2021/03/24
↓の違うルート: 雪に花咲く君
・戻ってまた飛ばされた
・馬岱ルート書こうとしたけど遠呂智にいない荀攸ルートになってしまった謎時空
会ってしまったなぁ,と思う。私を見下ろして、目をパチクリと瞬いた彼は少し首を傾げた。うーん、同じようで違う世界だと聞いていたが、同じ姿を見るとどうしても悲しくなる。
「えーと、君がもしかして上質な布を売りにくる子かな?」
「えーと、上質かはわかりませんが、確かに最近私は布を売りにきておりますが……」
「後ろのやつが荷物?」
「はい」
「触ってもいいかなぁ?」
「?構いませんよ」
彼は馬に積んだ布を触る。そうして私を見下ろした。
「ごめんねぇ、あんまりここらじゃこういう布って取引しないのよ」
「えっ……そうなんですね。申し訳ございません」
最近は山の麓にある村で食料と交換していたのであるが、都で売った方がいいと教えてもらえたのだ。そこで最近は都に売りに来たりもしていたのだが、なんというか市場の取り引きとか他の品物の関係とか色々あるのだろう。
「では、次からどちらで布を買い取っていただいたらよろしいでしょうか?あいにく、布を売らねば食料や生活に不安があると言いますか……今まで言い値で買っていただいていたので」
「なるほどねぇ」
私の言葉に彼は困った顔をする。私も困った顔をする。食べ物がなくては流石に暮らしていけないのだ。
「うぅーん、ちょっと偉い人に相談するから待っててくれる?」
その言葉に私は頷いて、行き交う人の邪魔にならないように端による。馬の首を撫でていい子で待とうね、といえば馬は私に擦り寄った。
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上質な布を言い値で売る世間知らずの娘がいる。恐らくは落ち逃げてきたどこかの一族の娘だ。
そんな噂が成都に流れ始めたのは半年ほど前のことだ。確かに月に一度上質な布が非常に安価で市場に回ることがあり、他に布を売る民から非難の声が上がったのである。だからこそ、こうしてその娘を見つけるために将がかわるがわる市場を巡回していたのだが、運がいいのか悪いのか、今まで一度もその娘と会うことはできなかったのである。娘は間者で、実は自分達から逃げているのでは。馬岱がその娘を見つけたのはそんな会話がで始めた矢先のことだった。
娘は噂通り身なりのいい娘だった。男が着る平服を身につけて、芦毛の馬を引き連れている。馬には幾らかの布が乗せられていて、恐らくそれを売っているのだろう。馬岱がその場を離れ、遠くから伺っても逃げる様子はない。それどころか律儀に自分を待っているあたり間者ではないと思われる。どうしたものか、と馬岱は息を吐いた。偉い人と相談すると言った手前、何もなく戻ることはできない。
「馬岱殿。交代の時間だが、どうかされたのですか?」
そんな声に馬岱が振り返れば平服をきた趙雲がいる。
「趙雲殿、ちょうどよかったよ。例の子を見つけたんだけどね」
「……どちらに?」
「あそこ」
そう馬岱が娘がいる方向を指差せば、確かに娘がいる。
「何をしているんでしょう」
「俺がちょっと待っててって言ったのよ。逃げると思ったんだけど、律儀に待ってくれてるの」
「話を?」
「ちょっとだけね。布を売らないと食料が手に入らないから布を売ってるみたい」
「値の件は?」
「値段がわからないから言い値で売ってるんだって」
「それは困りましたね。劉備殿や諸葛亮殿には私が聞いてきましょう」
そう言った趙雲はその場を離れる。馬岱はため息をもう一つ付いて、娘の方に向かった。
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布を買い取ってもらえることになったのは嬉しい。嬉しいのだが、いかんせん、蜀が直に買い上げるとなるとちょっとびっくりするというか。流石に諸葛亮さん達に会うとは思わなかったというか。とりあえず取引先ができたのでよしとしよう。成都に住むといいとも言われたが、今の生活が嫌なわけではないし面倒を見ている子供がいる以上あそこを離れるわけにはいかないのである。
帰りに食料を買い馬に乗せて山に戻る。心配だからとこの世界の馬岱さんもついてきてくれるらしい。ありがたい。野盗は私の住居や麓の村あたりにはあまり出ないのであるが(というよりかは私が布あげたら丸くなって今は村の一員になっている)そこに行き着くまでが問題だった。
村についていくらかの都で買ってきた果物をお裾分けする。籠に果物を乗せて家々にかけていく子供達は可愛らしい。
「せんよ、後ろの方は?」
「蜀の将の方です」
私の言葉に反応は二通りである。おぉ、と感心する人、残念がる人だ。子供達が私に寄ってきて口を開いた。
「せんのねえさま、お嫁に行くの?」
「まさか、親切なので私の家まで送ってくださってるだけです」
「なんだ、そうか」
そう息を吐いて何人かが戯れ合っていくのを見送る。馬岱殿は私を見下ろした。
「……君の村?」
「お世話になっている村です。私の家は山の中腹あたりです」
村の中を進み、山を登る。そうして二人ほどの人が通るくらいのトンネルの前にたどり着いた。
「私の家はこの先なので、ここでも大丈夫ですよ」
「えっ、この先?」
「はい」
「……ついて行ってもいい?」
「構いませんよ。少し暗いので気をつけてください」
そう言って私はトンネルの中に入り歩く。まぁ、入り口から出口は小さく見えているのだが。トンネルを抜ければ花畑と穏やかな草原、小さな湖が見える。あと、子供が仁王立ちしていた。なるほど,ご立腹である。
「せん!おそい!」
馬岱殿は周りの景色を見て、息を詰めた。
「ここって俺が入ってきていい場所なの?」
「?構いませんよ、村の人はたまにきます」
「せん、誰だその男は」
「蜀の将の方です」
「ふぅん、強いのか?」
「うぅん、どうだろうねぇ」
子供にあわせて屈んだ馬岱殿に、子供は納得のいかない顔をした。わぁ、その顔若にそっくりと言った彼に私は内心頷いておく。この子供は本当に馬超さんそっくりなのだ。
とりあえず送ってくれたお礼に梅酒をあげるとする。今回私の家というか、工房というかそんなものと一緒にトリップしたからかそういうものが作れるのが地味に嬉しい。
「濃いお酒なので、水を足してください。半分ずつがいいでしょう」
「いいの?貰っちゃって」
「送り届けていただいたお礼です」
「んー、じゃあありがたく貰っとくよ。えっと……名前を聞いてなかったね」
「私はナマエと申します」
「あれ?せんじゃないの?」
「せんは皆私が仙女のようだからとそう呼ぶようになっただけです。子供達も呼びやすいのでそうよんでるだけですし」
「ナマエ殿、ね。俺は馬岱。よろしくねぇ」
そう笑った馬岱殿に私も笑っておく。馬超さんそっくりな子供が、よろしくせん!と馬岱さんに突撃したが。
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「なんですか、それ」
「ううん。例のあの子に貰ったお酒みたいなんだけど」
小さな瓶に入った琥珀色の酒を見下ろす。毒見も何もしていない状態で飲むのは危ないだろうか。水で薄めて飲めといっていたが。
「多分毒ではないと思うんだけど」
「舐めてみたらどうです。俺がみてるんで医者を呼びに走りますよ」
「わぁ、ありがとう、法正殿。でも毒っていう前提だよね」
馬岱はそう言って瓶に指をつける。そうしてそのまま指を口に
咥えた。ただのお酒ではなさそうである。
「なんだろう、これ……甘い?」
毒ではない。というか甘い。馬岱はそのまま杯と飲料水を用意する。ナマエにいわれたように杯に琥珀色の酒を半分注ぎ、もう半分水をたして煽った。
「なんだろう、果実の味がする気がする」
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月に一度成都に行って布を買い取ってもらい、食料を買い、村に分けて家に帰る。なんとまぁのほほんとした生活だろうか。しかしながら、流石に冬になればあのトンネルが降雪で埋もれる可能性があるため、そろそろ冬支度をしておかないと飢え死にする。とりあえず、村の人には毛布を渡すくらいしかできないが、合間合間に織っていた分で足りるだろう。あとは毛糸で子供の防寒具を作って、冬の間の食材を市場に買いに行き、薪をもう少し溜め込みたいところである、が。
とりあえず冬支度をするので、いつもより多めの布をもっていく。馬2頭(片方は荷物用のどっしりとした馬だ)を連れていくことにして、ついでだと子供をもう一頭に乗せて山を下る。そうして山の麓の村につけば、私に気づいた女性が口を開いた。
「おやまぁ、せん。今日はやけに大荷物だね」
「そろそろ冬支度を始めようと思いまして」
「そうさねぇ、あの道が雪で埋もれてしまうとアンタは降りてこれないものね」
「はい。また冬に入る前に皆さんに何か持って降りてきますね」
「ありがとう、助かるよ」
ひらひらと手を振ってそのまま成都に向かう。馬に乗って固まっている子供は可愛らしい。
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「あれ?せん?馬二匹つれてどうしたの?」
私が成都につくと何故か自動的に連絡がいくようになっている。趙雲殿だったり、関家や張家の誰かだったり、周倉殿だったり色々するのだが、今日は馬岱さんだったらしい。いや、正しくは休みの彼に見つかった。近くにこの世界の馬超さん達がいた。仲良いのか、このメンツ。
「そろそろ冬支度をしたくって。ほら、あの道が雪で埋もれてしまうと私は降りてこれないでしょう?」
「あぁ、たしかにね。冬の間だけでも成都にいたらいいのに」
「いえ、あそこの暮らしが好きなので」
そう苦笑いしておく。そっかぁ、と頷いた彼に休みの日に頼むのはちょっと気が引けるなぁ、と思っていればいつも売買してくれている場所に連れて行ってくれるのか馬の手綱を握った。
「若ー、徐庶殿ー、法正殿ー、ちょっと連れて行ってくるね」
「馬岱殿、おやすみでは?」
「いいのいいの、やることないから呑もうとしてただけだし……なんでまた固まっちゃってるの?」
「はじめて馬に乗せたからでしょうか」
そう子供を見上げる。子供は私を見下ろして、「せん!」と口を開いた。
「どうやって降りたらいい!?」
その発言に眺めていたらしい三人が吹き出したのだが。
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