2021/06/21
359??
「えっ,なに,どう言うこと?みんな若くない??」
ハテナをたくさん浮かべながらそう言う。郭嘉さんもいるじゃーん、とぴょこぴょこ近寄れば彼らは私をじっとみる。なんだ。まぁ、満寵さんがひょこりと顔を覗かせたが。
「あ,やっぱりナマエも巻き込まれたんだね!」
「ちーす、満寵さん、相変わらず着崩してますね!」
そう言いつつかけ間違えた釦をなおす。まぁ,面倒くさくなって腹部あたりでやめたが。まぁ、外から見て見えないから!
「よし!」
「よし!」
「よし?」
「あっはっはぁ、相変わらずだねぇ、お二人さん。あと、ナマエ、蜀にいなくても?」
「最初は徐庶さんについて蜀にいたけどどうも居心地悪いからこっちにきた。私が長くお世話なってるのこっちだし、いる必要ないかなって」
「徐庶殿はいいのかい?」
「いいのいいの、師匠も結局は他人だしね。師匠がいるからって私がいる理由にはなんないし」
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そもそも、師匠である徐庶さんとは喧嘩別れしたに近いのだ。魏に仕える君に教えることなんてないよ、と、もう来ないでくれ,と、ばっさりと言い放たれた言葉は私の頭の中を未だにまわっている。私が最後に見た彼はその姿だった。どうやら再会した彼には喧嘩別れしたのを覚えていないらしい。ナマエかい?と戸惑ったように告げた彼にはあの時にあった敵意のようなトゲトゲしさもない。でも、彼の隣は居心地が悪かった。蜀も蜀だ。私は姜維と仲が悪いし、何より同じ時代を生きる将兵には私は受け入れられないものだった。だから、私は死者もいるこの世界であの国を出たのである。結局は師である彼もみんな他人なのだと、言い聞かせて。
「ナマエ、この世界はやっぱり辛い?」
そう尋ねた満寵殿に私は杯から彼に目を移す。私が来た時に四人いた軍師は一人消え、一人消え、賈詡殿が消え、そうして残ったのが彼だった。四人について回っていたからか、彼はどこまでいっても兄のようだった。
「辛いもなにも、どこの世界でも私のやることは変わりませんよ。策を練って、戦場に出て、帰ってくる。それだけです」
それが永遠と続く。どこかの誰かさんが北伐をやめてくれたらいいんですけどね,だなんて言う言葉は飲み込んだ。
「そっかー、でも、もう大丈夫だよ」
「話聞いてます?」
「私だけじゃなくて、賈詡殿も荀攸殿も荀ケ殿もいる。おまけに郭嘉殿もね!」
そうぽんぽんと頭を撫でた彼に、また子供扱いして、とぼやいてから彼の言葉を反芻した。
「郭嘉……どの?あの話にきく??天才の中の天才の?」
「おや、嬉しい言葉だね」
「郭嘉さんですか!」
わーい、と美男子さんに突撃する。お話聞かせて下さい!と詰め寄ったのをみた荀家の二人がそこでようやく私だと理解したようだった。
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見捨てたくせに。突き放したくせに。何が心配だ、だ。何が君を思って、だ。そんなもの聞きたくもない。ぐちゃぐちゃになる感情を目を伏せて閉じ込める。道化であれ。ぐちゃぐちゃになる感情に蓋をしろ。
「ねぇ、徐庶さん、私は蜀にいるより魏にいる方が長いよ。蜀より魏の方が恩がある。だから魏にいるだけだよ」
そう問いかければ彼は「でも」と言葉を続けた。見かねたらしい龐統殿が口を開く。
「ナマエ殿が大人だから、元直は酒を酌み交わしたいだけなんだよ」
「うーん、今日は気分が乗らないのでご遠慮します。また今度」
「ねぇ、ナマエ。俺は君に何かしてしまったかな?」
「……何もしてないよ」
そう嘘をついて私は笑う。「私が変わっただけだよ」と。
「だって、徐庶さん私を見捨てた」
そう言いながら私は寝台の上にうずくまる。苦しい。悲しい。しんどい。辛い。そんなものが溢れてくる。私の家族、徐庶さんだけだったのに。それを断ち切ったのは彼のくせに、彼の方からその関係に持ち込もうとするのだ。
未来の貴方は私を見捨てるよ。そう言っても彼は信じないのだろう。そんなはずがないと言うのだろう。
ポロポロと涙が流れる。泣き声を漏らさないように唇を噛み締めた。
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「ナマエはたくさん辛いことがあったから、あのままではいられなくなったというか……そもそも君のせいだよ?」
「えっ?」
「君は知らないかもだけど、先の君と言うか、まぁ、君が突き放したって聞いてるけど。すごい傷ついたんじゃないかなぁ、それが。だって君、ナマエの家族みたいなものなんでしょ?」
「俺はなんで……」
「まぁ,そのうち開き直ると思うよ、ナマエそんなところがあるし」
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死ぬかと思ったら徐庶さんに助けられた。なんだこれ??と思いながら担がれて撤収する。借りてきた猫みたいな反応になってるな,と言った司馬仲達はあとでまってろよ。そろそろ止血的な意味で意識が落ちそうだ。いつもはなんとか自分の部屋だったりなんだったりで意識を落とすが今回はそうじゃない。
「司馬懿さん、私寝るんであとよろしく!」
「なっ!馬鹿めが!」
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「私正確には軍師じゃないから軍師しなくてよくない?」
そう頬杖をつく。いや、魏の軍師五人+司馬懿殿とタンタンがいるなら大丈夫じゃない??私軍師枠じゃなくてよくない?
「こんなに頭いい人いっぱいいるんだし、私一将兵でよくない?」
「良いわけがあるか馬鹿めが!」
これだから司馬懿さんは。ちぇーっと言いながら私はまた地図を見下ろす。もうこのまま頭いい人達の軍議眺めときたい。そうじっと見ながら近くにあった荀ケ殿の武器を真上に投げる。微かにうめいた声が聞こえたなぁ、と見上げて追撃する。ぽたりと落ちてきた赤に賈充くんが私をみた。
「仕留めましたか?」
「いや、生きてると思う」
そのまま郭嘉さんの武器を借りて天井をつけばうめき声と外れた床板から妖魔くんが出てきた。
「わーお、戦国のシノビと思ったら違った。こらこらー、ヨウマくん、君のおうちはここじゃないよー?」
「ま,家と間違えちまって……」
「そっかー、じゃあ一緒にお家に帰ってあげようねー?送ってあげるからね、心配しなくていいよ」
そう言いつつ手を離す。彼は騙せたなみたいな顔したが、全然騙せてないからな。一緒についていくと根こそぎ殺すからな、私は。司馬懿さんをちらりと見れば、行け,と目線で訴えたので私は妖魔をかついでそのまま外に出た。
とりあえず責任者っぽい人をサクッとした上で、外からはわからないように将っぽいのだけ全滅させた。あとさっきの妖魔も話す前に処分し、いやこれ一応と静かに全員やろうとしたら服部半蔵がいて二人で全滅させた上でその砦の情報を共有してお互いかえった。パッと見外観からは中の惨状はわかるまい。
ぴょんぴょん木を飛び移りながら帰る。ちょっと服が血みどろだから流石に入るのは忍びないかと服を脱いでからそのまま部屋に行けばまだ軍師達と将達がいた。
「ただいま」
「時間がかかったな」
「途中で徳川の服部半蔵と会って、お互いここ処分した方が楽だねって意気投合して処分してきた。服部半蔵はついてきてないよ」
そう言いつつ砦の場所に駒をおく。
「蜀と魏の間にあるから、服部半蔵も調べにきたっぽい。お互い兵を率いていたら間違いなくお互いがお互いに侵攻してきたと勘違いしてたね。と言うかそれを狙いつつ情報を手に入れたかったみたい」
「今の砦の状況は?」
「外側からはわからないようになってるよ。定時報告してるって言う資料があったし、定時報告きっかりに兵が来るならあと五時間かな。もう書き留めるのも判別するのもめんどうだし、いるいらない関わらず口頭で言っていきますよ」
そのまま情報を口頭で報告していく。すごいのはそれを理解して即座に組み込んでいく彼らだ。とりあえず書いてあったこと、聞いたことは以上なので「終わり」と息を吐いた。
「お前記憶力半端ねぇのな」
「まぁ、人並外れてる感はしますよね。でも覚えるのと嘘か誠か判別するのは別ですしね」
夏侯淵将軍の言葉に肩を竦める。上着が血を吸って重いと言うか、血生臭い。いつものようにかけてきた女官に上着を渡しておく。いやぁ、下の服が黒でよかった。
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「ナマエ殿ーー!ちょっとでいいんだ、ぜひ話を!」
「やだー!話すことなんてない!!」
追われているのでぴょんぴょん逃げる。もう城壁のぼったれと城壁をぴょんぴょんと登り、城壁に沿って逃げる。あー、まってくれ!とか言う声はしらん。そのまま飛び越えてたら于禁殿と目があった。よくない顔されたけど知らん。
「于禁殿助けて!!なんか変質者に追いかけられてる!!」
「変質者?」
「も……もーりもとなり?って言う人。わけわかんない。ついてくる」
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「またナマエ殿が意味わからない動きしてる……どうやってんだアレ」
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「あーもう、仕方が!ない!蜀に手を貸すのはなんか癪だけど、こんな事態だし!仕方ないからキミの代わりになってあげるから予備の鎧一式かして」
はぁぁー、とため息をついて彼を見る。毛利元就達が目を輝かせてるが無視である。司馬昭くん達が私をみて、馬超さんをみる。
「馬超、鎧一式あるか?」
「槍は調達できるでしょう」
うーむ、やっぱ慣れてる方は手際がいい。身長は馬に乗ればいけるだろう。そのまま彼と同じ緑色を身につけ、獅子頭の兜を身につけて槍を持ち、そのまま馬に乗った。
「じゃ、私は囮になるから君らで挟撃してね」
「騙せるの?」
そう尋ねた馬岱さんに、私は馬超さんの声を真似て口を開く。
「何を言う、馬岱!俺に不可能なぞあるものか!」
「えっ」
「いやぁ、流石ナマエ殿。影武者の起源と言われてるだけあるね。君が史実に残らないのはだからだと言う説もあるくらいだ」
そんなこと言われてんの?私。まぁ,確かに最近の私は誰かの代わりをしていることが多い。私ではなく他の誰かとして名を残してるんだろう。
「まぁ、あと馬岱さんもついてきてくれると助かるんですけどね。貴方達大体二人セットでしょ。そうすれば多少は誤魔化せると思う」
そう地声でいう。
「うん、そうねぇ、俺が一緒に行けば確かにそう見えるかも」
「じゃあ二人には囮になってもらって、と。馬超さんと俺たちで包囲、っと」
半兵衛さんの言葉に私は頷く。
「じゃあ、サクッと行ってみよー」
「ナマエ殿、若の声でそんなこと言わないで。面白いから」
ナマエ殿,と言う言葉にハッとする。うむ、戦も勝てて何よりである。馬超さんの声で口を開き、ナマエ殿もういいよー、という半兵衛さんの言葉に目を伏せて思考を切り替え、自分の声に戻す。
「馬超さんの声、本っ気で喉やられる」
うえー、ガスガスである。戦には無事に勝った。まぁ,次回からはこの勝利も組み込んでいくしかない。近くにいた馬岱さんが隣に並ぶ。
「ナマエ殿は凄いね、本当に若かと思っちゃった!でもそれ、俺たち相手にもやってた?」
「秘密。でもあんまり好きじゃないんだな、この方法。なんか他人に意識持っていかれそうで」
そう軽口のように言う。
「他人に意識を?」
「私が私じゃなくなる感じがする」
「ナマエ殿がナマエ殿……?」
「うーん、自分がその人だって思い込むから普段とは違う考え方とか身振りとかをしないといけないから……一歩間違えば気が狂いそうな感じ」
「えっ、危ないじゃない、それ」
「慣れたというか。いつもおかしくなりかけたら満寵殿がなんとかーー」
「あぁ、いたいた、ナマエー、戻ってる?」
そう顔を覗かせたのは今回火計を指示していた満寵殿である。
「満寵殿ー」
「あぁ、よかった、戻ってるね」
「私の地声あってます?」
「合ってるけど、ガッスガスだね!!」
ケラケラと笑った満寵殿に、私はうーむと喉に手を当てる。こうなると喉から体調崩しやすくなるんだよなぁ。
「もしかして、さっきの、俺がナマエ殿って呼んだから戻ったってこと?それならナマエ殿やっぱりあんまりしちゃダメだよ。ナマエ殿がナマエ殿じゃなくなるんでしょ。俺はナマエ殿の感じ好きだからやだなぁ」
「馬岱殿タラシって言われません?」
「ナマエ殿だから言ってるのよ。きっと俺たち似たもの同士だしねぇ」
「それわかる〜、なんかとても同類っぽいなって思ってた」
「馬岱殿、ナマエは蜀には渡せないよ。魏の将で私の友人だからね!」
その発言にヒャッホーイと満寵殿を見下ろす。馬に乗ってるが故に彼の方が背が低いのだ。
「そうでーす!私は満寵殿の友人でーす!」
==
「ナマエ殿、縮んだ?」
「いつもはいてる靴は実は踵が高い。今日は休みだから踵がひくい」
そう言いつつ馬岱殿に靴を見せる。ちなみに平服であるが、昔から用意されている服は男ものである。徐庶さんが勘違いしてたし、赤壁でやけどしたしね。本当だ、と告げた彼は「ナマエ殿、そうしてると少年というか、女の子みたいだね」とさらりと告げた。
「戦場ではきっと俺までとはいかなくても多少身長があってがっしりしてるのかなって思ってたんだけど」
まぁでも私の性別知ってんの満寵さんとか司馬一家とかそこら辺だけだしな。ちなみに郭嘉さんにも何故か見抜かれているので、荀家二人の男発言に「おや」みたいな顔してた。満寵殿は特に性別を気にしていない。戦国勢も性別が伝わってないのか男だと思われている。
「まぁ、よくいわれます」
「やっぱり?」
「まぁ女ですしね」
今更隠してもないのでさらりという。彼は目を瞬いた。
「えっ、それは嘘だよね?」
「……じゃあ秘密にしときます」
「えっ、ダメだよ。どっちか気になって眠れなくなっちゃう」
「気にしないことです」
性別なんて関係ないでしょ。
そう言った前の私をぶん殴りたい。馬岱殿がそれもそうかって納得してたけど。いや多分これ納得したから逆にダメだな??男ですって言い切った方が良かったな??
「外堀を、埋めようと、するな!」
そう言いつつ馬岱殿の口に桃包をつっこむ。もごっといった彼に私は威嚇する。嫌だって、徐庶さんから付き合ってるの?ってこっそり聞かれた。蜀では付き合ってる認定されつつあるのか、何かとそう言うことを言われて否定しても照れなくてもいいみたいなことを言われるのだ。
「あちゃあ、ばれちゃった?」
「ばれちゃったもクソもないわ」
「そんな威嚇した猫みたいにならなくても」
馬岱殿はそう言って桃包を半分に割り、はい、と私に渡す。
「わーい、ありがとう、じゃ、ない!!この前から劉禅くんに蜀認定されてるのやめろ!蜀の認定ガバガバか!」
「ナマエ殿は蜀でしょ?徐庶殿も蜀だし」
「ちがーう!」
そうポカっと馬岱殿を殴る。痛くもないのに、いたっと告げた彼に私は口を開く。
「師匠はもう蜀でいいけど、私は魏ですー」
「なんで?」
「なんでってお世話になった年数が違うんだよ。ついでに徐庶さんが捕縛されてなきゃ私も蜀にいただろうけどそれはもしもの話すぎる」
君と私の来世にご期待〜と言いながらその場をとりあえず後にしようとした。
「じゃあ、ナマエ殿の最期を俺に頂戴よ。それか俺の最期をあげる」
「うわっ,この人病んでる」
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「ちなみに史実だと馬岱将軍にナマエ殿は討たれているからね、そのお願いは叶えられているね!」
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「なんで鍾会殿はナマエに対して対応がちがうんだろうね?」
「私が鍾会父と仲良しだったから遊んでたからかな?」
「えっ」
「あの子は認めて欲しいと思うから、ちゃんと認めてあげたらいい子だよ」
「ナマエさま!!」
「んっ……んっ!?鍾会くん、どした??」
「ナマエ殿,丁度いいところに。かくかくじかじかで鍾会が子供になったんだよ。面倒見てもらっていいか?」
「いいよ。可愛いのは拒むまい。鍾会くん一緒に遊ぼうか」
「勉強は良いのですか?」
「あそびも勉強だよ」
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