2019/11/28
あの子ガラルの続き
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ガラル地方でのダンデの人気は凄い。ちょっと街を歩くだけでやれサインだのやれポーズだの、写真だのと人だかりができるのだ。それにダンデも人がいいと理由もある。そういったものにすぐ対応して見せるのだから。人に囲まれているダンデとリザードンをみて、ソニアは呆れたような表情を浮かべた。
「まったく……」
「凄い人気だね」
そういってメルは道中でかったソフトクリームを食べる。同じく人の姿をしたラティアスがメルの真似をしてソフトクリームを食べた。冷たさに一度驚いたが、すぐに甘いものだと理解したらしい。美味しそうにソフトクリームを食べるものだから、ピカチュウとフライゴンが羨ましそうにみている。メルは自分が食べていたものを二匹に分け与えた。
「年中あんな感じなのよ」
「ずっと無敗なんでしょう?そりゃあああなるよ」
「メルのところもあんな感じ?」
「カルネさんは元から大女優だからなぁ……でも、私もチャンピオンになった時にだいぶ有名になったかなぁ。カロス地方ではパレードしたりするから」
「パレード!?」
「うん、地方の中心の街をこうぐるっと……ポケモン達と」
恥ずかしかったなぁ、とメルは思い出す。歓声の中現れたAZさんとバトルもしたし、あれはなんというか高揚感と羞恥心が入り混じった心地だったのを覚えている。そして、自分にはむかいな、ともメルは思った。ダンデがこちらをみて大きく手を振るものだから、メルも軽く振り返しておく。それをみた周りが、何かを理解してーーメルに向かってやってくるのだけど。
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「なんかイメージと違うな」
そう首を傾げた青年にメルは苦笑いした。ダンデやソニアに連れられてガラル地方を弾丸ツアー中であるが、カブ以外のジムリーダーにもそう言われてしまった。恐らくテレビ放映されていたダンテとの試合をみたのだろう。ダンデはお決まりのように「そうか?」と首を傾げた。
「なんかもっとこう……お姫様な感じで……高飛車なやつかと思ってた」
「そんなに険しい顔してたかなぁ……」
ソニアにメルがそうぼやけば、服装の関係じゃない?とソニアが答えた。なるほど、チャンピオンになったパレードの際にもらった衣装であるが恐らく王族をイメージしたであろう白と赤で彩られたマントつきのドレスだったのだ。パレードの時、馬車にそれを着て黙って座っていれば、女王様みたい!とユリーカが騒いでいたからそう言うイメージがあるのだろう。現にソニアは「あの服、女王様みたいだったし」などと言う様である。
「ま、なんだ……オレさまはキバナだ!最後のジムリーダーをしてる!」
ニカリと八重歯を見せた青年ーーキバナに、メルも笑う。
「メルといいます。今はカロス地方のポケモン研究所で手伝いをしています」
「?ポケモンリーグに関わってるわけじゃないのか?」
「メルはバトルが苦手らしいぜ。あんまり好きじゃないって言ってたし」
そういったダンデにキバナが「は?」と目を見開いてメルをみた。
「カロス地方のチャンピオンになったのにか!?なんかよくわからないけど、バトルシャトーっていう施設でも一番上の位なんだろ!?」
「チャンピオンをカルネさんに返上するときに、カルネさんが出した条件だったんですよ」
「じゃあバトルがあんまり好きじゃないのに、なんでチャンピオンになったんだ?」
キバナの質問はもっともだろう。ソニアもまた「あ、それ私も気になってたのよね」とメルをみた。
「うーん、それはちょっと色々あって……」
メルがそういえば各々で何か解釈したらしい。そっか、いろんな事情があるもんなということばで話は途切れた。
「じゃあなんだ、バトルがあんまり好きじゃないなら申し込まないほうがいいのか……会えたらバトル申し込もうと思ってたんだが……」
キバナの言葉にダンデは笑いながら「こっそりならしてくれるらしいぞ!」と告げた。メルが止める間もないタイミングである。
「こっそりなら良いっていうことは、個人的にはバトルしてくれるってわけだな!」
「またの機会に」
「またっていつ?もちろん、帰るまでに、だよな?」
逃げ道を無くされた。メルは仕方ない、とため息をついた。
「わかりました、帰るまでには必ず。ただ、6と6の勝負ではなく、3と3の勝負でもいいですか?」
「……それなら4対4のダブルバトルはどうだ?」
「……それでもかまいません」
「よし、じゃあきまりだな!」
キバナはそう言ってスマホロトムを取り出す。バトルの為に連絡先交換してもいいか、という言葉にメルは了承しメルもまたスマホロトムを取り出した。ロトム同士が連絡先を交換すると、じゃあついでに写真も、とキバナはメルとの距離をつめた。カシャリと光ったフラッシュに、もう一枚、とキバナがなれたように宙にういたスマホを触る。俺も映る、とダンデが割り込み、人に化けているラティアスもソニアを引っ張ってやってきたことにより画面は窮屈になったのだけど。それでも、あまりこうして同い年ぐらいの人物と写真を撮ることがなかったメルには大切なものには変わりなかった。送ってもらった写真にメルがホクホクしているとキバナがスマホロトムをしまいながら口を開く。
「ワイルドエリアにはもう行ったのか?」
「いや、まだだ。先にルミナスメイズの森にいく」
「ルミナスメイズの森?なんでまた」
「メルがポニータをみたいらしい」
ダンデの言葉にキバナが「それはなんとなく想像はできるな!」とつげたのだが。
「でも、ダンデ大丈夫なのか?」
キバナの問いかけに、ダンデが「?おう!」と一瞬キョトンとしてから答える。メルはメルで首を傾げたが、ソニアが「その為に私もついてきてるの」と告げたのをみると何かあるらしい。キバナは何かを考えてーーじゃあ俺もいくか!とニカリと笑顔を見せたのだけども。
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「ここがルミナスメイズの森。ポニータがいる森ね」
そう告げたソニアにメルは目を輝かせた。薄暗い森に大小様々な光るきのこはまるで御伽話の世界である。やはりというかフェアリータイプが多く出るらしい場所に、メルは一歩足を踏み入れたのだがーー。
ーーまごうことなく迷子である。振り返った瞬間に迷子になったとも言える。悪戯に成功した、というようにクスクスとポケモンが笑い声を上げるのが聞こえた。メルよりもスマホロトムの方が驚いていて、ポケモンの仕業ロム!となどと焦る次第だ。こういう時は焦っても意味がないのだからメルは大人しくポケモンの観察をすることにしている。きのこの傘から現れたポケモンはケラケラ笑っている。メルが小さなそのポケモンに合わせて屈めば、不意に後ろからきたもう一匹のポケモンがメルのカバンから何かをかすり取った。メルがそちらを見れば、もう一匹、よく似ているポケモンーー恐らくメルの目の前にいるポケモンの進化系であるーーが笛を持ってケラケラと笑っている。メルはそちらを向いて、ポケモンに合わせて屈む。
「その笛は大切なものだから、返してくれないかなぁ」
メルの言葉にポケモンはケタケタ笑って笛を持ったままーー駆け出した。
「あ、まって、」
そう言ってメルが追うように駆け出す。スマホロトムがやめるように告げたが、あれは大切なものだ。恐らくもう二度と行くことができないーーランセ地方で下げ渡されたものだ。迷うことなんて承知の上である。ポケモンーーベロバーとギモー達はメルと追いかけっこを楽しむようにケラケラと笑いながら進む。きのこの形をしたポケモンーーマシェード達がなんだなんだとメルをみた。足を止めたベロバーとギモー達にメルは目線を合わすように屈んだ。
「ねぇ、それは大切なものなの。返してくれないかなぁ」
お返しと言ってはなんだけど、とメルが鞄に手を忍ばせたとき、背後からドン!という何かが落下してくる音がした。そちらを見れば立ったメルと同じぐらいのポケモンがいる。ギモーやベロバーの進化系であるーーオーロンゲだろう。ギロリとメルを見下ろした彼もしくは彼女はのしのしと近くの木の下に座った。随分と奥にまできてしまったらしい。どこから自分がきたのかわからない。まるでアルトマーレの奥にまでやってきたようだ。ケラケラと笑うベロバーがメルの腕を駆け上り、帽子を奪っていくと仲間とかぶって遊んでいる。メルはギモーに合わせてもう一度屈むと鞄からガレットを取り出した。
「これと交換してくれる?」
そう尋ねれば、ギモーはガレットと笛を見比べてーーそっと笛をメルに向けた。メルはありがとうと笑うと、そのままガレットを渡してから笛を受け取る。なんだそれ、なんだそれ、と同じ群のポケモンが集まってくる。そうして食べ物だと理解したらしい。パクリと食べたギモーはおいしいと理解したのか、周りに自慢するように食べた。俺も俺もというように鳴いたポケモンに、メルは少し笑う。見かけは怖いが、関わってしまえば普通のポケモンなんだろう。鞄からガレットをありったけのガレットを取り出し、半分に割って他にも分け与える。のしのしとやってきたオーロンゲもまたメルに合わせて屈むと手を差し出したものだからさらにメルはクスクスと笑った。はい、とガレットを渡せばオーロンゲはそれを一口で食べる。もう一つ、と手を差し出した彼に、もうないよ、といえばなんとも言えない顔をした。そして、そのかわりというように笛を指さしたが。
「これはあげれないの。ごめんなさい。私の大切なものだから」
そう言ってメルは首を左右に振った。渡すことはできないが、音を奏でるぐらいならできるだろう。メルがそっと笛を奏でると、オーロンゲはそっと目を伏せた。
しばらく笛を奏でていれば、ぱから、ぱかぱから、となんとも言えない蹄の音が聞こえた。本来規則正しいはずの蹄の音であるが、どうも足を引きずっているような音だ。メルはそっと目を開けてみれば、ギモーやベロバー達に混じって、一頭のポニータがいる。七色に似た鬣は可愛らしく、メルのもつギャロップとはまた違う雰囲気だ。ただ、様子を見るに足を引きずっている。生まれつきなのかはわからないけども。ギモーやベロバー達と同じ群れであるかのようにしれっと混ざっているその姿にメルはオーロンゲをみた。恐らく、このオーロンゲがポニータを群れに混ぜている。吹いていた曲が終わった為、メルは笛から口を離した。ぱから、ぱかぱから、と足音をならしてやってきたポニータは、メルを覗き込むと首を傾げた。
「さっき、お菓子が欲しいって言ったのはこの子のため?」
そう尋ねれば、オーロンゲは頷く。メルは鞄からガレットの代わりにポフィンを取り出すとちぎってオーロンゲとポニータに渡した。警戒心が薄いのか、ポニータはパクリとポフィンを食べた。美味しかったのかご機嫌そうに蹄を鳴らしたポニータは、メルを鼻先でつつく。それをみてギモーやベロバー達もメルに群がった。
「わ。ちょっとまって、わ!」
そんな制止も虚しく、メルは草はらに転げることになるのだが。
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「そろそろみんなに合流しなくっちゃ」
どれくらい時間が立ったのかわからない。あまり陽が入らない場所だからという理由もあった。メルの膝の上で頭をのせて眠るポニータとベロバー、ギモー達は起きそうもない。でも、そろそろダンデ達に合流するべきだろう。恐らく彼らは探してくれているはずであるし、メルのピカチュウやラティアスも心配しているはずだ。メルは木の下に座っているオーロンゲをみた。彼もまたじっとメルをみている。そっとメルはカバンからマフラーを取り出してベロバー達にかぶせておく。その微かな振動で起きたポニータはパチパチと目を瞬いてメルをみた。
「ごめんね、そろそろ帰らなくっちゃ」
鬣を撫でてメルがそういえば、周りにいたベロバーやギモー達も起きていたらしい。パチリと一斉に目を開けた彼らはメルを見上げーー行くなと言わんばかりにメルにのしかかった。それにバランスを崩したメルはもう一度草はらに倒れ込む。
「私はここでは暮らせないよ」
そう断ってみたのだが、彼らはメルの意見を受け入れる気などないらしい。ギィギィと鳴き声をあげるギモーやベロバー達にメルはどうしたものか、と思う。のしのしとやってきたのはオーロンゲである。ベロバーやギモー達は何かオーロンゲに言いつけているようだった。オーロンゲはメルの近くにやってくるとメルを見下ろした。そうして、ついてこいと言わんばかりに歩き出す。それをみてまたギィギィと鳴いた周りにオーロンゲは唸るような声をだしーー周りは驚いたようにメルの後ろを陣取った。オーロンゲはそれをみて歩き出す。メルがそれを追いかければ、ぱから、ぱかぱから、と足音がつづいた。
また暗い森に戻ったメルであるが、そこまで恐怖心を抱いているわけではない。恐らくこのオーロンゲはメルを困らせる気はないのだとなんとなくわかるからだ。きちんとメルやポニータがついてきているか確認している。そうこうしていれば、メルの名を呼ぶ声が聞こえ始めた。一緒にピカチュウが鳴く声がする。立ち止まったオーロンゲはじっと茂みを見つめていた。ガサガサとかき分ける音がして、顔を出したのはダンデとメルのピカチュウである。ダンデはメルとオーロンゲをみて目を見開いた。
「メル!!無事だったのか!!」
そう駆け寄ってきたダンデは警戒したようにボールに手を触れている。ピカチュウもまた戦闘態勢に入った。メルはそれを待って、と制止した。
「ありがとう、貴方のおかげで合流できました」
そういえばオーロンゲはまたメルを見下ろした。「私の友達」と答えれば、オーロンゲはまたダンデをみる。ダンデがそれをみてボールから緩やかに手を離す。
「……メルを案内してくれたのか。ありがとな」
ニカリと笑ったダンデにオーロンゲはまたメルを見下ろして、鳴いた。そして踵を返したオーロンゲに、近くに隠れていたらしいギモーやベロバー達が追っていく。ポニータはじいっとメルを見上げたままだ。メルはポニータに合わせて屈むと、みんな行っちゃうよ、と告げる。ポニータはじいっとメルを見つめたままだ。そっとメルがポニータの鬣を撫でれば嫌がることなくポニータはそれを受け入れる。奥でオーロンゲ達が立ち止まっているのが見える。ヒョコヒョコと3匹のベロバーがやってきて、ポニータに喋りかけるように鳴いた。ポニータも答えるように鳴く。どうやら会話しているらしい。ポニータが一鳴きすると、三匹のベロバーは顔を合わせた。様子を伺っていたピカチュウが三匹のベロバーとポニータに近づく。ピカピカ、ぴかちゅ?と尋ねたピカチュウに、ベロバーもポニータも何かいった。そうして三匹のうち、一匹のベロバーが一歩前に立った。ピカチュウはメルを見上げ、そうして鞄に潜り込むとモンスターボールを二つ取り出した。
「ぴか、ぴかちゅ」
「うーん、いいのかな」
「ぴか!」
「一緒に来てくれるの?」
そうポニータと一歩前に出たポニータにメルは尋ねる。頷いた彼らに、メルは先に遠くで立ち止まるオーロンゲをみた。
「一緒に連れて行ってもいいですか?」
好きにしろ、と言わんばかりオーロンゲは一鳴きする。そして、二匹のベロバーは手を振ってーー群れと共に消えた。メルはそれを見送っていると、不意にモンスターボールが作動する音がする。足元に二匹がいないのをみると、恐らくボールの中に入ったのだろう。さっきまで怯えていたスマホロトムが現れて、メルをみる。
「図鑑に登録したロト!ボックスに預けるロト?それとも連れて行くロト?」
「せっかくだから一緒にいきたいかな」
「じゃあ、ボックスに預けるポケモンを選択するロト!」
「う、それはそれで迷うなぁ」
メルがそういえば、ボールから勝手にルカリオとゲッコウガが現れる。メルに向かって鳴いた二匹に、メルはありがとうとお礼を言えば二匹はボールにかえった。
「じゃあ、ゲッコウガとルカリオをお願い」
「わかったロト!」
そう言って消えたボールにメルとピカチュウは驚いた。ロトムはこういうものロト!とつげたが。
「ごめん、お待たせ、ダンデくん」
「……驚いた、メルはポケモンに懐かれやすいんだな」
「うーん」
懐かれるのとは違う気がする。そう言いつつメルはピカチュウを抱き上げた。メルのトレーナーとしての根幹はランセ地方で培われたものだ。ランセ地方は基本的に一人につき一匹のポケモンで過ごしている。有力なブショーやブショーリーダーでなければ複数匹連れていることはない。そして、捕まえるというよりは心を通わせたから付いていく、という形だ。恐らくはランセ地方にモンスターボールというものがない関係もあるだろう。だから、メルは捕まえることはしなかった。プラターヌに仲良くなればといったのはそういうことだ。
「敵意がないのを汲み取ってくれるのかなぁ。でも、今回のあのポケモン達も悪戯したいだけだったみたいだし……」
「悪戯?連れてきてもらったんじゃなかったのか?」
「ダンデくん達から目を離した瞬間に迷子になって、あの子たちに笛を取られて追いかけたんだけど……奥に入っちゃったみたい」
「急にいなくなったのは他のポケモンの仕業か……」
ダンデはそう言ってメルの手を取った。メルが驚いて目を瞬いていれば、こうすればいきなりいなくなることはないだろ?とダンデが笑う。それもそうか、とメルは周りを見た。
「ラティやソニアちゃん達は?」
「あっちだ!」
「ピカッ!?ぴか、ぴーかちゅう!ぴかぴ!」
ピカチュウがダンデとは違う方向を指差し、ダンデのボールから出たリザードンが頷いた。悪い悪い、そっちだったか!と笑いながらダンデはそちらに向かったが。
やっと森から出れば、小さな街に出た。森と同じくまるで童話のような世界にメルはわぁ、と声を上げた。その声に反応したらしい。どこからか、ラティがメルをみた途端走り出した。それにキバナとソニアも気づいたんだろう。あー!と言いながら二人もまたやってくる。ラティに抱きしめられているメルと苦笑いしているダンデに近づいた。
「メル、ダンデくん、何処にいたの!」
「うーん、森の奥?」
「フェアリータイプの悪戯にあったみたいだったぜ。オーロンゲがメルを連れてきたしな」
ダンデが笑いながら言えば、キバナが口を開いた。
「お前は何処いたんだよ!」
「俺はメルをちゃんと探してたぞ?二人がいなくなったんじゃないか」
「お前がいなくなったんだろ!」
「よかった……化石取りが化石にならなくて……」
はぁ、と息を吐いたソニアにキバナはガシガシと頭をかいた。人の姿をしているラティアスに至っては怒っているのか眉を逆はの字にしたままだ。それとは逆にメルは眉をハの字にして謝る。
「ごめんなさい、心配かけてしまって」
「フェアリータイプの悪戯なら仕方ねぇよ」
はぁ、と息を吐いたキバナにメルは首をかしげた。ソニアがそれをみて補足する様に口を開いた。
「ここ、年に数人はメルちゃんみたいに迷う人が出てくるの。フェアリータイプの悪戯って話よ」
「下手したら数ヶ月出てこない奴もいるっていう噂だからな」
「でも、最後には多くの人がこの街にたどり着くらしい」
「ちゃんと帰してくれるんだ」
メルがそう笑えばダンデが眉間にシワをよせた。
「メルみたいなことはほとんどないんだ。ボロボロの状態で見つかる人もいれば、焦燥状態で見つかる人もいる。昔からの噂では、まだ見つかってない人もいるらしい」
「ワイルドエリアでも、な。ま、今となってはその度にチャンピオンのダンデやジムリーダーの俺たちが駆り出されるって捜索するわけだ」
ハクダンの森のようなものだろうか。メルがそう考えていれば、不意に目の前が光る。メルがそちらをみるとラティアスが本来の姿に戻って頬を膨らませていた。どうやらこちらだけで会話をしていたのが気に食わなかったらしい。つん、とそっぽを向いている。ダンデとソニアは正体をしっているが、キバナはそうじゃない。「は?」と目を見開いたまま固まった。
「ごめん、ラティ。心配をかけて」
メルがそう謝っても、ラティアスは機嫌を損ねたままだ。ぷい、っともう一度顔を背けたラティアスはメルのボールをつついて自らボールに入って行った。ソニアがそれをみてボールを覗き込んだ。
「あーあ、怒っちゃってる。すっごい心配してたんだからね、その子」
「あぁ、ずっと探してたからな」
「もう一回謝る……」
そうメルがしょげていると、キバナがダンデとソニア、メルをみて口を開いた。
「いや、は?は?ポケモンなのか?さっきのやつ」
「あぁ、ラティはポケモンだぞ!」
「はぁ!?どういうことだよ!説明しろ!説明!」
「説明と言われてもな、俺もよくわかってない。そういうポケモンだと思ってるんだけどな……この地方にはいないポケモンだから」
ダンデはそう言ってメルをみた。ボールから出るようにラティアスへ呼びかけているが、聞いてくれないらしい。しゅん、としたメルをソニアとピカチュウが励ましていた。
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