2020/01/08

年末年始没ネタ祭 12 メルのガラル話の終わり模索集

・没
「ホップくんの初こーーもが!」
「久しぶりだな、メルの姉ちゃん!」
私の口を塞いでホップくんはそう告げる。メルと呼ばれた女性は上品に首を傾げた。それはダンデさんも同じであるが。メルと呼ばれたその人は誰であるかわかったのか、「ホップくん大きくなったね」だなんて告げてホップくんの頭を撫でる。そんな年じゃないんだぞ!と言ったけれど、どこかホップくんは嬉しそうだった。
「ユウリはメルとはじめましてだよな!こっちはメルだ!」
そう説明したダンデさんに、メルさんは「メルです」と微笑んで見せた。うーん、優しい雰囲気のお姉さんである。どこで知り合ったんだろうか。
「メル、こっちはユウリ。俺を負かしたチャンピオンだ」
「知ってるよ、中継見てたから」
「そう言われたら勝ちたくなるな……よし、次は勝つぞ!」
「ふふふ、頑張ってください。ユウリちゃんも」
ニコニコしている彼女に、私はありがとうございますと頭を下げた。
「メルのお姉ちゃんはガラル地方になんできたんだ!?」
「えーと、ね」
「ホップ、俺たち結婚するんだ。メルはその挨拶にきた」
ダンデさんの言葉に私とホップは固まる。今この人なんて言った?顔を見合わせてから、叫ぶ。ははは、と笑うダンデさんに対しメルさんは困ったように笑っていた。私達の声に驚いたのか、なになにどうしたの、と、ソニアさんとキバナさんが顔を覗かせたが、すぐに納得した。
「まさかダンデ、弟にもユウリにも言ってなかったのか?」
「?ああ」
「そりゃあこうなるよな」
はぁ、と息を吐いたキバナさんにソニアさんもやれやれと肩をすくめた。
「で、メルは結局こっちに住むのか?」
「うん」
「ポケモン達の住処はいいの?」
「新しいチャンピオンの子に任せちゃった。私以外の人にも慣れないと」
そう笑った彼女は幼い気がする。ワシワシとキバナさんとソニアさんが頭を撫でたけども。彼女はそれに慌てたが、あ、そうだった、と、鞄をゴソゴソと探った。
「元はプラターヌ博士のところで保護されてたポケモンなんだけど、お父さんがついでに育ててもらえばって」
「いいのか?」
「うん、正直助かるかな。今結構手一杯で」
苦笑いしたメルさんに、三人があんまりいい顔をしなかった。なんでだろうか、と首を傾げれば、ホップくんがこそっと耳打ちしてくれる。
「メルのお姉ちゃんはカロス地方ってところの元チャンピオンなんだけど、トレーナーに捨てられたポケモンの世話してるんだぜ」
「あぁ、だから、あの顔……」
そう頷けば、メルさんはホップくんやユウリちゃんにもお願いしてもいいかな?と尋ねた。私達はもちろん、と頷いたけども。
「キバナくんはドラゴンタイプの方がいいでしょ?」
「さすがメルわかってるな!」
「この地方にいないポケモンなんだけど」
メルさんはボールを二つ取り出す。そうして投げれば、ミニリューとタツベイが現れた。周りを見てメルさんを見た二匹は首を傾げた。メルさんのスマホロトムが現れてキバナさんに画面を見せる。ダンデさん達も覗き込むようにその画面をみた。私達は見えないため(なんせ大人三人が画面をみているのだ)ポケモンをみる。……可愛い。
「二匹ともドラゴンタイプか!この地方にいないポケモンだから想像があんまりつかないな」
「あと、他のドラゴンタイプの子に比べてバトル好きかなぁ」
メルさんの言葉に、キバナさんは屈んでポケモン達をみると「よし、打倒コイツらな」とダンデさんと私を指差した。それに合わせて鳴いた二匹は賢いに違いない。
「キバナさんはジムリーダーだからね、あんまり困らせちゃダメだよ」
「きゅい!」
「べい!」
なにこれ可愛い。メルさんはキバナさんにボールをわたす。キバナさんはそれを受け取った。

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・没
どうしてフラダリやヴィセンテがメルに対して過保護なのか。それをメルはきちんと理解していた。何故ならあと数年、十数年、あるいは数十年経てば自分は酷く差別されるだろうからだ。
ーーメルはおそらく今以上に年を重ねることはない。そして、メルのポケモン達と同じく老衰で死ぬことなどない。
それはあの光線がもたらした結果である。AZと同じような効力を持つだろうとはフラダリとプラターヌの推測だった。
だから、この子をたくさんの人と関わらせてはいけない。悲しむのはこの子なのだから。そういう暗黙の了解なようなものだ。だから、ヴィセンテがダンデにむかってこれ以上娘に関わらないでくれと頭を下げたのもメルは黙ってきいていたし、ヴィセンテに黙って手を引かれたのである。他の二人がダンデに向かって何かいうのが見える。ヴィセンテはそれから逃げるように足音を鳴らしてその場から逃げ出すように踵を返した。
「悪いな、でも、お前のためなんだ」
そういうヴィセンテの顔が泣きそうだったから、メルは静かに首を左右に振った。


==没


・没?
「ずっとチャンピオンでいれば、遠く離れたメルもオレの活躍がわかるだろ?」
そう笑ってみせたダンデにメルは目を瞬いた。確かにガラル地方のポケモンリーグは世界的に有名になりつつあった。だから、ダンデがチャンピオンでいる限りメルのいるカロス地方にもその声はとどくだろう。しかし、それは同時にダンデを縛り付けることになる。だから、メルはそっと首を左右に振った。
「無理しなくていいよ」
「無理じゃないぞ」
そうニカリと笑ったダンデに、メルは少し笑んだ。
「じゃあ、ダンデくんがもしチャンピオンじゃなくなった時に」
メルはそっと目を伏せた。そう、もし、ダンデがチャンピオンではなくなったら。どういう形であれ自分を迎えてくれるなら。そして、彼が自分を忘れないでいてくれるなら。
「私のことを覚えててくれるなら、カロスに迎えに来てっていうのはダメかな」は「ありがとう」と笑みを浮かべる。フラダリが「話はすみましたか?」とやってくる。メルが小さく頷くと、ダンデに「またね」と笑って手を振った。キバナとソニアもやってきて、メルに手を振った。メルはヴィセンテに合流する。後ろから光が瞬くのが見えた。メルはポロリと流れた涙には知らないフリをする。ヴィセンテが痛いほど手を握ったから、堪えてしまったけども。

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カロス地方にあるポケモンの村と呼ばれる場所でメルは普段過ごしている。人が寄り付かないそこにはトレーナーに捨てられたポケモン達がいて、メルはそこの管理を任されているに近い。ここにいるのはポケモンだけで、誰も年をゆっくりと重ねるメルを化け物のように思わないからだ。ここに出入りする人間は少なく、ヴィセンテやメルの母親、フラダリとプラターヌにカルネ、それに加えて数人と迷子ぐらいだろうか。迷い人をあのギモーやギャロップが連れてくることもあるし、迷子や迷い人にポケモンが懐くこともある。そうしてまた人と歩み始めるポケモンの背を押すことが今のメルの仕事であるし、また、傷ついたポケモンを癒すこともメルの仕事だった。
「メルさんは、街に行かないの?」
そう頬杖をついたカルムにメルは「そうだなぁ」と花畑を見つめた。フラエッテが風に揺れて飛んでいる。
「街に行っちゃうとみんな驚いちゃうから」
「ふぅん、変なの」
そう言った彼は迷子としてやってきたのに、次からは自力でたどり着いた一人である。そういう人は何人かいて、特にポケモン達が嫌がるそぶりもないのでメルはそっとしていた。レッドと名乗った青年にもかなりポケモン達が懐いたし、悪いわけではないのだろう。
「チャンピオンの仕事はいいの、カルムくん」
「いいの。たまには息抜きしたい。カルネさん、すっげー厳しいし、挑戦者はまだいないし」
そう言ったかれに、彼の相棒であるマフォクシーも頷いた。足元救われるよ、といったメルにカルムは「トリコロールと同じこという」と頬を膨らませた。
「そういや、メルさん、知らないだろうけどーー」
カルムはそう言って最新型のスマホロトムを取り出した。


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嬉しそうにポケモン達と跳ね回る新しいチャンピオンに、ダンデは清々しい気持ちになった。一つの時代が終わり、一つの時代が始まるのだ。ホッと誰にも分からないように吐いたため息は歓声に消えていく。最後の仕事だと、新しいチャンピオンのそばに立つ。チャンピオンが何かを言う前にーーダンデは歓声が上がるスタジアに向かって声を上げた。

「そういや、あの時ユウリくんは何を言いかけたんだ?」
バトルタワーでそうユウリに尋ねる。新しいチャンピオンであるユウリは目を瞬いて、何かわかったんだろう。「ああ!」と慌てたようである。
「そう、ダンデさんに聞いて欲しい話があったんです!ホップには話したんだけど!ダンデさんいつも忙しいし!」
ワタワタと焦るその姿にダンデは落ち着けと苦笑いした。チャンピオンになったあともあの騒動だ。ダンデ自身もバタバタしていたし、ユウリ自体も忙しかったのもあるだろう。
「というか、キバナさんとソニアさんにも聞いて欲しい話があって!」
「キバナとソニアに?」
「覚えてる間に連絡しよ!」
そうワタワタと連絡を取り始めたユウリにダンデとリザードンは首を傾げた。

そうこうして三人(とホップ)がシュートシティーにあるレストランに集まったのは夜になってからだ。
「で、ユウリちゃん話ってなあに?」
「ホップとのお付き合い報告か?」
ニヤニヤと笑いながら告げたキバナに、ホップが「そんなこというわけないだろ」とムッとした。
「三人がメルのお姉ちゃん忘れてるって話をしに来たんだ」
ホップの言葉に三人は首を傾げた。メルのお姉ちゃん、とは。その反応をみて、やっぱり忘れてる!とホップは悪態をついた。ユウリに至っては、スマホで何かを探している。そうして見つけた写真を三人に向かってみせた。
「この人!見覚えないですか!」
ユウリの言葉に三人は画面をみた。その写真は数年前の自分たちであることには間違いない。しかし、そこにはもう一人、同い年ぐらいの女の子が写っている。
それをみて、ダンデはパチンとパズルのピースがはまるような感覚がした。何かを忘れていた気はした。チャンピオンの座にいつづけたのはホップとの約束だけではなかったはずだ。でも、それが誰との約束であったかはわからない。ぼんやりと誰かを夢にみたことはあった。でも、その姿は朧げで自分の名を呼ぶ声さえもわからない。それが今、はっきりと鮮明になった。そして、それはダンデ以外もそうだったらしい。キバナが小さく、メルじゃねぇか、と呟いた。
ガタリ、とダンデは立ち上がる。
「カロス地方にいってくる!」
「でたよ、ダンデくんの無茶!今すぐ行けるわけじゃないでしょ!飛行機を手配したりしなきゃいけないし、バトルタワーの管理人もしてるじゃない!」
「でも、約束した。チャンピオンじゃなくなったら、会いに行くって」
「そもそもなんでオレさま達は忘れてたんだ?」
そうクエッションマークを浮かべたキバナに、ホップとユウリは顔を見合わせた。それは二人のセリフであるはずである。
「たぶん、メルのお父さま達の仕業じゃないかなぁ」
「えっ、ヴィセンテ博士のですか」



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pkmn 

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