2020/07/28

君僕主ifでも続く?3

・順番は思いつき順なので時系列順じゃないとこがある

「怖い」
そう小さくロシア語で漏らしてしまったのは仕方がない。でもそれは恐らく、目の前にいるオセロットにしか聞かれていない。異常にしか写らない。ちらりとこちらをみたオセロットに素知らぬ顔をしておく。元の部屋に戻って息を吐く。逃げる場所なんてないのだから、私はここにいるしかないのだ。ベッドに横たわり、目を伏せる。襲ってこない眠気に本でも読むか、と思っていればノック音がした。
「アマナ、少しいいか」
聞こえてきたのはオセロットの声である。はい、と返事をして部屋の扉を開ける。顔を覗かせた彼は二つのマグカップを持っていた。座るように促されてベッドに座る。彼はマグカップを一つ私に差し出した。中身は恐らくホットミルクが何かだろう。
「ありがとう」
「いいや……顔色がすぐれないな」
「明日、よくなる、」
そう言って笑う。彼は「無理はしなくていい」と優しい言葉を私にかけた。
「……怖いか?俺たちが」
「……すこしだけ、ほんの、すこしだけ」
そう言って足元をみる。でも、あしたには元気になる、と苦笑いしておいた。
「明日、いつもどおり、げんき、なる」
「そうだといいが……よし、わかった、話を聞こう」
彼の言葉に私は彼をみた。なんでも聞こう、と明るい声色で戯けて告げる。まるでピエロのように。
「話せば不安は治るかも知れん。どうだ、話してみろ」
そう言って隣に座った彼はぐしゃぐしゃと頭を撫でた。私はしばらく彼を見つめて、マグカップに視線を落とす。
「……貼る、ポスター、なんだか、へん。ボス、みてる、監視?でも、ボス、そんな人、ちがう。わたし、なかま、うたがう、あまり、すき、ちがう」
「あぁ、そうだな」
「ほうふく、よく、わからない」
ぽつり、と。ぽつりと本音を漏らす。彼はそっと私の手に手を重ねた。
「……マザーベースが倒壊したことに怒りはないのか?」
「わたし、おこる。今も、昔も。でも、それ以上、かなしい。とても、とても」
「かなしい?」
「ほうふく、する、でも、みんな、かえってこない……かれら、のぞむ、ほうふく?……ほうふく、くりかえす、きらい」
私はそう言ってもう一度マグカップに視線をおとす。でも、私が。私がそう思ってしまうのは、きっと。
「でも、たぶん、わたし、うしなう、なかった。だから、みんな、こたえ、ちがう。いたみ、ない。にくしみ、すくない」
「……アマナはみんなが嫌いか?」
そう尋ねた彼に顔を上げる。そして首を左右に振った。
「ちがう、すき。みんな、だいすき!……でも、……たまに、みんな、こわい。みんな、かんがえ、わかる、ない。わたし、こども、だから、りかい、できる、ない?おとな、なる、りかい、できる?」
「……大人になっても、理解できないものは理解できない。ただ、理解しようとするのは大事だ」
彼はマグカップを置いて、両手で私の手を包む。指先が冷たくなっている、と息を吐きかけた彼に私は目を伏せる。ゆっくりと抱き寄せた彼は大丈夫だ、と私の背を撫でた。
「何も、心配いらない。何も」
彼の言葉は、信頼して、良いのだろうか。こうしてるのもきっと私の懐に入り込むためだ。それは何よりも理解している。そういう手順があるからだ。他人を誘惑するのと、他人の懐に入り込む手段はよく似ている。少し離れた体に私は彼に視線を向ける。彼はそっと、私の頬に手を添え距離をゼロにした。

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見つかったそれが何かなんて、理解できた。母親代わりであったママルと再会して私は喜んだというのに、その中に眠っているのがもう一人の母親代わりだなんて笑えない冗談だ。ぐらぐらと足元が揺らぐのがわかる。一歩、後ろに下がり、壁による。気分が悪い。推測でしかないが、彼女は、彼に?でも、どうして。一歩下がる。そこから逃げ出したくなる。ぐらぐらと視界が揺れる。近くにいた赤いベレー帽をかぶった兵士が私をみた。
「アマナ?どうした?顔色が悪いぞーーアマナ!」
その言葉を最後に私の視界は暗転した。

目が覚めたら医療班の部屋だった。アマナ、起きたか、と告げたのは先程の山猫部隊の兵士だろう。疲れが出たのかも知れないし、ゆっくり休めと言った彼に小さく頷いておく。代わりに顔を出した医療班に採血をされた。その後に入ってきたコマンダー三人に私は首をかしげる。
「アマナ、調子はどうだ。いきなり倒れたときいた」
そう言ったボスに私は、げんき!と笑う。笑え、笑うのだ。
「びっくりした、それだけ!」
「……それだけ、だと?」
カズさんが苛立ったように声を上げる。笑え。笑うのだ。
「……なんとなく、かくご、あった……あれだけ、れんらく、ない。おかしい……」
「最後の手紙にはなんと?」
「わたし、へや、つくえ、ひきだし、三段目、ある。さいご、はかせ、てがみ、それと、エメリッヒはかせ、てがみ。いつも、もってた、だから、ある」
「みてもいいのか?」
「なにか、わかる、だから、いいよ。だって、ぼす、わるいこと、しない」
そう信じているからいいのだ。そう笑いながら告げる。彼らは視線を合わせると話は済んだのだというふうに部屋を後にする。私はそれを見送って、自分の掌を見つめた。……震えている。部屋の扉が開き、オセロットが顔を出す。アマナ、とわたしを呼んだ彼は私の手をまた両手で包んだ。
「震えてるな。手先も冷たい……こわいんだな」
「こわく、ない」
「大丈夫だ、俺がそばにいる」
「……うん」
「無理をしなくていい。泣きたい時は泣け」
そう言って抱き寄せた彼に私はちいさく嗚咽を漏らす。あぁまるで告発者だ。堪らなく嫌だ。疑いたくなどないのだ。それを全部飲み込んで、ただただ静かに泣く。彼は大丈夫だ、とゆっくり同じリズムで繰り返す。
「大丈夫だ、アマナ。俺がそばにいる」


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「エリ、そば、いる、おとこのこ、ともだち?」
そう尋ねればイーライは私をみて訝し気にみた。はぁ?と不信感いっぱいに告げた彼に、あかげ、おとこのこ、といえば、彼はだまる。まぁ、目の前にいきなり現れて驚いたのだが。
「わ!すごい!ういてる!」
「ガキかよ」
「エリより、年上!なまえ、なに?わたし、アマナ。どうして、ういてる?」
「……」
「なまえ、ない?なら、つける!赤毛!アン!よろしく、アン!」
そう言って彼の手を持ちくるくる回る。彼は驚いたようであるがなにも返さない。ふむ。ふわふわの赤毛が可愛らしい。
「アン、エリ、ともだち?なかよし、こよし、いっとうしょう?ふふ、うれしい」
「はぁ?なんでお前が喜んでるんだ、意味がわからない。やっぱりおかしいんじゃねぇか」
「エリ、失礼!怒る!」
「勝手にしろ」
「ぶーぶー……アン、エリ、よろしく。わたし、おしごと、いく」
「まだ大人に振り回されてんのかよ。さっさとくたばれ、ロリババア」
「エリ、言葉!アン、エリ、よろしくね」

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「オセロット!」
そう言って障害物を乗り越えて駆け寄る。大丈夫だ、と告げた彼を立たせて、イーライとアンをみる。アンがこちらをちらりとみたが私は首を左右に振った。一緒に行かない。そう念じれば、イーライがこちらをちらりとみる。しかし、なにも発さずに彼らは外に出てしまったが。

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「数字が合わない」
「まさか、だれか、ちゃくふく?」
「わらえない冗談だな、な?ミラー」
「あぁ、まったくだな」

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「コードトーカー、おじいちゃん」
「おぉ、亡霊よ」
「なに、たべてる?ハンバーガー、いろ、ちがう。まずそう」
「いや、これが意外といける」
「ほんと?」
「あぁ。食べてみるか?」
「んん……アマナ、どくぶつ、たいせい、あまりない。えんりょ……ハンバーガー、だれ、もらう?」
「カズヒラ・ミラーに貰ったが……」
「シェイク、のむ、したい、たのむ、つくる、くれる、ですか?」
「シェイクか。頼んでみよう」

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「ナマエは教官派?それとも副司令派?」
「?オセロット、優しい、好き。カズさん、なんだかんだ、優しい、好き。そもそも、みんな、好き!」
笑顔でそう誤魔化したら女性兵士が動きを止めた。というかそこにいた兵士が全員動きをとめた。女性兵士にわしゃわしゃと無言で頭を撫でられハグされる。とりあえずハグを返しておいたが。

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オセロットの服を握る。それに気づいた彼が私の頭を撫でる。起こってしまったパンデミック、発症者は殺すしか対処方法はない。カレはあそこで仲間に銃を向けなければならない。誰も、助からない。まさにその有り様は地獄だった。
ーーその有り様も、燃える棺も、何もかも。私の脳裏にこびりついて離れなくなってしまった。

廊下をうろうろとする。警備以外は寝静まった廊下である。静かだ。だから、海の音と風の音がひどくする。
「……ねれない」
そうぼやけば、後ろから「……だろうと思ったんだ」と声がかかった。マグカップを二つ持った彼は、部屋を訪ねようとしたところだ、と肩をすくめて見せた。
「ここだと俺の部屋の方が近いな……おいで、アマナ」
彼の言葉に私は彼に続く。そうして招かれた部屋で、いつものようにベッドサイドに腰掛けた。マグカップをベッドサイドテーブルにおいた彼はとなりに座る。整った部屋である。私物が少ないのは彼の性格ゆえか、彼の職業ゆえか。となりに座った彼はいつものように私の手を両手で包んだ。
「流石に今日は眠れそうにないか」
「オセロット、はなす、たぶん、ねむれる……そば、いる、ほしい、」
そう言って目線を足元に向ける。彼は静か私を抱き寄せた。
「かなしい」
「あぁ、……そうだな」
「でも、いちばん、かなしい、つらい、ぼす」
「ーー……」
「オセロット、ぼす、たすける、ほしい。わたし、なにも、できる、ない」
「いいや、アマナにもできる事はある。それはおおよそアマナにしかできないことだ」
「わたし、できる?」
「あぁ、いつもどおり、笑っていればいい。大丈夫だ」
「……がんばる」
「無理はしなくていい」

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殺せと湧き立つそこで私は隅でその様子を眺める。演説のような言葉、そうして並べられる罪状。連れてこられた証人が告げる言葉に耳を防ぎたくなる。
「アマナ!」
そう呼びかけられた声に、周りの視線が私に向く。お前には裁く権利がある!と続けたカズさんに、私は動きをとめた。
「俺たちと共にこいつの裏切りでマザーベースが無くなり!声帯虫のパンデミックで仲間を失い!母親代わりを殺されたお前には!引き金を引く権利がある!」
差し出された銃に周りはまた殺せと口々に告げる。待ってくれ!とエメリッヒ博士が叫んだ。
「アマナ、待ってくれ!僕はそんなことをしていない!第一、あの機械だって君を調べるためにいれたんだ!」
私は彼をみる。彼は叫ぶ。
「君の体の機能は死んでいる人間と同じものだ!その状態で生きているなんておかしい!それこそ!寄生虫の仕業じゃないのか!」
知らない。そんなことは何一つ。
「それに、スカルフェイスだって君を知っていた!君こそが!裏切り者じゃないのか!」
無心に、なれ。言い聞かせる。無心に、なれ。周りが黙れと私の代わりに口々に叫ぶ。
「この、裏切り者!」
そう言って彼は私に物を投げつける。私は銃口をそっと、彼に向けた。
「きらい」
「やめろ、やめてくれ!」
そう彼が叫ぶ。周りが、殺せ!と叫ぶ。
「こんな、せかい、きらい」
小さく呟いた言葉に、微かにボスとオセロットが私をみた。そのまま私は素早く銃口を自分に向けた。ばいばい、と笑顔で告げて引き金をひく。とっさに誰かに銃口を逸らされ、銃弾は宙に減り込んだ。
「アマナ!」
「ははは、ほら!ほら!やっぱり!自分が!自分が裏切り者だったから、死のうとした!」
どこか、他人事のように感じる。この人は、何を言っているんだろうか。オセロットが私を抱き込み、落ち着かせようとする。取り出された注射器を見つめる。中には透明な液体だ。腕に刺されたそれに眠気がやってくる。山猫部隊が私を医療班に引き渡すのがわかる。
「……みんな、……きらい……」
次の痛みの矛先はきっと私だ。

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頭がぼうっとする。
「アマナの体の機能が死人当然ってどういうことだ?」
「彼女の代謝はごく僅かだ。体温が低すぎる。生きてる人間ではまず有り得ない体温らしい」
「でも、それは昔からだろう」
「ボス、知っていたのか?」
「あぁ、彼女は昔から体温が低い。検査の数値もでたらめだと聞いたことがある」
「コードトーカー、死んだ人間に寄生虫を寄生させて生き返るなんてできるのか?」
「答えとしてはできん。だが、あり得るとすれば、死ぬ前に投与されたかだ。第二次世界大戦中に、一人そのような男がいた」
「ーーコブラ部隊に?」
「あぁ、名を『嫌悪』という。病弱だった少年は賢者たちに実験的に寄生虫を寄生させられーー蘇生して見せたことがある。頭に銃弾を喰らったとも聞いた」
「その男は」
「葬儀の後、掘り起こさせてもらった。研究のためにな。首を吊ったようであったが……遺体は何もないように綺麗だった」
「息を吹き返さなかったのか?」
「一度な。だが、自分に火をつけて死んだ。その前に寄生虫はあったのだが……CIAに奪われた」
「……その寄生虫、誰に投与を?」
「山猫、答えはわかりきっているだろう」
「彼女には、記憶がない、ありえない」
「脳の損傷を回復させたのだ。記憶障害、言語障害、それに加えた精神年齢の退行など当たり前におこる」
「それでいくと、アマナはボスと同い年なんだぞ!?」
「詳しく調べてみんとわからんが、低すぎる代謝を補うために退行が起こったのだろう」
会話の内容が、よくわからない。喉が、かわいた。近くにある水を取ろうとして動けば目敏く気づいたボスが「アマナ」と私を呼んだ。
「ボス、なに、おこった?」
震える手で彼の服を摘む。それを慣れたように両手で覆った山猫は、「アマナが急に倒れたんだ」と平然と嘘をついた。
「たおれ?」
「あぁ、無理が祟ったんだろう」
「なら、ゆめ?みんな、ゆめ?」
「なんだ、怖い夢でも見てたのか?また手が震えてるぞ」
「……うん……こわい、ゆめ、みた……えめりっひ、はかせ、は?」
「……ヒューイならボートでここを後にした」
「……そう……」
「……お前はアイツを恨まないのか」
「あのひと、かなしい、ひと……だれも、しんじる、ない……じぶん、しんじる、ない……わたし、にがて……でも、ハル、おや、ひつよう。だから、ころす、ない。むくい、きっと、いつか、じぶん、かえる、くる。でも、わたし、ちがう……でも、これ、ゆめ、はなし」
「……あぁそうだな」
「わたし、あした、げんき、だいじょうぶ」
そう言って目を伏せる。大丈夫なのだ、と言い聞かせて。

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・多分mgs124あたりではオセロットといたり大統領といたりする。
・結局オセロットに連れられて半ば山猫部隊として連邦帰還→冷戦終了後はアメリカに多分わたりクラーク博士とこんにちは→結局オセロットといる気がする
・というか、5の時点でオセロットに半ば洗脳されてる(というかあの特殊な閉鎖空間で唯一本音で話せる頼りになる人というのが刷り込みされてる)ためオセロット大好き人間になってる気がする。優先がオセロット>ヒグマ(ジョン)≒DDのボス>カズ、イーライ、マンティス>その他
・多分最後はFOXDIEの影響で心臓が止まる→リキッド・オセロットに燃やされるorエヴァに燃やされるので完璧に死ぬ運命を辿るがやぶさかではない。ドレビンから注釈が入るパターン


「アマナ、どうしてお前は歳を取らない?」
そう尋ねたスネークに、彼女は笑う。
「私は亡霊だから、歳を取らないの」


思えば、この人物について知ることは少ない。オセロットを慕い、常に一緒に行動をしていたイメージはある。また、リキッドと呼ばれた男、マンティスと呼ばれた男とは親しいようであったが、それでもやはり一番彼女が親しみを抱いているのはオセロットと呼ばれた男だ。今はリキッドとなってしまったが、それでも彼女は彼のそばにいる。そんな彼女は、確かに歳を重ねない。シャドーモセスで出会った、あの、少女と女性の中間のような外見のまま変わりなどしない。まるで、スネークと対照的だった。
ーー彼女のあくまで一番は、オセロットと呼ばれた男なのだろう。そして、オセロットと呼ばれた人物もまた彼女を少なからず憎んではいなかったのだろう。だからこそ、モニター越しに横たわる彼女にリキッドが火をつけた時。僕は唖然としたのだ。
「……俺にーーこの姿に殺されることを光栄に思え」
それだけいうと、リキッドは姿を眩ませる。スネークの叫び声に、僕はただ唖然と、映画を見るようにそれを眺めたのだ。


「アマナ・プリーズラグに関することは一つだけ知っている」
「なんだって?」
「彼女は昔から一部の研究者にはリビングデッドと呼ばれていた。なんでも、冷戦期に一度死んだそうだ。体の機能は死者のそれに近い。体温も通常の人より低く、なにより代謝がほとんど発生しない。だから、歳を取らないんだ」
「……なんでまた」
「ナノマシンに近い、が、ナノマシンじゃない。第二次世界大戦中に起用されていた寄生虫の仕業って話だ。だから、本当にころすのならば燃やすしかない。まぁ、もう燃えちまった今や本当にナノマシンの仕業であったのか、寄生虫の仕業だったのかわかりっこない。もしかしたら、リキッド・オセロットと呼ばれてるあの爺さんと年が近かったのかもな」


==ちょっと改変?

オセロットの髪を櫛でとくのがすきだ。長く綺麗な白銀の髪を櫛でとくのがすきだ。アマナ、それは私が君に渡したものだ。自分で使いなさい。そんなことを言いつつ、彼は満更でもなさそうな顔をするのだ。それは今はも変わらない。中身が、リキッド、即ちイーライのものとなってしまっても彼が嫌がる素振りはない。世界を敵に回した私達を世界は蛇はきっと許さないだろう。彼はきっとジョンのために死に、私はボスのためと言いながら彼のために死ぬのだ。彼が私の冷たい指先を温めることはない。今はイーライである彼がそうすることなどない。だから普段人前に出る時は手袋を被せてその体温がバレないようにするのであるが、もうすぐ彼と彼女、私が描いた道筋通りに死ぬのだから気にしなくなった。
「相変わらず死人のような手だな」
そう鼻で笑ってみせた彼に、そう?と笑ってみる。手が耳に当たったらしい。温めてくれたっていいんだよ、リキッド。と、笑ってみせたところで彼は首を縦に振らないだろうが。
「酷いな、そんなに冷たい?」
「手袋をしていろ」
「はいはい、わかりました、ボス。気をつけます。最後にはあったまるからいいんだけど」
そう言って櫛をしまい手袋をはめる。じゃあ元気に行ってみよう、と笑えば彼はもう一度鼻を鳴らした。


ナマエ・クラウディアは原初の蛇達に育てられ、二番目に生まれた裸の蛇に殺された。私の中にあったはずの記憶は、まるで、消しゴムで消されたかのように消え、残っているのはアマナという亡霊としての私だけだ。そうして私は最後の蛇にまた殺される。自分の死体は燃やさなければならない。必ず。目の前にいる蛇に笑う。この先でのたれ死ねば私は高温で熱されて死ぬことになる。我ながらいい場所に身構えたと思うのだ。だから私は能天気に柵にもたれかかって懐かしい歌を口ずさむ。そこにやってくるのは恐らくスネークだけだ。それ以外はさくっところすしかない。足音がやってくる。静かな、這うような、足音がやってくる。
「……アマナ?」
そう告げた彼に私は街にいるティーンのように顔を上げた。こんにちは、ソリッド、とあまり馴染みのない呼び方をする。彼は銃口を下げて口を開く。
「アマナ、そこを退いてくれないか」
「やなこった」
私の言葉に彼は息を吐いた。
「アマナ、遊びじゃないんだぞ」
「愛国者達は世界を一つにした。きっと世界が一つになったら平和になる、そう思ったのかもしれない。他者とナノマシンで繋がることで、言語を使用することなく、一つになる。そんな意図があるのかもしれない」
そう言ってもう一度首を傾げる。何か恐らくある。エメリッヒ博士の、ハルの機械だろう。
「スネークは、エメリッヒ博士は、この世界が好き?一つになった世界が、好き?だから、この世界に混乱をもたらすリキッドを止めたいの?」
「好きや嫌いで測る話じゃない。これは個人的な殺しだ。そこに世界なんて考えはない。お前はどうなんだ、アマナ。何故リキッドに加担する?」
「なんでだと思う?」
「質問を質問で返すな」
「私はリキッド達は好きだよ。好きなものの味方をしてはいけない?」
足元についた銃に触れる。彼は眉間にシワをよせた。
「スネーク、私はこんな世界、大嫌いだから、世界を守る君が邪魔だ」
「アマナ?」
「十分あれば全て片付く」
十分。そう、十分あれば彼の持つ病原体ともナノマシンが私を蝕む。
「ーーそう、敗者が世界の為に消えるんだ。最高の」
ここに来て、彼女の記憶が顔を出すのだからまいったものだ。私は拳銃にナイフを装着する。
「スネーク、最高の10分間にしよう」



寒い。そう思いながら彼を見上げる。彼は静かに私を見下ろした。私はゆっくりと立ち上がる。彼は銃を構えたが、私は彼にゆっくりと背を向ける。そうしてその部屋の扉を開ける。熱を感じる。
「……オセロット、わたし、もう、てぶくろ、いらない……さき、……おやすみ……」
心臓がいたい。手袋を外して手すりを握る。アマナ、とスネークが声をかける。私はそれに笑みを浮かべーー叫び声、意識の消失と共にその熱源の世界に落ちた。


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