2021/03/24
msu@誰がために花は咲く1
・誤字脱字が多いよ!
・あと読みにくい
・iPhoneの変換で文章なのに「、」が「,」になるのをそのままにしてあります……なんでだ……私の変換よ……
そもそも、この異世界において、自分という存在は不要なものだとナマエは思っている。まわりにいるのは三国志にでてくる英傑だの、授業で習うような戦国時代の英雄だのというのに、苗字ナマエという人物は令和という時代においてそこらにいる普通の人間だからだ。所謂ただの民草なのだ。そして、時代が違うが故に価値観も違えば、文化も違う。なんの因果か彼らの会話はわかるが、文字が全く読めないのだ。綴られているのは博物館でみたようなミミズがはったような文字でナマエにはまったく読めなかったのだ。ナマエは自分は不要だと思っている。同じように迷い込んだ他の三人に比べ、ナマエは非力に違いなかった。
他の三人は選ばれたようだった。戦国にいる男性は元々そういう仕事についていたらしく銃の扱いに長けているからか武将として名乗りを上げ、呉にいる男性も歴史に対する造詣が深くあのミミズがはったような文字も簡単に読み解けるため軍師の手伝いをしている。魏にいる女性は美しく、それに合わせて武勇も優れ戦うこともできるし頭も良い。まさに才色兼備である。それに比べてナマエは蜀に保護されたが、他の三人のように何かに優れているわけではなかった。ただの子供、とは他の三人に言われた言葉でありハズレとは一部から言われている言葉である。当たり前だ。ナマエはこの世界に来るまでただの子供だったのだから。
ナマエは普段月英の手伝いをしている。憐れんでなのか、ただ人手が足りなかったからか月英はナマエを邪険にすることはなかった。いや、劉備の人柄ゆえかナマエを気にかける将はたくさんいるのだが、戦えないナマエはそれがどこか居心地が悪いように思えたのだ。それに、月英の手伝いはナマエが得意な工作や絵を描くようなことが多かった。気を紛らわせるのには丁度良かったのである。
だからこそ、「ナマエにも偶には休みが必要でしょう」と孔明が告げた時、ナマエは少し絶望した。周りにもあっという間に賛同され、ナマエは休むしかなくなったのが昨日の話である。
ーー何をしなければ、不安で押しつぶされそうだったのだ。だからナマエはいつか貰った(押し付けられたともいう)もう切れない服を貰った刃物で四角く切り、それを色別に分けた。そして、つまみ細工を始めたのだ。のりのようなものや台座となる紙もつけるものも自分が持っているものでなんとかできたのだ。そうしてナマエは時間を潰す。幾日かの休みだ。時間は随分とあったのだ。そうして花が出来上がる頃になれば、まだまだ東にいたはずの太陽は真上に登っていた。そして、窓辺に誰かいるのが見えた。劉禅と呼ばれる青年である。劉備の息子である彼はいつからそこにいたのか。ナマエはハッとして頭を下げた。
「ナマエ、顔を上げてくれ。私はそのようなことをしてもらいにきたのではないのだ」
その言葉にナマエは困ったような顔をした。彼はのほほんとしながら首をかしげた。
「随分と長い間、何かと睨めっこしていたが何をしていたのだ?」
「つまみ細工を……」
「つまみ細工?」
「……布地で花を作っていました」
「ほう、それはすごいな。私に見せてくれるだろうか?」
ナマエは頷いて作り上げた花を劉禅の掌に置いた。それを見た瞬間、彼は目を見開いた。
「これはすごい」
「すごくなど……ただの下手の横好きです」
「劉禅様」
ナマエからは見えないが誰の声かはすぐわかる。劉禅のお目付役(とナマエは勝手に思っている)星彩だ。劉禅はそちらを向いた。
「おお、星彩。見てくれ、ナマエが作った花だ」
「花?」
「布で作ったらしい」
そうして見えた星彩にナマエはまた礼をする。彼女はそれをやめるように告げて、劉禅の持つ花をみた。
「すごい綺麗」
「あぁ、すごい」
「ナマエは手先が器用なのね」
「……私はすごくありません」
ナマエはそう言って目を逸らして足元をみた。
「私は他の方とは違って何もできません」
「うん?できていると思うぞ。このようなものは他の者には作れない」
劉禅の言葉にナマエは少し顔を上げる。劉禅は素知らぬ顔である。
「ナマエ、私はこの花を気にいった。貰えないだろうか?」
「……夕刻までお待ち下さい。もう少し整えます」
「あぁ、約束だぞ。今から楽しみだ」
劉禅はそう言ってナマエに花を返すと歩き出す。星彩もまたそれを追っていった。楽しみだなぁ、星彩。楽しみですが、鍛錬の時間です。そんな会話が遠ざかっていくのを聞いてナマエは掌に乗った小さな花を少し笑みを浮かべて見下ろした。
夕刻までにナマエは白い花のブローチを作り上げる。それが劉禅の服を彩るにはそんなに時間はかからなかった。
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布が無くなった。休みのたびに花を作り上げては月英や星彩、銀屏、鮑三娘や夏侯姫にあげてしまった。やることがなければまたくよくよとするだけである。部屋には何もない。しかし、外は全く未知だった。部屋と月英の工房しか出入りしていないからだろう。
少しくらいは外に出てもいいと思ったのだ。未だにナマエをよく言わない人もいるが、それでもここで生きていくにはそうするしかないのだから。
「馬だ」
目の前に並ぶのは馬である。厩というのか、馬が並ぶそこはまるで牧場である。ナマエはただそれを眺めることにした。厩当番の兵もナマエがただ眺めているだけだと理解したのか何も言わない。もしくはいないものとしているのかもしれないが。馬の中には数頭白い馬がいる。地面に馬の落書きをしながら、ナマエは昔教科書で読んだ話を思い出した。
「スーホの白い馬」
「あれぇ!?珍しいねぇ!ナマエがここにいるの!」
「わ!?」
後ろから声をかけられてナマエは肩を跳ねさせる。そこにいたのは馬岱という男性である。いつも馬超という少し顰めたような顔をした男性のそばにいる人だ。何してるの?と覗き込んだ馬岱に、ナマエは困った顔をした。
「馬を見ていただけです」
「馬を?ナマエの世界では珍しいの?」
「珍しいというか……身近にいません」
「えっ、身近にいないの?!」
「はい。馬は見に行かなければ見ることもないです」
そう首を左右に振ったナマエに馬岱はめをぱちぱちと瞬いた。通りで馬の扱いに慣れていないはずだ。逆に平然と乗りこなせている三人が普通ではないのかもしれない。もしくはナマエが蝶よ花よと育てられたかである。
「何してるんだ、馬岱」
「あ、若」
「む?ナマエもいるのか、珍しいな」
聞こえてきた声にナマエは肩を跳ね上げた。馬超と呼ばれる男性である。
「若、ナマエの世界じゃ馬はわざわざ見に行かないと見れないんだって!」
「何?」
「そりゃあ馬に乗れっていう方が無茶な話だよね」
ね?と告げた馬岱にナマエは恐る恐る頷いた。
「何故それをあの時言わない?」
ナマエは馬超と呼ばれる男性が苦手である。怒っているように聞こえるし見える。はっきりいって怖いのだ。だからそう尋ねられてもナマエは固まるしかなかった。
「若、ナマエは一人でこんなとこに迷い込んでいっぱいいっぱいなんだから、そんなこと言えるわけがないでしょ」
「しかし」
「ごめんなさい」
ナマエはそう言ってそのまま逃げるように引き返す。おい!という声に一応振り返り、一礼をしてそこから立ち去った。
苗字ナマエは馬超と呼ばれる男性が苦手である。苦手というよりは怖かったのだ。
走り去ったナマエを見送って、馬超は不思議そうな顔をした。何故走り去ったのかわからないからだ。なんだったんだ、とぼやいてからふと地面に目を向ける。
「馬岱、絵を描いていたのか?」
「え?俺は描いてないよ。どうし……わ。ホントだ。ナマエの影になって見えてなかったよ。ナマエが描いたのかな?」
「なぜ地面に描いたんだ?もったいない」
「うーん、筆を持ってないのかな?」
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「馬超殿が怖いのですか?」
そう尋ねた趙雲に、ナマエはそっと視線を外した。趙雲はナマエを構ってくる将の一人で何かをしているナマエを見つけては声をかけてくるのだ。今もまたナマエが竹を使って竹とんぼを作っていれば声をかけられたのである。
「大きな声に驚いて……」
「あぁ、確かに馬超殿の声は大きいですね」
「あと、よく眉間に皺が寄ってらっしゃいます」
「馬超殿は良い方ですよ。裏表がない真っ直ぐな方です」
「それはなんとなくわかります」
分かってはいるのだが、それが怖いともいう。歯に衣を着せぬいいようで役立たずの穀くいむしと言われてしまえばそれでこそ立ち直れない気がするのだ。
竹とんぼのつばさを削り終え、ナマエは先に箸状にしておいた竹を嵌め込んだ。
「ナマエ、それは?」
「私の世界にある昔ながらのおもちゃです」
そう言ってナマエは竹とんぼを空に向かって飛ばす。竹とんぼは空に舞い上がるとそのまま少し進んで落ちた。
「おお、これはすごい」
趙雲はそれを拾う。どうやるんだ?と尋ねた彼にナマエが説明すれば、竹とんぼは一際高く飛んだ。
ちなみにそのあと竹とんぼは散々将達が飛ばしたあと、月英の手に渡ることになる。
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ナマエが仔馬の世話をすることになった。というのも、その馬は気性が穏やかではあるのだが体が強いとは言えず戦には向かないものだったのだ。馬に馴染みがないナマエにこの世界で生きていくには馬を扱えねば生きづらいだろうという計らいもあった。大きな馬よりかは仔馬から世話をした方が恐怖心はないだろうと。そうして目の前にいる仔馬にナマエは名前をつけることになった。
「スーホ……」
は、あまり縁起は良くない。あの馬は最後射殺されて馬頭琴になってしまうからだ。それならば違う話からとった方がいい。
「やっぱり、ジョーイ」
「じょーい?」
「はい、ジョーイにします」
ナマエは仔馬に目線を合わせた。
聞き慣れない名前なのだろう。ジョーイはどう書くの?と尋ねた馬岱にナマエは困った。漢字に置き換えるなんてできないからだ。だからとりあえず、当て字として喜という漢字を当てておいた。ジョイ、喜び。素敵だねぇ、とニコニコした馬岱にナマエは少し笑う。そうして、ナマエは月英の工房の手伝いの他にジョーイの世話という日課が出来上がった。馬の世話を習うために厩の兵式や馬の扱いにたける馬超や馬岱と親しくなるのも時間の問題である。
それに加えて、ナマエは大切なものを得た。ジョーイはこの世界においてナマエの唯一の家族になったのだ。
「ジョーイ?あぁ、もしかしてお話からとったのか?」
そう尋ねたのは戦国側にいる男性である。今は徳川軍と共に動いているのか、彼は大きな銃を担いでナマエと馬を見た。ナマエは彼を含めた三人とあまり話したことがない。というのも他の三人とナマエは歳が離れていて、話は全てナマエを除いた三人で終わり、ナマエは口出しする術などなかったからだ。いわゆる噂で聞いた程度、少し見た程度なのである。それは男性にとってナマエもそうで、会った瞬間ああ街にいるそこらへんの子供、という感想をもったのだがそれを口にすることはない。思ったより柔らかな雰囲気を持つ男性に、ナマエは内心安堵しながら頷いた。
「スーホにするか、ジョーイにするか迷って、縁起がいい方にしました」
「スーホ?」
「スーホの白い馬……」
その言葉に彼は合点が言ったんだろう。ああ!と声を上げて、懐かしいなぁ!とケタケタ笑った。それを聞いた馬超が首をかしげる。
「スーホの白い馬?」
「俺たちの世界に伝わる話だよ。なんだっけ、最後は楽器になるってだけ覚えてる」
「楽器、ですか?」
その工程がわからないからか、周りは首をかしげるだけだ。ナマエは説明のために口を開いた。
「スーホという……北の方に住む羊飼いの青年が倒れている白い仔馬を拾って育てるんです。そうして立派な白い馬に育てあげるんですが、その頃、殿様の娘の婿を探すために馬の早駆けが行われました。スーホはその白い馬に乗って見事に一番を取りました」
「いい馬だな。婿になれたのか?」
「いいえ、貧しい家の出であった為に銀貨3枚と白い馬を交換するように言われるんです」
「……売ったのか?」
「いえ、スーホは拒みましたが、押さえつけられて白い馬は連れて行かれました」
「酷い話ですね」
「白い馬も殿様が宴会をしている隙に逃げ出すんですが、兵たちに矢でいられて……スーホと会った頃には瀕死の状態でした。そうしてスーホに看取られて白い馬は死んでしまいます」
「可哀想に……」
「スーホは悲しみのあまり眠れなかったのですが、ついに限界がきて眠ってしまった時に白い馬が夢に現れて、スーホに自分で楽器を作るように告げるんです。そうして目が覚めたスーホは美しい音色の楽器をつくりました、という話です」
ナマエが説明し終わると、そりゃあ少し縁起が良くないね、と馬岱が困った顔をする。ナマエは頷いた。
「……そもそもこれ馬超殿達の方の話じゃないのか?」
そう尋ねた男性にナマエの話を聞いていた馬超と馬岱は首をかしげる。
「聞いたことがないが」
「俺もないよー。なんていう楽器?」
「馬頭琴という楽器ですが……そもそも、これは後の時代に作られた話なので」
ナマエの注釈に、男性は驚いたようにナマエを見下ろす。
「そうだったのか!?」
「はい。あの地方に住む方達は別の話を馬頭琴の成り立ちと信じてると教わりました。確か翼が生えた馬の話だとか……スーホの白い馬は中国で作られた話だそうです」
「はー、物知りだねぇ」
「下手の横好きです」
ナマエはそう言って首を左右に振った。
「俺全く本を読まないからさー、戦火の馬だけは監督に釣られて映画見に行ったけど」
「そっちがジョーイの話?」
「はい」
「へぇ、聞きたいなぁ」
馬岱の言葉にナマエは話始めようとするが、ジョーイがべろんとナマエのほおを舐めた。わわっ、と声を上げたナマエにジョーイは甘えるように擦り寄ると、早く散歩に行こうと言わんばかりにナマエの周りを少しかける。
「また今度でもいいですか?」
「ジョーイが待ちきれないようだしな」
そうケラケラと笑った馬超に、ナマエはお辞儀をしてジョーイに向かってかけていった。
「普通の女の子なんだよなぁ」
見送って男性は一言呟く。どう見ても普通の女の子だ。そんじょそこらにいて、同い年ぐらいの存在と歩いているような。なぜこの強者が集まるこの世界に来たかなんてわかりっこない。
「あぁ、やっぱり?」
「やっぱりもくそも、俺の時代は平和なんだ。俺みたいに国守る為に銃握ってる人間は少数だから、こんな世界で戦場で戦える方がおかしいんだ。呉にいるもう一人はあんた達の時代の勉強をしてたから文字が読めるだけだしな。後の一人は知らないが。あの女はどうも性に合わない」
そう言って男性はあたまをかいた。
「まぁ、この世界で生きていくには普通から何か秀でた方がいいのかもしれないが」
そういう家に生まれたのでなければ、農業ができるわけでもない。教わればできるだろうが。いいところ飯屋で働くくらいだろう。それでも、彼女に祝福あれ。そう願って男性は遠くに消える背中を見送った。もうじき平清盛が、またもや遠呂智がやってくるのも時間の問題だった。
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ナマエが工房に向かうと、木造の機械を見つけた。糸が等間隔に並ぶそれは見たことがあるような内容なものである。
「月英さん、これはなんですか?」
「これは小型化した機織り機です。あちらの技術を参考にしました」
「布をつくるやつですね」
「ええ。織ってみますか?」
「いいのですか?」
「かまいません。丁度使用感を聞きたかったのです」
そう言うと月英は丁寧に機織りのやり方を教えてくれる。半刻もすればナマエは容量を得てきたのか少しずつスムーズにできるようになったし、はじめは少し不恰好ではあるがそれなりの布がいつしか出来上がった。布を作るにも一苦労である。あんなに高かった日がもう日が沈みかけている。月英もまた何かの設計図を書くのに熱中しているようである。白ではあるが花を使って色を染めるか、何にしろ手を加えれば何かは作れるだろう。小さなものを作れば売り物にもなって、この世界に生きていく何か手がかりになるかもしれない。そう思ってナマエが機織り機の前に座っていれば灯を持った孔明がやってくる。そうして、「また貴方達は」と困ったような顔をした。
鞄を作れば何かと便利なのでは。持っていたスクールバッグは壊れてしまったし、ジョーイと一緒にどこかにむかう時や工房に向かうときに何かと持ち運べたら便利だ。そう思いながら、ナマエは布を眺める。針と糸は夏侯姫にもらうことができた。ミシンがない分時間はかかるが作ることはできるだろう。
そうしてナマエは月英の手伝いやジョーイの世話の傍ら数日かけて鞄ーーメッセンジャーバックと呼ばれるものを作り上げた。布を作る糸が真っ白でない分少しくすんでいる色であるが、それでも十分である。流石に金具やマジックテープはないのでそれは悩んだ結果紐で応用したが。鞄の中にとりあえずいつも抱えながら月英の元に向かっているものを入れて部屋を出た。
「おはよう、ジョーイ」
そう声をかければジョーイは前足を上げて跳ねる。ナマエはそれをみて駆け寄るとジョーイにハグをする。ジョーイもまた鼻先をナマエにすりつけた。ナマエは月英の工房までの距離をジョーイと共に通うことにしている。ナマエ達の住んでいる場所から(虎戦車などの関係もあってか)月英の工房までは少し距離があり、ジョーイを連れ歩くには丁度良かったのだ。ようやく慣れてきた手綱をつけていれば、聞こえ慣れた足音が聞こえてくる。
「む、今日はナマエの方が早かったか」
「馬超さん、おはようございます」
「あぁ、おはよう。今日も月英殿のところか?」
「はい。馬超さんは鍛錬ですか?」
「あぁ、趙雲殿とな」
趙雲が馬超にナマエが怖がっていると告げたのはいつだったか。馬の世話という何か共通のことができてしまえば仲良くなるというか、教えてもらわなければいけないことも多々ある為に仲良くならざる終えなかったというのか。まぁ、そんなこんな最初は馬岱を挟んでいたが今は二人でも会話はできる。
「それは作っていたものだな……それはなんだ?」
「鞄です」
「かばん?」
「色々中に入ります……ああ、えっと、肩から下げる袋です。両手が空くので出かけたり移動するときにつかいます」
「ふむ、便利そうだな……ナマエ、良ければだが、馬岱に作ってやってくれないか?」
「馬岱さんに?」
「あぁ、馬岱は絵を描くからな。そこに小さな筆を入れて持ち運べれば楽かと思ったのだ。ただとは言わない。そうだな……」
「馬超さん達にはお世話になっているので、タダでいいですよ」
「そうはいかない」
「では、完成した折には夕餉をいただいても?」
「それでいいのか?」
「はい、それで十分です」
「あぁ、では交渉成立だな!」
そう握手を交わし、そのままナマエはジョーイと共に厩をでた。ちなみにそれを皮切りに色々製作を頼まれることになるのだが、この時のナマエもジョーイもしるよしもない。
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