2021/06/21
↓改変 真田姉弟と奇術師連続死傷事件
「んぁ?よー、幸村さんじゃん!」
「君は!」
そうズカズカと歩いてきたのは俺と同じ苗字の真田幸村警視である。明智警視ルートを歩む人であり、俺とやたら事件現場で鉢合わせる人である。周りが動かないために一人でサクサク捜査していればやってきたのが幸村さんであったわけであるが、俺の首根っこを掴み、現場から引き摺り出すあたりこの人まだ俺を疑ってんのか??と思う。
「君は!また事件によばれたようだ」
「そうだよ、また事件に呼ばれたんだよ」
さすがわかってらっしゃる。俺が事件をよんでいるわけでなく、事件が俺を呼んでいるのだ。ははは,と笑えば彼は大きくため息をつく。だからさくっと片付けてさくっと帰ろうと捜査中なのだ。
「……君の考えは」
「十中八九他殺。密室殺人ってやつだな」
「自殺と言えない証拠は?」
「自殺にはちょっと無理があると思う」
そう言ってあそこがああで、そこがこうで、説明する。ふんふんと聞いてこうじゃないかという彼は随分丸くなったと思う。俺黒幕説唱えてたからな。
「真田警視?」
そう呼びかかった声に幸村さんがそちらを見る。明智警視監!?と驚いた彼に俺は野次馬根性丸出しでそちらをみる。マジかよ。明智ってこの世界にいたっけ、と思ったら某少年の方の明智警視がいた。嘘だろおい。
「どうしてここに」
「休暇で少し……勇敢なこの少年は知り合いですか?」
「えぇ、非公式ですがよく事件に巻き込まれてよく協力してくれています」
「んで、幸村さんに保護されて姉ちゃんか父さんあたりに迎えにきてもらうまでがセット。真田ヨシカズっす!」
そう敬礼してみる。おや、同じ苗字ですね、と告げた彼に俺は幸村さんの背中をバンバンたたく。そうなんですよ!と言えば幸村さんに肘打ちしてこられたけど。痛い。あと、明智警視の隣にいるおっさんがこっち見て哀れんでんだけどなんでだ。見たことあんな。
「公務執行妨害で逮捕するぞ」
「そんなことしてる暇あったらさっさと解決しようぜ?明智さんっていう人偉い人なんだろ?こりゃもう王手直前だね」
ケラケラ笑いながらそうつげる。幸村さんが俺を見下ろして首をかしげる。
「今日はやけに急ぐな」
「……来週の母さんの……うーん、なんでもねぇ」
関係ないことだからそこで止める?幸村さんはそうかで終わらせてくれる優しさだよなぁ,と思う。幸村さんはほらアレだ。俺の母さんがいないこと察してる人だから。
「来週姉ちゃんの誕生日だからなけなしの小遣いでプレゼント買いたいし」
そう言って頭をかく。フッと笑った幸村さんと明智警視にイケメンだから許されるやつと思う。
「それでは大きくなった探偵さんも含めて推理しましょうか。ね、金田一くん」
「あのな、明智警視、俺はただのサラリーマンであって」
「金田一ってあれ?金田一耕助の親族的な?王手かけちゃうじゃん!なぁ,金田一のおっさん、中のハンガー一個足りないの気づいた?」
そう言って現場を指差す。金田一のオッさん、と肩を落とした彼に俺は気にせず彼を引っ張る。
「落ちてる服見て、服!肩のあたりに変なラインできてるってことは変にハンガーかかってたんだと思うんだよな!でもそのハンガーがこの部屋のどこにもない。この部屋ハンガーが足りないんだよ。あと、裁縫用のケースに糸も一つ空間がある。ってことはさ、ハンガーと糸で密室作ったんじゃないかって俺は思うわけだよ」
「密室ねぇ」
「あ、幸村さんはわかってるだろうけど、明智警視監?は、推理小説の読みすぎかもしんねぇから適当に俺の発言聞き流してくれよな」
そうちゃんと注釈を入れる。幸村さんが肩をすくめ、明智警視監が頷いた。
「わかりました」
金田一のオッさんが頭をかきながら俺を見下ろした。
「なんでお前は他殺だと思ったんだ?」
「うーん、あのさ、違和感がするんだよな。背中からぐっさりさすなら正面から刺すだろ?一応は殺された人が自殺するために背中刺した線も考えたんだぜ?物が落ちてきてそれと一緒にナイフぐっさりとか。氷の土台作ってぐっさりして氷が溶けたからそれがないとか。でも綺麗すぎるだろ、この部屋。この人が自分で刺したならこの人社長するより雑技団入った方がよかったと思う」
「たしかに綺麗だな,この部屋」
「だろ?でも、ハンガーがひとつねぇのよ」
そう言いつつ金田一のおっさんに首をかしげる。まぁ犯人が「少年の勘違いでは?」としゃしゃり出てくるんだけどな。
「うるせぇ、今は犯人はお呼びじゃねぇ黙って待ってろ」
「は?」
「えっ?」
あちゃあ、と口を慌てて覆う。幸村さんが俺の頭を叩いて,申し訳ありません、と頭を下げた。
「ドラマの見過ぎで行く先々でこうやって茶々を入れるんです。現場から遠ざけますので」
「ぐぇ」
首根っこを掴まれる。俺は大人しくしておく、が、だ。聞いておかねばならないことがある。例の刑事みたいに人差し指をたてる。
「最後に一つだけいいか?アンタ、傘どうしたよ。アンタこの店来た時傘持ってただろうがよ」
まぁその瞬間幸村さんの部下が傘を探しに向かうあたり俺の扱いに小慣れているのだ。
「……見間違いじゃないのか?」
「ふぅん、あっそ」
まぁ見るからに犯人焦ってんだけどな。はー、と金田一のオッさんがため息をつく。幸せにげんぞ、金田一のオッさんと言えばお前のせいだよと言いながらうなだれたけど。
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「またかお前は!」
ぐりぐりと頭をしごかれる。いてて、父さんいててと言いながらもかろうじて受け入れてるのはアレだ。心配されてるとわかっているからである。幸村さんはやれやれと息を吐き、父さんをみた。
「すいませんね、うちの息子が」
「いえ、こちらもお世話に」
「おや?貴方は確かマジシャンの真田一三さんでは?」
そう言った明智警視監に父さんは手を離して、そうですが、とつげる。俺はふふんと胸を張った。
「そ!俺のお父さん!」
「そうでしたか。てっきり真田警視の身内かと」
「まぁおんなじ苗字だし、場合によっては幸村さんの身内名乗ったりしてるし」
その発言にもう一度頭に軽くグーをおとされた。痛い。
「ヨシカズ、帰るぞ」
「待って、俺花屋寄りたい。姉ちゃんのプレゼントは買えたけど、花まだ買ってない」
「ホテルの中にある」
そう言って歩き出した父親に俺はヒラヒラと金田一のオッさんや幸村さん、明智警視監達に手を振って父さんの隣に並んだ。
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うおーい、やめてくれ。父親と姉が参加したマジック大会、その中で起こる殺人事件!金田一のおっさんと歳食った工藤新一、俺が揃っている時点で嫌な予感はしていたが。やってくるのが幸村さんと明智警視監の時点でほらあれだよ。もうこれ工藤新一サイドからしたら映画並みの殺人だよ。とりあえず俺は姉ちゃんといっしょにいろと言われたので姉ちゃんと一緒にいる。サングラスと帽子で髪型を隠した姉はまるで線が細い男子である。後青い目したお兄さんと降谷さんとか色々いるんだけど。これやばくないか??
「お、マジシャン殺しのヨシカズじゃねぇか」
「黒羽のおっちゃん、この状況でそれは辞めてくれよな。俺にガチであらぬ疑いが向くから」
「マジシャン殺し?」
そう首を傾げた工藤新一に黒羽のおっちゃんが手をあげた。
「よー、工藤と金田一じゃねぇか。お前らもごくろうなこって。このボウズのあだ名だよ」
「不名誉すぎるから返上したい」
そう言って俺は黒羽のおっちゃんの手を払う。まぁ、遊ばれてる気はするけどな。
「コイツがことごとくマジックのタネを見破るからついたあだ名だよ」
「見破れるようなマジックする奴が悪い」
開き直ってそう言えば頬を引っ張られる。いひゃい、といったところではなしてくれなさそうである。そんな俺をよそに、姉ちゃんがコソッとヨシくん知り合い?とコソコソと尋ねた。それをみて黒羽のおっちゃんは手を離したが。俺はひりひりする頬をさすりながら答える。
「ほら、黒羽快斗だよ!姉ちゃん会ったことなかったっけ?」
「あぁ!あの!……なーに、おっちゃん呼びしてるの!」
そう言って今度は姉ちゃんにムニっと頬を引っ張られたが。
「姉ちゃん?」
「あれ?黒羽のおっちゃんはじめましてだっけ?まぁ姉ちゃん人見知りだもんな」
「ってことは、真田レイか?」
そう見下ろした黒羽のおっちゃんに姉ちゃんは刻々と頷いた。
「はじめまして、えっと、黒羽先生。真田レイです。えっと……えっと……両親に続いて三番目にファンです!」
「姉ちゃん、そこはファンです,でいいと思う」
「あ、えっと……ファンです!」
あわあわしながらそう言った姉ちゃんにやれやれと肩を竦める。
「……まぁ、順序はともかくそう言ってくれて嬉しいぜ!」
ポンっと薔薇の花を出した黒羽のおっちゃんに姉ちゃんは感激しているが、俺は突っ込む。
「右の袖の中の膨らみが違うからそっちからだした」
「ほーら来た」
「へー、怪盗キッドの現場に連れて行ったら面白そうだな」
聞こえた第三者の声に俺たちはそちらをみる。歳食った(ようにはあんまり見えない)降谷零と青い目のおにーさんである。ひくり、と口元を動かした黒羽のおっちゃんに俺はバンバンと黒羽のおっちゃんの背中を叩く。
「なにそれ!楽しそう!」
「おっ、興味あるのか?」
「ダメだよ,ヨシくん巻き込まれたら事件になっちゃうよ!」
「姉ちゃん、キッドのも窃盗事件だからな。あと、俺が事件に呼ばれてんじゃない。事件が俺をよんで……いでで!鳩はダメ!姉ちゃん!鳩はだめ!」
どこからか鳩を取り出した姉ちゃんによる鳩の攻撃である。めちゃくちゃいてぇからやめてほしい。まぁ、姉ちゃんがルイと呼んでいる鳩は姉ちゃんの合図に突くのをやめて俺の頭に止まったが。
「くっそー、ルイに舐められてる気がする」
「ルイはヨシくんと仲良しって思ってるよ」
「そうかいそうかい」
そんな会話をしていたら叫び声があがり、全員現場に急行する。そこにいる息絶えかかっている存在が父親で俺たちが余計に動きを止めるのだが。お父さん!と告げた姉ちゃんに、俺も父さん!と声をあげてかけよる。青い目をした兄さんが何かを図り、口を開いた。
「生きてる!毒物か……?おい、真田さん、しっかりしろ!!金田一、お茶もってこい!明智警視、救急車!」
「……レ、イ、よし、カズ」
けほり、と父さんが俺と姉ちゃんを見る。そして、何かを告げようとしてカードを俺達に渡す。そこで意識が落ちたらしい。真っ青になる俺と姉ちゃんをよそに、父さんは適切な処置を施され救急車に乗せられていった。
父さんに処置が施され、あとは本人次第と聞いたときである。多分母さんが父さんを追い返すだろうと楽観視しつつ、俺は父さんに渡されたカードをみる。トランプのハートのクイーンだ。父親と姉ちゃんの愛用するトランプの柄は特注で、ハートクイーンはバラを持っているのだ。母さんのイメージらしい。それをみていれば、やっべぇ、いらないことに気づいてしまった。
いやだって、今回殺されてんの、母さんが死んだ時に一応容疑者に上がった人達である。結局は服毒自殺とされたやつであるが。
そうなると、俺は必ず一人確認しないといけないやつが出てくるわけでして。その前に探偵諸君にいった方がいいだろうしな、と思うし。とりあえずちょこちょこと未だショックをうけてメェメェ泣いている姉ちゃんと一緒に探偵諸君に近づく。そしてコソっと尋ねてみた。
「なぁ、高遠遙一ってまだ獄中なんだよな?」
「え?」
こちらをみおろした彼らに俺は首をかしげる。
「……えぇ、そうですが……」
「うーーん、じゃあないか」
高遠遙一は母さんな元カレとかそんな感じだと思われるので、怒った高遠遙一による計画かな?っと思ったが獄中にいるならほぼノーだろう。復讐っつっても、俺たちが復讐する側だしな。
「高遠遙一が何かあるのかい?」
そう言ってこちらをみおろした降谷さんに俺は彼を見上げた。俺はほおをかく。
「このトランプのカード、父さんが俺たちに渡したカードなんだけど」
懐からトランプを取り出して机にのせる。ハートのクイーン?と首を傾げた彼らに、黒羽のおっちゃんが口を開いた。
「真田さんやレイ達が使うトランプだな」
「わかるのか?」
「あぁ、真田さんやレイ達のマジックショーにいって指名されると後でサインが入ったトランプをもらえるんだよ。柄は確か特注って話だ。ほら、ハートのクイーンは赤い薔薇持って……」
そこで黒羽のおっちゃんが何かに気づいたらしい。
「……クイーン・ローズ?」
「クイーン……?」
「……知る人ぞ知るって感じのマジシャンで、コアなファンとか同業者しかしらないだろうな」
「確か……真田さんのところで誰かが出れないときに代わりに出てくるピンチヒッター、でしたか」
「そ!マジックの腕前はまさにクイーン!薔薇を扱うマジックをするから、クイーン・ローズ!ま、最近はレイが上手くなったのもあるんだろうけど、全く現れてないけどな」
あぁわ,世間にはそう思われてんのね、と納得する。クイーン・ローズは母さんなのである。幼かった姉ちゃんのかわりや、同じように属していたマジシャンが出ることができないかわりに母さんが仮面をつけて出ていたのである。
「では、犯行はクイーン・ローズが、と知らせたいのか?」
真田警視とセットできた刑事がそう告げる。姉ちゃんが俺の服を握りながら首を振った。
「それはないよっ」
「あのな、嬢ちゃん、元同じ魔術団にいたからって庇う必要は……」
「いや、刑事さんクイーン・ローズに犯行はできないよ」
「……何故?」
「だって、クイーン・ローズ、十年前に死んじゃったもん」
そう言えば、黒羽のおっちゃんが目をまん丸にした。姉ちゃんは相変わらずメェメェ泣きながら口を開く。
「それに、服毒自殺って警察さん達が決めたことでしょ!」
あぁ、だから高遠遙一の名前がでてくるのか、と周りが納得する中、黒羽のおっちゃんだけが俺たちを見下ろした。俺は無視して彼らに向かって口を開く。
「俺の記憶が正しければ、今回殺されたり襲われたりしてんのは警察がクイーン・ローズは殺害された線を辿ってた時に容疑者として名前が上がってた人達だぜ」
「なら、誰かがクイーン・ローズの復讐を遂げようとしている?」
その言葉に俺は肩を竦める。それは知らないが、父さんを殺そうとする段階でだいぶ困る。そもそも,自殺でないと思っているのは俺たち家族ぐらいなものだ。そのまま刑事さんがクイーンローズの件を調べると席を外し、探偵や警察達も調査に向かう。黒羽のおっちゃんが俺たちの様子を見るからと俺たちのそばにいるのだが。
「ほらほら。姉ちゃん、もうなくなって」
「だって、ヨシくん、お父さん、死んじゃったらどうしよう……」
「大丈夫大丈夫、母さんが追い返すって。まだくんなー!ってな!」
俺は持っていたハンカチで姉ちゃんの涙を拭う。サングラスを外した状態の姉の顔を見て、黒羽のおっちゃんはやっぱりか、と目を伏せた。
「お前らの母さんがクイーン・ローズだったんだな?」
「……おう」
「母さんの名前、アキ、じゃなかったか?」
そう尋ねた黒羽のおっちゃんに俺は目を瞬いた。母さんの人付き合いは限られていた、というか母さんが進んで知り合いを作ったり昔の知り合いと会うことがなかったのだ。姉ちゃんを身籠った時点で距離を置き、そうしてどうすればいいかわからないままひっそりと暮らしていたときに父さんと再会したらしい。母さんは父さんに口止めしているし、父さんも母さんには弟がいることしか知らないらしい。
「お母さんの知り合い?」
「おう。高校時代にあって、そこから仲良くしてたんだ」
「母さんが行方をくらます前ってことか」
「そうだな。しっかし、ヨシカズの目の色とレイの外見は母さん譲りだな。レイなんて真田さんの要素」
「だって、私のお父さんとヨシくんのお父さんは違う人ですもん」
やっと泣き止んだ姉ちゃんはそう言ってサングラスをずらして黒羽のおっちゃんを見上げた。
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