2021/06/21

↓改変

・改変

同じだった。恐らく時代は遡っているのだけど、何も変わらない。というか、子供に戻って仕込まれたのはまたそう言う術だった。人に買われて人に奉仕し、人を殺す。それがどんな世界においても用意された私の道らしかった。だと言うのにこれはどうしたものか、と思う。鳥というよりは恐竜である。鳥の祖先は恐竜だとか、その逆だとか,そういうことを思い出したが、ぐぱりと大きな口を開いた恐竜に対する方法など知らない。先に逃げた私を買った大人は無残な姿に変わった。あとは私を捕食するというわけだ。刀で争ってみたが、柔らかな人を斬るための刀は硬い皮膚でそうそうにおれた。せめてひとのみにしてくれないだろうか。そう小さく丸くなれば、恐竜が横にないだ。なんだ、と思えば数人の大人と大きな犬、二足歩行の猫がやってくる。そうして恐竜に武器を振り落とした彼らに恐竜はひるみ、何処かに逃げていく。追え、と誰かが指示を出すのが聞こえる。目の前にいるその青年は振り返って私にあわせてかがんだ。
「大丈夫かい?」
そう尋ねた彼がいつかの先生にそっくりだったものだから、私ははらはらと涙を流すのである。こわかったね、だなんて告げた彼は私を抱き上げたのだけども。

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口を噤む、つぐむ、ツグミ。喋る口無し、くちなし、梔子。私につけられた名前はなんというか皮肉めいたものだった。まぁ私が喋れないふりをしているから仕方ないのであるが。そのまま彼のいた里に連れて行かれる。かれもまた忍なのか,と思えば彼はハンターらしい。どうやらあの恐竜ーーモンスターが人を襲っているのをみて、誰かが緊急に依頼を出し、彼らが討伐にやってきたということのようだ。私を買った人は私の両親と処理され、孤児とされた私の面倒を見ると言ってくれた彼らはなんというかお人好しなのだろう。その中でも、私を助けた彼は飛び抜けてお人好しであるといえた。
「梔子、武器は人に向けるものではないよ。ましてや、箒は掃除するためのものだから、武器でもない」
そう言って私が握っていた箒の先を退けた彼は、だめ、としかった。元はといえば少し意地悪なハンターが、私に手を出したのだが、私がやり返すのをみていたらしい。
「武器はモンスターに向けて、箒はお掃除しようね」
いけない、と告げた彼に私は箒と彼を見つめる。でも,だって,そういうものはただの言い訳だろう。わかったかい?と告げた彼にとりあえず頷いておく。
「うん、梔子は良い子だね」
私の頭をぐしゃぐしゃと撫でたその人に、私は手元をみつめる。きっとこの世界でも私は異質であるし、あの里も異質なのだろうと。足元を見つめた私に彼は私の頭を撫でる。
「さぁ、お団子を食べに行こう」
そう手を引いた彼は何処までも優しい人なのだ。



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孤児だから生きていく術が必要で、孤児だからその選択は小さくて、とりあえずハンターになれということである。人があんなおおきな恐竜に勝てるのだろうか、忍術もなく、単騎で。と思っていたが案外ハンターが無傷で帰ってくるのを見ると勝てるものなのかもしれない。ということで、私を助けた青年ことウツシさんにハンターのいろはに習うことになった、のであるが。ウツシさんのモンスターのモノマネがツボにハマった。だめだ、と震えていれば、梔子?と首を傾げた彼に、わざとたとたどしいはつおんでモンスターのモノマネをする彼の真似をする。
「うおおおん?」
えっ、と、彼が目を見開いて私を見下ろす。そして、そうだよ、ウオオオン、だ!と彼は告げる。ツボにハマった私はケラケラと笑った。あーだめだ、面白い。
「あは、あははは、うおおおん!」
そう笑っていれば、彼は心底嬉しそうに私を抱き寄せた。おっと、と思ったが、嫌な感じはない。まるで昔の師を思い出すそれだ。ひとしきり笑い終え、私は彼を見上げた。
「梔子、モンスターの真似が上手だね。俺の名前は呼べるかな?ウツシだよ、う、つ、し」
「う、つ、?」
「う、つ、し」
「う、つ、し?うつし?」
そう首を傾げながら呼べば彼は目をキラキラ輝かせて、愛弟子ー!と強くハグしたのだけど。
「梔子、これから狩りのやり方もだけど色々な言葉も覚えていこうね!」
とりあえず頷いてしまった私は悪くない。いや、喋れるんだけどね。


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これは果たして笛なのかとか武器なのかとか思っていれば、どうやら鈍器らしい。音色によっていろんな効果があるらしい。普通の笛ではいけないのか、と思いながら並べられている置かれていたセロをみつめる。セロで殴るのか。うーん、と並んだ 武器を見る。扱いやすいのは弓などの遠距離や剣や刀だろうか。
「まぁ、今すぐ扱えは難しい話だよ。こんな種類があるんだっていうことを覚えておこうね!」


もらった端材で横笛をつくってみる。音の調節も一発でうまくいった。ひゅるりと鳴ったその音を繋ぎ曲を奏でる。しばらく目を伏せてそれを奏でていれば、誰かが入ってくる音が聞こえる。笛の音をとめてそちらを見れば里の長であるフゲンさんがいた。フゲンさま、と彼を呼べば、彼は笑った。
「梔子、良い笛だな」
「はざいを、いただいて、つくりました」
「ほう?作り方は知っていたのか?」
「よこぶえは、しって、います」
辿々しく喋る。そうかそうかと笑った彼はぐしゃぐしゃと私の頭を撫でて隣に座る。私は嫌ではないのでその手を享受しつつ彼を見上げて首を傾げた。
「どうか、しましたか?」
「いいや?笛の音が寂しそうだったからな」
その言葉にパチリと目を瞬く。ウツシはすぐ帰ってくると笑った彼に頷いておく。
「梔子はウツシが大好きだな」
「さとのみんな、すき。うつしさん、だいすき」
子供っぽく笑いながら言えば、ウッというウツシさんの声が聞こえた。この人達やっぱ気配消すのうまいんだよな。そちらを見れば、ウツシさんが我が愛弟子ーー!と言いながら私に抱きついた。私は犬猫じゃないぞ。


==数年後

「ん?あ?ナマエじゃねぇか」
ウツシさんの元を卒業し、ハンターになっていくばくか。ウツシさんは正式に教官になったらしく、私より少し年下の人にハンターのいろはを教えている。そんなわけでウツシさんの代わりに里の屋根の上で見張りをしていれば下から声がかかった。なんというか懐かしい名前であるし、その声は知っている。マゴイチである。流れるようにライトボウガンなんだよな。その隣にいるのは知らないハンターであるが。近くにいたフゲンさまと知らないハンターはマゴイチを見下ろした。
「知り合いですか?」
「クソッタレな里にいた同い年。数年前に買われて里から出てそれ以降帰ってこなかったから、死んだと思われてるやつ。死んだ訳ねぇだろ,と思ってたけどやっぱり生きてんじゃねぇか」
そう私を見上げて彼は訴える。私は彼を見下ろしたままだ。なんだあの里にいたのかマゴイチは。知っていたら連れていっても良かったが私は知らなかった。フゲンさまが手招く。梔子、降りてこい、という言葉に私は頷いて下に降りた。
「梔子、こっちはウツシの同期のジツだ。お主がこの里にやってきて今までの間、狩猟修行の旅に出ておった。ジツ、こっちはウツシの一番弟子の梔子だ」
「よろしくお願いします」
そうぺこりと頭を下げる。彼はフゲンさまをみる。
「梔子?」
「モンスターに襲われていたところをウツシが助けてな。当時喋ることができなかったから俺たちで名をつけた。で、ジツ、お前の弟子だが」
「数年前とある里がモンスターに襲われていまして、助けた子供です。腕がいいので弟子にしました」
「マゴイチっす。よろしくお願いします」
「うむ。マゴイチ、ナマエというのは……」
「コイツの名前」
そう指差した彼の指を逆に曲げていく。いででで,と言った彼は慌てて離れたが。
「何すんだよ!引き金引けなくなるだろ!」
「人を指差してはいけないんだよ」
「お前が名前いっても素知らぬ顔してるからだろ。なんだよ、梔子って。お前はナマエか影丸だろ!」
殴ろうとするマゴイチの攻撃を避けて飛び上がり私はマゴイチの背中の上にのった。ぐぇっと潰れたかえるみたいな声が聞こえてマゴイチが地面に伏せる。昔だったら首元にクナイを構えたが、それはここではいけないことであるし、相手はマゴイチであるのでそういうことをするつもりはない。にゃろ!と起き上がったマゴイチからぴょんと避けて壁の上にしゃがむ。
「君がどう言おうと、私はこの里の梔子だよ。というか、君あの里にいたっけ?」
「気付いてねぇと思ったよ。まぁ、ぶっちゃけお前が買われるちょっと前ぐらいから俺はあの里にいたからな。見かけただけだし」
「ふぅん、今いくつ?」
「17」
「なんだ、同い年か」
ぴょんとまた塀から降りる。そうかいそうかいと言いながら彼はあたまをかいた。フゲンさんは私を見下ろす。
「梔子、前にいた里を覚えているのか?」
「あまり。でも、好きじゃありませんでした。カムラの里の方が好きです。比べられないくらい。それにあまり口外するなときつく大人に言われていましたし、覚えていてもあんまりいい思い出はないので」
そう困った顔をして彼を見上げる。
「あー、お前は特にそうだよなぁ。俺は狩猟兼任みたいな感じだったけど、お前はもろそうだよな」
「おや?マゴイチ、何かあるんですか?」
「ジツさん、あそこはまともな大人が皆無だから」
「まぁ、怪我をしているお前を餌に罠を設置してましたしそれは理解できますが」
聞いた瞬間めちゃくちゃフゲンさまの眉間にシワがよった。うーん、これは覚えてないふりをした方がいいのではなかろうか。そんなことを思ってたらマゴイチが口を開く。
「師匠、フゲンのおっさん、コイツ、女だか男だかわからない顔してるだろ?だから大人が何かといりようなんだよ」
「マゴイチのせいで、嫌なこと思い出した。肉が全部焦げる呪いをかけてやる」
「やめろよ、俺苦手だからガチで全部焦げるんだよ。どうせならこんがり肉にする呪いをかけてくれ」
「マゴイチを?」
「俺は食い物じゃねぇよ」










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雑多 

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