2021/06/21
真田姉弟…没
・飯塚姉弟37歳if
・よくよく考えたら37歳で真田刑事がいたけどそれはそれで
「まーた、ヨシくん事件に巻き込まれたの?」
そうぷりぷりと怒っているのは姉である。手先が昔から器用な姉は父親と一緒にマジシャンとして活動している。仮面をつけて、華やかな衣装に身を包んだ姉は腰に手を当ててみるからに不服そうである。ちなみに俺はマジックができない。ぜひともやりたかった。マジックできたらモテるじゃん??とりあえず、姉に弁解を図るとする。
「姉ちゃん、俺も好きで巻き込まれたわけじゃねぇっての」
「現場にあんまり居合わせるとまた犯人扱いされちゃうんだから」
「もうすでに何回かされてんだよな……」
俺のぼやきに姉は「知ってるよ、いつも迎えに行くの私かお父さんでしょ!」と叱る。解せぬ。俺の死神体質は転生したからついたのだとおもうが、本当に解せぬ。
「というか、姉ちゃん本番終わってすぐだろ?しかも隣のホテルじゃんかよ」
「お父さんが隣の騒ぎを見るにヨシくんがまた巻き込まれてるだろうから様子を見てこいって」
ぽこぽこと怒っている姉に悪い悪いと謝る。いやー、事件に巻き込まれちまったなぁー、と言えば反省してない!と叱った。本来なら本番後は観光する予定だったからだろう。近くにいた金田一(少年じゃねぇけど元例の少年である。今は37歳の冴えないサラリーマンであるが)と明智警視(休暇中の明智警視である。金田一に比べてこの人歳重ねないな)が俺たちをみた。
「えーと、真田くんのお姉さん?」
「そ、俺の姉ちゃん。マジシャンしてる。姉ちゃん、こっちは休暇中の明智警視総監と冴えないサラリーマンのふりしてる金田一のおっさん」
俺の言葉に姉は慌てて頭を下げた。
「弟がお世話になります、弟は犯人じゃないです」
「おう、弁護ありがとな。仮面つけたままじゃただただ怪しい人にみえっけど」
「あっ」
姉ちゃんはそう言って慌てて仮面をとった。相変わらずの母親似と俺は思うのだ。この美少女めが。しかしながら俺の想像とは違い、えっ、と小さく金田一のおっさん達が溢すのが聞こえた。
「えっと、真田レイです」
「真田……レイさん?」
「はい」
姉ちゃんはそう言って頷く。金田一のおっさんが伺うように口を開いた。
「飯塚アキって人に覚えはないかな?」
「母さんの旧姓じゃん。なに、金田一のおっさん達母さんの知り合いだったの?」
俺はそう言って逆に二人を伺う。母親は謎であるし、母親の親族も謎である。父親は母親の親族を探しているのだが、母親の親族になかなか会えないらしい。というか、事実十年間以上は会えてないのだろう。首を傾げた姉と俺に、金田一さん達は驚いたように俺たちを見ていた。明智警視が説明する為に口を開く。
「金田一くんは飯塚アキさんの幼馴染でして。私も昔に何度もお世話になりました」
「へぇー、世の中わかんねぇもんだな」
「お父さんのいうとおり、ヨシくんが一番に知り合いに会っちゃったね。お母さんの親族の人知りませんか?」
「彼女の弟なら知っていますよ。連絡もとれます」
「ヤマトって人?」
「ええ、警察官ですから私の部下ですね」
「ヨシくん、私先にお父さんに連絡してくるね!」
「頼んだ」
そう言ってパタパタとかけていく姉を見送る。転けんなよーと声をかけたが、時すでに遅し。ドレスの裾を踏んづけて転倒した姉はあわあわしながら立ち上がり、また駆け出した。おっちょこちょいさも人気の秘訣とはさとみさんのセリフである。もー、危なっかしい,とぼやいていれば、二人は俺を見た。
「ってことは、お前ら、アキの子供か!?」
「おう。まぁ、父親違うけどな」
「……父親が違う?」
「俺は母さんの……二番目でいいと言いつつなんやかんや幸せな家庭を築いて満更でもなさそうだったマジシャン真田一三と母さんの息子。あっちは高遠遙一と母さんの娘」
その台詞に二人は目を見開いた。まぁ、高遠遙一は日本人だと有名だもんなー、と思いながら苦笑いする。金田一さんが明智警視をみる。彼は首をふった。
「……そんな話は高遠からは一度も」
「そりゃそうだ、母さんは黙ってたっぽいからな。多分高遠遙一も知らないと思う。どうすればいいかわからない時に父さんに助けられたって昔聞いた」
「……じゃあ、アキは今一緒に?」
「いや、母さん十年前に死んだから。もしかしたら俺たちを心配して周りにふよふよ飛んでるかもしれん」
そうはっきりいえば彼らは目をまん丸にした。それは俺たち一家が予想していたものである。誰にも言わないで、と母さんは父さんにいったらしい。だから、こうなっているのではあるが。
「服毒自殺ってのが当時の警察の判断。俺たち一家は違うって思ってんだけど、警察捜査してくんねぇし、どうも有名な探偵は事件に追われて捕まえられねぇし、父さんも親族の連絡先もしらねぇしで、いまに至る」
そう肩を竦める。俺たちでも探し回ったのだ。解決できる人を。でも捕まらなかったのだ。だから母親が倒れていた部屋はそのままにしてある。誰かがいつか謎を解けるように。
「どうして貴方達は他殺だと?」
「服毒自殺の割になんていうか、寝てるみたいだったから」
もがき苦しんだようではなく、母親は眠るようだった。棺に入った母さんはまるで目を覚さない白雪姫のようだったからである。
「ーー復讐をするおつもりですか?」
「それは、高遠遙一みたいにってことか?」
そう尋ねる。彼らは真っ直ぐに俺たちを見た。
「俺はしない。警察に裁かれるだろうし、殺人犯と同じ躯になりたくねぇ。姉ちゃんもしない。母さんは幸せにいきろっていってたからしない。父さんもしない。母さんに花向けできないから」
復讐はなにも産まない。彼女は死んだのだ。きっと彼女は復讐を望まない。望んでいない。望むはずがない。幸せに生きろと願う人が、不幸になってまでも他人を殺せと思うはずがない、とは、まぁ、俺たち一家の解釈ではあるが。
「さて事件はぱぱっと解決しようぜ、金田一のおっさん、明智警視。母さんの親族に会う準備しないと」
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金田一のおっさんと明智警視と事件をサクッと解決した後である。私服に着替えた姉ちゃんが父さんを連れてきた。パトカーなどを見て解決したとふんできたらしい。ヨシカズ、と俺を呼んだ父さんに俺はひらりと手を振った。
「まったくお前はすぐ事件に巻き込まれる」
「事件が俺を呼んでいるからな!」
「馬鹿言うな」
冗談っぽくそういえば頭を叩かれたか。容赦がねぇ。姉ちゃんにも無言でぽこぽこ叩かれる。地味に痛いからやめてほしい。
「で、ヤマトの知り合いっていうのは……」
父さんがそう言って周りを見渡すのと、スポーツカーが乗り付けるのは同時である。ヒューと内心口笛をふく。安室さんじゃねぇの,と思ったが、あの人明智警視(正しくは警視総監)と同い年ぐらいだよな……想像つかないな……と思っていれば、当の安室さんともう一人男性が車からおりてくる。は?なんだこのバディみたいな感じ。某ドラマの相棒かよ。同じ青い目をした男性は明智さんとかけてきた。
「明智さん、電話ありがとうな。で、アキの旦那って」
「ヤマト」
父さんはそう言って明智警視に詰め寄った男性に声をかけた。彼は父さんをみると「真田さん?」と呟いた。父さんはズンズンと彼に近づくと、肩にてをおくとひきよせる。
「お前、十年間どこにいたんだ?探したんだぞ!アキが消してたから、連絡先もわからないし、コンタクトとろうと探偵や警察に聞いたが教えてもらえなかった!」
「……すいません、彼は警察の出張でアメリカとこの国を行ったり来たりでしたので」
そうやんわりと割って入った安室さんに俺はなんともいえなくなる。この人公安か?明智警視が知り合いでしたか、と小さく呟いたのが聞こえた。
「……ってことは、真田さんが?」
「あぁ……悪い、ヤマト。お前の姉ちゃんを守ってやれなくて」
父さんはそう言って彼の服を握った。綺麗なスーツに皺が寄る。
「……アキが死んだのは真田さんの責任じゃない。ここにくるまでに当時の警察の見解を見た。服毒自殺だったんだろ?」
彼はそう言って目を伏せる。父さんはその言葉に首を左右に振った。
「違う。アキはそんなことをしない。アイツは殺されたにちがいない」
「なんで真田さんはそう思うんだ?」
「次の日は、娘の誕生日だった」
父さんは小さくそう告げる。そういやそうだったな、と俺はぼんやりと思い出す。もう思い出は朧であるが、確かに母さんのおつうやの日、姉の誕生日だった。
「楽しみにしてたんだ、アキも。娘をどう驚かそうかって、二人で計画してたんだ。俺の根拠はたったそれだけだ。だから警察は聞きいれてはくれなかった。捜査は打ち切られ、自殺と」
小さな根拠だ。きっと警察はそんな人をたくさん見たんだろう。だから、彼らは返答ができない。一旦そうだと判断されたものであるが故に。様子を伺っていた姉さんが口を開く。
「お巡りさんは、そんな人ごまんといるって言いました。精神が不安定な人はそうだって。でも、お母さんはそうじゃないよ。私の証言も聞き入れてくれなかったし」
ムッとした顔で姉が告げる。視線が姉に向き、俺はひらりと手を振った。金田一のオッさんが姉を見下ろした。
「証言?」
「私が子供だったから、信じてくれなかったんですよ」
子供の証言は聞き入れられにくい。とても。あやふやだからだ。だからある意味警察は正しい。そこまで考えて、俺はああと思う。こんだけ冴えないおじさんしてる名探偵やら、警察の重鎮(仮)がいるんだから言ってみてもいける。
「あー、そっか、そうだわ、うん、今と昔で決定的な違いあるわ」
俺はうむうむと頷いて、叔父であろうヤマトさんと安室さん(多分降谷さんだけど)、明智警視と金田一のオッさんに口を開く。違い?と父親でさえも不思議そうな顔をした。
「姉ちゃん、カメラアイなんだよ」
そう言えば、一部は理解したようである。というか、金田一のオッさん以外は理解した。
「カメラアイ?」
「瞬間記憶能力。一瞬でも見たことを忘れられない潜在能力だ。それが証明されたのは?」
「……診断されたのはアキの死んだ翌年だ」
父さんの発言に、姉ちゃんが付け加える。
「九年前の12月21日、午前11時32分、ラスベガスにいるロバート医師の診断でした」
「時間まで覚えているのかい?」
「お母さんが、何か見つけた時は腕につけてる時計を見て時間と日付も覚えたらいいよって4歳の時に教えてくれたから、練習したんです。楽しい日を思い出せば、辛い日が遠くなるよって」
困ったように告げた姉ちゃんにヤマトさんが少し考えた。
「真田さん、残念だが俺は被害者の身内だから捜査できない。警察のきまりだ。が、優秀な探偵を呼び寄せる。金田一もここにいる警察関係者は謎を解くまでかえさねぇ」
そう言ってヤマトさんは金田一のオッさんの首根っこをつかんだ。ぐぇっと蟾蜍みたいな声を出したが大丈夫か。
「工藤新一を呼ぶから待ってて」
「もう呼びました。駆けつけてくれるようです」
「流石降谷くんですね。飯塚先生は?」
「ぶっちゃけ父さんきたら新たな事件が起こる気しかしないからいい」
「金田一くんにヤマト、工藤くんで役満だから気にしなくていいのでは?」
そう言った安室さんに、ヤマトさんが頭を抱えた。姉ちゃんはそれを気にせずケラケラわらう。
「あはは、ヨシくんがいるのでダブル役満ですね!」
俺は姉ちゃんに抗議をおくるとする。
「姉ちゃん、順序逆な。俺が事件を呼んでるんじゃなくて、俺を事件が呼んでっ……いたっ」
父さんに頭を結構ガチで叩かれる。痛い。
「だから、呼ばれないようにしろ。心配するんだぞ」
「ウス、努力します」
ちなみにヤマトさんが頭を抱えていたのだが、もしや同類だろうか。
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「降谷さんにしろ明智さんにしろ年齢わけわかんねぇな。なんなの?不老不死?」
実年齢を聞いてそう思う。いやあんたら五十くらいでそれって。いや、父親は父親でそんな感じではあるのだが。運転席にいる降谷さんはバックミラー越しに口を開く。捜査してくれてるかたわらである。姉と父親は捜査に協力して色々話すのだが、俺はなんせ5歳児であった為に朧げな記憶しかないのだ。
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