2020/10/15

↓別のif軸 タイトル未定1

→生まれ変わったら一人だけ他人だった夢主と花森時々持田
・書き進めてから気づいたけど×圭悟○圭悟

そもそも、私はもう赤の他人であるし、あれだけ夢中だったサッカーも観る側に変わってしまった今、彼らとの接点はもうほとんどなかった。もうほとんどない、というよりはないと断言してもいい。言うなればテレビに映るアイドルとそれをテレビの前で応援するファンである。幼馴染みでもなんでもなく、またサッカーをしているわけではない今の私にとって二人はただの雲の上の存在だった。毎年初詣で持田選手の足がマシになりますようにだとかいう願掛けをするのが年初めの私である。今年は花森選手と持田選手、二人揃った姿を代表選で観れますように、と絵馬に願いを託す。私が覚えている内容とほんの少し違うのだから、叶えてくれてもいいと思うのである。頼むよ、神様。そう呟いて絵馬をかける。となりにいた人がちらりと私の絵馬を見て固まった。なんだ、と私もその人を見上げる。わぁ、と漏れた言葉は仕方がない。いやだって花森選手がそこにいたからだ。私はやんわりと、応援しています、と告げる。彼は余計に固まったが。
「はやく二人揃ってのプレーが見たいので」
そう告げるだけ告げてそのまま場所を後にする。またサッカーのこと願ってる、と呆れたように告げた父親に私は苦笑いした。そのあとで、サイン貰えばよかった、と気づくのであるが。


いやなんだこの集まり。読モやってる友達に連れてこられたのはどう見てもサッカー選手との合コンです。ありがとうございます。まぁ人が一人来れなくなったからヘルプだと言われてきたが、なんというか、うん、これは無理だ。どう考えても私は周りをよいしょするための人員である。女子力アピールを欠かさず、虎視眈々と獲物を狙う肉食獣達を他所に私はテレビに映っているサッカーの試合をチラ見する。どっちかというとサッカー見ながら飲みたいのが本音である。向こうに加わりたい。まぁ場を盛り下げてもいけないのでそこそこ参加したり会話に加わるが。まぁしかしながら、ほら、私はサッカーを見たいわけでして。なんやかんや席替えをして私の隣に座る花森選手もこちらをチラチラ見るけど黙っているわけでして。なので盛り上がる周りをよそに私はテレビを指差した。
「花森選手はどっちが勝つと思います?」
そこで遠くのテレビに映るサッカーの試合に気づいたんだろう。同じようにテレビを見た。
「個人的にはミラノダービーのチームは双方好きなんですが、インテルに勝って欲しいんですね」
「……前にも思ったが、サッカーが好きなのか?」
「好きですよ。見るだけですけどね」
そう彼を見て笑う。彼は「プレーはしないのか?」と不思議そうに首を傾げた。
「うーん、昔はやろうと思ってたんですけど、親がやっちゃいけませんって言われてそのまま今ですね。いつも楽しそうだなって思ってテレビを見てます。サポーターの応援も、プレーする選手も」
本当はスタジアムに行きたいのであるが、いかんせん今世の私は体が弱い設定が付属されており、両親はひどく心配症なのだ。サッカーの応援、サポーターに紛れると結構動くしね。
「花森選手、持田選手とサッカーしてる時がなんだかんだ楽しそうだから、一ファンとしてははやく一緒にサッカーしてるところみたいですね」
ふふふ、と笑えば彼は目を瞬いた。うーん、相変わらず可愛いな。ハナちゃんはやはりハナちゃんなのである。まぁ、結局は持田選手の足の具合なんだろうけども。私はドリンクを手に持ちながら彼を見た。
「やっぱり、サッカーは楽しいですか?」
「……あぁ、とても」
その表情は昔となんら変わらないのだから、私は嬉しくなってまた笑ってドリンクを飲んだ。そのまま二人で無言のままミラノダービーをガン見する。いや共通の話題ないのもあるが、別に居心地悪いわけじゃないし。いや、チラッとみた友人はほら他の選手に夢中だから、こっちに構ってないから。テレビに映る見事な連携に、私は口を開く。
「あのパスが通るんだもんね、やっぱり上手いなぁ」
「……俺の方がうまい……」
「知ってる」
ついだ。夢で見る昔のように返してしまった。苦笑いして彼を見上げる。彼はキョトンとしているが。花森選手の前に座っていた古谷選手が私達の視線を辿ったんだろう。目をパチパチと瞬いた彼は私に声をかける。
「あぁ、二人でなに見てんのかなって思ったらサッカー見てたのか」
「はい、ミラノ・ダービーです。帰ったら録画してるのを見ようと思ってたので出先で見れるなんて幸先いいです」
「ははぁ、サッカー好きなんだ」
「はい、スポーツで一番好きです」
「国内リーグは見ないの?」
「見ます。マリナーズの試合も見ます」
「も?」
「古谷さん、この子なんか知らないけど全試合制覇するくらいガチだからヤバイですよ。朝から夜までサッカーばっかり。スタジアムにも行かないのに」
友人がそう言って笑う。行きたくても行けないんだってば。プレーもできないしな。
「スタジアムに来たらいいのに」
「親が過保護なんですよ。友達との飲食はいいんですけど、スポーツ系はダメなんです。おかしいと思いません?」
「破産するのが目に見えてるからじゃない?」
カラカラと笑った友人に、言い返そうとして、いや、と動きを止めた。
「えっ、否定しようと思ったけどありえる……スタジアム好きにいっていいよって言われたら国内どころか日本代表追いかけて世界中飛び回る可能性がある……」
「えっ、ナマエやめて……そんなマジレスが来るとは思ってなかった……普通に引く」
「私も私自身で引いてる……えっ、ちょっと待って、私の人生そんなにサッカー占めてたっけ」
そうちょっと考える。いや前の人生ほどはサッカーにかまけてはない気がする。だってピアノとかそっちのほら親の趣味転じて私の生業あるじゃん。いや、ストレス発散にサッカーひたすら見てる時とか確かにあるけど。プレーしない分マシだと思っていたが普通よりは逸脱している気がする。
「……悪いことなのか?」
花森選手の言葉に私はもう一度考える。いや、これ別に。
「悪いことではないですね」
「……贔屓にしてるチームはないのか?」
「マリナーズの試合とヴィクトリーの試合、ETUの試合は優先してみますよ」
「……持田か……」
「いや、持田選手だけを見てるわけじゃないですよ。あの人確かに上手いですけど。マリナーズも花森選手だけを見てるわけじゃないです」
ははは、といえばちょっと花森選手が固まってしょげた。いやごめん。面倒くさいスイッチを押してしまった。ぶつぶつという彼に、仕方ないメンタルよいしょするか、と彼の肩を叩く。
「見てますよ、花森選手の活躍もちゃんと見てます。個人的にこの前のガンナーズの時の逆転ゴールより、鹿島との試合のアシストボールの方がすごいなって思いましたし、去年の代表戦の志村選手へのパスとか流石だなって思いました」
ほら、ちゃんと見てると言えば満更ない顔をする。
「でも、ほら、サッカーって一人でするものじゃないでしょう?だから、みんなを見てます。古谷選手のこの前の間際のカットとかすごいなぁって思ったりもするんです」
「……そうか」
「そうです。でも貴方だけを見ているファンはたくさんいると思いますよ」
「……しっている」
よし、機嫌をなんとか持たせたぞ。まぁそのあと好きな選手は?と古谷選手に聞かれて達海猛選手と言ったらまたしょげたけど。
「嘘です。達海選手、引退されてますしね。現役だと花森選手」
「!」
「……と持田選手のコンビが好きですので、はやく揃って青色着てください。越後選手と古谷選手のコンビも好きなのでそこに志村選手と平賀選手、城西選手を添えて青色が揃ったら個人的に嬉しいです。絶対見てて楽しいと思う」
ふふふと笑いながらグラスの中身を飲み干す。花森選手は同じくグラスの中身を空にした。
「……それは持田に言え……アイツが怪我するからだ」
「去年の初詣でお願いしたんですけどねー、おかしいなぁ」

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二次会をご遠慮したら、花森選手もご遠慮して(なかば古谷選手の押し付けもあり)送ってもらえることになった。友人には甘えとけと言われたので甘えておく。紳士だなぁ、と思うのはこちらの歩幅に合わせてくれるからだ。いやぁ、蓮は基本合わせてくれなかったからな、私には。浮かんだ言葉を飲み込んで、花森選手を見上げる。なんだ、とこちらを見た彼に、いやぁ、まさか雲の上にいる人とこうやって話したりできるとは思わなくって、と言えば彼は目を瞬いた。
「私にとって花森選手はずっとテレビの中の人だったから。花森選手だけじゃなく古谷選手達もだけど。こう、実在するんだなって」
「……スタジアムにこればいい。ち、チケットを送りゅ」
ふふふ、噛んだな。耳が赤いぞ。
「親をなんとか説得しないといけないですね。花森選手、もし、万が一ですけど、よかったら連絡先教えてもらえませんか?親を説得できたら連絡しますので」
そう言って携帯電話を取り出してニヤリと笑う。彼はしかたないと言って同じように携帯電話を取り出した。
「今回だけは、と、特別だ」
「ありがとうございます」
わーい、と言って赤外線でアドレスを交換する。登録名をハナちゃんにしてしまったのはもう仕方がないと思うのだ。

それからメールしたり花森選手のスーパーゴールを見た私が興奮して電話してしまってから、電話がわりとかかってきたりするようになった。まぁ、なんというか懐かしさが非常にある。たまにご飯食べに連れて行ってくれたり、どこか一緒に行かせてくれる花森選手は優しいのである。たまにスタジアムには来ないのかと言われるけど、それはもうちょっとでいける気がする。

==

グラスに注がれた濁ったピンクみたいな色を見る。合コンパート2、ヘルプ要員パート2である。まぁ今回は好きにしといていいと幹事の友人(この前の友人)が言っていたのでいい。流石東京ヴィクトリー、前より騒がしいし、王様の存在感が半端ない。良心が城西さんしかいない。この人結構昔から苦労人だよなぁ、と思ってみる。優等生と持田選手は多分連れてこられたな。席を立ってサッカーみたいんだよなぁ、と私に対するいじりを受け流しつつテレビをチラッとみた。友人、わかってんな、と視線をよこせば私の隣に座った友人は見えないところで私の足をぽんぽんした。ひゅー、これはワザとだな。まぁ友人は私と花森さんができてると思っている節があるからな。まぁ席替えー、とか言って席が移動したのはクソだと思うし、私に問題児押し付けんのどうかと思うのである。
「さっきからチラチラ何みてんの?」
そう言ったのは隣の王様である。コイツ身内には結構毒付くくせに、外面はこんなにいいのか。わぁ。対応が面倒くさくなった私は彼に尋ねる。
「持田選手って、今この場とプレミアリーグの試合どっちが大事ですか?」
まぁ、なにそれって爆笑されるのであるが。まぁ内心キレてると思う。笑いでごまかされたが、絶対後者なのはわかりきっているし、城西さんから視線が飛んでくる程度にはキレてる。
「いや、私どっちかというとプレミアリーグのマンチェスター・ダービー見たいので、テレビを見てたわけですよ」
そう言って軽くテレビを指差す。そちらをみた持田選手は「マジじゃん」と言った。
「しっかし、君、いい度胸してんね。目の前にいる国内リーグの選手よりプレミアリーグの試合優先すんの?」
「いや、これがファン感謝祭的なアレだったら優先しますけど、普通のお食事会ですし。プライベートまでとやかくはしゃぐのも悪いですし。持田選手がファン感謝祭的な対応するなら私も全力でファン対応しますけど、そういう感じじゃないでしょう」
「なに、うちのチームのサポーターなわけ?」
「いや、特定のチームのサポーターでもないです。スタジアムに行けないのでテレビで見るだけだし」
あー、くそう。盛り上がる端っこのせいでテレビが見えない。ちなみに持田選手は私の発言に、ミーハー?と首をかしげた。
「いや……あー、スタジアム行ってないのでミーハーでいいです」
「……ファン感対応してあげよっか?」
口元に綺麗な笑みを浮かべて彼は告げる。えっ、いいんですか?と首をかしげる。いいよ、と言った彼にやったー、と小さく告げた。城西さんの微笑ましい表情とか気にしない。友人の呆れた顔も気にしない。
「握手してください!」
「いーよ」
「わーい!好き勝手いっていいですか!」
「……いーよ」
「この前の千葉との試合、後半27分のシュート流石持田選手だなって思いました!でもどっちかというと、その前の大分戦で二人抜いてシュートまで持っていったのが完璧すぎてそっちの方が好きです!あと花森選手とサッカーしてる姿楽しそうで好きです!さっさと10番取り合いしてください」
ニコリと笑えば、肩を震わせていた持田選手が笑った。で、ガチな顔で「取り合うもなにも10番は俺のだから」と言い放つ。私は手を離してニコニコと笑う。
「いやまぁ背番号には言及しませんけど、なんか二人でサッカーしてるのを見ると楽しいんだろうなって思います」
「なにそれ」
「いや、私の感覚ですけど。普段より代表でやってる方が二人とも楽しそうだし、横浜戦の時二人の勢いがすごいからきっと楽しいんだろうなっていつも思います」
そう言ってグラスに入ったお酒を飲む。彼はまた笑ったが。まぁ真顔で見られたけど怖かないわ。私はニコリと笑っておく。お酒頼みます?と聞けば「いらない」と視線を外されたが。城西さんが笑って「肝が座ってるなぁ」と告げた。


まぁ、例にもよらず私は二次会に参加しない。二次会からは当初参加予定だった子が来るらしいし、私は話せてよかったですと笑いながら手を振っておいた。ぐっばい、持田蓮。もう会うことはないだろう。怪我には気を付けろ。そう念じてから雑踏の中に足を踏み入れる。くそ、だれだもうクリスマスソング流してるやつは。オフの日でも聞きたくないっての。マフラーに顔を埋めて歩いていたら鳴った着信に私はすぐに反応するのであるが。もしもし?と聞けば相手は花森選手である。今から会えるだろうか?と聞いたので私は時計を見る。まだ時間は少しあるし、べつにいいだろう。
「いいよ、でも今出先だから電車で向かうね」
「出かけてたのか?」
「前みたいなお食事会のヘルプでーす」
そういえばぐ、と不機嫌になる気がした。
「だれとも連絡先もなにも交換してないし、私だけ先に抜けたけどね」
「……ひとりか」
「一人だよ」
「……迎えにいく」
「流石に遠いからいいよ。多分花ちゃんの方が家に近いし……」
そこまで言って、あっ、と声を上げる。花ちゃん、と繰り返した彼に、ごめんごめんと謝っておいた。拗ねるかと思えばそうでもなく、下の名前がいいと要求してくるあたり彼は結構図太いのであるが。



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