2021/03/24
↓の続き
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「いや、よく考えなくとも傍迷惑だな??」
とりあえず公達殿と曹操様、典韋殿にお礼を言い、なんだか寝る前に聞いた話を話した。何故か魏にいる徐庶殿が傍迷惑な奴だね,と言ったので私もよく考えるとそうですね,と言いかけて、違うなと思ったのだ。
「せん殿、怒ってるのかい?」
「そりゃあ身に覚えのない理由で急襲されましたからね、私だって腹が立ちます。子供たちが無事だったからよかったものの」
ぽこぽこと怒っていれば、徐庶殿が珍しそうに私をみた。珍しくはないよ。
「せん殿、君も無事でよかったよ」
「ありがとうございます。徐庶殿もご無事で何よりです。この世界に巻き込まれてからあの小道を進んでも成都にはつかなくなってしまって」
「あぁ、やっぱりそうだったのか。この世界に来て君の家の方に向かったんだけど、どこにもなくって」
眉尻を下げた彼に私も眉尻をさげる。
「でも、まさか魏軍に保護されてるなんて思わなかったな」
「ごめんなさい。妖魔がせめこまねば、私はあそこにいるつもりだったんですが……公達殿達に助けていただき目が覚めて今です……」
「君をせめてるわけじゃないんだ」
そうあわあわした徐庶殿に私は彼の髪をくしゃくしゃしておく。気にしてません、と言えば彼は「あぁ、うん、」と返事をした。
「せん殿のお知り合いでしたか」
「はい、成都で私が布を売りに赴く際に良くしてくださいます」
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ぽん、という音がした。なんだ?と手などを見れば蜀軍カラーである。なるほど、前の世界云々と言って術をかけたからかどうやら前に巻き込まれた方の服に変わっているらしかった。あれ?と戸惑いながら、もう一度術が展開され、少し視線が低くなる。
「これ以上すると、子供になってしまうような……」
そうぼやけばもう一度術式が展開されて、私の視界は真っ白になった。
急に白くなった周りにナマエは咳き込む。そうして周りを見た。知らない場所ではないだろう。恐らく前に訪れた魏の都である。ナマエは目をパチクリと瞬いて周りを見上げる。知らない人ばかりの中、唯一知っている徐庶の後ろにナマエは回り込んだ。
「徐庶さん、徐庶さん、何がおこったのですか?どうして私は魏に?」
「ええっと」
「わ、せん殿が子供になってる。なんでだろう!策に使えないかな!」
「わ!!」
急に体が浮いたと思えば,くるくると回される。抱き上げた男の人はナマエが知らない男性である。
「満寵殿、せん殿が困っています」
「あぁ、ごめんごめん、」
降ろされた体にナマエはおっかなびっくりである。そのまま徐庶の後ろにまた回り込んだ。徐庶が見下ろせばナマエは半泣きである。
「徐庶さん、なにがあって」
「なんでぇ!」
そんな女性の声にナマエは肩を揺らす。そちらを見れば女性が怒った顔をしていた。ナマエはまた徐庶の後ろに隠れる。
「なんで、子供に戻るだけなの!?」
「あの、意味がわかりません……私はもとより子供です……」
「せん殿、貴方は彼女の妖術で子供に戻っておいでです」
そう説明した男性ーー荀ケにナマエは彼を見上げる。嘘はついてなさそうだ。しかし、せん殿とは?とナマエは首を傾げた。
「子供に?」
「はい」
「大人の私は魏にいるのですか?」
「一時的に退避されています」
「ん……ん??退避?それに、せん殿とは?よくわかりません……私はナマエという名前があります」
「おや、思わぬところでせん殿の名前が聞けてしまった。ナマエ殿、大人の貴方は色々縁があって魏にいるんだ。君は蜀にいる記憶があるんだね」
そう尋ねた優しそうな男性にナマエはこくりと頷いた。男性ーー郭嘉は徐庶を見る。彼は首を左右に振った。こんな子供がいたら目立ちそうではあるが。
「君はここに来る前は何をしていたのかな?」
「ここに来る前?……よく思い出せません……」
「落ち着いて。では、昨日は何をしてたか思い出せるかい?」
「昨日は月英様の手伝いをしたあと、徐庶さんと法正さんと鍛錬場をのぞいていました」
その言葉に視線が徐庶に向く。徐庶は首を左右に振った。そんな記憶はないし、自身は今魏に身を寄せているからだ。
「……その一週前は?」
「たしか、馬超さんと馬岱さんと遠乗りに」
「その1ヶ月前は?」
その問いかけにナマエは首を傾げる。1ヶ月前となれば。
「魏でお姫様の髪飾りを作っていました」
「お姫様というと、甄姫様かな?」
「はい。曹丕様よりご依頼頂いて、髪飾りを……」
ナマエの言葉に「ふむ」と郭嘉は考えた。そんな記録はない、が、嘘をついているようには見えない。恐らく彼女にとっては事実なのだ。
「あの、」
「あぁ、すまない。私は郭嘉。魏で軍師をしているんだ。色々と驚かせてしまってすまないね」
郭嘉はそう言ってにっこりと笑う。ナマエはそれを見上げて、パチパチと目を瞬いた。
「あのお姉さんに元に戻る方法を聞きたいところだけど……」
その言葉にナマエは何やら怒っていた人物をみた。彼女は何かを使って姿を消す。なんだ?とナマエはまた目を瞬く。
「消えちゃいました」
「あの分だとしばらくしたらまた現れるだろう。その時に聞いてみようか」
そう笑った郭嘉にナマエは困った顔をした。魏での過ごし方などわかりっこない。
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ナマエのカバンの中はどうやら魏に行ったときのままらしい。色とりどりの布に糸、あとは筆や見たことがないようなもの。そんなものを机にならべていくナマエを荀攸は眺める。おっかなびっくりだったナマエはもうだいぶ慣れたのか机の片隅を与えれば、袋の中にあるものを整理しだしたのだ。聞こえてくる詩歌は知らない歌である。そういえば、大人のナマエも機織り機に向かっている時は歌を紡いでいた。しかし、ある一定のところで視線に気づいたらしい。ハッとしたように荀攸をみて、申し訳なさそうに眉尻を下げた。ナマエが謝るより先に、荀攸は口を開いた。
「気にしていません。大人のあなたもたまに歌を口ずさんでいます」
それはそれで恥ずかしい。ナマエは少し固まって荀攸を見た。
「あの、」
「特に邪魔ではありませんのでお気にせず」
「……」
「……」
ナマエは困った顔をする。まるで読み透かされているような。
「……俺は大人の貴方と親しいのです。言動はなんとなくですがわかります」
「親しい……お友達ですか?」
「……はい、お友達です」
荀攸の言葉に、ナマエはそうなのかと思う。一部が聞いていれば、お友達ねぇ,と含んだように言ったかもしれないが子供のナマエにはそれでよかった。
「一緒に遠駆けは行きますか」
「いいえ、俺が忙しく、あまり」
「そうですか。なら、絵を描いたりとか……」
「絵を?」
「?大人の私はあまり描いていませんか?」
ナマエはそう首を傾げる。荀攸は思い起こす。あまり,というより描いているところを見たことがなかった。恐らく二人の子供の面倒を見たりしていることも関係があるのだろう。
「そうですね、あなたもお忙しいので。絵を描くのが好きなのですか?」
「絵を描いたり、何かを作ったりすることが好きです」
ナマエはそう柔らかく笑む。そうですか、と、荀攸も少しだけえみをうかべた。ナマエはまた少し考える。そして、また荀攸をみた。
「……あまり描かないということは、公達さんは私の秘密知りませんよね?」
「秘密?」
「あぁ,でも大人の私ができなくなってる可能性もあるのかな……」
「何を、です?」
そう不思議そうに問いかけた荀攸にナマエは妖筆を手に取ると、巻物に鳥を描く。そうして目を描き入れれば、描いた鳥は巻物のから飛び出した。
「なっ!?」
くるくると部屋の中をしばらく飛んだ鳥はそのままぺシャリと地面に落ちて鳥の絵を描く。
「何故かはわかりませんが、私がこの筆で書くと、こうなります」
馬岱さんは、絵のままなのに。その言葉に荀攸は息を吐いてナマエをみる。
「馬岱、さんですか?」
「はい。知りませんか?蜀の帽子を被った……大きな筆を持った人です」
「双鉞ではなく、ですか?」
「?そう……?」
思い描いている人物は同じだろう。しかし、どうも違う人物のようだった。それは徐庶の話でもそうだった。
「俺が描いたらどうなるんです?」
「描いてみますか?」
そう言って渡されたのはごくごく普通の筆だ。そのままナマエが指差した場所に荀攸は鳥を描く。が、飛び出しても、絵が宙に浮くこともない。
「あれ?おかしいな、みんなできるのに」
ナマエの呟きに荀攸は思い出す。ナマエは違う世界に行ったことがある。それは自分達のように過去の英雄ーー例えば項羽などーーとともに戦ったと思っていたが、違うのではないだろうか。自分達ではない自分達が、ナマエといたのではないか。
「公達殿の鳥さんは可愛いですね」
そう言ってナマエは巻物に描かれたままの絵を見つめた。
「あなたが知る蜀の方々は、このことを?」
「あ……」
「どうしましたか?」
「法正さんや徐庶さんに、あまり人に見せるなって言われていました」
軍師が見せるな,というということは、だ。何かある。しかも、徐庶はともかく、あの悪党と言われている法正がいうのならば恐らくは策のために利用ができるのだ。例えば、人間を描いても現れる、だとか。
「人をかいてもそうなるのですか?」
「……はい。でも、動きを理解していないと絵が動いてくれません」
「だから、鍛錬場に行くのですね」
「はい」
「……ここではそれをする必要はありません」
「……でも、」
「貴方はここにいるだけでいいのです。誰も貴方に戦に出てほしいとは思っていません。このことは貴方と俺の秘密にしましょう」
その言葉にナマエは頷いて、公達さんは優しい方ですね、と。またへにゃり、とわらった。
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あまりに満寵の髪がボサボサだったからというか。髪紐が切れちゃって,と言った満寵にナマエは鞄からシュシュを取り出した。自分用に作ったものではあるが、別に渡しても構わないものだろう。
「満寵どの」
「ん?どうしたんだい?」
「しゃがんでじっとしておいてください」
ナマエの言葉通りにしゃがんだ満寵にナマエは手早くシュシュで髪を結ぶ。最近、大人のナマエが面倒を見ていた子供二人の髪を結ぶことも多く、誰かの髪を結ぶことに慣れてきた。
「あぁ、髪を整えてくれたのか!ありがとう、これで荀家の二人に小言を言われなくて済むよ!」
「見ていますけどね」
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「いい加減にして欲しいところです」
ナマエはそう言って少し眉間に皺を寄せた。どうやら珍しく怒っているらしい。まぁ、それもそうで何かと言いがかりをつけられては子供の姿にされてしまったからだろう。あの子供の姿は三日三晩で治ったものの,それでもまたやってきてはナマエに言いがかりをつけてくるのだ。
「私がここにいるのが気に入らないみたいなので、私はあそこに戻ります」
「それは困ります」
ナマエの言葉に荀攸がすぐさま返答する。ナマエは少し怒りながら「でもここにいれば公達殿の、そもそも魏の邪魔になります」と告げた。
「せんよ、どうした?またあの女が来たのか?」
やってきた女媧にナマエは刻々と頷いた。お前も災難だな、よく目をつけられる、と何かを含んだように告げる。
「なので、もう私の家に引きこもってしまおうかと」
「あぁ、それはいい、と言いたいところだが、元の場所ではあの場所は仙境の一部にはなるのだが、この世界ではそうとはいえない。元の場所では邪悪なものは入ってこれまいが、こちらではそうではない。魏にいた方が安泰だ」
「おや、せん殿はやはり仙女なのかな?」
「現状は仙女ではない。だが、せんは不安定なのだ。不安定であるが故にこういうことに巻き込まれやすいのでな、仙女になれと言っている」
同じようなものが後二人いるのだが、その二人は巻き込まれていないようだ。
ナナシとトクメイのことだろう。そういえばあの二人は見ていない。しかし、だ。ナマエは困った顔をして女媧を見上げた。何故なら、あの神様達がいた世界では、だ。
「そういう話をするとお二人が巻き込まれてしまいますよ」
「まぁ、そうなったらまた怒られるのはお前だがな」
「ぐぅ……」
ナマエはそう言って肩を落とした。怒られるのは目に見えている。嬢ちゃんまたお前変なことに巻き込まれたな!と叱られるのは間違いない。
「二人」
「兄のような、父のような方々です」
「お前の兄や父はたくさんいるな」
女媧はそうクツクツと笑った。
「あちらの世界の馬超将軍達にも兄のようだとくっついて……あぁ、馬超将軍は違うか」
せんの初恋の相手だな。
にやり、と笑った女媧に、ナマエは「もう!」と怒りながらぽこぽこと女媧を軽く叩く。
「女媧さま、からかっておいでですね」
「ふふ、澄ましているお前がころころと表情をかえるのでな。見せつけてやろうと思ったのだ」
「誰に、何を、ですか!というか、女媧さま、色々と私のことをしゃべりすぎです!」
「そうか?」
「そうです!」
「せん殿、あまり騒ぐとまた彼女が寄ってきます。部屋へ戻った方が良いでしょう……」
「はい、公達殿がそういうならそうします」
失礼します。
相変わらず怒ったままナマエは部屋への道をすすむ。最後に女媧に子供のように、べっと舌を出してから角を曲がった。
「ふふふ、相変わらずだな」
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どこがいいんですか。多分この人は酔っている。私といると多少多弁になる彼だが、余計に多弁であることを考えると酔っている。あと、目が据わっている。壁どんならぬ床ドンされてるというか、押し倒されている現状である。
「ナマエ殿、何故ですか。どこがいいんですか」
「何故かと言われても」
紛れもない初恋だった。こんなに人を好きになるのだと初めて知った人だった。今思えば、向こうは私の好意を受け止めてくれはしていたが、それでも手を出されることはなく、恐らく私の好きだという感情と彼の好きだという感情に差異があったのだと思う。そりゃあそうだ。子供の頃から、馬超さん、馬超さんとついて回ったのだ。向こうからは子供の延長にしかみえない。いたかもしれない妹の代わり。ただそれだけだ。馬姓を名乗ることを許されたのだって、恐らくはあの世界で生きるにはなんの後ろ盾もなかった私の後ろ盾になってくれていただけなのだ。
「俺では、いけませんか」
そう淡々と、でも、どこか寂しさを含んだ言葉に私は口を開いた。
「私は確かに彼に恋をしました。彼もそれを受け止めてくれました。将来を違いはしました」
ぎりぎりと、腕を掴む手に力が込められる。
「でも、今思うと、それは後ろ盾のない世界で彼は後ろ盾になってくれていただけでした」
こんなことはしない。そばで眠ることはあれど、それだけだ。それで満足したのだ。あの頃の私は。きっとあれは、恋だった。でも、憧れの延長、または兄を慕う気持ちの延長だった。
「私は彼を男の人としてみたつもりでした。でもきっと、それは兄の延長線で、向こうはずっと妹として私を扱っていました」
「……」
「だから、こんなことは、まったくしたことがないのです」
公達殿だけです。こういうことを、許すのは。
彼は動揺したように、瞳を揺らした。そうして大きくため息をつくと、そのまま隣に寝転んだ。
「ナマエ殿には敵いそうもありません。貴方の手のひらで転がされてばかりのような気がします。思えば出会った時からそうでした。貴方は俺を魏の軍師だと見抜きながら何もしなかった。蜀の将と親しいのであれば、本来であれば蜀につきだすはず。しかし貴方はそれをすることはなかった。あの時は正直肝が冷えました」
スイッチが入ったなぁ、と、ふふふ、と笑う。彼は私が笑ったことに言葉を止めて、また新たな言葉をつむぐ。
「惚れた方が負けだから、惚れさせてみたらどうかと郭嘉殿には言われましたが、そんなもの最初から俺の負けです」
「ならば、引き分けでは?」
私は彼の方にねがえりをうって口を開く。こちらをみて彼はまた目を見開いた。
「えっ」
「惚れた方が負けなのであれば、私も負けてしまいましたね」
どうしましょうか。
私の問いかけに、彼は嬉しそうに笑って私の手を握った。
「それは思わぬ誤算でした」
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・ナナシとトクメイがきてる。
・2にはなっていないが、しらないことがたたおきる。
「嘘だろオイ、馬岱将軍が普通の武器持ってやがる」
「それは私も驚きました」
「えぇっ、なにそれ。二人のあった俺は何で戦ってたのよ」
「妖筆っていう大きな筆で、絵を描いて攻撃していたよ」
「えっ、どうやって絵で攻撃するの?」
「それ俺たちが長年疑問に思ってることだからな。というか、なに?嬢ちゃんそのカラーをみるに魏にいんのか?」
「元いた場所だと蜀に近くて成都に出入りしてたんですけど、こちらだと魏に近くなって……助けられたりもして、今は長安です」
「また保護されてるんだね」
「う、そうです」
「えっ!?そんな理由だったの!?」
「はい」
「というか、助けられたってなに!?」
「妖魔が攻めてきて……」
「聞いてないよ!てっきり俺たち,実は魏の将の家系で呼び戻されたんだと……怪我はない!?なんでまた攻められたの!?」
「今はこのように元気です。理由はいまだにわかりません」
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