかけてきた人を捕まえて何処かに行った。
「……これでもう大丈夫」
「ありがとうございます」
「いつもご贔屓にしてもらってるお礼だよ」
「それでもありがとうございました」
そうお礼を言ってまた近くの屋根に飛び上がる。生ける花を買いにいかねば。最近のマイブームである。お小遣いの範囲でだけど。帰ってきたヤマトさんが喜ぶのでついつい生けてしまう。
「じゃあ、いのじんくんもごめんね、修行中に」
それだけ言ってまた屋根を飛び越える。いのさんのところで花を数輪買ってミッション達成である。

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タロちゃんジロちゃんとは私が契約したワンコである。コロコロと遊ぶ二匹にマゴイチがシーサーだとか狛犬とかいうが決してそんなワンコではない。たまにタロちゃんジロちゃんをだそうとしてカカシ先生の八忍犬がくるのはご愛嬌だ。私自身もなんででてくるかわかっていない。カカシ先生もわかっていない。そんな話を聞いたバンサイ先生が「カゲマルは口寄せしてなかったな」と告げた。縁側でバンサイ先生とカカシ先生、マゴイチとおしゃべり中だ。偶にガイ先生も加わったり、ヤマトさんがいたりもする。通称(と言っても私とマゴイチの間の呼称)パパ友会だ。仲が良くて何よりである。まぁ私はバンサイ先生に医療忍術教えてもらえるからいいし、なんやかんやマゴイチも教わっている。今回のパパ友会はガイ先生は診察のため、ヤマトさんはたまーに里にしか帰ってこない為今回は不参加だ。ヤマトさんは本当に滅多に帰ってこない。まぁ、帰ってきても私の保護者としてつきっきりであるしカカシ先生の近況をきいて複雑そうにしたりと意外と表情がコロコロ変わって可愛い。このまえ、うっかりと本人の前でヤマトさん可愛いと言ってしまった。もう四十路の成人男性にいう言葉ではないとは言われたが、慌てて付け足したニャンコのお目みたいで、という言葉に彼はまた動きを止めたのだけど。そういや昔の私も彼に向かって言った。
まぁ、私がヤマトさんの感情を揺すってしまったことは、閑話休題として。カゲマルは確かに口寄せの類をしなかったし、私自身口寄せの類はしなかったなと思う。契約するにしても蛙かと思ってたが、そんなことはなかった。いや元の世界では蛙を出してた気がするな。虫も爬虫類も嫌いそうなキャラを作っているが、爬虫類も虫も大丈夫なタイプだ。最近は某アニメーション映画のお姫様キャラを心掛けている。……普段とは百八十度違うけどもうこれはどうしようもない。カゲマルと昔の私と今の私で分けるしかない。だから忍犬と契約してるのも今の私であり他ではないのだ。
そういえば、口寄せで昔の私その部分だけとかカゲマルを取り出すとかできなかろうか。それだったら幻術での方がいいだろうか。幻術ーー精神世界だけで会える、とか、口寄せ印で自分のその部分だけを引っ張ってくるとか。ママ友トークというかパパ友トークを繰り広げる二人をよそに、自由帳として買ってもらった巻物に墨で文字を書いていく。マゴイチが覗き込んでいるが理解していないのだろう。顔をしかめている。五分もすれば作り上げたその巻物に、マゴイチとマゴイチの相棒の三本足の烏が首を傾げた。
「なんだこれ。なんかの術式か?」
「うん、浮かんだ」
そう言って指先をちょっと切ればそこだけバンサイ先生に見られていたらしい。あまりいい顔をされなかった。だが制止される前に試すに限る。
「えい!」
そう口寄せをする。口寄せの模様が地面に走るのは通常だが、私の体にも走ったのはちょっといただけない。ぽん、という音がして何かが現れる。影分身に近い。縮む前の私とカゲマルと名乗っていた男に化けてる私である。見つめあった私達に、先に口を開いたのはカゲマルだった。
「君はまた変な術式を無意識に作り上げたな」
やれやれという風に彼は腕を組む。もう一人の私は私に合わせて屈むとふにふにと私のほっぺを触った。やめろ私。小さい子のほっぺは気持ちいいけども。
「カゲマルの知識のせいでしょ、これは」
「いやボクのせいにされてもな。突拍子もないことを思いつかさせたのはキミじゃないか?」
なにやら言い合っている二人をよそに、私はそのままマゴイチと先生達をみる。三人とも呆気にとられている。しかしながら、バンサイ先生とカカシ先生が飛んできて私の前にたった。
「ナマエとカゲマル?どういうことだ?」
「お久しぶり、であってまーー」
「なんだか老けましたねふーー」
二人とも何かいう前に、ぽん!という音がして消えた。ワザとだな。ワザと私がチャクラ切れ起こしたように消えたな。私が考えそうなことだ。ぺたん、と座った私は巻物をみる。マゴイチとカラスが凝視してくる。カカシ先生とバンサイ先生は振り向いて私をみた。
「ナマエ、なにしたの?」
「ひらめいたから作ったらああなったよ。あー、びっくりした」
そう言いながら消えた先をみる。カカシ先生とバンサイ先生はしゃがんで巻物をみた。
「これ、ナマエが作ったの?」
「うん、さっきひらめいた。タロちゃんジロちゃんがくるみたいに、私じゃない私がきてくれるかなって。そうしたらね、あの二人がきたんです」
「ナマエもう一回できる?」
その問いに頷いてもう一度口寄せをする。体にまた術式が走って現れたのはカゲマルだけだ。
「今度は一人だけだ」
「キミのチャクラ量とか彼女の用事とか色々あるよ」
「用事ってなに」
「ボクら二人が抜けたらキミのカウンター装置がなくなるってことだからね。小さい体でどうにかなるとでも思ってるのかい?」
ただでさえ変化を使用して男になったりもしないのだ。確かにいえてるため口を噤む。
「カゲマル?」
「先程振りです、先生方」
そう彼は微笑んだ。カカシ先生が眉間にシワをよせた。
「……どういうことだ?」
「言ったでしょう。この子が。私じゃない私を取り出したかったと。この子はその言葉の通り、ボクと彼女を切り分ける術式をつくり、口寄せという形式で表に出した。そうだな、わかりやすくいうと……」
カゲマルはそう言って腕を組む。
「この子の中にはボクと彼女とこの子の人格がある」
カゲマルの言葉にバンサイさんが口を開く。
「……多重人格障害か」
「とも言いますね。元々僕らの時点で分けてはいたけど、あの空間から脱出するときの弊害で体が縮み記憶がなくなってーー真っ白なこの子の人格ができた。僕らは基本この子には関与しない気でいました。この子の体がピンチの時以外はね」
「だから、カウンター装置っていったのか」
「えぇ、まぁ」
「マゴイチは?」
「彼も似たようなものですが、彼はボクらより人格が別れてないんじゃないですか」
カゲマルはそういって私をチラ見した。これでいいだろう、という確認であるため私も頷く。しかしながら先生に似てるなカゲマル……いや私なんだけど。ぽん、と音を立ててカゲマルは消える。今度こそ疲れたので私は座り込んだ。結構チャクラをくうことをみるに、コスパがかなり悪い。
「あらら、無理させちゃったか」
「うーん、あんまり好きじゃないよ」
そう言ってそのまま庭の芝生に寝転ぶ。汚れるよ、と言いながら覗き込んだカカシ先生に笑う。
「私じゃない私に会えて嬉しかった?」
彼は「そうだね」と頷く。
「でも、俺の娘は今のナマエだけだから、今のナマエでも嬉しいよ」
そう優しく細められた目にこの人は優しい人だと私はまた笑ったのだけど。
「私も嬉しいよ」

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「んー、わたしもお父さんと血が繋がってるわけじゃないよ」
そう言いつつ委員長の怪我に包帯を巻く。えっ、と息を止めた彼女に私は口を開く。
「私、シカダイくんと仲いいでしょ?昔ちょっとだけ一緒に住んでたんだ」
「きょうだいなの?」
「ううん、私、マゴイチと墓地で倒れていたのを七代目とシカマルさんに拾われてね、しばらく奈良一家に厄介になってたの。そのあと私は六代目に、マゴイチは別の上忍の人に引き取られたんだ」
「本当のお父さんやお母さんは?」
「わかんない。覚えてないんだ、昔のこと」
はい、包帯交換終わり、と手を離す。看護師さんが私の子と凝視したけど無視だ。元気出してね、と告げてから看護師さんと病室を後にする。そのあと会ったバンサイ先生にバトンタッチされたけど。どうやら今日は病院勤務らしい。職場体験である。通常スリーマンセルで組むのだが、私とマゴイチが余ってしまい二人で実習中だ。マゴイチはリハビリのほうに回され私は看護師さんやお医者さんに付き添っている。まぁ、マゴイチはバンサイ先生の養子なのでこの病院には普段から出入りしているようである。バンサイ先生はカルテを見て私を見下ろした。
「ちょうどいいな。少し実践を取り入れていくか」
ということは医療忍術か。なるほど。
「やったー!」
「こら、遊びじゃないぞ」
カルテで軽く頭を叩かれた。そういう些細な仕草でモテるんだよこの人は。まぁ、でも事件の被害者かわからないけど誰かがやってきてバンサイ先生は患者さんを置いてそちらに向かってしまった。呼び出し内容からしてそちらの方が緊急らしいから仕方ないだろう。私はとりあえずバンサイ先生に習ったことを思いながら怪我を治すことにした。1人終えたら看護師さんが次の人を呼んだので二度見した私は悪くない。看護師さんの1人がカルテに代わりに書き込み、簡単な切り傷以外は他の先生に回してくれているし私の処置後一応看護師さんと非番の先生が傷のチェックをしてくれているらしい。これは量を熟せということだな。

「あ、いたいた、ナマエ、帰るよ」
顔を覗かせたのはカカシ先生である。目をパチクリとまたたけば、彼は時計を指差した。なるほど七時。体験の時間はとっくに過ぎている。最後まで傷のチェックをしてくれていた先生も「もうこんな時間だったのか」と時計を見た。
「処置はバッチリだったってバンサイさんに伝えておくよ。そして是非医療忍者になってほしいね」
「先生も医療忍者なんですか?」
「まぁ、一応ね。こなした量が量だからゆっくりやすんで」
その言葉に今日はありがとうございましたと頭を下げカカシ先生に並ぶ。
「お迎え、ありがとうございます」
「最近どうも物騒だからね。ナマエなら大丈夫だとは思うけど……なーに嬉しそうにしてるの」
ふに、と頬を引っ張られる。一緒に帰れるのが嬉しいのだと言えば彼は目を瞬いて私をみた。

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「ボルトくん達が行方不明?」
「あぁ、なんかしらねぇか?」
「見てないなぁ……」
そう少し考える。カカシ先生は留守である。ちょっとまってて、とシカダイくんに告げ、書き置きだけ残せばいいかと書き置きをのこす。きちんとした服に着替えて「お待たせ」と言えばいのじんくんが「手伝ってくれるんだ」と私をみた。巻物を持って「口寄せの術!」と言えばタロちゃんジロちゃん、ついでに八忍犬の中から数匹出てきてくれた。ありがたい。
「忍犬、か?」
「うん、タロちゃんジロちゃんは私の忍犬、ウーヘイくんとウルシくんとアキノくんはお父さんの忍犬」
「どれがどれなの」
「なんだ、ナマエ、夜遊びか?カカシが泣くぞ」
「書き置きしたから大丈夫だよ。それにボルトくんが行方不明だから、ボルトくんを探してほしいの」
「おいおいあったことない奴の臭いは流石に無理だぜ」
そりゃそうだ。
「あ、まって、ボルトに貸してたソフトならある」
そう言って懐からソフトを出したいのじんくんに、お前の臭いついてるだろ、と告げた。ふんふんとソフトといのじんくんの匂いを嗅いだ彼らは、宙を嗅いだ。こっちと走り出したけど、まぁ、不自然な場所で途切れるんだな、これが。

==ちょっと変えたいから没で!
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 Comment(1)
nrt/brt 

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