2020/06/01

ハルアカツキニテ6

・なんとなくで書いてるのでズレてるかも
・続いた

朝起きたら目が腫れていた。木分身のヤマトさんが氷を持ってきて私の目にあてると同時に休みの連絡をいれていた。過保護である。
「ナマエはどうして昨日あの部屋にいたの?」
「かぎ、ポッケに入ってた。ばしょは……なんかしってました!」
もぐもぐとヤマトさんのご飯を食べる。そうか、と告げた彼は私の頭を撫でた。なあに、と彼を見上げれば彼は「いいや」と首を振った。
「大人の姿に変化してた?」
「大人の姿……?」
「昨日、部屋で」
「してないよ。気付いたら、ヤマトさんが寝てて、悲しくなって、泣いちゃった」
なんでですか?と首をかしげる。彼は「いいや」と苦笑いして首を左右に振った。そしてその話題はそこで終わる。
「アカデミーは楽しいかい?」
「楽しいよ。この前は職業体験しました!」
「そんなのがあるのか……何を体験したんだい?」
「お医者さん」
「お医者さん?看護師さんじゃなくて?」
「うん、バンサイ先生に修行してもらった!ちょっとした切り傷なら治せるよ!」
「あの人は……!」
ワナワナした彼に首を傾げておく。彼は本当に心配性である。

==

修学旅行、とは?と首をかしげる。どうやら水の国に修学旅行に行けるらしい。修学旅行委員とやらを決めなければいけないらしいが私にはまぁ関係ないだろう。ようやく係がボルトくんに決まりつつあるのを横目にふむふむとしおりを確認する。先生が最期に私に職員室に来るように告げてさる。なんだろうか?と首を傾げてーーあぁ、そういうことか、と理解する。恐らくは、私の血継限界の関係だろう。私は終業の合図と共に職員室に向かった。
「シノ先生?」
伺うように部屋に入れば、彼は「ナマエ」と私を呼んだ。そのまま彼の近くによれば、椅子に座った彼は私を見上げる形になる。
「ナマエ、修学旅行なんだが」
「水の国、ですよね」
「あぁ、先代から話は聞いているかもしれないが、ナマエの持つ力に関して水の国ーー霧の里は少し厄介なんだ。先代から上手くコントロールできているとは聞いたが、それでも注意するに越したことはない」
「はい、気をつけます」
刻々と頷く。まぁ私のせいで中止になったら笑えないし極力目立たないようにした方がいいだろう。あとはボルトくんを手伝うように、ということである。まぁそれも了承しておく。遅れてきたマゴイチにも同じことを約束しているあたり、先生は心配症……いや、今までが今までだった。

ーーあまり過度に心配させるのはどうかと思い、黙っておいたというかしおりだけを(わざと)勉強道具と一緒に自分の机の上に置いておいたのだが。
「ナマエ、これなーんだ?」
パパ友会である。カカシ先生がいい笑顔でそう言ってしおりを私に見せる。しおりを見つけ、なおかつバンサイさんに聞いたんだろう。
「修学旅行のしおり……」
そう眉尻を下げながら告げる。うん、うん、そうだね、と笑いながら頷いたカカシ先生を伺うようにチラチラとみる。
「でも、ナイショにしてちゃ、わからないでしょ」
「でも……おとうさんから、ヤマトさんにおはなしがいって、ヤマトさんがダメっていうかなって」
モジモジしながら告げる。彼は目を瞬いてから私を見下ろした。バンサイさんが「ヤマトが過保護すぎるのがたまに傷だな」と言いつつ餡蜜を私によこす。くれるのか。バンサイさんをみれば頷かれたので花が咲くような笑顔を浮かべておいた。
「バンサイ、ナマエに餌付けしない。お嫁にはあげないからね」
「部下に欲しいだけだ。……というか、ヤマトの過保護はなんとかならないのか?アイツ医療忍術教えただけで嫌味言ってきたぞ」
「まぁ、ヤマトはナマエに危険なことして欲しくなさそうだからね。確かに水の国にも行って欲しくなさそうなんだよねェ」
ちらりとカカシ先生がこちらをみる。私はとぼけたフリをしつつカカシ先生にあーんをする。人前でマスク外さないから断られるかと思ったら普通に食べた。バンサイさんが見慣れてるから構わないんだろうか。
「ま、ナマエはヘマはしないってわかってるから俺的にはいいんだけど……そういやマゴイチくんどうしたの?」
「マゴイチなら昨日から帰ってきていない」
「えっ」
「うちはの娘と秋道の娘に巻き込まれてナルトについて行くという連絡はよこした」
おっとそこに巻き込まれたのか。多分、「ちょっとマゴイチ、あちしたちの護衛になりなさいよ」的な感じで巻き込まれたんだろう。うむ、苦労人である。
「今日ぐらいには帰ってくるとは思うが」

まぁ、バンサイさんのいう通り、マゴイチはその日に帰ってきたらしい。

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船旅である。しかも豪華客船である。水着なんてものは持ってきていないのでプールに足だけつけてチャプチャプする。いやぁ、本来ならこれもよろしくないかもしれないが。涼しい日陰で喧騒を眺めていれば、サラダちゃんが隣に並んだ。
「ナマエはいいの?」
「うん、水着、持ってきてないから」
「?忘れたの?」
「ううん、あんまり入らない方がいいかなって」
そう苦笑いして、サラダちゃんに切り返す。興味がないときたか。なるほど。
「ナマエ、来て大丈夫だったの?」
「どうして?」
「ナマエの……」
言いにくそうにした彼女に、ああ彼女は知ってるからかと目を瞬く。そういや一度彼女たちの近くで暴走したことがあった。
「先生たちには秘密にしてたら大丈夫って言われたよ。だから、秘密、ね?」
「そう……私もできるだけ協力するわ」
「ありがとう」
「いいの、べつに。困ったことがあったら言ってね」
その言葉に私は彼女を見上げる。何かあったんだろうか。
「サラダちゃん、なんか変わったね」
「え?」
「悪い意味じゃないよ?いい意味で」
にこり、と笑ってからまた喧騒を眺める。同じように眺めていたサラダちゃんがポツリと呟く。
「私、火影に目指そうって思って」
私は彼女をもう一度見上げた。
「『目指そう』じゃなくて、『なる』でしょ?」
ふふ、と笑いながら彼女から喧騒にまた視線を移した。

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なるほど。美少年である。なおかつちょっといい感じの垢抜けたお兄さんときた。となれば夢見るお年頃であるクラスの女子が声を上げるのも仕方ない。きゃあきゃあと騒ぐ周りに私もじっと彼を見つめた。水影の側近といえば、あの眼鏡の青年が思い起こされる。マゴイチもマゴイチで「水影の側近、ねぇ」と呟いた。ちらほらと任務では見たが結局手合わせをしなかった相手だ。さて、側近が変わったとなれば、考えられるのは三つほどだ。地位を奪った、というのは彼には合わない。ならば、地位を譲られたもしくはあの青年が亡くなって彼にお鉢がまわってきた、だろう。
「ナマエ?」
「うん?どうしたの?シカダイくん」
そう伺うように彼を見上げる。彼は「いや」と言葉を濁す。
「何見てんだ?」
「あの人ーー」
「あら、シカダイ、きくのは野暮ってもんよ」
蝶々ちゃんがそう言って私の口を塞いだ。
「あんなにいいおとこだもん、ナマエが惚れちゃうのもあちしはわかるわぁ」
そう頬擦りをした蝶々ちゃんを見上げる。違うよ、と言っても隠さないでいいのよ、と言われてしまった。マゴイチが爆笑している。仕方ない。色恋沙汰がなければそろそろおかしいかもしれない。周りはそんなお年頃である。カバンを握りながら、なおかつモジっとしながら、違うもん、といえば周りがピシリと固まった。蝶々ちゃんだけがやっぱりと手を叩く。
「嘘だろ……」
「ハァ、笑いすぎて腹痛い。どんまい、シカダイ」
マゴイチが笑いを堪えながらシカダイくんの肩を叩く。私は首を傾げて二人を見上げた。
「どうしたの?」
「い、いや……」
「へぇ、ナマエってあんなのが好みなんだ」
「違うもん」
いのじんくんの言葉にぽこぽこと軽く叩いておく。マゴイチがまた吹き出して笑い出した。なかなか失礼だぞ。


ということで、クラスメイト女子に私の背中を押されてかぐらさん(かぐらくん、でもいい気がするが一応は年上である)と過ごすように言われてしまった。まぁ、伺うように彼を見上げる。どうしたの?と首を傾げた彼に、水影さまの側近って本当ですか?と尋ねれば彼は目を瞬いて頷いた。
「そうなんだ、水影様にやらないかって言われて。先代の時に今の水影様が側近をしてたみたいなんだど、誰かをつけるのが通例みたいだから……」
ということは私がしる水影は引退し眼鏡の彼が現水影ということだろう。結構なよっとしてたけど、里や国を見る限り大丈夫そうである。
「現水影様の話は聞いたことがあって、なんとも忍刀をお使いになるとか。機会があれば見てみたかったのですが、他の里のものはおいそれと見れませんし」
「忍刀に興味が?」
「霧の里の忍刀って、ちょっとだけ変わってるって聞いていたので。あ、えーと、はたけナマエです」
そういえば名乗ってなかった。そう言って彼を見上げる。
「はたけ、ってことは……先代火影の?」
「娘、です、一応」
「へぇ、すごい世代なんだね。今代と先代の子供が揃うなんて」
「すごいのは先代だったおとうさんです。私はちっとも、すごくありません。他となんら変わりませんよ」
「ーーでも、それでも、君はあのはたけカカシの娘だから、すごいんだよ」
彼はそう無理やり笑う。ふむ、彼にも何かあるらしい。彼の名前を思い出しーー、あぁそういうことか、と理解する。
「親族の何かをあなたが背負うことではない、と言っても、あなたは背負ってしまうんでしょうね」
「え?」
「あなたはあなた、私はわたし。それでいいと思います」
目の前に広がるのは海だ。いやでも私先代の娘だからといって変な目線を受けたことはない。苗字ナマエ、もしくはカゲマルだった記憶がないはたけナマエという視線は受けるがそれも一部だけだ。
「君はきっと、あのはたけカカシの娘だからそう言えるんだね」
今や優秀だとか言われるが、忍なんて所詮は人殺である。英雄ともてはやされたって、何処かの誰かは恨んでる。そういうものだ。彼の周りの気持ちもわからなくもない。だから、元の世界で私は忍のほとんどを葬った。きっと私はとんだ暴君だろう。それをいったところで、何も変わらないだろうが。なので、そうかもしれません、と頷いた。
「でも、それを変えるのも自分なのだとも思います。私が虐殺に走れば父の名はかすみ、また私が名をあげても父の名はかすみます。はたけカカシの娘である、という時点で自分の評価を変えることを諦めては変わらない」
諦めてしまってはそのままだ。でも、まぁ、受け入れて変えることが大切である。人は変われる。悪い方にも良い方にも。立ち上がって、座っている彼を見下ろし、彼の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。そうして、にこりと笑って、まぁ年下の戯言だと思ってくださいなどと言っておいた。実際、今の姿ならば彼の方が年上だ。それにそろそろいつものナマエに戻らなければ。
「ナマエ、なにしてんだ、かぐらが困ってるだろ」
「わ、シカダイくん!んー、かぐらさんが、寂しそうな顔するから、こう、くしゃってしたくなっちゃった」
「あのなぁ、年上、しかも中忍だぞ。犬猫じゃねぇんだから」
「?」
「はぁ、ったく……ほら、行くぞ。先代に土産買うんだろ」
「うん」
手招いた彼に並ぶように歩く。なに話してたんだ?と聞いた彼に、霧隠の忍刀についてきいていた、と素直にいってみる。
「お父さんから話を聞いてたから、どんなのかなって。お土産なににしよっかなぁ。御茶菓子かなぁ」
そう言いつつお店を覗く。泳がないの?という委員長のお誘いは断っておいた。

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はたり、とあった目に首を傾げておく。私の知る水影である彼女はきれいに歳を重ねていた。あなたは、と呟かれたがまぁ私もマゴイチも知らないふりして首を傾げておいたが。かぐらさんが彼女を見て首を傾げた。
「先代さま?」
「……いいえ、なんでもないわ」
にっこり笑った彼女と別れてそのまま水影のへやにむかう。やはりというか、今代の水影さまはあの時の青年らしい。しっかりとした人になったんだな、とは外見から見てもわかる。挨拶もそこそこに霧の里の歴史の説明がはじまる。
ーー血霧の里。それによく似たものを私は知っている。あの時、先生達を殺すというのは忍として正しかったのだろうか。人道的ではないそれは、力を求めているのなら必要なのだろうか。恐らく、あのまま、先生達と一緒にいれば私は今のわたしのように甘ったれた人間だっただろう。そう悶々としていれば、マゴイチに小突かれてはっとする。あぁ、いけない、と苦笑いして話をもう一度聞く体制に戻った。まぁ、話が終わると、かぐらさん達にも心配されたのだが。そんなに目立っていたんだろうか。
「ナマエ、本当に大丈夫?」
「うん、ありがとう。ちょっと、怖い話だなって考えちゃっただけだよ」
サラダちゃんの言葉にそう返す。冷たくなった指先に息を吐きかける。マゴイチがほらよ、と私に手袋を渡した。
「ありがとう、マゴ」
「いや……木ノ葉でよかったな」
「そうだね、うん、そうだ」
いや、別に今だからどうってことはないだろうけども。


霧隠の忍術学校にいけば、水の上で戦闘訓練をしていた。あぁ、よくやるやつねと思いながら眺める。やはり周囲に水が多いから水上戦が嫌でも付き纏うのだろう。恐らくあれができない限り、忍にはなれない。そう眺めていれば、水影さまが手合わせをしてみるか、という流れに持ち込みやはりというかボルトくんがかぐらくんと手合わせすることになっていた。
あぁ、なるほどね、と思う。恐らくかぐらくんと私は似ているのだ。私は忍の冷酷な部分を影丸を襲名した私、普段の私は私、という風に変化を区切りに区別しているが彼はそうではない。根が優しく真面目なだけに、その鋭さにも似た牙、もしくは狂暴性が怖いのだろうか。そう思って見ていれば、ボルトくんが負けた。イワベエくんが私をみる。なんだ、私はやらないぞ。
「ナマエ、ボルトの仇とれ、仇」
「えぇ……お父さんが修学旅行中は大人しくしてなさいっていってたから……」
眉尻を下げる。そうして、代打マゴで!と言えば頭を殴られたのだが。痛い。
「うぅ、ひどい……」
「阿呆。俺は遠距離。近距離は好きじゃねぇの。つーか、かぐらが強いのとか中忍って紹介された時点でわかりきったことだろ」
やれやれしているマゴには悪いが水影さまが凝視しているぞ。私はこっそりとマゴに隠れる。マゴがそれに気付いて水影さまを見上げた。
「なんスか?」
「いいや……」
「マゴ、水影さまの期待に応えて行ってくる?」
「だからやらねぇっての。相手の得意なフィールドで戦っても負ける確率でかいに決まってるだろ」
「ああいうときは?」
「陸上におびき寄せる、または誘導する」
まぁそれが定石だろう。戦闘はいかに有利な場所に誘導するのか、というのも気にかけるべきことだ。そのままシカダイくんといかにして水上戦を脱却し陸上戦にするか、という話になる。ふむ、と考えた水影さまは私を見下ろした。
「ならば、僕と手合わせしてみますか」
「えっ……えぇ……」
「いや、これはただの僕の自己満足ですから君が気にすることじゃない。貴方とそっくりな方と大戦後に手合わせを、という話だったのですが、結局できず仕舞いでね」
彼の言葉にマゴイチが私をみる。カゲマルだったか、ナマエとしてだったかわからないが確かにそう言った。刀への興味と、彼らの戦い方への興味、あとは彼が無茶な特攻をしないための歯止めだったのだが、私とマゴが無茶な特攻をしたので塗りつぶされた約束である。
「大丈夫、さすがにアカデミー生には本気は出せないよ。それとも、霧隠に見られては困ることでもあるのかな?」
はい、これは後ろの道を潰されたなぁ、と内心苦笑いしておく。相手の立場を無碍にはできないし、断ってしまえばそうだと認めているようなものだ。サラダちゃん達が止めようとしてマゴイチがため息をついて背中を叩く。痛いってばよ。
「いってこい、目上のお願いだぞ」
「ううう……えらいひとのおねがいだし、名誉なことだろうから、ちょっとだけがんばる……」
そうしょんぼりしながら下に降りる。里のみんなの認識は私であって私ではない子供であるが、他の里の彼にとってはどうなのだろうか。

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さて、どうすれば勝てるというか、アカデミー生らしく負けれるのだろうか。木刀を眺める。いや、水面に向かって雷遁ぶっ放すとかサスケくんがしたという千鳥流し、すなわち千鳥を木刀に纏わせるのもあり。霧隠の術をしたって向こうのお箱なんだよなぁ、と木刀を構えたり眺めたりする。まぁでもあまりにも手を抜くというかそういうのも失礼であるため、アカデミー生達には見えないように一閃をするのが吉か。はじめ、と言われた瞬間、すぐに突っ込んできた彼に癖で木刀でながして避ける。これ若干マジじゃないかな?

とおもっていたけれど、彼は忍術を使ってこないあたり一応かなり手を抜かれてる。距離を取りたいが上に雷遁の印を組みたいが、アカデミー生特有の両手印をさせてくれないときた。仕方ないため上に弾き飛ばされた瞬間に両手印を結ぶ。そのまま水に着地して刀を納刀する形をとる、というか、居合いの形をとる。距離を詰めた彼に、私は木刀にチャクラを纏わせ、居合いをーーとそこでアカデミー生らしい負け方をする。
「雷一せ、あれ??」
そう、チャクラの出力ミスである。大破した木刀、慌てた私は水に落ちた。こぽこぽとうく水の泡を見つめてから水面に浮上し、バシャバシャしていればマゴイチが爆笑していた。水影さま?ぽかんとしてからクスクス笑ってますね。サラダちゃんが身を乗り出して私をみる。
「ちょっと、ナマエ、大丈夫!?」
「わっ、わわっ、うう、じつは、およぐのにがてっ、」
「あー、だから水着持ってきてなかったのかぁ」
いのじんくん、納得するところなのだろうか。もちろん嘘なのだが、まぁ、カカシ先生の前でも泳いだことはないたずである。マゴイチが相変わらず爆笑しているのをシカダイくんが怒ってくれている。もっと怒っていいと思う。アップアップしていれば水影さまに引き上げられた。ありがとうございます、と若干涙目でプルプルしながらいえば、彼は笑いながら「いいや」と首を左右に振った。


==

「はたけさん、あの時なにしようとしたの?」
そう尋ねたかぐらくんに首をかしげる。はて。ナマエの木刀が大破した時だろ、とシカダイくんが告げた。
「んー雷遁を木刀に馴染ませようとしたんだけどなぁ……」
雷一閃を初めとした一閃シリーズってそういや木ノ葉では使ったことがなかった、と思い出す。いや、鉄の国の大名に遣わされた時とかは刀を帯刀して忍術よりそっちで対応していたし、それなりに刀は使えるのであるが、忍者はあまり刀を好まない気が……いや、チャクラ刀は好むのだけども、剣術を嗜んでいる人以外は普通の刀はあまり見ない気がする。シカダイくんが私を見下ろす。
「先代に習ったのか?」
「うーん?」
いや多分、習った、といってもいいのだが、カカシ先生見たことないんだよな。
「昔からなんとなく知ってたんだけど、雷遁教えてもらってなかったし、あんまり使いどころもないから……はじめてやろうとしたらああなっちゃった」
「はじめての技を水影相手にやるなよ……」
「いや、うーん、だってね、私が好きな水遁なんて、水影さまには通じないだろうし……忍術を使う暇なかったし……手加減してもらえても、手がジンジンして痛かったよ」
そう言って手にまた息を吹きかける仕草をしておく。まぁ私は着替えるように勧められたのだが。

==

「そういや、一閃って使ってなかったな」
そう言ったマゴイチに、頷く。向こう世界の一閃は忍術の派生ではなく、あくまで剣術の派生である。それを忍術に組み込んで扱ってはいたが、どうも忍術の成り立ちが違うために違う代物になるのである。なおかつ、一対一の真剣勝負というか、そういう時にしか使っていなかった。自由時間である。
「使いどころがあんまりなかったしね。鉄の国に出向いたときぐらいかな」
かき氷を受け取りつつそう告げる。鉄の国ねぇ、と呟いたマゴイチもまたかき氷を食べる。チラッと背後を確認したマゴイチに、そのまま、と返す。
「ボルトくん達と喧嘩になったらしい人達ではないとは思うよ。足音がほとんどないのをみると、中忍以上、でも気配の消し方をみると上忍ではないかな」
「俺たちを尾行してどうなるんだ?」
「さぁ?放っておいたらいいんじゃないかな。問題は起こすなって言われてるしね。だから気づかないふり」
そう言いつつ自由時間を謳歌する。あとは慰霊塔にいって、黙祷を捧げるだけである。


相変わらず足ぐせが悪い。あらよっと、と、ボルトくん達に絡んでいた下忍を転倒させたマゴイチに、「こら!」とおこっておく。
「マゴ、ダメでしょ!足ぐせわるいよ!」
「げ、ナマエ」
「はいはい、悪かった、悪かった」
まぁ、背後に来た人を回し蹴りで沈めたが。
「お前こそ足ぐせ悪いだろ、実は」
「わるくないもん。この人が後ろで何かしようとしてたから!正当防衛!」
そう言いながら後ろをみる。すっと若干さっきを込めて目を細めれば彼らは慌てふためいたのだが。まぁ、マゴイチが六代目直伝木葉秘術千年殺しとかいって千年殺ししてたのが面白かった、が、眉を潜めておく。
「まご、お父さんの遊びの忍術もどきつかわないでよ、お父さんの印象悪くなっちゃう……」
「そうか?バンサイの野郎よりお茶目でいいと思うぜ」
まぁ煙玉で撒かれたのでその騒動でこっそり影分身をつけさせてもらったが。二回も絡む、でもお礼参りっぽくはない。恐らく何かある。まぁ、なにもなければないときである。

「やっぱり昼間の彼には後ろに誰かいる」
夜である。ホテルのテラスでそういえばマゴイチがこちらを見た。誰か?と首を傾げたマゴイチに、「中忍くらいじゃないかな」と言いながら外の景色を眺めた。
「影分身に気付いてない」
「つーか、お前のガチのやつなら上忍でも気づかないだろうが。で、なんでこっち狙ってんだ」
「そこまではわからないけど、混乱させたいか、現体制が気にくわないから何かしたいんじゃないかな。後ろ盾もいるだろうけど、そこまで突っ込むのには時間が足りないかな。他の里の問題だしね。まぁ、こっちを狙うのは、ボルトくんを狙えばーー」
「あぁ、なるほど、こっちと戦争にってわけね」
そうマゴイチは水を飲む。
「血霧の復活だか再来だか言ってるけど、どう考えてもアイツら淘汰される側だろ」
「それを本当に理解していたら血霧を復活云々は言わないさ」

==

さてはて、とりあえずまた昼間のチンピラが何か起こすようなのでマゴイチを向かわせる。私はしばらく待機するとする。あんまり他の里で動いても面倒くさいんだけども、まぁボルトくん達を狙うのはよくない。ということで影分身をもう一体増やす。頷いて少年の姿に化けた影分身は闇に消えた。水影に報告するべきだろうか、と考えながら目を伏せる。カカシ先生にあんまり無茶しちゃダメだよ、と釘を刺されているのをみるとあまり関わるのはよくないだろう。程なくして無事にマゴイチ達が帰ってきたようである。……点呼の時間まで寝よう。


「ナマエ、寝てたでしょ」
ボルトくんに怒っているサラダちゃんはそう言って私をみた。私馬目を擦ってから、うん?と眠たげに首を傾げておいた。そうしてマゴイチをみて、あ、マゴ、おかえり、とはにかんでおく。寝ぼけたナマエちゃんの完成である。
「まぁ、まぁ、別にいいじゃねぇか。じゃ、点呼も終わったし俺も寝るわ」
「そういや、ナマエちゃんとマゴイチくんは同じ部屋なのね」
委員長の言葉に頷く。は?と周りが固まった。そうなりますよね。まぁ、バンサイ先生とカカシ先生の策略っぽいよね。お互いに見張っとけ、なんかあったらフォローしやすいし、私の氷遁暴走したら止められるのがマゴイチだけだからだろう。マゴイチがヤダヤダというようにため息をつく。
「ないない、コイツとは親父ぐるみの兄妹みたいな付き合いだぞ。恋愛感情もくそもねぇし、興味もクソもねぇ」
欠伸をこぼしたマゴイチは、シカダイくんに「変わるか?」とか言ってたけど気にしなくていいと思う。
「面倒くせぇ。おおかた先代と月ヶ瀬さんの言いつけだろ」
「そういうこった」
ひらひらと手を振ったマゴイチに私も「おやすみなさい」と頭を下げたのだが。


「あぁ、やっぱりそうなのか」
答え合わせである。かぐらさんがあの四代目水影の孫、ということだ。だから彼らはかぐらさんに口を出すのだろう。
「こっちも情報が出揃ってきた。どうやら忍刀七人衆を揃えてクーデターを起こす気らしい」
「クーデター?」
「現体制が気に入らない中忍を集めているようだけど」
「中忍?上忍じゃなくてか?」
「馬鹿な上忍でなければそんなものに興味は示さないだろう。どうであれ、上忍はあまり私事で動かない。動くなら里抜けをするだろうさ。そして、切り捨てるも、扱いやすいのも中忍だ。その後ろに水の国の大名の一部がいる」
「こりゃ俺たちが口を出す問題じゃないな」
「ナルトくんによく似た誰かが口を出さなければ、ね。まぁ僕の分身がいるし、消えた気配も気づいている気配もない。僕は静観に徹するよ」
「口調カゲマルになってんぞ」
「おっと……つい……カゲマルはややこしいから、そうだな、次からこうなったときはアカカゲって呼んでくれ。マゴイチはボルトくん達のフォローを頼むよ。君の分身は私に任せて」
「了解。でも俺も裏からのサポートに徹するぞ」
そう言ったマゴイチに頷く。とりあえず、明日どう動くか、である。

==


七人衆ができてしまったらしい。ボルトくんの回収はマゴイチに任せたし、サラダちゃんがあの下忍を助けたようであるし、七人衆は未熟な中忍であるようであるし、そもそも霧隠の里の問題である。これは本格的に私は補佐に徹した方が良さそうである。と、なるとわたしは普通に旅行をするべきなのだろう。ということで水族館的なものに一人で向かってみたり、お土産として買う目星をつけていた銘菓である水八橋と花を生ける瑠璃色の一輪挿しを買ったりする。我ながら楽しんでいる気はする。水影亭的な場所の近くに行けば、水影様と先代水影様がいる。その前にいるのはマゴイチ達だろうか。はたり、とあったボルトくんの目に無視するのはいかがなものかと手を振る。それに気付いたボルトくんがこちらをみた。
「ナマエ?なにしてるんだってばさ」
「観光、かなぁ。マゴがどこかに行っちゃったから」
「あれ?マゴイチ、ボルトのとこにいたのはナマエに聞いてきたって……」
おっと、失言。サラダちゃんの発言にマゴイチが頬をかいたのがみえる。
「観光は本当。マゴにボルトくんのところに行ってもらったし、一人だし、暇だから水族館とかいってたよ」
「お前なぁ……」
「でも、どうしてナマエは俺の居場所がわかったってばさ?」
「ボルトくんに喧嘩を売ってた人がちょっとだけ気になったから、分身につけてもらっただけだよ」
嘘をついても仕方ないのでそう答える。気になった?と首を傾げた彼らに、他所の里の問題に首を突っ込むのはどうかなぁって思って、と告げておく。先代水影様がこちらを見上げる。
「あら、さすがね。何かわかったのかしら」
「んー……今からボルトくん達はどこかにいくの?」
「ナマエ、黙っとけよ。喧嘩にいく」
そう言ったマゴイチにふむ、と頷く。
「喧嘩にいくなら必要ないことだと思います」
でも、まぁ、ふむ。彼らの里の情報だ。彼らに渡すべきだろう。
「水影様はその付き添い……じゃなくて引率ですか?」
「そうだね」
「ふむふむ、なら、先代水影様、少しだけお時間をいただけますか?私の分身がついていってわかったことならお伝えできます」
「ナマエ、俺たちも聞きたいってばさ」
「ダメ。ただの喧嘩にならなくなるし、何より他所の里の人間がそこまで首を突っ込む事じゃない」
それは答えにも似たそれだ。現に水影二人は少し真面目な顔をした。
「なんだよ、ナマエ、かぐらを放っておけっていうのか?」
「そうじゃないよ。私はかぐらさんを信じてるし、ボルトくんに任せておけばなんとかなるって思ってる。ついでに言えば、企みは無理だとと思ってる。でも、それとこれとは違うお話。本来なら、里に帰ってお父さんに伝えたのちに正式に掛け合ってもらうのが私ができる一番の最善だと思う……そもそも、私みたいなアカデミー生が知った話だし、水影様達は知ってるかもしれない話になりますけれど」
そうワンクッション置いて彼女達をみる。
「じゃあ、一緒にお茶でもどう?苗字さん、かしら?」
「苗字……?聞いたことがないですね、失礼ですが、誰かと勘違いされているのでは」
「あら、ごめんなさい。私の勘違いかしら。貴方の名前は?」
「私ははたけナマエです」
そうきちんと名乗れば彼らは目を瞬いたのだが。

==

とりあえず先代水影様についていけば、屋形船に通される。ついてる忍は二人くらいだろうか。まぁ、気づかないフリをしているが。何か食べるか、と言われたので子供らしくメニューの中の甘味を見つめて、餡蜜で!と笑顔でいっておく。
「とりあえず、貴方がなにをしたのか聞いてもいいかしら」
「ボルトくん達に霧隠の下忍が喧嘩を一度ならまだしも二度売ったので、気になったんです。なにより彼らは木ノ葉隠れだから、というよりは、火影の息子だからという理由で喧嘩を売っていましたし、かぐらさんにたいする対応も考えるものがありました。なので、分身にその人の跡をつけさせたんです。また喧嘩を売られてこちらが怪我しても困りますし……」
そう言って巻物を取り出し巻物に書かれた人相をさす。
「まず、その下忍に指示をする中忍がいる時点でおかしい。つければ彼らは霧隠の里にクーデターを起こそうとしているのがわかりました。でも、言ってはなんですが上忍クラスや上層部が起こしたのではなく、『ただの』中忍がクーデターを起こすとは考えにくい。霧隠で有名な忍刀をつかったとしても、上忍達に簡単に鎮圧されるのが目に見えてる。こうなったら、必ず後ろ盾がいる。『血霧』を必要としている人が」
そう言ってまた巻物を広げ、術を使い記載を増やす。そこに記載されたものを見て先生水影様は目を細めた。
「これをもらってもいいかしら?」
「私が一日二日で調べていることなので確証はありませんよ」
「いいのよ。それが本当か嘘か判断するのは私達の役目」
彼女はそう言って後ろから現れた忍に巻物を渡した。殺気を込めた目で見られても困るのでニコリと笑っておくが。
「私に手をかけてしまうと国際問題なのでお気をつけください。まぁ、プロならば分からないようにするのでしょうけど」
「そうね。でも、貴方ほどの子を殺すのは得じゃないわ。さすが六代目火影の子供ね」
彼女の言葉に近くにいた忍が全員動揺した。大丈夫か。
「ありがとうございます」
「でも、知らなかったわ。六代目火影に子供がいたなんて。てっきり二人そろって違う忍の子供だと思ったわ」
「二人?マゴのことですか?」
「ええ」
「マゴは月ヶ瀬マゴイチなので、父の子供ではないですね。そもそも、知らなくて当然だと思います。そもそも、私達は実子ではありません」
運ばれてきた餡蜜を見つめる。うむ、美味しそうである。自白剤やらが入っていそうであるが多少は効かない自信がある。
「私もマゴもずっと遠いところから歩いてきたのですが、気づいたら里で倒れていました。今代火影様のご好意で今の形に」
ぱくり、と餡蜜を食べる。
「あら、それが霧隠なら貴方は霧隠にいたのね」
「恐らくは」
「霧隠の里に興味はないかしら?」
「多少ありますが、お誘いならお断りします。私は木の葉隠れが好きです。父達に恩もなにも返せていませんので」
私の言葉に彼女は残念、と息を吐いた。そうして、ふふ、と彼女は上品に笑う。
「昔、貴方によく似た人にも同じことを言われたわ」
それは事実である。私とマゴイチがそう言って他里のお誘いを蹴ったのだ。
「本当に、よく似てる」
彼女はそう言って頬杖をついた。私は首を傾げて餡蜜を食べる。美味しい。

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