2020/07/03
パラレイトライド 2
=
「貴方って、そっちの気があったの?」
そう尋ねた同僚に、男は彼女をみた。そっちの気とはと一瞬考えてみたが、思い当たることは一つだけだ。眉間にシワを寄せてしまったのは仕方がないだろう。
「違う」
「あら残念。ライバルが減ったと思ったのに」
「その勘違いもよせ。ボスが本気にしたらどうするんだ」
「私はどうもしないけど。でも、貴方がそんなことをするなんて珍しい。一部では噂になってるわよ。貴方女性で浮いた話がなかったから」
女性の言葉に彼は言葉を返す。
「……あの事件で犯人を取り押さえた子供だ。動きは完璧に何かの経験者、英語に日本人独特の訛りがない、足音を消す癖がある」
「監視のため?」
「監視半分興味半分だ」
男はそう言って肩をすくめて見せた。興味、とは。そう思って彼女は彼をみる。でもそれで教えてくれるような人物ではない。やっぱりそっちの気があるんじゃないの?と揶揄うように告げる。彼は今度は肩をすくめただけで終わったが。
「どんな子?」
「よく笑う子だ。勉強熱心で教えてやればすぐ理解してみせる」
「へぇ、将来有望ね」
「そうだな。あの腐ったパーティーに呼ばれる程にはな」
「……なによ、結局は監視じゃない」
「そういうことだ」
彼はそう言って席を外した。
ーー子供。銃を持った犯人を取り押さえて見せた子供。動きは完璧にこちら側であり、何度あってもあまり隙がないイメージを持たされる。しかしながら、洗ってみてもただの学生ということしかわからない。唯一何かあるならば、一度昏睡状態になったという点であれば病院側の細工は一切なく、事細かに子供の様子は参照できたが昏睡状態に陥っていたという証明にしかならなかった。子供の担当医はカルテにこう記載している。まるで睡眠学習でも受けたようだと。
事実、この世界には少数ではあるがそのような人間は存在する。男もその一人であるし、男が属する組織にはそのような人間が多かった。まるで同じ夢を見ていたような仲間が集まりいまにいたる。夢を思い出すタイミングは様々であるし、思い出さないまま死ぬ人間もいるのだろう。男の記憶の中ないる数十人にも及ぶ人。その中で、子供によく似た人物が一人だけいたのは確かだ。一緒にいたのは数日間だけ。彼女は男のボスに殺され、売国者とイカれた人間だと罵られた存在である。笑いはしなかった。いつも無表情で淡々としていた。その人物が、もし、もしもだ。
「ーーアダムスカさん?」
そう首を傾げて覗き込んだ子供に、目を瞬く。どうかしましたか?と尋ねた彼女に、あぁいや少し考えごとをしていたんだ、と男は紙を整理しながら告げた。
「君は、夢を見たことがあるだろうか?」
「夢?」
「あぁ、君ができないようことができるようになる間、何か夢のようなものを見なかったか?」
その言葉に彼女は動揺した。信じないと思う、と言った彼女に信じてご覧と言えば彼女は笑わないかと男に問いかけた。
「あぁ、笑わない」
「長い夢を見たのはその時だけなんだけど、夢から覚める少し前の夢はまだ時々みる」
「君は子供?大人?」
「最初は子供で最後は大人です。最初は確か、5歳くらいの子供でーー戦場で拾われた」
「最後は?」
「大人。目が覚める直前は二十代の後半くらい。夢だから場所がばらけたって良いのに、いつも一緒の場所でおわる」
「一緒の場所?」
「本当にあるかは知らないけれど、真っ白な花が舞う場所」
その言葉に、彼は動きを止めた。予想が当たったかもしれない。
「最後は、どんな」
「男の人に撃ち殺される。でも、恐怖はない。ただ、悲しみと安堵を感じて目が覚める」
彼女はそう言って彼が入れたコーヒーミルクに口をつけた。
「この夢を日本で話したら、映画の見過ぎだとたくさんの人に言われた。真面目に聞いてくれていたのは、担当になった先生だけだった。でも、今はもうほとんど覚えてないんです。始まりと、終わりの一瞬だけ。目が覚めたときには男の人の声も覚えていたのに、今はわかりません。最近は全部サイレント」
「君の夢を詳しく聞きたかったが、そうか、覚えていないなら仕方がないな」
彼はそう言って書き込んでいた紙をペラリとめくった。
「担当になっていた先生なら詳しく知ってるかもしれません。言ったら教えてくれるかも。アダムスカさんが知りたいなら、聞きましょうか?」
「……いいのか?」
この子供は酷く無垢だと思う。入り込んでしまえは、疑うことをしないからだ。彼女は当たり前のように笑ってみせる。
「だって貴方は悪いことをしないでしょう?」
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自分で先生に頼み、送られてきた私の言動あるいは夢の話集を読む。なかなか自分ながらに変な行動をとっているらしい。アダムスカさんは日中は何処かに勤めているらしいので、私が眺めているわけだ。内容は色々だ。たまに映画の中の風景や恐らくは私が書いた写真、相関図なんかも添付されていた。連絡を取った時は驚かれ、日本でも報道されたと心配された。あの先生はやっぱり良い先生だと思う。呼び鈴がなり、そのタブレットを一度置く。アダムスカさんだろうか、と玄関に近づき扉を少し開ければ見知らぬ女性と男性がいた。二人は私を見て首を傾げる。銀色の髪の男性が人の良さそうな顔をして私に尋ねる。
「えっと、アダムスカはいるかな?」
「アダムスカさんはまだ帰宅していません。恐らくいつもならあと十分ほどで帰ってくると」
開けてしまった手前、閉めるのもどうか、と悩む。アダムスカさんの知人だろうか。
「中で待たせてもらって良いかな?」
「えっと……アダムスカさんのお知り合い」
ですか?と尋ねるはずだったのだ。しかし、それはできなかった。女性が私をハグしたからである。ハグというよりは抱擁だった。母親が子供にするような。驚いて固まっている私は彼女の横顔をみる。その感覚は知っているような気がする。腕をどうするか迷って、彼女の背中に手を回す。落ち着かせるためにぽんぽんと背中を叩く。しばらくすれば、見知った足音が聞こえて割り込んだ。
「母さん、なにしてるんだ、その子が困っているだろう」
そう言って背中に私を隠した彼に、私は首をかしげる。母さん、ということは、彼女は。
「アダムスカさんのご両親?」
「あぁ……ナマエ。勝手に扉を開けるな、ここは日本じゃない。扉を開けて発砲なんてこともありえるんだぞ」
「……ごめんなさい」
「反省したならいい。コーヒーを淹れてきてくれないか」
彼の促しに頷いてキッチンに向かう。彼のいうことはもっともである。コーヒーをいれてもどればそんなに時間は経っていないというのに先程の二人の姿はない。私が首をかしげると、急用ができて帰ったのだとアダムスカさんに教えてもらえた。
ごく稀にではあるけれども、アダムスカさんと話していると安堵からかそれとも彼の声が落ち着くからなのか眠くなる時がある。今もそうで眠気が襲ってくる。ナマエ、と呼ばれた名前に、私は苦笑いをした。
「貴方の声が、落ち着くから、眠くなってしまって」
「俺が片付けておくから、ソファで横になればいい」
その促しに頷いて、私はソファに座り私のお気に入りのクッションを抱きしめる。そうして私は微睡に沈んだ。
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「暗示を使っているのかい?」
そう尋ねた父親に、アダムスカは肯定する。静かに寝息を立てている彼女に毛布をかけてやる。相変わらず安心しきった顔で眠っていた。
彼は彼女に暗示をかけている。気づかれないようにそっと。無意識のうちに彼女は彼の術中にいる。だから、その気になれば全てを無理やり思い出すこともできるだろうし、そのまま封じてしまうことも可能だ。
「彼女は俺たちのように覚えているわけじゃない」
「そのようだ。彼女はどこで?」
「この前の乱射事件で犯人を取り押さえた」
「あぁ、あのーー」
「動きがcqcのそれでしたのでーー」
「近づいたらナマエだったのね」
「まだ推測の段階です。彼女の記憶を持つ偽物ということもあり得る」
「でも思い出させていない」
「彼女は……よく笑う。あの人はあの時あまり笑わなかった。一度だけ、私と話していたときにほんの一度だけです」
確かスネークが食べている携行品を見つけて、食べた時であったが、食べて腹を壊したあとだったか。彼女は一度だけ笑って、おかしな人、と告げたのだ。その表情が焼きついたまま。
「彼女は普通の子だ。そこらにいる大学生たちとなんら変わらない。記憶も夢として扱い、もう忘れかけている」
「ーーそう、だからジョンに逢わせていないのね」
「それは彼女がどうか判断できないからです。敵かもしれない人間をボスにあわせるわけにはいかない」
アダムスカの言葉に、彼の母親は口を開いた。
「あの子なら見抜くことぐらい、貴方はわかるでしょう」
それもそうだ。アダムスカのボスならば必ずと言っても見抜いてみせるだろうか。今の彼がどう思っているか知らない。昔は探している節はあった。でも今は。恐らくは数年前にそういう会話になったとき、何処かで死んだか何かなんだろうということを言っていた。懐かしさはあるだろう。でも、それ以上は何かわからなかった。
彼女を報告してしまえば、恐らくは他と同じようにこの国に引き込まれるだろう。でも、あの時の恐怖に涙を流した彼女は、あんなことをした英雄では決してない。
「でも、いつかは言わないといけないよ」
そう言ったのは母親でなく父親である。二人の視線に彼は苦笑いして見せた。
「そうしないと、彼女は私達の知らない誰かに悪用される。これは監視じゃない。覚えていないならいないでいいと思う。彼女を普通の、周りとなんら変わらない人と同じように生きるのを望むなら、余計にね」
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夏である。日本のように蒸し蒸ししていないのが救いであるが、二ヶ月休んだというのにまた長い夏休みが到来した。どこかに行くつもりも日本に帰る予定もないため図書館と研究室、家を往復するつもりであったが、家族だか親戚だかそんなぐるみの旅行に誘われてしまえば仕方がない。サチの友人であるEEやメイリンという女の子、他学科のセシールに誘われた先は同じだった。し、行き先を見てもうすっかりと保護者としていたについてきたアダムスカさんの行き先も同じだった。世間が狭いと溢せば彼はため息をついて、本当にな、だなんて台詞を告げる。この人はあんまり来させたくないようなので断ろうか?と尋ねれば彼はあきらめたように口を開く。
「わかった、せっかくの夏休みだ。どうせ研究室と図書館なんかを往復するつもりだったんだろう」
「はい」
「君は私の連れとして申請しておく。ただ、そこは男所帯だ。あまり他の人にはついていくな。あと、余計なことには首を突っ込むな。何かあれば私にすぐ相談してくれ。それが守れるならいい」
「わかりました」
そう頷けば、彼はスマートフォンを取り出して席を外す。私はレポートを終わらせようと資料をまとめにかかった。
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なるほど、海外。女子できゃっきゃしながら辿り着いたのは恐らく南米の何処かだった。海上に建てられたプラントではあるが、すぐ近くにビーチがあるらしい。ちなみにそこにいく手段は飛行機に加えて軍用ヘリである。ブラックホークダウン、と呟けばパイロットに笑われたが。首を突っ込まない方がいいというのは確かだろう。着いた先、出迎えた人の中に見知った人を見つける。先にこちらに出向いていた彼に、アダムスカさん、と手を振って駆け寄る。彼はくしゃりと私の頭を撫でた。その様子に一部は理解した。というか、セシールとサチ、EEは理解した。
「ほぇぇ、ナマエの噂のパトロン!」
「噂のパトロンってなに」
「ナマエって、何にも教えてくれなかったじゃない!パトロンいるんでしょ?って聞いても、いないの一点ばりだったし」
「はっ、まさか、恋人……!?」
「馬鹿な妄想はよしてほしい。彼に不名誉な称号がつく」
きゃあきゃあと騒ぐ彼女達に突っ込む。アダムスカさんに、すいません、といえば彼女たちはいつもああだという返答がきた。なるほど。だがああいうのは止めなければ無限に妄想に足を突っ込むことになる。主にセシールとEE、サチの三人組が。私の近くにやってきたメイリンが口を開く。
「ナマエ、放っておきましょう。ああなったら手がつけれないわ。被害はないし」
「メイリンにはね。私にはダイレクトに被害が来るんだけどな」
「いつものことでしょ」
そう言ったメイリンに、いつものこととは、と彼女を見下ろす。教えてくれそうにもないし恐ろしいために聞かないことにする。
「それよりナマエ、オセロットさんと知り合いだったの?」
「あの事件の後からカウンセリングやら衣食住の住でお世話になってる」
「あら、パトロンっていうのは本当になるわね?」
「メイリンまでそんなことを言う……」
頭を抱えてそういえば、拗ねないでと言われたが拗ねてない。ので、拗ねてない、と返せば頭をワシワシ撫でられた。子供扱いか。
「オセロットさん、私はいつもの部屋でよかったかしら?」
「あぁ、セシールも。……サチと言ったか、彼女はエメリッヒ妹の隣だ。ナマエは色々あって別棟になるが、まぁ出入りは自由だから会いに来てやってくれ」
「別棟?」
「私の部屋の近くだ。何か起きても対処できる」
何か起きてもというのはまぁだいたいは予想できる。私が彼と話していると眠くなったり、白昼夢に立たされたりすることがあるからだろう。メイリンは首をかしげて、じゃあまた後で声をかけるわねと告げ三人に合流した。私はアダムスカさんに手招かれて彼の後に続く。
建物は迷子になりそうだった。右に左へ歩く間に研究者のような人や、軍人のような人ともすれ違う。やはり何かの施設だろうか?と首を傾げてみたが、それなら私達のような人は入れないだろうと納得する。ふむ。
「ナマエの部屋はここだ」
そう案内されたのはホテルのように整った一室だ。大きな窓からは海が見える。綺麗な景色だった。彼は入り口に持たれて私をみる。
「隣が私だから、何かあれば……っと、私もいない時が多い。この端末で俺を呼んでくれたらいい。彼女たちともこれでやりとりできる」
「スマートフォンは?」
「ご察しの通り圏外だ。あと、危険な場所もある。ここから一番遠い北側には近づかないでくれ」
「わかりました」
頷いた私に、彼はいい夏休みを、と彼は額にキスを落とす。私はこそばゆくなって笑ってしまったが。やっぱ彼は保護者である。
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白昼夢だ。目の前に舞った白い花に、軽く頭を抱えて目を瞑る。どうしたの?と尋ねた三人に、なんでもない、と首を左右に振った。目を開けても白い花が舞っているように見え、見えていた世界がまるでノイズのように揺れる。いつもなら数十秒で治る、はずだ。そっともう一度目を伏せる。学校でも、日本でもたまに起こるそれだ。
「ナマエちゃん、大丈夫?」
そう尋ねた恐らくサチに、大丈夫、とかえすために目を開く。白い花が舞う。足元が花に埋もれる。視界がテレビ画面のようにノイズがはしる。目の前で、パン、て手を叩かれたらしい。その瞬間、花びらはやむ。メイリンが少し眉間にシワをよせて私を見上げていた。
「ナマエ、そういう時は休んだ方がいいと思う。慣れない移動だったし、疲れてるんじゃないかしら」
「そうかもしれない」
目頭をほぐしながらため息をついた。
「明日にまた案内をお願いしても?」
「もう、疲れてるならそう言ってくれたらいいのに」
セシールはそう言って唇を尖らせた。一人で帰れそう?と尋ねたメイリンに道順は覚えているために頷く。EEが悪戯っ子のように笑いながら口を開く。
「オセロットさん呼んだら?」
「呼ばない」
「えぇー、なんで」
「君たちにおもちゃにされるのがわかってる」
「ちぇー、資料になると思ったんだけどなぁ」
「夜ご飯には迎えにいくわ」
セシールがそう言ってくれたので私はお礼を告げて道を引き返す。大きな窓の前で足をとめた。灰皿が置かれているのをみると喫煙室だろうか。開いた窓からは潮の香りが漂って、心地よい風が頬を撫でていく。利用している人もいないし、しばらくここで休憩するかと窓に面したベンチに腰掛けた。その瞬間、厄介なことに眠気が襲ってくるのだから困ったものである。
「おい、大丈夫か?」
そう揺すられて緩やかに目を開く。そこにいたのは知らない男性だ。アダムスカさんより少し年上ぐらいだろうか。潮の香りに混じってタバコか何かの匂いが漂っていた。私にかけられているのは誰かの上着だ。寝起きでぼうっとする頭を動かして、すいません、と謝る。
「風が心地いいので少し休んでいて……眠ってしまったようです」
「確かにここの風は気持ちがいいが」
彼はタバコを取り出し火をつけ、私に一本どうだと差し出したがお断りしておく。タバコは吸ったことがない。
「この上着は貴方の?」
「ああ、と言いたいところだが、俺が来たときにはお嬢さんに掛かっていた。先客がいたんだろう」
先客、となれば私は長く眠っていたんだろうか。時計を持っていないため時間はわからないが。
「ナマエ、ここにいたのか」
そんな声が聞こえて振り返る。そこにいたアダムスカさんは隣にいた男性を見て眉間にシワをよせた。げ、オセロット、とは隣の男性が嫌そうに告げた言葉である。
「デイヴィッド、お前の兄弟が探していたぞ」
「わかってる」
「ナマエ、ここは喫煙所だ。吸わないだろう?」
「部屋に戻る途中で……誰もいないので休憩してたんですが、眠ってしまったようで」
「またか」
「はい、もう大丈夫だと思うんですが」
「まだ時間はある。部屋で休めばいい」
「そうします」
「……その服、ついでだから返してやろうか?」
私とアダムスカさんの会話を黙って聞いていた男性が尋ねる。服?と首を傾げたアダムスカさんは私が持っていた服を見て少しだけ、ほんの少しだけ目を見開いたように見えた。
「寝てる間に誰かがかけてくれたみたいで……」
「……デイヴィッド、頼む。ナマエ、歩けるか?」
「時間が立ったので大丈夫です」
そう言って男性に服を渡して、お礼をお伝えくださいと頼む。彼はひらりと手を振って見せたが。
「ナマエ、こっちだ」
「あれ、こちらでは?」
「そちらは遠回りだからな」
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あの子供にはある程度規則がある。いや、あの子供だけでなく同じような症例を持つ人間は、であるが。彼らは総じて白昼夢を見る。しっかりと覚えているのなら問題はないが、覚えていなければ白昼夢という形で一部の過去や何かが見え、そしてその後は何もしていなくても非常に疲れる。過去に呼び戻しているとはそれを研究する人間の言葉であるし、彼女の担当医は夢に呼び戻している、という言葉を綴っていた。恐らく、部屋に入り暗示の言葉も何も告げていないのにもかかわらず眠りこけたのを見ると彼女は白昼夢を見たのだろう。それは、まぁ、問題はない。問題といえば。
アダムスカはため息をついて彼女に上着をかけた相手の元へと向かう。先に上着を受け取っていたらしい彼に、アダムスカは声をかけた。
「ボス」
「ん?あぁ、オセロットか」
「上着をありがとうございます」
「いいや……随分と深く眠りこけていたが、大丈夫なのか?」
そうアダムスカに伺った隻眼の男性にアダムスカは「ええ」と肯定した。
「彼女にはよく起こります」
「そうか」
「ボス、彼女のことについてご相談が」
「なんだ?噂を肯定しにでもきたか?」
笑った彼に、アダムスカは彼を見つめた。彼は隣に座るように告げる。ここが作られた当初からある皮張りのソファーは彼の気に入った場所の一つだ。
「噂になってるぞ、お前があの子にお熱だとか」
「ミラーやエヴァあたりですか?」
「パラメディックも加わっていたけどな。あまり他に興味を示さないお前が色々世話を焼いているのがおもしろいんだろう。で?実際は?」
「そんな関係でもなければ、そう言った感情でもありません」
「へぇ?」
「ボス。これは真面目な話です。母に貴方には打ち明けた方がいいと言われた」
「ーーザボスに?」
「私としては確証が持てるまで黙っておきたかったのですが」
アダムスカはそうワンクッションおく。彼に向き合い、アダムスカは口を開いた。
「彼女は恐らくヘイティだ」
その言葉に彼は動きを止めた。目を見開いて、驚いている。葉巻を持っていれば恐らくは落としていたことだろう。
「でも、彼女は我々のように記憶はない」
「ーーまだ見ていない?」
「いいや、見たが過去として受け入れていません。彼女はあの全てが夢だと」
「何故だ?この国ならそういう事例は診断されてこちらに連絡がくるだろう?」
「彼女の生まれはこの国じゃない。日本だ。そこで夢の話だと片付けられてしまえば彼女はそう思うでしょう。ミラーも言っていたでしょう。あの国はそう言った事例を信じない。……今はもう彼女はその『記憶』はほとんど失っています」
「さっき、眠りこけていたのは」
「ええ、おおかた、白昼夢のせいでしょう。彼女の記憶は当時の担当医がカルテに事細かに記録していました。事故の衝撃、またはストレスによるナルコレプシーとこれに関わる幻覚。または医学的に解明できない何か。でも、決定打はありません」
「彼女は確か、あの乱射事件の犯人をCQC紛いの動きで取り押さえた人物だったな。ほとんど確定ーー」
「しかし、彼女は」
男性の言葉を遮るように口を開く。
「普通の少女だ。そこらにいる大学生と何一つ変わらない。あの乱射事件の後、あの子は怖かったとただただ泣いていた。自分がどうして覚えたかもわからない技術にも。それに、彼女はよく笑う」
彼女とあの子は違うと否定してほしいのだ、とアダムスカは思う。ボスと呼ぶ彼さえ否定してしまえば、彼女とあの子は結びつかないはずなのである。しかし、その希望を彼が聞き入れる事はないようだ。彼は目を伏せた。口元に笑みを浮かべて。それが喜んでいるのかはわからないが。
「ーーそうか、お前は知らないか」
呟かれた言葉に、アダムスカはそっと自分の心に鍵をかけた。慣れているそれだけ。
「ナマエはよく笑うしーーよく泣くぞ」
彼の言葉に嫌悪はない。懐かしさと好意が含まれている。だから、そうするしかない。
彼はそうか、と呟いて「こういうこともあるのか」とただ納得して見せた。
「彼女に銃を握らせる気ですか?」
「いいや、彼女が望んでいないならそうするべきじゃない。だが、彼女を利用しようとする人間は現れるだろう。ジュニア、守ってやってくれないか?」
男の言葉にアダムスカはかれをみた。
「俺にはそばで何かしてやることはできない。それこそ昔となんら変わらなくなるだろう。いや、逆か。俺を消したい誰かに彼女が利用されるだろう」
「貴方を殺させるわけにはいかない」
「あぁ、そうだな、俺も死にたくない。だから、お前に頼むんだ。俺も彼女が悪用されないよう尽力することにしよう」
そう言って彼は葉巻に火をつける。あの喫煙所で薫った匂いだ。随分と年齢が開いてしまったものだな、と彼は自嘲するように笑った。
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かしまし娘三人組が来るといつもそこは賑やかになるというのに、それが五人に増えてしまえばどうなるかなんてわかりきったことである。騒がしい季節がきた、と職員は思うのだが、彼女達はそんなことを何も思っていないのだろう。それにいつも同い年ぐらいの彼は付き合わされるのだが。
「ふふっ、あははは、もうだめだ、セシールもEEもやめてくれ」
肩を揺らして新しくきた少女が笑う。相当面白かったのか、笑っている。その声に一部の視線が向いたが、いつものことか、と何割かの視線は元に戻る。しかしながらいつもとは違い何人かは彼女を見たままである。
「雷電さんが金星がに、ふふふっ」
「EE、俺のことを変に吹き込むのはよせ」
「だってそう見えるんだもの」
「ごめんね、雷電くん、ナマエちゃんツボに入るとこうなるから。しばらく雷電くんみたら笑うと思う」
「おい」
「まって、まって、こらえるからまって、」
そう言って数秒彼女は目を瞑り、息を整える。そうして目を開いたあとはこちらに詫びてみたが、耳元で金星がにとメイリンが言ったことにより彼女はまた顔を両手で覆った。肩が小刻みに揺れている。
「これはしばらくダメね」
「……今日夢に金星がにが雷電さんと一緒に絶対でてくる」
「なら、ナマエちゃんバイオハザードのリメイクする?レクレーションルームにあったよ」
「それはある意味トラウマだからやめてほしい、金星がにと雷電さんのダンスの楽しい夢じゃなくて悪夢になる」
「よし、バイオハザードをプレイするか?」
「本気でやめてほしい」
「……ゾンビがだめなの?」
「物によるけど、バイオハザードのゾンビは特にだめ。特にリメイク版がダメ」
「意外、ナマエって人間の方が怖いっていいそうなのに」
「無理なものは無理です。人間はまだ対処できる気がするけど、ゾンビは無理」
「撃てばいいだろ」
「撃っても死なないじゃないですか。というか、全員撃つ前に弾がなくなる未来しか見えない。この話をした時点でもう夢に出るからゾンビの話はしたくない」
そう顔を覆った彼女に雷電と呼ばれた青年が心配そうに彼女をみたが、もう一度金星がにと肩を揺らした。サチと呼ばれる少女が、彼女の肩を抱いて告げる。
「みて、雷電くん、このフェイント。怖がったように見えて、実はまだ引きずってるこれ」
「バイオハザードプレイは確実だな」
「本気でやめてほしい。原因のエマの嫌いなゲームをするべきだと思う」
「私もバイオハザード嫌いよ」
「まんじゅう怖いみたいに聞こえる」
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「で、負けたら罰ゲームってわけ」
「毎年一番年下の私たちは負けてるわ」
そりゃあそうだ、とナマエは思う。周りの多くは恐らく日常的に銃を触る環境下にある人達だろうとはなんとなく想像がつく。そこにティーン四人組、しかも雷電ぐらいしかまともに銃を扱えなさそうなのに、ゲームといえども他に勝るとは思わない。握らされるのは銃の形をした物であるし。ゲームセンターにあるシューティングゲームの一種に似ている。それがゾンビのような物でないだけナマエにとっては救いだ。昨日は夕飯の後、結局ゲームをプレイすることになりナマエは内心涙目だった。途中で(何故か眺めていた何人かの中にいた)アダムスカに助けを求めたのだが、彼は助けてくれなかった。ちょっと恨みがましく思ってしまったのは仕方がない。
「罰ゲームは何するの?」
「炊事や洗濯、掃除だ。今年もそうなる」
「ハンデはないの?」
「あるわ、偶に助っ人もつけてくれる」
セシールの言葉に、まぁそれでも負けてるんだけどな、と雷電は肩をすくめた。
なるほど、娯楽になるわけである。銃の扱いがうまい。まるで映画を見ているようだ。むしろ、高得点が普通すぎてタイムトライアルになっているような気がする。慣れているから無駄な動きがないのだろうか、と思ったがそういうわけでもなさそうだ。いわく、ここにいる研究者達がミスをさせようと躍起になってるらしい。渡される武器の形をしたコントローラーは数種類あり、四人は慣れたものを選ぶ。とりあえずサチに使いやすそうなものを渡す。残ったのは二丁のリボルバーだがなんとかなるだろう。ありがたいことにハンデは銃弾が多いというそれなので、どこがリロードのボタンでどう反応するのかを確認していく。これだけ人数がいれば大丈夫だろうと思っていたが、なかなかに戦況はカオスだ。主に無茶苦茶プレイしているセシールのせいだが。まるでマシンガンをぶっ放している様は映画のようだ。この豹変ぶりがここの人達も好きらしい。
「ふふっ、あはは、セシール、やめ、あははは、トリガーハッピーだ!」
「ナマエちゃん!?笑ってないで手伝ってくれないかな!?」
「そうよ!ナマエ!!やらなきゃ掃除よ!」
「今年は!最終面まで行けば!掃除は免除だから!」
「いやでもこれセシールがこのまま乱射してたらいけるんじゃないかな。雷電さんが黙々とフォローして……」
そういいつつ彼をみる。なかなか彼もトリガーハッピーな気質があるのが面白くて笑ってしまう。
「なっ、ナマエ、なんで笑ってるんだ!こっちは必死なんだぞ!」
「ふふっ、だって、雷電さんもフォローしてないから、みんな自由に別行動、あはは」
「ナマエちゃぁん」
「オーケーオーケー、わかったわかった」
これ全員トリガーハッピーである。まぁサチはなにがなんだかわかっていないようだが。ということで、横から現れた敵をリボルバーで撃つ。狙った場所から少し上にずれている、ということは振動でズレたと思われるので次はその誤差を修正する。撃つ、装填、修正、とトリガーハッピーをしている周りをフォローする間に感覚を掴む。六発で弾が切れるので、左に持ちかえて、同じように修正する。その間も彼女達の言動は面白かった。だんだん芝居がかってきていて、隊長やらなんやらという称号がつき始め、周りもケラケラ笑っている。たった今セシール隊長がお亡くなりになった。その流れが面白すぎてちょっとずれて撃ってしまったがまぁ大丈夫だろう。
「はー、もうだめ、多分一年分は笑った」
はー、面白い。脱落したサチが口を開く。
「ナマエちゃんも何かやってよ。こう、映画のアクションシーンみたいに」
「無理言わないで。というか何、雷電さんいつのまにやられたの?」
「俺もわからないうちにやられた」
「私達の掃除はナマエ隊員にかかってるのよ」
「えっ、なにそれ……えっ!?なに、みんないつのまに脱落してるの!?」
「ナマエ画面を見て!画面!私達はいいから!」
ちらりと見た先にいたやつをそのまま倒す。
「私一人じゃ無理じゃない!?」
「いける!ナマエ隊員ならいけるわ!」
「隊長、無理です!私一人では作戦続行できません!この任務は破綻しています!」
「ナマエ隊員、あなたが私達の最後の希望なのです。大人にこき使われる夏休みになるかはあなたにかかっているのです……」
「もしクリアできたなら、私達が大学が始まればカフェで一日一つお菓子を奢ります……」
「語学のレポート一人で頑張ります……」
「ナマエが探している文献探すの手伝います……」
「右に同じく……」
「いや別にそれは……」
そんな声に、ぼそり、とアダムスカさんの声が混じる。
「ディズニーワールド。行きたがっていただろう、マイガール。最後までたどり着ければチケットを用意しよう」
その言葉に私は仕方なくちゃんと向かい合う。そうして銃をきちんと構えた。
「あっ、裏切り者ー!私達の言葉にはびくともしなかったくせに!」
「ディズニーワールドには行きたいから、仕方ない」
まあでも真面目に確実にやっても恐らくセシール達が暇だろう、ということで遊び半分にすることにする。
面白いことに、このゲームは跳弾も計算に入っている。と、いうことはそれがどの角度か分かってしまえば隠れているはずの人物にも弾があたる。試しに数発してみたが、難しい。
「……そこから右斜めに25度」
アダムスカさんのその声に修正すれば、跳弾は綺麗に敵に当たった。なるほど、素晴らしい。右斜め25度でこうなるのなら、左15度でもいけるだろうと撃つ。届いた銃弾に、おお、と地味に感動する。
ーーまぁ、あまり目立ちすぎてもダメだと思うので、リロードミスという形でいいところで負けておいたが。ディズニーワールドには行きたいが、周りの視線が一部マジになってきてるのが怖い。やられちゃったと苦笑いしながら言えば、セシールが私の肩を叩く。
ーー花びらが舞う。
「いい奮闘だったわよ、ナマエ隊員!来年の夏休みはパリのディズニーワールドに行きましょうーー」
『ナマエ、来年の夏には一緒に遊園地にいこうか』
目の前のセシールと、誰か知らない男性が混ざる。花が咲く。白い花が。ナマエ?とセシールの声とかぶるように知らない人の声がかぶる気がした。夢だ。白昼夢だ。目を閉じて、夢からの脱出を試みるがうまくいかない。
「大丈夫、ちょっと疲れただけだから」
足音がする。よく知る足音と懐かしい足音がする。
「ナマエ、歩けるな?」
「はい」
「ボス、どうやら発作だ。彼女は部屋に連れていく」
「あぁ、そうしてくれ」
聞いたことがある声だった。目を瞑って、真っ暗な視界だったというのに映像が切り替わるようにそこは白い花畑になる。いつもの夢だ。目の前には男性がいてーー彼は私に向かって銃を向けた。
= =
「犬?犬にしては大きいな……狼?」
ジリジリとにじり寄ってくる狼に少しずつ後ずさる。わん!と声を上げて寄ってきた彼に、小さく悲鳴をあげて目を瞑れれば、誰かに抱え込まれる感覚と、DD待て、という声が聞こえた。衝撃がこない、のでゆっくりと目を開く。目の前で犬はお座りしていた。そちらから視線を見上げる。眼帯をつけた男性である。どこか、既視感がある。そう彼を見上げて首を傾げる。大丈夫か、と尋ねた彼に、はい、とうなずいた。
「悪いな、こいつも悪気があって飛びつこうとしたわけじゃないんだ。君と遊びたかったらしい」
「……いえ……私が苦手なだけなので」
「怖いのか?」
「小さい頃、追いかけられたことがあって……見る分には好きです」
「そうか、ゾンビといい犬といい忙しいな」
彼はそう言ってケラケラと子供のように笑う。なんでそれを、と思ったが食堂であれだけ騒げば聞こえるだろう。
「昨日は大丈夫だったのか?」
「はい、たまにああなります。でも、アダムスカさんがいるとましなんです。昔はそのまま倒れたりもしていたので」
「発作か?」
「みたいなもの、ですかね」
「……君は世界が好きか?」
不意に飛んできた質問に私は彼を見上げる。彼は、あぁ、すまない、突拍子がなかったな、と告げる。私は彼から海を見る。
「よくわかりません。その結論が出るほど生きてないので。でも、恐らく、今まで自分で死ぬことを選ばずに生きてることを思うに嫌いではないと思います」
「世界を嫌うことと自死することは必ずしもイコールじゃないと思うが」
「そうかもしれません。そういう貴方は?」
「なんだ?」
「世界が嫌いなんですか?」
「俺か?俺は……一時期は酷く嫌っていたが今はそうでもない。好きでも嫌いでもない、が今のところの答えだ。世界と自分の命を天秤にかけたらどちらに傾く?」
「哲学的ですね。でも世界に傾くと思います」
「どうして?」
「私のたった一人の命で世界が救われるとは思いませんが、そうすることで誰かの幸せが守れることができるなら私は喜んで命を差し出すでしょうね」
「そこだ」
彼の言葉に私は首をかしげる。彼は、眉尻を下げて、あぁいやすまない、と言葉を濁した。
「俺はその考え方は納得いかない」
「どうして?」
「君がいなくなった後も、残された誰か達が幸せだとは限らない。君がいるから幸せだったのかもしれないだろう。残された誰かは俺のように世界を恨むようになるかもしれない」
泣きそうな顔だった。必死な顔でも、寂しそうな顔でもあった。私は彼がどうしてそう尋ねたのかわからなくて彼を見上げる。
「……貴方はそうされたことがある?」
「……あぁ、昔に」
「……私はその人がどうしてそうしたかわからないけれど、きっと貴方達が大切だったからそうしたんだと思う」
そこまで言って担当医だった人がまとめていたあの夢の資料を思い出す。確か、彼女も世界と自分の命を天秤にかけていた。
「ーーこれは、ただの、私の妄想とか空想の産物だけれど、それと似たことをした人を私は知ってます。その人もやっぱり、周りに幸せに生きて欲しかったからそうしてる。でも、貴方の言う通りだとも思うし、彼女の言動もわかる」
「ーー彼女はなぜ、そうした?」
「……私の知っているその人ともう一人候補にいたみたいだけどね、彼女は自ら名乗り出た。そうすることで誰か達は幸せに生きれると思ったみたい。でも、貴方の言うことはもっともだ。彼女は周りの幸せに自分が含まれているなんておもってない。でも、彼女を擁護するなら、生き急いだのも訳があった」
「わけ?」
「私の知ってる彼女は病気を患っていた。今なら治る可能性は高いけれど、その時代は決して治らない。だから、自分の命をそこで使おうとしたのかもしれない」
まぁ、どちらにせよ、彼の言うとおり感心しない話ではある。黙り込んだ彼に首をかしげる。彼は目を見開いたままであるが。そうして、彼は口を大きく開く。私の腕を掴んで、だ。
「メディック!!パラメディック!!オセロット!!!」
「は?いや?えっ?」
「ボス、なんの騒ぎです」
「オセロット!彼女に検査を受けさせたか!?」
「入院中に一度しているとは思いますが……いえ、そうでしたね。手配します」
==没だと思う
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