2020/08/05
蛇一家の長女になる 没
そもそも失敗作でしょ!と私は自分で思うのである。いや、リキッドソリッドで私って。まぁ体は丈夫で遺伝子的には強いかもしれないが?中身は元日本人の私である。戦闘とかあんまり好きじゃないわ。大人しく教わるけど。まぁけどいろんな言語を教わるのはいいことだろうけども。
そんなこんな、6歳児なう、だ。兄弟がいるだとかビッグボスが実は父親だとかそんなことを冗談でしょHAHAHAで済ませていた私である。そもそも私の養父母はどんな立ち位置なんだろうか。
そう子供ながらに思っていたのですがね。この度養父母から父母に引き渡されることになったらしく。私はガチ泣きした。実の親とか知るか、私はこの二人が両親だ!と子供言葉で言ったが養父母にガチギレされて送り出されたでござる。解せぬ。大人不審になる。私は引きこもることに決めた。三つ子だかなんだか知らないが、上二人の同い年よく似た野郎ども(またの名を主人公とライバル)も暴れるし、ぶっちゃけ父親認知してないんじゃないですか!人間不審になる。というか理不尽すぎる。じわりと浮かんだ涙に、おうちかえるー!と口を開けば、そこにいた大人たちは私をみた。喧嘩を巻き込んでいた二人も動きを止めた。
「ナマエ、おうちかえるー!もうやだー!」
キレている。マジギレである。この家族やってらんねぇ。そう言いつつ部屋を出て行く。ぐすぐす鼻を鳴らし、養父母に買ってもらった小さなポシェットにちょっとしたお小遣いとお菓子を詰めて首から下げ、そのまま外に出た。しばらくしたら帰ってくるだろ的なセリフ?聞こえてますね。意地でも帰らねえからな。
バスと電車を乗り継ぎ結構遠くまできた。やってらんねぇよちくしょう、とチョコバーを食べる。ちなみにお巡りさんや心配して声をかけてきてくれる人には片っ端から「おばあちゃんの家にいくの!」と具体的な場所を示しているため親切で送ってくれたりする。人間すてたもんじゃないな。ちなみに目的地である養父母の家は空き家になってた。解せぬ。不本侵入しよう。と、ドアノブに手を伸ばそうとした瞬間、ナマエ、という声が聞こえた。振り返るとあれまぁオセロットさんである。くそう、顔がいい。
「ナマエ、帰るぞ」
「ナマエのお家ここだよ」
そう首を傾げれば彼は私の目線に合わせて屈む。
「違うだろう?ナマエのお家はあそこだ」
「ナマエのお家はここだもん」
「みんなは待ってる」
「ナマエのだっどとマムはお出かけ中みたいだよ」
「……みんな心配してるぞ」
「うそだ、あの人達ナマエを家族って思ってないよ。きっとたいせつじゃないよ」
じっと彼をみてそうつげる。彼から笑顔が消える。
「あのふたりも喧嘩ばっかりで、ナマエがきらいみたいだし。ナマエ巻き込まれるし、ナマエは痛いのきらいなのに、ひどいことばっかり。エヴァさんだけだよ、優しいの。だから、たくさんたくさんがまんしたけど、もうがまんできないから、かえってきたの」
一応はそう説明してみたが、どうなることか。彼はため息をついて、私を抱き上げる。無理やり連行か。
「やーだー!」
「そうか。ついでにお嬢さんが行きたがってた水族館に寄ろうと思ってたんが」
ぐう。アメリカの大きな水族館のことだろう。絶対興味ないからあの家族で行けないと思っている場所であり、お小遣いをためていたのはだからである。仕方ない。今回の旅費(?)で結構つかった。彼の服を握り口を開く。
「……いく。オセロットとでーとする」
「ん゛っ」
なんか変な声聞こえたと思ったけど無視をしよう。
イルカショーも堪能した上にデカイぬいぐるみまで買ってもらえた。めちゃくちゃ嬉しいため、ありがとうオセロット!とはちゃめちゃに笑顔で告げたら、喜んでもらえたら何よりだ、と彼はさらりと告げた。あとは車で爆睡して起きたら自宅となった場所だったが、ぬいぐるみはまだそこにあった。朝一にみつけたぬいぐるみにニコニコしてしまう。うへへ、私の身長の半分ぐらいあるぜ。次は動物園に連れて行っともらうと約束した。ここでの生活はもうしばらく我慢しよう。
ちなみに父親であるビッグボスとは動物園で打ち解けたのだが、まぁ、内容は察して欲しい。
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シロツメグサの王冠作ってオセロットにのっけたら絵になるのでは??ということで私はシロツメグサの王冠を作ることにする。メンズはなんかマスターミラー達巻き込んでギャーギャーしてるから気にしない。たまに向く視線も気にしない。
「ナマエ、何してるんだ?」
「お花の冠つくってる」
休憩がてらだろうか寄ってきたデイヴィッドにそう答える。完成した少し歪な冠を乗せる。可愛くない?超可愛い気がする。
「似合ってる」
ちなみに爆笑したイーライはラプンツェルの如く髪に花をあしらえながら結った。無駄な技術である。
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「え、いやだって私オセロットと結婚するし」
恋愛が面倒くさすぎてたまにそういうのだが、三男であるはちゃめちゃに可愛い弟(今は年齢が逆転しつつある)ジョージが真似をして「ナマエと結婚するから」とかいうようになった。可愛いの極みという話は置いておいて、私がそういうのはオセロットが本気にしない事を前提で言うのである。今は相手は困った顔するだけだし。
「毎年私がプロポーズしてるのご存知ない?」
「アイツに彼女がいるかもしれないだろ」
そう言ったイーライに、四六時中家にいるのに?と思ったが、よくよく考えてみるとありえない話ではなかったはずだ。
「今気がついたみたいな顔をするな」
「私めちゃくちゃ彼女さんもしくは奥さんに喧嘩売ってるな!?」
今更である。今更であるが。
「ナマエ、安心しろ。アイツは独身なおかつフリーだ。お前が贈ってる指輪も机に飾ってる」
「えっ、独身フリーはともかく飾ってるの可愛いな?最近めちゃくちゃ困った顔されるからどうなんだろうと思ってたけど」
「お前年齢を考えろ。そろそろ子供じゃないんだぞ。そんな年齢の子にプロポーズされてみろ」
「えっデイヴィッド年下無しなの?」
「そんな、話は、してない!」
グーが降ってきたが避ける。
「というかお前なんでオセロットなんだよ」
「あら?ご存知ない?私昔来たとき脱走して実家帰ったんだけど迎えに来たのオセロットだったんだよね」
「はぁ?」
「そのあと水族館まで連れて行ってくれるし、ぬいぐるみ買ってもらえるし普段何考えてるかわからないけど最高だこの人信頼しよって思った。ちなみにお父さんとの馴れ初めは動物園でゾウが食べれるのかどうか美味しいのか談義したことだから」
「……よく覚えてるな」
「そう?」
コテン、と首をかしげておく。いやぁ、記憶が消えないってばれたくないから言わないけども。ちなみにジョージが先に私がカメラアイで記憶が消えない性分なのを気づいたのでジョージは知っている。
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「オセロット、結婚しよう!」
「またか……」
そう言った彼の指に私は指輪をはめる。もちろん玩具の指輪である。無駄に高いものだと余計に困るだろうしな。周り(父の部下)は微笑ましく見守っている中彼はため息をついた。困り顔だ。彼氏をつくれ、と頭に軽くグーを落とした彼は指輪をはめたまま去って行った。くそう。
「大人を、揶揄うな」
そうこちらを叱ったオセロットにしゅんとする。からかってはいないのである。迷惑とまでいった彼に私はとても落ち込んだ。くそう、もうオセロットの顔なんて見たくない。そうぐすぐすしてたら拉致られました。何を言ってるかわからない?たぶん教師が睡眠薬いれたんじゃないかなぁー、ぐっすりだもんなぁー、これ家族にはオセロットのせいでいなくなった説がでるじゃん。不本意です。もしや父親関係だろうか。足枷とか手錠とかつけられて麻袋とか被ってるし。
並に拷問並みのことに耐えれる私凄くない?もう疲れたけどな。あらゆる暴力してくるくせに愛だのなんだの口説くのだから笑えてくる。麻袋外されたけど完璧密室だし動けない。まぁ時間は相手が教師だから若干わかるのだが。
私が持ってるコロンの匂いが好きだから、抱くならそれつけてと言ったので相手がそれをつけるようになったぜ。ちなみにそれはオセロットさん愛用のコロン(まぁ彼はだいたい無臭だが、私と出かける時につけてる)は非売品で独自に調合されてるらしい。何が言いたいかって?それで兄弟気づかないかなっているあれだ。そろそろ気力体力共に限界だ。父親にテレパシーいけるかな?と思ったけど無理だった。テレパシー能力ないしな。ちなみに初期にスマホだけ奪いオセロットさんに電話したことあったが、スマホ潰されました。解せぬ。外界との通信もできない場所だ。最初窓ある部屋だったけど、sosしたけど無理だったぜ。今は完璧窓がない時間がわからない場所にいるし、たぶん怪我で歩けない気がする。心が折れた瞬間死ぬと思うので、頑張るけど男性恐怖症になりそうだ。
意識が朦朧としている。首絞められてるからもそうだが、多分限界が近い。最近視界がはっきりしない。上に乗った彼はもうほとんど反応を返さない私にご立腹である。静かに彼の背後から光が漏れる。天国へのお迎えかと思ったが、どうやら違いそうだ。警察だ!と叫んだ誰か達に、彼は私から視線を彼らに向けた。それを押し除けてやってきたのは父親だろうか。
「ナマエ、大丈夫か!」
「と、さ、ん?」
「あぁそうだ。今外してやるからな」
そう言った彼は何かに気づき動きを止めた。力が入らない足を見たのかもしれないし、傷だらけの体を見たのかもしれない。顔殴られてたから顔の変形もありえる。まぁ、抱き上げた父親に私は安堵し、意識を失うのだが。
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「ミイラ男ならぬミイラ女だと思わない?」
あんまり深刻な顔をされたのでそういえば「そういう問題じゃないの!」と叱られたのだが、気にしない。犯人は地に落ちろ。ははは、といつもの調子でいえば周りは勝手に私は大丈夫だと安堵するのだ。父親はなんともいえない顔をしているが。どうやらやはり兄弟が最初に気づいたらしい。コロンの匂いで気づいたと兄弟に変わって説明した父親に、私はリンゴを受け取りつつ声を弾ませてつげる。
「あぁ、それ、相手に私がつけてって言ったの。そうしたら兄弟のうちは誰かが気付くかなって」
しゃくしゃくとリンゴを食べる。他の方法はなかったのか?と告げた父親にニコリと笑う。
「全部試したけどダメだったから」
「ーーっ……」
「最初脱走したけど連れ戻されて足をつぶされて、スマホで連絡しようてしたら壊されて、窓から他の人に助けを呼んだら警察来たみたいだけど追い払われて、部屋が移動されて、モールス信号はずっと続けてたけど、誰も家に耳を済ませたりしないし、どうしたものかなって思ったらうかんだ。でも滅多なことしない方がいいね、あの匂い、好きだったのに、今は受け付けなくなっちゃった」
笑っとけ。ははは。どうにかなるさと笑っておけ。ははは。ポロポロと流れた涙さえも、笑っておけ、と。父親がそっと私に目線を合わせる。ナマエ、と私の名を呼んだ彼に、私は小さく言葉をこぼした。
「助けて」
助かったのに、何を言っているのか。でも堰き止めてた言葉は決壊したダムから流れる水のように止まらない。
「助けて、お願い、誰か助けて、怖い、痛い、どうして酷いことするの、お願い、助けて、いたい、こわいよ、ひどい、わたしはあいしてない、ここからだして、」
記憶が、鮮明に、繰り返す。父親が落ち着かせようと私に手を伸ばす。私の体はそれをはたき落として近くにあったナイフをかまえた。父親はかの教師ではないと冷静な部分は知ってるというのに。
「わたしにさわらないで!!」
父親が手慣れているな、と思うのはパニックに陥った相手の対処を知ってるからだ。ゆっくりと武装を解除させた父親は、「ナマエ」と小さく私を呼んでハグをした。暴れる私に彼は言葉を紡ぐ。
「ナマエ、待たせたな、助けにきたぞ」
「……っ」
「随分怖い痛い思いをさせた、悪かった。でももう大丈夫だからな」
「ふぅっ……」
「もう大丈夫だ」
そう繰り返す彼に私は泣く。怖かったのだと訴えながら泣く。大丈夫と繰り返した彼の服を片手で私は握った。
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「いや多分大丈夫、大丈夫。兄弟くらいはいける、うん、いけると思う。いけるはず。いけると思いたい」
近づく男性恐怖症である。ジリジリと寄る三人に、前世で見た映画を思い出した。メッ!!!!ちなみにたまに父親にも発揮されるしもちろんオセロットにも発揮する。いや私のライトな部分はいけるんですよ。でも手は震えるし、声が震えるんですよ。見かねたオセロットが部屋を出るんですよ。何これ辛い。ちなみに私は片足を失い、左手の薬指を失いましたとさ。傷跡ややけど跡もきえないぜ!薬指はなんか知らないけど、薬指は壊死させるくらい糸だか紐だかて血液止められてたらしい。アサシンごっこが楽しめるね!!足に関しては義足作ってくれたのでリハビリ兼義足に慣れてる感じだ。もう人並みに走れるんだぞ。父親譲りの運動神経なめんなよ。
「おい段々下がってるぞ」
「葛藤してるんだよこのやろう」
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事件から一年たったわけですが。見知った仲ならだいぶ大丈夫なったのであるが。
「だって、オセロットにはこんなボロボロになった人間よりももっと美人で綺麗な人の方が似合うと思うんだ」
だから、今年からはないでーす!私は生涯独身つらぬきまーす!
そう笑って告げれば、オセロットふくむ周りがピシリと固まった。じゃあねー、と手を振ってその場を後にする。いやだって事実そうだし。何にも知らない人からしたらなんでこいつ顔面にやけど後とか切り傷とかあんの?って思うだろうし。ボスの娘なのにブスって言ったそこのあなた!正解でーす!!身体中にそんなあとがありまーす!だがしかし明日の自分かもしれたいから気をつけてなー!!
「やってられない」
そう小さくぼやいてそこを後にする。プロムのために綺麗なドレスを?そんなものに出ても奇異な目で見られるだけなのに。
何が好きでパーティーにいかねばならんのだ。いや軍の偉い人がいるパーティーらしいけど。ムーッとしていれば母親に怒られる。まぁ、長袖で丈が長いドレスである。スパイごっこが楽しめるね!!まぁ第一発見者がイーライである時点で第一声はわかるよな。
「まごにも衣装だな」
「イーライは半裸じゃなくていいの?イーライの勝負服半裸コートでしょ」
「あぁ?」
「ちょっと喧嘩しないの、時間ないんだから。ナマエ、今日は髪の毛や化粧はオセロットにやってもらいなさい」
「……はーい」
私がやると雑なのバレてラァ。鏡の前でスタンバイしてたオセロットに、髪の毛とメイクおすすめでお願いしまーす、とつげる。彼はため息をついたが。
「自分でもできるだろうに」
「雑なの見抜かれてるから」
肩を竦める。
「長袖のドレスにしたのか」
「お母さんが買ってきた。でも長袖でよかった。醜いところ見せちゃうし。あとは顔面だけだ」
「ナマエが醜いわけないだろう」
そう言った彼は髪をなれたように整えていく。
「君は綺麗だ」
「お世辞でも嬉しいよ、ありがとう」
私の返答に彼はため息をつく。まぁ、そこからパーティーが嫌だとごねてたら髪の毛のセットがおわり、メイクするために黙ったが。
「ナマエ、目を伏せるんだ」
そう言われて目を伏せる。むぅ、アイシャドウとアイライン。後は口紅を塗られーー、何か首筋にチクリとした感覚がした。オセロットの手が顔に触れたため、ゆっくり目を開くと至近距離にオセロットの顔がある。まぁすぐに笑顔で、さぁ、できたぞ、と言われたが。
「あぁ、最後に」
彼はそう言ってネックレスをつけた。ネックレストップは摘み上げたら銃弾っぽいものだった。
「銃弾?」
「あぁ、よく似合う。さ、行くぞ」
壁の花ごっこをする。喋りかけてきた偉い人には笑顔で応対し多少話して逃げる。父親か母親、もしくはオセロットや兄弟達のとこに行きたいが向こうも向こうで絡まれてるんだよなぁ。と、レモネードを飲んでいれば隣に誰かが来た。帽子を目深に被っている。
「お一人かな?」
「まぁ……」
スネイプボイス!その外見は!スカルフェイスさんじゃあないですか!私は内心そう思いながらニコリと笑っておいた。
「ミスターは?」
「生憎私も一人でね。君は見かけない顔だが、本当に軍部の人間かね?」
「まだ高校生です」
「と、いうことは誰かの家族か。すまないね、君の傷を見て何処かに属する兵士かと思ってしまった」
「ははは、すいません、ややこしくて」
「家族に?」
彼はそう言って私の傷を指でなぞる。私はその手を阻みつつ答える。
「いえ、ちょっとした事故というか事件というか……貴方のは?」
「私のものもちょっとした事故というか事件というか、そんなものだ」
彼の言葉に、ほお、と思う。醜いだろう?と告げた彼に、私は首を左右にふった。特に醜いとは思わないというか。彼の場合、仕草が紳士的なのだから余計にそういう感情は抱かない。
「貴方の仕草は決して暴力的な感じゃないので、そうは思いません」
そういえば彼はフッと息を吐いた。擬態してるだけだ、と告げた彼に、私は向けられてる感情や仕草でしか判別できないので、と告げておく。醜いと思うのはあの教師のように私に向けられる恋愛感情と暴力的なものだろうか。そちらの方が怖い。何をしでかすか分からないからだ。
「変わったお嬢さんだ、さそがし育ちが良いんだろう」
「ーーナマエ!」
手を引かれる。おっと、と避けた彼に、私を背に隠した父親をみあげる。
「スカルフェイス、俺の娘になんのようだ」
「……ほう?ビッグボスの……」
「父と知り合いですか?」
「まぁ、そういうところだ」
敵対してるんだろうか?と首をかしげる。いまだに警戒する父親の腕を叩く。
「この人悪い人じゃないよ。私が一人でいるのを気にして声をかけてきてくれただけだから」
私の言葉に二人は目を見開いた。笑い声をあげたスカルフェイスは、背を向ける。では、何も知らない変わったお嬢さん、と帽子を深く被った彼は人混みに消えた。
「何もされてないか?」
「だから喋ってただけだよ。醜い?って聞かれたから醜くないって返してただけで。私も似たようなものだし」
肩をすくめれば父親は大きくため息を吐いたのだが。てっきり穏やかな世界かと思ったら違うらしいぞ。でもまぁ私を軍関係に連れてくる気はなさそうなんだよな、親兄弟は。
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「ご令嬢は将来は何に?」
当たり前に軍にくるだろうというていで聞かれるの本当に笑える。小さい頃はお嫁さんとハート付きで言っていたがもうハイティーンだからやめる。いや、本当に将来何になろうか。ちなみにジョージは大統領と答える。マジでなる気である。
「……娘の将来は娘に任せる」
「我々はいつでも歓迎しますよ」
「ありがとうございます」
ニコリと笑っていきすぎるのを待つ。その背中を見つつ口を開いた。
「私が傷物なの知らないなあの人」
「ナマエ」
軽くチョップを落とされる。痛い。父親は葉巻に火をつけて口を開いた。
「で?」
「で?」
「将来はどうするんだ」
「まだ考え中です」
手でバッテンを作ってそういっておいた。
==
「は?」
そう首をかしげる。父親の職場である。どうした?と聞いた父親に、さっきの人誰?と聞いた。
「この前パーティーであったろう」
「いやいやいや、会ってないあってない」
そういえば父親達が若干怪訝な顔をした。リキッドが「お前頭までやられたのか」みたいなことをいった。いやいやいや、この人らなにいってんの。ジョージだけが「面白いことになったな」とつげた。
「ナマエ、どこが違った?私は全く分からなかったが」
「えっ?あぁー、あぁーそういう、そういうことね。私とジョージでよくなることね」
「そういうことだな」
二人でなるほどー、と納得していれば他が余計に怪訝な顔をした。嫌だってこれ説明するとめちゃくちゃ面倒なんだよな。
「気のせいにしとくね」
「……いつもならそうだな、というところだが、ナマエ、今回はそうはいかないぞ」
ですよねー、と言いながら肩を落とす。母親が腰に手を当てて首をかしげる。
「ジョージ、ナマエ、二人で納得しないの。それに、ナマエ、この前あったでしょう?」
「……いやだって、あの人、前にあった人と雰囲気似せてるけど、顔のパーツの位置は似せてるんだけど違うし、黒子の位置が完璧にズレてるしなんで言ったって利き足逆だから違う人だと思う。前は左から足を出してたのに今日右からだったし。だからよく似た誰かだと思うな」
そう説明したところで、な気がするのだが。困った顔をした私に父親が部屋を出た。しばらくして銃声聞こえたんだけど。オセロット達が飛び出していく。まぁ、父親が捕まえてきたんだけども。
「何するんです!」
「おしい!声半トーン違いますよ、ミスター。あと、よくよくみたら顔似せてるけどやっぱり黒子の位置が違うし、唇の感じも違うと思います」
そう言う。まぁ何いうんだ!と言われるんですけどね。
「貴方の利き足はどちら?」
「利き足?」
「立ち止まった時に踏み出す足です」
「……」
「わからないなら歩いてどうぞ?」
父親が歩きやすいように手を離す。彼は動きを止めた。そうして手を口元に覆った。
「なんで手袋をつけなかったんです?」
「な、に、を」
「だって隠せないでしょ。手。貴方、爪を噛んだあとがない。貴方の小指のそりかたとミスターストレックの小指のそりかたがちがいます。もっと言えば彼の手にあったペンだこがない。だから貴方は違う人だと私は思うんですけど、どうでしょう」
「でたらめだ!」
そう右足を踏み出した彼にほらね、といったところでなのだが。
「全部この女のでたらめだ!」
「まぁそうなりますよね、私は一兵士な訳ですし。ボス、すいません、私の思い違いかもしれません」
「ビッグボス!貴方の部下の女兵士、しつけがなってないぞ!私に対するこの行いは侮辱だ!軍法会議にかけてやる!」
「ひぇっ、それはやめてください」
そうニコリと笑って両手を上げた。オセロットさんとカズヒラさんが逃げ道をなくした。
「貴方がこの前お会いした人と別人だって自ら言ってるようなものじゃないですか!」
「なにをーー」
「残念ながら、こいつは俺の娘だぞ。きちんと紹介したはずだが?」
「ーー」
動きを止める。目を見開く。銃を取り出そうとした彼は問答無用で叩き落とされて気絶した。父親が私を手招く。
「ナマエ、なんでわかった?」
「いや、だから説明した通りですけど……」
「覚えてるわけないだろう、そんな細かいこと」
「残念ながらナマエは覚えてるぞ」
「は?」
「私が知ったことじゃないが、ナマエは今まであった人物を全員覚えてる」
涼しい顔で言ったジョージがまだ言おうとしたので止めた。
「いやあっはっは、まさかそんなたまたまだよ」
「たまたまでできることじゃないわ、ナマエ、カメラアイなのね!」
クラーク博士がそう言って私の手を包む。私はやんわりほどき、ジョージに隠れる。
「カメラアイ?」
「瞬間記憶能力のことよ。原理はわかってないけれど一度見たものはどんなことでも忘れないの。人物だけじゃないわ、今まで行った場所も行動も細かい物の配置も本の中身も!全て鮮明に覚えてる素晴らしい能力なのよ!」
まぁ裏を返せば忘れられないということなのであるが。父親が気づいたのか私を見てから口を開く。
「ーー待て、裏を返せば忘れられないということじゃないのか?今まで起こったこと全部」
「ーー私人の顔は覚えてるけど他はそうでもないから気にしないで」
嘘である。ひらひらと手を振る。完璧なカメラアイじゃ無いと思うと続けた。
「完璧なカメラアイなら、テスト満点ばっかでしょ」
わざと手を抜いているのであるがわかるまい。ジョージが察してそうだなと頷いた。少し残念そうにしたクラーク博士に私は内心ため息を吐いて気絶してる男の人を見た。
「この人どうするの?」
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これは幻覚だ。目の前にいる男は目を瞑っても消えない。首に手を伸ばした彼に、私はその手を止めようと手を伸ばす。首に負荷はこない。息苦しくも無い。幻覚だ。フラッシュバックだ。オセロットがナマエと呼んだようであった。景色が切り替わり、家のキッチンにかわる。たまに起きるそれだ。よく一人の時やジョージの前でなるのだが、今日はオセロットの前だった。やってしまった。
「ナマエ、なにしてるんだ」
「……なにも?」
手を下ろしながらいう。彼は変なポーズを取っていたがと告げる。いやうん、いない相手を押してたのだから仕方ない。彼は笑いながら告げる。
「まるで、誰かを押しのけてーー」
そこで彼は言葉をとめる。私は苦笑いして首を傾げる。瞬きをすればまた景色が切り替わる。あの男が私の目の前にいる。見つけた、と、手を伸ばした彼に私は足を後ろに退かせた。夢だ。白昼夢だ。フラッシュバックだ。かわることがない結末だ。恐怖と向き合え。
「ナマエ!」
そう声がしてまた景色が切り替わる。目の前にいるオセロットに、ちょっと疲れてるだけ、とかえす。大きく息を吸って、気合を入れる。平気だ、といったが彼は手を離してくれそうもない。最初に見た記憶より年を重ねた彼はその端正な顔の眉間にシワを寄せた。
「フラッシュバックしたのか?」
「ははは、」
「誤魔化すな」
そう怒った彼に私はいきをはく。
「覚えているだな。全て」
「……うん、まぁね。忘れられないみたい。でも大丈夫、今日みた記憶は逃げて首を閉められるとこだったし、まだまし」
ははは、と笑う。無理やり襲われた記憶じゃないだけ、まし。
そうこぼしてやんわりと手を離させる。気持ち良くもなんともない。同級生はやれ恋人とキスしたのだのセックスしたのだのいうが、私に取っては気持ち悪いものに成り果ている。恋愛感情さえもだ。記憶が消えない。だから私に取ってそれらの認識は変わらないのである。
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