2021/06/21

359→刀剣 パターン2

さっさと片付けて帰りたいのになんだこの仕打ちは。そう思いながらため息を吐く。そばにいたむっちゃんが同じように眉尻を下げた。いかんせん私は審神者になって一年行くかいかないかくらいだし、周りもそれくらいの人ばかり。政府の担当も今日に限って新人らしく、目を白黒させてテンパっていた。いやこれ籠城決めてても意味ないやつだから。そう言いながら新人くんに近づく。
「援軍呼べないの?」
「よ,呼べない……通信室がやられてる……」
と、なれば通信室が復旧したら援軍は呼べるらしい。ならば通信室を奪還するのが先だろう。
「マップと敵総数とかわかんないの?」
「画面に表示します……」
そう言って担当が地面にマップを映し出した。なんだこの技術。
「すっげー!地面に写ってる!」
「ん?あれ、子供!?」
「とりあえず敵の動きからしてここが狙いっぽいし、今となってはこの人数この包囲網で撤退戦は難しいよ。なんか防御ひけないの?」
「防御?」
「敵を中に入れさせないようにするやつとか。籠城も長引いても勝ち目ないし、さっさと通信室奪還して外に連絡、外から攻めてもらうのがいいと思うな。あぁ、でも通信室に向かったら通信室狙いってバレるしやっぱり陽動いるかも。外に出るぜってふりをした奴が一人いたらこの中に敵の味方がいない限りそっちに戦力はそっちに向くよ」
マップを見ながらそう告げて役人を見上げる。
「どうする?」
「どうするって」
「はぁ?私ちゃんと言ったじゃん。ちゃんと聞いてよ、役人さん。撤退戦は将兵じゃない……戦闘に不慣れな審神者が結構多いんだし多分犠牲がでる、籠城戦は外に連絡がとれないならやっても意味なく多分全員死ぬ。通信室を取り戻して援軍を呼んだ状態なら籠城するのが1番だと私は思うよ。ただ,この敵の数からして陽動をつけた方がいいから陽動部隊をつくってそちらに敵を引きつけた上で、通信室奪還部隊は通信室を奪還後復旧。ただ、本体への伝令も全部遮断する必要がある」
「そうじゃのう。普通に考えて、通信奪還部隊は脇差と短刀で作った方がええ。打刀は次第点じゃな。まぁ、設備をなおしゆうならそう言うのが強いのが欲しいところじゃな」
「陽動には審神者いるし、刀剣に審神者のふりしてもらったりしつつ、こっちにもやっぱり護衛の数はほしいし……」
しゃがんでむっちゃんとマップを見ながらそう言いつつ、役人を見上げる。
「もう面倒くさいしこの作戦で行っていい?あんまりこもっても事態は解明しないしさ」
返答がない。ただの葦のようだ。はぁ、ともう一度ため息をつく。
「とりあえずさっさと動こうよ。あれできないこれできないって立てこもっても意味ないじゃん。ガキンチョの案に乗ってくれる人とか少ないから役人提案にしたかったのに」
私はそう吐き捨てて、周りをみる。ううーん、みんな六人編成なんだけど、審神者がびびっている。適当にびびってなさそうな人に声をかけて行くか。……うちにいないのもいるが、誰が刀で誰が審神者かわからないな。

とりあえずびびってない人に声をかけたらほとんどが刀剣だったが、まぁ一部の賛同を得たので先程役人に説明したことをもう一度説明したら頷かれた。最高かよ。
「刀剣が審神者のふりをするのか、これは新たな驚きを与えられそうだな!」
「とりあえず、うちの陸奥守と通信室奪還部隊は脇差と短刀がいいのではって言う話になったんですけど、どうですか?」
「うむ、屋内では脇差と短刀が有利だ。それを考慮するとその方がいい。問題は設備の復旧だが」
「私は科学的なことわかんないので陽動部隊の虚の中の実しときます」
そう言えば黙った周りになんだ?と首をかしげる。赤髪の人がこちらを見下ろした。
「前線に出る審神者がいるか!」
「前線に出る軍師はいるから大丈夫!」
「……危険だぞ」
「それは承知の上。バレないようにしても刀剣だってバレるかもだし。そうすると作戦おじゃんだから」
「通信は審神者がついていかない方がいいのかな?」
「うーん、ついていかない方がいいとは思うけど、機械に強いのが審神者しかいないなら審神者が行くしかないよ」
「どのくらいの設備かわからないからな、できれば向かわしてもらった方がわかりやすい」
「あ,そっちに詳しい人なのか。助かる〜。護衛二人はつけた方がいいよ!」
「小夜っぺと蜂須賀がいるから大丈夫だ」
そこからとんとん拍子で話が進む。結界をはる部隊とか色々ときめ、審神者と刀剣の服を取り替えたりする。そして、いざ実行だと私は手に描いていた術式を利用して撃剣を取り出して正面から見ても見えないように持った。
「よし、むっちゃんさくっといって派手に暴れよう」
「おん!」



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脱出目指してます,みたいな感じで突っ込んで戦ってたら強そうな刀剣の援護がきた。まぁ出口に結構近くにいるからか先に合流できたらしい。
「うん?作戦うまく行ったかな?」
「そうみたいだな」
うむうむと頷いた槍のお兄さんに私は撃剣を構えるのをやめる。
「他の人籠城してるし、通信室あたりも一応確認した方がいいかもしれない」
「安心してくれ、マップの位置情報や救援ゲートも無理矢理その二つにつなげたからお前たちが最後だ。よく耐えたな」
そう言って私の頭を撫でた男性に私はニコニコしておく。そのまま撃剣を術を使って隠した。
「槍は使えないのか?」
「ううーん、お兄さんの大きさのやつだと重さで流石に体持ってかれる気がするなぁ」
「お前ちっこいもんなぁ」
「なんじゃあ、主。おんし、槍もいける口か」
むっちゃんが後ろからのしかかる。
「主……」
「びっくりするよなぁ、そいつ、審神者なんだぜ?」
審神者のふりをした白いお兄さんの言葉に周りの視線が私に向いた。ぶいっ!とピースサインをすれば彼らは顔を見合わせて口を開く。
「前線に出てくる審神者がいるか!」
「ここにいるよー」
前振りかな?とそういえばグーを落とされた。痛い。唯一の負傷である。酷い。不貞腐れながら口を開く。
「逆になんだと思ったのさー」
「新しい刀剣男士かと思った」
なるほどなぁ。

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審神者名は三国時代の名前にした気がする。徐名無、と書類に記載する。うーん、最初に荀名無って書けばよかったかもしれない。ぷー、と不貞腐れながら始末書をかく。偉い人に審神者が前線に出る危険性やらをめちゃくちゃ解かれたのだが、それなら非常時の手段なんか持たせておけよと思うわけで。それを包み隠さず書いておく。私が発案しないとやばかったと思うんだよね。つらつらと書きおわり、始末書を提出しておく。そうして解放された私はむっちゃん達と合流して帰路についた。しばらくしてまた呼び出されるのだが。


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「徐名無!一番乗り!!」
そう言いながら隠れ処の扉を開く。しかし,一番乗りではなくいつも夢で会うメンツが揃っていた。なんだ、つまんね。馬岱さんが私を見て首を傾げた。
「うん?あれ、ナマエ殿、いつログインしたの?今朝までログインしてなかったのに」
「今さっき。現状どうなってるか全くわかんない。とりあえずご在命な母親達に遊んでくる!って言ってでてきた」
「そんな歳ではないのでは……」
「細かいことはいいんだよ、タンタン。今どうなってんの?」
「今回ばっかりは俺たちではどうもできません。漢王朝が衰退していないのです」
「董卓の酒池肉林もないの?」
「ないねぇ」
「曹操様と孫堅様は多分役人してるでしょ?」
「劉備殿も役人なのよ。派閥はあれどって感じ」
「あー……えー……晋の成立はできるかもだけど、一時代は飛ぶのかあ。どうしようもねえな」
そう言って頬杖をつく。馬岱さんも「ねー?」と同じように頬杖をついた。
「これ起きたら改変されてる……」
そこまで告げて、はた、と思う。これ歴史改変じゃん。日本のやつは止めれてるやつじゃん。審神者云々でなんとかできないのだろうか。
「ナマエ殿?」
「みんな現実ではどこ住み?やっぱり中国?」
「そうですよ」
お茶を淹れた陸遜くんが隣の席に座った。
「中国ってラインはできんの?」
「できるよぉ」
「名無殿は中国にお住まいではないのですか?」
「日本だねぇ。元から拾い子だったし国が怪しかった説あるし子供すぎて覚えてないだけかも」
そう言いつつ身につけていた筆で馬岱さんの手にラインのアカウントをかく。
「私のアカウントだし目が覚めたらメッセージくれ」
陸遜くんとタンタンの手にもアカウント名をかいておく。私はぐだあとだらしなく座った。
「とりあえず起きて手立て探すかなぁ。この時代では無理ってことがわかったし」
「起きたところでじゃないですか?」
「いやぁ、日本でも似たようなこと起こってて、日本には対策組織があるんだよね。起きた方が対策手段得れそうって感じ。そもそもそっちにはないの?」
「聞いたことないねぇ。秘匿部隊とかあるかもしれないけど、元魏の人なら何かわかるかも。あの人たちは警察とかそっち系の人多いし」
「なんか私なんかでごめんってなるなぁ。誰だよピンポイントで私を助けようとしたやつ。こちとら三国志でもマイナーキャラなんだぞ!姜維と正反対な位置いるから悪役なんだぞ!正史でもちょっとしかでてないわ!」
あーヤダヤダとぐだっとする。ねー?と馬岱さんがまた相槌をうった。私基本的に姜維くんと仲悪いから。現実みたら?って煽りまくったから。まぁ、違う戦で馬岱さんに殺されましたけど。別に彼に恨みはないし、今はこんなにも仲良しこよしである。
「そう言えば、ナマエ殿、郭嘉殿がこっち側かもっていう話を聞いたんだけど」
「やったー!チート軍師郭嘉さんじゃないですか!」
「チート?」
「あれ?言ってなかった?私が最初に相対した改変郭嘉さん生存ルートだったんだけど、あの人生きてたら魏が統一ルートに入ったからね。もはやチートでしょ、あの頭の良さ」
「ナマエ殿がログインしてないから確かめに行けてないんだよね」
「なに、私両親ご存命なのに許昌いんの?これ徐庶さん幼馴染みのお兄さんルートじゃない?」
ケラケラ笑いながら隠れ処ワープをする。いやぁ、ここは便利で私達が隠れ処にしている家からワープができるのだ。最高かよ。
「ちょっと郭嘉殿に真相突き止めてくるー」
そう言ってそのまま許昌の外に出る。馬岱さんが手をひらひらとふった。

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「郭嘉さーん!ふたりで!飲みに!いきませんか!」
そう郭嘉さんに手を振りながら近づく。おや、ナマエ、と私を呼んだ彼に周りがギョッとして私達を見比べた。おお、一応みんな青っぽい服着てんのね。あと荀ケさん相変わらず美人ですね!!荀攸殿が目を見開いて驚いている。
「ナマエからのお誘いなんて珍しいね。君、荀攸殿に隠れてたじゃないか。あぁ、もしかして、もう出来あがってるのかな?お酒を何杯飲んだんだい?」
「5杯!!」
適当な数を言う。荀攸殿が頭を抱えた。
「飲み過ぎです、ナマエ。誰に飲まされたんです?」
「わかんないけど、甘い飲み物だったからスイスイ飲んじゃった」
あははーと笑えば、荀攸殿がため息をついた。なんだ、私と荀攸殿どんな関係だ??まぁいいか、と郭嘉殿の手を引っ張る。
「郭嘉殿に迷惑ですよ」
「あぁ、いいよ、可愛い子の気まぐれにはなれてるからね。おくってこよう」
「しかし」
「大丈夫。なにもしないよ。荀攸殿達はその仕事を頼んだよ」
ひらひらと手を振った郭嘉さんは私の手を引いた。あ,これ私をダシにサボる気だな。私はとりあえず他の軍師に手をひらひらとふっておいた。

「それで、ナマエ。連れ出してなんのようかな?」
「郭嘉さん、ラインやってるー?」
そう尋ねる。彼は一拍おいて、「なるほど」と頷いた。便利だなこの質問。
「君は同じと言うわけだね」
「やっぱり同じなんです?三国志わかります?」
「うん、わかるよ。随分と驚いたものだ。まぁ、曹魏は悪役にされているようだけど」
「郭嘉さんはよいしょされてるでしょ?」
そう首をかしげる。彼は「まぁね」と頷いた。ああ言う人生には悲劇性があってみんな好きなんじゃないかな?と言った彼は完璧記憶があるとみた。そのまま私は隠れ処に足をすすめる。
「それにしても、どこかにいる君と同じ夢を見てるなんて不思議な話だ」
「あと三人いるよ」
「三人?」
「郭嘉さんは遠呂智世界以外では面識ないと思う。馬岱さんと陸遜さんと諸葛誕だから」
「ふむ?そんなにこの夢を見るのなら、怪しいね。ただの夢かと思ったけど。ナマエは何か知っていそうだね」
「過去が改変されてるっぽいんだよね。何回かそう言うのがあって、だいたいは解決したらその夢はぱったり見なくなるんだけど、今回は流石に私達じゃ無理だね!って言う結論になった」
「面白そうな話だから聞かせてほしいな」
そう言った彼に私は頷いてまた隠れ処の扉を開けた。
「ただいま!チート軍師を!手に入れた!」
「こんにちは、私も仲間に入れてくれるかな?」


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綺麗な顔してえげつない策を立てると噂の郭嘉さんなんですけど、現実でなにしてるの?って聞いたら鳳凰学院で教授をしてるよって言われた。
「政府の警察関係じゃないの?そうだって聞いたんだけど」
「たしかにコネはあるね。うちの学院に来たら紹介はできるよ。曹操殿も喜ぶだろう」
「学校かぁ」
「ナマエは今何歳なんだい?」
郭嘉さんの問いかけに私は桃包を食べながら口を開く。
「今?15歳!」
「えっ、うっそー!ナマエ殿今そんな歳なの!?永遠の15歳とかいうそっちじゃなく!?」
「ガチで15歳だから。ここくると昔の姿に戻るだけだから。みんなの反応をみるにみんな年上か」
「結構出鱈目ですもんね。年齢。遠呂智世界の外見年齢順でしょうか」
「恐らく基本的にはそうだろうね」
さらりと告げた郭嘉さんに、私は首をかしげる。
「じゃあ多分警察事業にも手を借りてそうな郭嘉さん達に聞きたいんだけど、歴史改変しようぜって言う勢力を阻止するチームとかないの?」
サクッと聞いてみる。彼は首をかしげた。
「まるで他の国にはあるような口ぶりだね」
「うん、日本にはあるよ。特に秘匿もされてないと思うから言うけど」
審神者と時の政府は国民に知名度が行き渡っているものだ。隠してもないんだろう。
「おや、ナマエは日本人なのか。そういえば倭の国かもと誰かが言っていたね」
「で、ないの?」
「私が知っている限りではないね」
郭嘉さんの言葉にじゃあ今回は打つ手が本格的にないんだよなぁ,と椅子を漕ぐ。
「今回どうしよっかー。日本から干渉できんのかなぁ。とりあえず郭嘉さんは今日が初めてなら起きた時まわりの知識が違うから気をつけた方がいいよ。あっ待って、手に術式書いてあげる。そっちで触れたら正しい表記になるから」
そう言いながら筆で郭嘉さんの手の甲に術式をかく。
「そういや郭嘉さんは過去変えたい?」
「あの人生に悔いがなかったとは、とはいえないけれど、あの人生はあそこで終わったから良かった、と私は思うよ」


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