2021/06/21

ぽけむそおろち


なんか知らない場所にでた、とふよふよする。私の住んでいる研究所跡地の穏やかな牧場のあたり一体に霧が出たと思えば恐らくは全く知らない場所にドッキングされた。森はいい感じであるが、なんせ血生臭いというか平和っぽくない。そもそも私に融合したモノは平和な森にしか現れない気質であるので、私はこの場にそぐわないというわけだ。撤収、撤収ー、と宙返りを決めたところで誰かと視線がかち合った。人間である。いや、私も人間だが、人間じゃないというか、なんというか。武器を構えた人間は怪我をしているようである。事情も聞きたいし、そのまま地面に降りて、ととととかけてみる。ぐるぐると周りをうろちょろし、私の時代の人間じゃないな!と納得した。ずいぶん昔にいた世界の中華服系に似ている。
「敵意はない,のでしょうか」
「あぁ、ごめんなさい。珍しい服装してるからみてしまった。こんにちは」
そう声をかければ彼らは驚いたような顔をした。わぁ,イケメンばっか。その中にいる金髪っぽい男性がにこりとわらった。
「こんにちは、お嬢さん」
「私はナマエです。よろしくおねがいします」
手を差し出せば彼らは目を瞬いて、首を傾げた。握手の概念がないのかな?と思っていれば同じように手を差し出したので手を握ってふっておく。
「私のいる場所での挨拶です。お友達になりましょう、これからよろしくお願いしますってことです」
「素敵な挨拶だね」
「お兄さんたちは酷い怪我してますね。やっぱり何かあるんですか?」
そう言って破けている服から覗く怪我をつつく。治るんだな。金髪のイケメンは目を少し見開いた。
「逆に……貴方はどうしてここに?」
「気付いたら家ごとこの世界にいました。家から少し離れてみれば物騒そうなので家に撤収しようとしてたところです。まぁ,こんな場所ではなすのもなんですし、お兄さんたちもきますか?」
「それは助かる」
「この森は迷いやすいので気をつけてくださいね。あ、歩けます?」
結構怪我がひどい人がちらほらいるんだよなぁ、と様子を伺う。森の中を歩くと面倒だからテレポートしてもいいのだが。大丈夫です、と、よろよろと立ち上がった男性に無理は良くないんだよなぁ,と思う。あと嫌な感覚がびしばしくる。ということは、テレポートするのが正解か。
「ふわっとする感覚大丈夫です?」
「ふわ?」
「なんだろう、浮遊感?まぁ、嫌な予感しますし、サクッと移動しますね」
そう言いつつ五人の服を掴む。そのままテレポートの予備動作に移れば体が浮いた。は、と驚いた彼らにそのままテレポートで私の家の近くに飛ぶ。言うなればジャンプの着地の感覚である。さてさて,家に帰ってきたぞ、と門を開ける。
「怪我してるしこっちどうぞ」
そう尋ねれば、彼らは唖然と私を見た。うん?ポケモンの仕業と普通はみんな聞くのだが、彼らはそうではないのだろうか。
「ねぇ、キミ,今のどうやっ……いててて」
「どうって、ポケモンのテレポートですよ」
「ぽけもん?てれぽ?」
「おっとこれはまさかの展開がでたな……まぁ、とりあえずどうぞ」
私はもう中に入るぞ。とりあえず門と扉を開けたままにすれば中に入ってきた。なんかこそこそ言ってるが知らん。くつはちゃんと脱いでくれている。
「そこのソファに座っててください」
「そふぁ?」
「うーん、ながいす?」
そう言ってソファを指差す。理解したのか、怪我のひどい人を先に座らせた。いや、一番怪我がひどい人が一番ワクワクしてるっぽいけど。
「いやぁ,見たことがないものばかりでワクワクするね!……いててて……」
「お兄さん一番重症っぽいのに元気ですね。手当てあとでいい?」
「そこは別で頼みたいなぁ」
そう言った彼の腕の傷をつっつく。うーん、治りが悪い。これは私じゃない方がいいな。タブンネちゃんとルカリオに手分けして頼もう。
「ルカリオー、タブンネちゃん、怪我人治すの手伝って」
廊下に向かって声をかければルカリオがやれやれというふうに顔を出す。
「え、なに、そこにいたの?」
刻々と頷いた彼に、これは多分インテレオンとゲッコウガも廊下で待機してるなと思うが、まぁそれは良い。彼らは心配性五大ポケモンのうちの三匹である。あとお兄さん達が警戒した。
「……獣?」
「うーん、そういう反応するっていうことはやっぱりお兄さん達の世界にポケモンはいないのかぁ。まぁ、いいや、ルカリオー、癒しのはどうでお兄さん手当てしてあげて」
そういえばちらりとこちらを見る。大丈夫大丈夫と言えば彼はため息をついてお兄さんの傷に手を当てた。青い光がともりお兄さんの傷がだんだん治っていく。まぁ、流石に全部は治らないようだが。タブンネちゃんとフシギダネが救急箱を持ってやってきた。
「ありがとう、タブンネちゃん、フシギダネ。タブンネちゃんも他の人の手当てお願い。フシギダネは救急箱私に頂戴」
そういえばタブンネちゃんは鳴き声をあげて、座ってるもう一人に手をかざす。フシギダネが救急箱を蔓でつかんでやってきた。
「これは凄い!怪我がほとんど治ってる!」
「ダネフシ!」
「ねー、フシギダネ。包帯巻きたいのに、困ったお兄さんだねー?」
「ダネダネ!」
「見たことがない生き物ですね」
「うーん,じゃあやっぱりお兄さん達の世界にポケモンはいないんだね」
「ぽけもんとは?」
「この子達みたいな……動物のことです」
フシギダネとタブンネちゃんが不思議そうに首をかしげる。
「この人達の世界にはポケモンがいないんだって」
「ダネ?ダネダーネ?」
「タブンネー?」
「そうそう」
そう言って相槌を打てば、フシギダネが蔓を伸ばす。掴んだのは本のポケモン図鑑だ。ずいっとそのまま近くにいたお髭のお兄さんに本を差し出す。
「ええっと、これは」
「図鑑を読んで自分達のことを知ればいいよってことだと思います」
「ずかん、ですか」
「んんー、見たことがない文字だね、こりゃ。倭の国の文字でもないのを見ると……本当に知らない世界のようだ」
「あー、まず文字の壁があったか。ええっとここにのってる動物達をポケモンといって、私の世界では一緒に暮らしています。不思議な力を持っていることが多いです」
「傷が癒えたのも不思議な力というわけですか」
「そういうことです」
私は頷いて軽くなった怪我に包帯をまいていく。うずうずワクワクとしているお兄さんに動かないでくださいよー,と言っておいた。
「先程、いきなり場所を移動したけれど、アレはどこにでも行けるのかい?」
「いえ、私が行ったことがある場所しか行けませんね」
「ということはお嬢さん達は先程の術で移動しても、先程私達があった場所までしかいけないんだね」
「そうですね。あー、お兄さんたちが帰る術かぁ。うーん、街に帰るなら空を飛んでビューンと移動してもいいんですけど」
「は?」
「空を飛ぶ!?」
ずいっと顔を近づけたお兄さんはうーん目をキラキラさせてらっしゃる。
「キミの世界では空が飛べるのかい!?」
とびたい、と目をキラキラさせてらっしゃる。
「ところで、お兄さん達高いところ大事なんです?」
「高いとは、どれくらいの距離ですか?」
「どれくらい……ううん、どれくらい……雲ぐらい?」
そう首をかしげる。想像があまりつかないのですが,と困り顔でつげた彼らに、いやうーんと困った顔をした。配慮するのが面倒だ。
「まぁいいか、空飛んで近くまで帰って貰えば」
こっちこっち、と手招いて飛行ポケモン達がたくさんいる場所にむかう。いくいく!とワクワクしたように続くお兄さんは冒険向けである。


とりあえず飛行ポケモンがたくさんいる場所は植物園みたいな場所を抜けた先である。天井が開け放たれたそこにいるのは比較的小さな飛行ポケモンである。なんだなんだと私の頭に止まったり、誰だ誰だとお兄さん達を見つめているポケモン達は置いといて。とりあえず近くに置いてあった籠をみる。たまに使うからメンテナンスはしっかりしてるし大丈夫だろう。籠を触っていたからか察したようにバサバサとアーマーガアやピジョットが空から降りてきた。みんな一緒ということはお散歩してたのかも知れない。
「アーマーガア、悪いんだけど、そこにいるお兄さん達を元いた場所に送りたいんだよね」
アーマーガアを撫でる。了解した、という風にないた二匹にお兄さんたちをみる。
「まさか、その籠に入るのですか?」
「はい。私の世界の、地方によってはこういうふうに空を飛びます。まぁ、ここでなんやかんや言ってても始まりませんし、サクッと行ってサクッと帰らないとお兄さん達の知り合いが心配なさるのでは?」
「あっはっは!それはそうだ」
「乗るしかないのですか……」
若干がっくりとした一部の彼らに私は首をかしげる。しかし、まぁ、了承したのか若干渋々やってきたが。
「ううーん、お兄さん達はポケモン知らないですもんね。そりゃあそうなるか。この子達はとても賢い種族です。大丈夫ですよ」
とりあえず籠にそう言いながら押し込む。さすがの大人数向けタイプであるが、さすがに大人五人は無理だったか。
「身長高いお兄さんは一回降りて」
「ええっ」
「貴方は空を飛ぶのが怖くなさそうなのでポケモンの背中です」
そういえばピジョットがやってくる。
「ピジョット,このお兄さん乗せれる?」
了解、みたいにないたピジョットに、一応ハーネスつけていい?と聞けば頷かれた。まぁどこ捕まればいいかわからないからな。
「この手綱を掴んでおいてください」
「わかったよ」
「とりあえず会った場所までテレポートで飛びます。そこから空を飛びますね」
そう言いつつ頭に乗ったポケモン達をおろし、テレポートでそのまま会った場所に向かった。よし。ピジョットの背中に乗ったお兄さんをみ、私はアーマーガアにのる。
「浮遊感しますけどそこは我慢してくださいね」
そう言って宙に浮かぶ。そのままグングンと空に浮かびあがり、森を抜け、雲ぐらいの高さまで上がる。
「お兄さん達、どっちに……」
そう尋ねようとすれば、お兄さん達が感傷に浸っているらしいのがわかる。ピジョットが隣にスイスイとやってきた。
「お兄さん達の家はどちらです?」
「北のあたりに向かってくれないかな?」
下から聞こえた声にじゃあこっちかとそちらに向かう。うーん、陽が沈みかけている。


とりあえずついた場所は街っぽかった。でも多分かなりふるい。時代が昔のようである。時をかけちゃったらしい。流石に街の中に入るのはどうかと思ったので少し郊外に降りる。ピジョットに乗っていたお兄さんは楽しかったのか目をキラキラさせている。籠から四人を下ろしていれば、興奮気味に口を開かれた。
「これはいいね!初めて空を飛んだよ!というか私達の世界で初めて空を飛んだのは私達にちがいない!」
「あははは。そうかも知れないですね。じゃあ私そろそろ帰りますね」
「おや、つれないね。私達を救ってくれたんだ、一緒に食事でもどうかな?」
「うーん、みんなが心配するのでそれはまた今度。じゃあまた」
そう言ってひらりと手を振ってポケモン達とテレポートして帰る。さて、ご飯!である。


==

物騒だから出あるかねぇと決めていたのだが、うっかりちょっと散歩した先に綺麗な泉がある場所を見つけてしまった。うわーい!お気に入り!である。水の中にはずいぶんと昔に見たような普通の魚達が泳いでいる。わーい、と水遊びしていれば、茂みが揺れた。なんだ、とそちらを見れば、顔を覗かせたのはまたボロボロの人である。緑色の服を着た人は武器を構えたが私しかいないとわかったんだろう。「……子供?」と言いながら武器を下ろした。物騒だなぁ。
「キミは……この辺りに住んでるのかい?」
「ちょっと先のほうですけど」
そういえば助かった、とため息をついた彼に,迷子か,と思いながら足で水をチャプチャプする。
「お兄さん迷子?」
「ええっと、そう、なる、かな」
項垂れたお兄さんに、まぁこの辺り迷う感じの森ですもんねと言っておく。多分迷いやすいのはルミナスメイズの森よろしくポケモンの仕業もあるだろうし、私の家のあたりが悪しきものを寄せ付けないという話だからだろう。
「まぁ、がむしゃらにいっても迷うだけだし、ちょっと休憩していけばいいですよ」
そう言いながら隣を叩く。彼は大きくため息をついて、そうかも知れないとぼやきながら隣に座った。まぁ、そっと目を逸らされたが。
「……あまり女性が足を見せない方がいいよ」
「水が気持ちいいんです。お兄さんもしたら?」
そう言えば彼は寸分迷って靴を脱ぐと同じく足をつけた。
「あぁ、確かにこれはちょうどいいね」
「でしょう?お兄さんはどこからきたの?キョショウっていうところ?」
「いや……どうしてそう思ったんだい?」
「この前何かに追われてた人は許昌から来たって聞いたから、みんなそこに住んでるのかなって」
鞄からマゴの実を取り出して食べる。うむ、甘い。
「お兄さんも食べる?」
「見たことがないけど……きのみかい?」
「マゴのみって言うきのみです。多分お兄さんの世界にはないんじゃないかなぁ」
はい,と渡せば彼は恐る恐るかじった。
「美味しい」
「でしょ」
「俺の世界にないって言うことは、キミは倭の国から来たのかい?」
「ワノクニ?」
「ええっと、日の本?」
今の私は違うので首を左右にふる。彼は目を瞬いた。
「気づいたら家の周辺ごとこの森の中に移動してました」
「えっ」
「でも平気です」
ポケモン達もいるし、と思う。きのみを食べながらお兄さんは眉尻を下げた。
「危ないよ、妖魔だっていつ攻め込んでくるかわからないし……」
「ヨーマ?」
「ううん、いざ説明となると難しいな。とにかく、戦場になるかも知れないんだ。危ないよ」
「ううーん、ちょっと対策考えますね」
「あぁ、そうしたほうがいい。なんなら成都に来るかい?劉備殿なら恐らく保護してくれると思う」
「それも考慮にいれますね」
うーん、やっぱり物騒な世界だ。外に出たい欲と出たくない欲がせめぎ合っている。
「お兄さんはセートからきたの?」
「そうだよ」
「西側にある森の中にある街?東側の海沿いにある街?」
「東側の海沿いにあるのは恐らくは呉かな?成都は西側……になるのかな。この森の位置がいまいちわからないから明確には言えないんだけど」
「キョショウのあたりならこの前行ったから連れて行ってあげれるけど、そっちは行ったことがないからなぁ」
「森から出ることは?」
「それはわかりますよ」
そう言いつつ草原に寝転ぶ。見えている空は澄んでいる。
「うーん、穏やかないい天気ですね」
私の言葉に男性は穏やかな表情を浮かべて「そうだね」と空を見上げた。
まぁ,陽が落ちるまでにはお兄さんをちゃんと送り届け,私は家に帰ったのだが、ポケモン達に心配されてしまった。気をつけよう。


==


海に行きたくなったので夜にこっそり空を飛び、明け方の海の方までやってきた私である。今回はきちんとモンスターボールもってるから許して欲しい。とりあえず綺麗な貝殻を拾い集めて貝殻の鈴を作るとしよう。いくつかの貝殻を拾い、鞄に入れる。あとは海に足をつけながら知り合いにもらった笛を奏でてみる。これ元の世界だと知り合いとルギア現れるがそう言うこともなさそうだ。くるくると周りながら笛を吹いていれば、子供?みたいな声が聞こえたのでやめた。しまった近所迷惑だったか。こちらに寄ってきた彼は申し訳なさそうにこちらにやってきた。
「悪い、邪魔しちまったか」
そう言った彼に首を左右に振っておく。近所迷惑はこちらである。
「見かけない顔だな、商人の娘か何かか?」
「ショーニン?」
「違うのか?」
「多分違いますねー。今日は海を見にきたんですよ。ついでに綺麗な貝殻拾いしてたんですけど、あまりの綺麗さに嬉しくなって笛を吹いてしまいました」
時代が昔だからか汚染も何もないんだろう。朝日が登ってキラキラ光る海を見つめる。うーん、綺麗だ。森の美しさとはまた違う景色である。
「見慣れた景色だがな」
「そう?勿体無いなぁ」
「勿体無い?」
「見慣れるのって損だよ。すごい綺麗な景色なのに。それに毎日景色って同じようで違うんだよ」
そう説明すれば彼は私を見下ろした。
「波の音とか風の音、天気や雲の数、空の色とそれを映した海の色。毎日同じなんてないと思う」
「……そうかもしれないな」
彼はふっと息を吐いてまた海を見た。私ももう少し海を眺めていたいがそろそろみんなのご飯を手配しないといけない。
「そろそろ帰る。じゃあね、お兄さん」
ばいばいと手を振る。彼もまたひらひらと手を振った。そのまま人気のない場所でテレポートして帰る。ご飯を食べたら鈴の量産である。

==

私が貝殻の鈴をつくると漏れなく癒しの鈴効果も付属されたりする。便利だからと知人の中では好評である。この間拾った貝殻でたくさん作れたのはいいことだ。
まぁ、そんなこんなでキョショウである。市井の品とかきのみとかを見にきたのだが、お金がないことに気づいてしまった。ああ、もーもー、と思いながら羨ましげに桃を見つめる。嬢ちゃん貴石は?と言われたがそんなもの私は持ってないわけで。
「おや、お嬢さんはこの前の」
そんな声に振り返る。そこにいたのは傷を突いたお兄さんである。
「ナマエ、だったかな?」
「はい、そうです。こんにちは、お兄さん」
「こんにちは。どうかしたのかい?」
「うーん、きのみとか売り物を見にきたのですが、きせき?がないので買えないなぁと」
そう名残惜しげに桃を見る。いかんせんこの体というか融合してから私の主食はきのみなのである。お兄さんは店主に一つもらえるかな?と尋ね、店主はカクカ様の知り合いの方でしたか、と告げた。さらりと「妹なんだ」と告げるお兄さんである。はい,と渡された桃に私は嬉しくなる。かぷりと食べていいだろうか、と思えば、こちらにおいでと言われたのでついていくとする。さすがに下品か。

見るからにお城っぽい建物に通されたけどいいんだろうか。まぁついていけば綺麗な花が咲いている庭に通されたけど。綺麗な川から水が引かれているのがまた美しい。わー、と周りを見渡してから水で桃をあらい、水辺に座ってかぷりと食べる。うまうま。
「おいしい」
「よかったよ」
「お兄さんはカクカっていうんです?」
「そう言えば名乗ってなかったね。私は郭嘉。郭奉考」
「どれが名前?」
「そうか、キミの世界には字がないのか。ホウコウでいいよ」
「ホウコウさん」
そういえば彼は頷いて隣に並んだ。
「ナマエはどんな怪我でも治せるのかい?」
「えっ」
「私の怪我を治してくれただろう?」
「うーん、ポケモンの仕業」
そう返せば彼はふっと笑った。
「そう言うことにしておこう。ぽけもんはどんな怪我でも治せるのかい?」
「ものによります。あんまりひどい怪我だと、治りきれませんし、そもそも怪我を治せる子と治せない子がいます」
「……病気も?」
「病気はまた別です。あの術では怪我は治っても病院は治りません」
私の返答に彼は「そうか」と小さく呟いた。うーん、これは郭嘉お兄さんが病気なのだろうか。あぁ,でもそういえばと思う。私のつくった貝殻の鈴は状態異常回復と体力回復を併せ持つからか、病気に対しても作用するとかしないとか。鞄をゴソゴソ漁り,貝殻の鈴をお兄さんに差し出す。
「これは私の世界の物で、怪我や病気が治りやすくなるという……おまもりです」
リーンと美しい音が鳴る。どうやらお兄さんに作用している。作用しなかったら音鳴らないしな。
「いいのかい?」
「家にまだあるのでいいですよ。あ、元の世界に帰る前に返してください。さすがにないものを持って帰るのはいけない」
そう首を左右に振ってホウコウさんの手に鈴を乗せた。彼が摘めばまた音を立てる。美しい音がまたなった。
「綺麗な音でしょ」
「とても美しい音だ」
少し笑んだ彼は、うーん、イケメンである!大人の色気があるね!!ニコニコしていれば、「こんな場所にいたのか」と声がした。
「郭嘉殿、逢引き中悪いが緊急事た……おっといつぞやのお嬢さんじゃないか。どこで捕まえたんだ?」
「街で歩いていたのをつかまえてね」
「きのみかってもらいました。うまうまです。庭も綺麗ですし、大変満足です」
「……ナマエだったか?俺みたいなのがいうのもなんだが、もうちょっと警戒をもったらどうなんだ?」
「悪い人は感覚でわかるから」
そう言いつつ残りのきのみをカプカプたべる。食べたらなくなる、当たり前だが悲しみ。
「……そうかい」
「賈詡殿、何かあったのかい?」
「例の場所に妖魔達が攻め込んできてね。満寵殿達が孤立籠城中だ」
「それは緊急事態だね」
そう言った彼は立ち上がる。私はここにいたいが、ホウコウさんがいないとただな不審者である。であえであえー、みたいなことをいわれておいだされるかもしれない。帰るか,と思っていれば、「ナマエ、ついておいで」と言われたのでぴょこぴょこ着いていくことにした。まぁ、カクさんがやれやれと言う風に私を見たけども。


==

「……郭嘉殿、その子供はいったい?」
「私の腹違いの妹なんだ」
さらりと嘘をつくパート2である。丁度城下に来ていたみたいでね、と告げた彼に尋ねた人が納得したが、納得する内容ではないし、連れてきていいと言う話でもない。
「郭嘉殿」
「おや、彼女の後学のためだけれど、いけないかな?」
「……問題はありません」
わりかとばっさりと切り捨てたこの前フシギダネが図鑑を渡していたお兄さんに、問題ありありだよ,と内心突っ込んでおいた。まぁそのまま地図っぽいものと駒、そして難しい会話になっていく。水攻めってなんぞや。よくわかんないが、ヨーマと満寵殿と曹仁殿というひとたちが交戦中らしい。どちらかの駒が敵の布陣だろうか。とりあえずちらりと奉考さんを見上げてみる。彼はこちらをみおろしてこっそり教えた。
「あぁ、だれかわからないね。ほら、このあいだ、一際身長の高い人がいただろう?彼が満寵殿だよ」
「あぁー、はしゃいでた人」
ってことはなかなかの危機では?と思ったりする。私が喋ったことに何やら驚かれたが知らないふりである。うーん。私はこそこそと彼に耳打ちをする。
「五分五分にかけてみます?」
「……おや、これは面白いことになりそうだ。どういうことかな?」
「一度行った場所に行くことは百発百中でいけます。一度も行ったことがない場所は不可能です。でも、会ったことがある人が知らない場所にいるのなら五分五分の確率です」
「なるほど」
「あと知らない場所なので着地を失敗する可能性はあります」
「向こうに行ってしまえば帰ることにはたやすいのかい?」
「来たことあるからね。ただ、往復10回しか1日使えないし、朝とここに来るのでつかったか、あと8回くらいしか使えない」
「ふむ」
「あと嫌な予感がすごいするから急いだほうがいいよ」
このビンビンする嫌な感覚は私とおんなじような人で歯止めがないほうの人が現れているんじゃないかとおもうわけですよ。
「具体的に言うと私の世界の厄介な人がいるんじゃないかなぁ」
「おっと,それはまいったね」
そうコソコソと話していれば、郭嘉殿、と誰かが咎める声を出した。
「兄妹仲がいいのは分かりましたが、今は戯れてる場合ではないでしょう」
「そうだね。ナマエ、あれは一度に何人連れていける?」
「往復する回数がばいへるけどニ十人くらい。でも、最初は三人くらいの方がいいよ」
「おっと、これはついてるね、お嬢さんが言ったことがある場所だったか」
「ううん、ない場所だけど、知ってる人がいるから。半分の確率でちゃんといける……私だけ先に行って戻ったほうがはやいな??」
そう首を傾げる。仕方ない。行こう。
「いや、それは危険なのと、状況の把握が難しい。荀攸殿、張遼殿、ナマエについていってあげてほしい」
「……わかりました。今すぐ準備してきます。張遼殿も出陣の準備を」
「?わかり申した」
不思議そうな顔をしてちょーりょーさんは部屋を後にする。というか周りが不思議そうな顔をしている。
「私の知り合いが関与してたらまず大変だからみんな連れ帰るかも」
「そんなにかい?」
「お兄さんや、私や私のまわりにいるのは友好的なほうなんだよ」
そう言いつつ困った顔をする。飛び込んできた荀攸さんと張遼さんに私は少し離れた場所にたって二人を手招いた。
「うーん、空中水中ならどうにかするけど、敵中ならどうにかできない可能性があるから気をつけて欲しい」
そう言って二人の手をとる。テレポートを発動させればふわりと体が浮いた。なっ,と声を上げた周りにそのままテレポートを発動させる。ひゅん、とついた先は空中である。お城の周りが湖みたくなっている。そのまま念力的なものを使って減速しながらお城に降りる。はぁー,と息を深く吐いた荀攸さんはびっくりしたのだろう。
「落ちるかと思いました」
「何と面ような……」
「張遼殿、彼女は敵ではありません。俺たちが前に策に陥った際助けてくれたのが彼女なのです」
そういえばちょーりょー殿が「そうであったか」と少し気を緩めた。うーん,この感じ好きだぞ。
「荀攸殿!?張遼殿!?」
「曹仁殿、ご無事か」
「なんとか……しかし、どうやってまいられた」
「あーー!この前の……えっと、ナマエだっけ!」
そうかけてきた満寵さんに、荀攸さんは「無事でしたか」と告げた。
「いやー、どう覆すか考えたりしていたのですが、周りがこの有様ですからね」
「川の中にお城を建てたんじゃないの?」
「違う違う。妖魔が川の水門を壊したのさ。するとこうなる」
「へぇー、これが水攻め」
なるほどなぁ,と思いながら周りを見る。うーん、私みたいなのはどこかに撤収した可能性がある。私は城の外から城の中をみる。わー、そんなに綺麗な水ではない。どちらかと言えば泥水のようだ。
「ナマエの力を借りて将兵を連れてきたとしても、この水が引くまではどうもこうもありませんか……ナマエの知り合いはいましたか?」
「どこかに行っちゃったみたい。よかった、私相性悪いから太刀打ちできないんだよね」
地面に寝転んで、ちょんちょんと水を突く。すると水はだんだん好き通り、最後には魚が泳いでるのがみえた。
「魚さんも気持ちよく泳いでるし,このままでもいいんじゃない?川の中のお城はお城で綺麗だよ」
どうせ百年とか、二百年とか建てばここに人はすまなくなるのだろうし。そのまま若干グラスフィールドを展開すれば、水草が生えた。うむ、これで魚は住みやすかろう。
「ナマエ、そう言う話ではありません」
「おいみろ、泥水が透き通ってる!」
「飲めるんじゃないか!?」
普通の兵士がガブガブと水を飲み出す。飲めるぞ!と言う言葉に他も飲み始めた。なんだ、喉が渇いていたのか。
「これは、どう言うことだ?」
相変わらずツンツン突いていれば魚が寄ってくる。荀攸殿が隣にやってきて、ナマエ、と私を呼んで、コソコソと耳打ちをした。
「何かしましたね」
「だって人間百年とかで死ぬし、それなら自然の一部にしたほうが平和じゃない?」
「うーん,これはこれで確かに綺麗だね。でも、全く戦向けではない!まぁ、攻め込みにくいことは確かかな」
「……とりあえず曹操殿に報告した方がいいでしょう。これでは援軍を呼んでも意味がありません」
「ホウコウさん呼んでくるね」
「お願いします」
そう言った荀攸さんにまたテレポートをする。そのまま咲き誇るいた場所に戻ればまた視線が向いた。
「おい、郭嘉、コイツはどうなってる?妖魔じゃないのか?」
「こちらに敵意はないようですし、手伝ってくれています。悪いものではない。現に私たちは助けられている」
「ホウコウさん、水の中にあるお城だったよ。ジュンユーさんがホウコウさん呼んできて欲しいって」
「水の中……水攻めか」
「マンチョーさん曰く、綺麗だけど戦向きじゃないとか、攻め込みにくいとか。私はお城にこの世界の魚が住むからそのままでもいいと思う」
「おや?もう魚が住み着いてしまったのかい?」
「うん」
「魚が見えるんですか?」
「見える」
「……おかしいな水攻めが起こったら泥水で見えないはずなんだが」
「まぁ、とりあえずジュンユーさんに言われたからホウコウさん連れて行くね。あ、水辺だし気持ち肌寒……」
そこでハタと止める。いやこれ水辺だめだな??虫系と飛行系ばっか警戒してたけど私氷系もダメだな??
「わー、大変だ!やっぱダメだ!魚さんは家を移動してもらおう」
「お嬢さん、いきなりどうした?」
「水が凍れば陸路ができちゃうからダメだ!あと嫌な予感がまたすごいするから全員撤収してくる!」
そう言ってそのままテレポートを使う。ほーら、やっぱり吹雪じゃん!私ダメージ深いんだぞ!さむい!いたい!そのまま能力ふるどういんでそこにいた人間をまたホウコウさんのところに連れ帰る。周りに落ちたけど、気にしてられないと言うか。服に雪が降り積もった荀攸さんがまわりをみて息を吐き、周りがわぁわぁと騒いだ。
「……助かりました」
「雪?この季節に?」
「はー、この季節にふぶき、ですよ!もう何が何やら」
「うーうー、やだー!もう私やっぱりお家帰る!」
ひこうかつこおりだぞ!私タイプ不一致すぎる!と言うかあの人結構人間好きなタイプだったと思うんだけどな!!なんでこうげきしてるのかな!!
「マンチョーさん無事だし私はいいよね!じゃあね!!」
そう言ってテレポートしようとふわりと浮かび上がれば、すかさずホウコウさん達に掴まれたけどな!!バランスを崩したままテレポートして、変な場所に飛んだ。森の上空である。こりゃあやべえ。慌ててそのまままたテレポートをする。誰かの上だ。
「わ!わわわ!森にいたお兄さんどいてどいて!」
「は?」
パチリとあった目に、私は慌てて念力で他を浮かべて緩やかに降下させる。まぁ、私はこの前泉であったお兄さんにぶつかることになるが。うーん、ぶつかった衝撃で目が回る。ばたんきゅーである。
「ここは、成都かな?」
「貴方達は……魏の……いったいどこから」
「あっはっはー、それを話すと長くなる。とりあえずこちらに敵意はない」
「詳しい話は後にします。恐らく蜀に共有した方がいい話でしょうから。徐庶殿、その子を捕まえておいてください」
「えっ」
私はへたりと地面に座る。うーん、テレポートとか連発しまくったから疲れた。
「この子が何かしたのかい?」
「ちょっと困ったことが起きていてね、この子が解決の糸口を知っていそうなんだ」
「困ったこと?」
「魏の砦が一つ妖魔に落とされたのだけど、季節外れの吹雪がすごくってね」
ううーん、また嫌な予感がビンビンしてるんだよなぁ,と思いながらジョジョと呼ばれた人にもたれかかる。吹雪?と首を傾げた彼に、私はホウコウさんをみた。
「ホウコウさん、また嫌な予感する」
「おや……」
「きのみたくさんくれたらもっとわかる」
「桃ならあるけど、食べるかい?」
「食べる!」
ひゃっほー!と手渡された桃をかじる。あまあま。うまうま。ちょびちょびときのみを食べ終わる。種を眺めてから鞄に入れた。うえよ。
「よし、ちょっとだけ元気出た」
「それは良かったよ」
「ちょっと本領発揮するね」
そう言ってちょっと浮かぶ。えっ、と目を見開いたお兄さんに目を瞑った。未来予知を使えば雷で荒らされることは理解できるわけでして。やっぱりおかしい。フリーザーのお兄さんといい、サンダーのお兄さんといいそんなことはしない人だ。隣に誰か知らない人がいて、何か嫌なものをサンダーのお兄さんはまとってる。場所はここじゃない。予知が終わったので地面に着地して目を開く。
「うーん、ここじゃないけど、雷に荒らされちゃう」
「今度は雷ですか」
「多分キョショウよりここの方が近いんじゃないかなぁ」
場所がわからないから何にもできないなぁ、と思う。何か心当たりがあるかい?と聞かれたので私は頷く。
「私の住む世界のとある地方では、鳥の姿をした火の神様、氷の神様、雷の神様がいるんだけど、悪い人間がたびたびその神様を利用しようとして捕まえたりするんだよね」
「では、あの吹雪はその神とやらの仕業ですか?」
「うーん、でも、人を襲ったりする感じじゃないよ。人間好きでもないけど嫌いでもないって感じだし、なにより起こった氷にしろ今から起こる雷にしろ、誰かに操られてる気がするから悪い人間がきっかけだよ」
そう説明するが、多分徐庶というお兄さんは置いてけぼりなんだよな。
「まぁ、とりあえず雷ゴロゴロの犠牲にならないように、撤収した方がいいと思うんだけど、私がいった場所じゃないからわかんないし、そういう問題じゃないんだよね?」
「ええっと……何かが急襲してくるということかな?」
私の目線にちょっと屈んでくれる彼はいい人である。そう言うこと,と頷く。
「徐庶殿、何かというよりは何かを利用した妖魔と考えた方がいいですよ。ナマエ、おおよその場所はわかりませんか?」
「案外空見たら天気でわかるかも。天気悪くなるし」
そう言って空を見上げる。うーん、北西の方は多分吹雪の雲だろう。ということは黒い雲がある南南西の方だろうか。
「あっちの方かな?」
そう指差せば徐庶さんが眉間にシワをよせた。
「よりによって遠い場所だな。間に合うかどうか」
「空をビューンと飛んでいってもいいけど、どうする?」
「え?」
「お兄さんの知り合いがいるんでしょ?ここにいる全員は無理だけど、お兄さんくらいなら何とかなるよ。でも先にホウコウさん達送ってくる。さっきからちらちら伺ってるみたいだし。ここで待ってて」
そう言って逆に私についてきた人の三人の服を掴む。ふわりと浮いてテレポートでキョショウの元いた場所に戻った。目を瞬いた周りに私は「明日またくるねー」とだけ告げてまたテレポートして徐庶さんの元に戻った。なんか人増えてんな??白い着物みたいなものを着た人達の後ろからひょこりと顔を出す。
「お兄さん、早く行かないと間に合わないよ」
「あっ」
「おやおや、お前さんいつのまにきたんだい?」
「さっき!」
そう口元を隠した人に告げる。
「君は魏にいるのかい?」
「ギ?」
「さっきの人達は……」
「お友達。森で迷子になってたからキョショウに連れて帰ったんだよ。今日はキョショウで品物見てたんだけど、私のお兄さんになりたいホウコウさんに会って、色々あって、いまだけど、いくの?いかないの?」
困った顔をして徐庶さんを見上げる。彼もまた困った顔をした。
「行くよ。でも、どうやって行く気だい?君が消えたり現れたりする方法?」
「あれは行ったことがないから、ビューンと空を飛びます」
そう言って鞄からゴーグルを取り出してお兄さんにわたす。
「空を?」
「あー、お兄さんはポケモンを見せたことなかったもんね。私が違う世界から来たこと言ったっけ?」
「それはなんとなくわかるけど」
「私の世界では動物に乗って空に飛んだり海を移動したりするよ。今日はねぇ、丁度お兄さんと同じ色の空飛べる子もいるから。これつけて。あ、付け方わかんないか。屈んで屈んで」
そう言って屈む彼に私はゴーグルをつける。これでオッケーである。
「これは?」
「空飛ぶと、たまに目を開けてられなくなる時があるからそれを予防したやつ」
私はそう言ってボールをなげる。軽い砂嵐が起こって現れたのはフライゴンである。
「フライゴン、ごめんだけど、このお兄さんと超特急であの雷雲の下まで行きたいんだ」
そういえば了承の鳴き声を出した彼は背中を向ける。私が前の方がいいよなぁ,と思いながらフライゴンにのり、お兄さんに私に捕まるようにいう。フライゴンが羽ばたいてまた砂が少し舞う。宙に浮かぶとそのままフライゴンは空へと羽ばたいた。ぐんぐんと上に登り、彼はそのまま雷雲の方に移動する。
「これは凄い、君の世界はこうやって暮らしてるのかい?」
「うん、でも高いところ嫌いな人とかは飛ばないんだけどね。お兄さんが言ってた場所ってこっち?」
「ああ、このまま南南西の方に進んだ方にある」
「フライゴン、雷にちょっときをつけてね」
そういえばフライゴンはまたないて先に急いだ。

==

着いたらやっぱり攻め込まれて籠城中である。周りが敵に囲まれている。とりあえず私達めがけてゴロゴロ雷落としてくんのやめてほしい。弓矢で攻撃されかけたが徐庶さんがいることに気づいてやめた。そのまま比較的安全な場所で人の近くに降りた。フライゴンをボールにしまっていれば周りの人に呼ばれた人達がかけてきた。
「徐庶殿!?どうやって?!」
「方法はいまはおいて。法正殿、馬岱殿、状況は?」
「どうもこうもできませんよ。雷のせいで城から出ることがままなりませんし、四方を妖魔に囲まれている状況ですよ。撤退も進軍もできていない状況です」
「ここに全員集めてくれたらセイトまでは戻れるよ」
徐庶さんの後ろからそう声をかける。
「えっ?」
「さっき、いきなり徐庶さんの上に現れたり色々したでしょ?あの容量でみんなをセイトまで連れて行くことはできるよ。でも、行くなら早く決断しないと気付かれちゃうかな」
雷がゴロゴロなっている。風が強くなってるのを見れば、近づきはじめている。
「わかった。一度成都まで戻ろう。事態が事態だ。立て直した方がいい。馬岱殿、法正殿、悪いけど将兵を集めてくれるかな?」
「徐庶殿、大丈夫なの?」
「あぁ、信じてくれ」
そう頷いた徐庶殿に、なら、と周りが動き出す。相変わらずゴロゴロと雷が鳴っている。うーん、これでいくとファイアーのお姉さんも行動起こしてるんじゃないだろうか。となると、どこだろう。海の方だろうか。うーん,と考えていれば、集まったよ!と言われる。私は深呼吸してからテレポートを発動する。浮き上がった体に周りが焦り、そのままテレポートすれば、先程までいた成都の街である。まぁ何人か転倒したみたいだけども。うーん、テレポートの上限が来た。流石に疲れたのでもう無理だ。地面に座ってしまえ。
「なに!?どういうこと!?」
「俺もよくわからないんだ……ええっと、ナマエ?大丈夫かい?」
「大丈夫じゃない、おなかへった、きのみほしい。もうテレポートはできませーん」
そうばつ印をつくる。きのみ食べないともう一歩も動けない。
「奇怪な……仙人か何かですか」
「うーん、よくわからないんだ。俺も森に迷い込んだ時にあったから」
「お兄さんとは一緒にきのみ食べた仲だよ。あっでも名前名乗ってないや。ナマエだよ、よろしくね」
そう言って手を差し出せば彼はええっとと迷った末に「徐庶……徐元直だ、と同じように手を出したので握手しておく。
「私の世界のよろしくの挨拶だよ。握手したら友達になるのだ」
「へぇ!素敵な挨拶だね!」
「押し付けがましくないですか」
はて?と首をかしげる。また法正殿意地悪なこと言ってるー、悪党ですからね、と言ったけど、そこまで悪い人には見えないんだよな?とりあえず二人のお兄さんにも握手を求めた。
「俺もお友達になっていいの?」
「うん」
「俺は馬岱。こっちのお兄さんが法正殿」
「バタイさんとホウセイさん、よろしく」
「うん,よろしく」
「悪党と友達になりたいなんて正気です?」
「お兄さん悪い人には見えないよ?」
そう首を傾げた私に彼はため息をついて、握手を交わした。
「悪党なので」
「えーー!悪党だー!いじわるだ!」
「おや?元気そうじゃないですか」
悪党さんに、むーっとすればぐうとお腹がなった。徐庶さんが近くの商人を捕まえてきのみを買ってくれた。うれしす。やっぱりこのきのみをは美味しい。もぐもぐうまうましながら食べていたら周りがのほほんとした。
「おいしい……幸せ……家まで帰る元気でた。明日また徐庶さんにもお話ししにくるね」
「えっ?」
ふわりと浮かんでそのままテレポートで家まで帰る。今日は流石に疲れたぞ。

==

寝て起きたら昼だった。二度寝と思ったが、そういやホウコウさん達と約束したんだったと思いだす。うーん、pp回復できるきのみ鞄にいれとこ。貝殻の鈴やらなんやらを入れ、今日の連れていくポケモンをボールに入れる。他のポケモンに留守を頼み、さてどっちからどう行くかを考える。もう一冊図鑑もってこ。徐庶さんの方に行って徐庶さんの方からホウコウさんのところにいこう。うん、そうしよう。テレポートで徐庶さんのところにむかえば、人が集まってる中だった。何やつ!?と向けられた刃に徐庶さんの後ろに隠れる。こわっ。
「……子供?」
「アァ,えっと,この子は敵じゃないんだ」
「ナマエじゃないですか」
「あ、馬岱さんと悪党のホウセイさんだ。こんにちは」
「はい、こんにちは、ナマエどこから入ってきたの?」
「セイトは来たことあるし、徐庶さんも馬岱さんも悪党だけどホウセイさんもお友達だからどこからでも来れるよ。家から来た」
そう徐庶さんの後ろから声をかける。
「徐庶さん、徐庶さん、今からホウコウさん達にもお話に行くから一緒にキョショウにいこう?」
「えっ」
「……許昌となれば、魏の?」
「ギ?ギってなに?」
そう尋ねれば彼らは目を瞬いた。
「なんよくわからないけど、徐庶さん達はホウコウさん達っ仲が悪いの?」
「ええっと……そう、なる、かな?」
「変なのー」
率直にそう言えば、彼らは困ったような顔をした。
「あー、でも、徐庶さん達は人間の大人だから、難しい話があるんだよね。人間の大人は握手したらお友達っていうのは基本ないってルギアのおじさんにきいた」
じゃあ、まとめて説明は無理かぁとぼやく。徐庶さんがずっと困った顔をしている。
「あ、そうだ、キョショウにいくのはいけなくても、私のお家にくるのはどう?私の世界の動物がたくさんいるけど。きっといた方が説明楽だと思うんだよね」
「嬢ちゃん、悪いがこちとらそれどころじゃねぇ!」
「おじさんお酒くさい……」
「なっ!」
「雷どうにかしなきゃでしょ?あの雷は私の世界の雷の神様の仕業か神様の力をつかえるソンザイの仕業だよ。でもね、本来はそんなことするような神様じゃないよ。誰かがあやつってるみたい」
仕方ない,と説明する。
「雷の神様?」
「私の世界の雷の神様、雷をあやつる大きな鳥。たまに人間の姿をするけど、人間を攻撃するほど人間を嫌いじゃないよ。そもそも、あんな風にあんまり力を使わないしね。最初は氷の神様がお城取っちゃったから真似したのかなって思ったけど、そういうことじゃないみたいだし。近づくにしろ、気絶させるにしろ、私の世界の動物の力を借りた方が人間の被害は少なくなると思うな」
「ナマエの世界の動物?」
「徐庶さんはこの前乗ったでしょ?でも、動物の間でも相性があるし、お兄さん達の話を聞くかどうかっていわれたら別問題だし」
「ナマエ,と言いましたね。なぜ操られていると?」
「視た時、嫌な感覚がした。あれ見たことある。悪い人が私達や動物をあやつった時に感じる感覚」
「徐庶、ナマエと共にキョショウで話を聞いてきてください。キョショウで話すとすれば、魏でも同じように彼女の世界の神が妖魔と共に何かをしたのでしょう」
「わかった」
「お兄さんホウコウさんと一緒で頭がいい人だ。あのね、あのね、あと炎の神様もいるんだ。三匹が喧嘩すると海の神様がやってくるんだけど、まぁいないみたいだからおいといて、炎の神様だけがまだ何もしてないの。でも,現れるとしたら海の方じゃないかなって」
私の相性がとても悪いパート2である。ちなみに人間と融合してるのはカントーの伝説鳥ポケモンのほうで、私と仲良しなジョウトの方の三匹は融合していない。まぁ、私の保護者をしている節がある。あの三匹いいポケモン……スイクンは過保護だし、エンティはパパ、ライコウはいい兄貴だけど……
そのまま徐庶さんを掴んでふわりと浮き上がり、キョショウにテレポートすれば荀攸さんがめちゃくちゃびっくりした。ごめん。

==

「ナマエの世界の氷の神様だったね。徐庶殿のところに現れたのはどうだった?」
「私の世界の雷の神様だったよ」
そう言いつつ荀攸さんに渡したままだった図鑑をペラペラめくる。カントー版の紙の図鑑だから乗ってるんだよなぁ。見つけたページに手を止める。そこにいたフリーザーとサンダーにこれと指差して、ずいっとそこにいた人に見せた。
「こっちが氷の神様って言われてるフリーザー。こっちが雷の神様って言われてるサンダー。とっっても珍しいポケモンだから、神様扱いなのか、神様なのかわかんないけども、これが原因だと思う」
「見たことのない文字だね」
「私の世界の文字だからね。フリーザー、青く美しい羽は氷でできていると言われる。長い尾をたなびかせ雪山を飛ぶ。氷を自在に操ることができるって書いてある」
「弱点は書いていないのですか?」
「ないけどわかるよ」
そう言いつつ別のページを見せる。タイプの分類が書いてあるのだ。
「私の世界の動物は十八種類の特性の分類があって、一つか二つその特性がある。それぞれに弱点になる特性があるから、その二つも当然ある」
「例えば、氷は炎でとけるでしょう?だから氷をつかう動物は炎を使う動物によわくなります」



 Comment(0)
混合系 

次の日 top 前の日