2021/06/21

359→刀剣 パターン3

グッサリ突き刺さった矢に、振りかぶられた双鉞に、私は安藤したのだ。やっとこの生を終わらせられると。やっと戦乱から解放されるのだと。痛覚はもはやない。ただ振り落とされた鉞は私に傷を与えた。同じように戦場に立ち続けた彼は私を見下ろす。お先に失礼,だなんて笑いながら、私は討ち取られたのである。

元の世界に戻った、というよりは、あの三国武将してた世界が前世で、その前に記憶にある世界がそのまた前ということなんだろう。前の私がそうであったからか、しっかりと私は覚えている。どうやら事故か何かがあって思い出したことらしい。前と同じく両親はその事故で他界したが、前とは違って養護施設に送られることになった。
平和に平穏に淡々と日が過ぎていくなかである。小学校を卒業し、中学を出たらどうするかとぼんやりと考えていた頃だ。聞き慣れない中国語で呼び止められたのは。現代の中国語だろう。私は首を傾げながら振り返る。そこにいたのは徐庶さんそっくりな男性だった。目をパチクリと瞬いても、目を擦っても彼はきえない。何か中国語でずっと喋っている彼に私は口を開く。
『現代の中国語は解読不能です。わかりません』
そういえば彼は目を瞬いて、私をみた。そして眉尻を下げた。
『その言葉を喋れるということは、ナマエかな?俺だよ、覚えてないかな?』
意地悪をしようかと思ったが、それをすると徐庶さんが不審者になるだろう。私は彼の手を取って、徐庶さん!と言った。そうすれば一拍置いて嬉しそうな顔をされる。
『思い出していたのか』
『うん、一年くらい前に事故に遭って』
『それは……』
『気にしてないよ。徐庶さん大っきくない?何歳?高校生とか大学生くらい?』
『高校生だよ。学校の研修旅行で日本にきているんだ。ナマエは?』
『私?私は日本の施設で暮らしてるよ』
『施設?』
『両親死んで引き取りていなかったから施設。日本人だから日本の施設』
私の言葉に彼はまた眉尻をさげた。うーん、すぐ困り顔するなこの人。
『気にしてないよ。徐庶さんと会えたし。なんかアイスとか奢って』
そう言いながら近くのアイス屋さんの方向に足を進める。仕方ないな,と言いながら彼はついてきてくれるのだ。


アイスうまうま。そう思いながらアイスを食べる。徐庶さんは頬杖をついて私をみた。
『徐庶さんがいるってことはみんないるの?』
『みんな……はわからないけど、孔明や士元はいるよ。同じ学校に通っているんだ』
『やっぱりその三人組はセットなんだ』
『まぁ、うん、幼馴染みって感じかな』
徐庶さんのアイスをちょっと掬う。一緒に写真を撮ってもいいかな?と聞かれたのでアイス代くらいは働くよと言ったら観光名所案内する流れになった。私も楽しかったのでよしとする。徐庶さんが集合時間になったのでバイバイすれば何かあれば連絡するようにと電話番号とアドレスもらったので、私は施設の住所わたしといた。携帯もパソコンもスマホも持ってないからお手紙書いてね!である。

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ここに集まってもらった君たちは審神者の候補です。しおりをよく読んで保護者の人と相談してください。後日保護者同伴の説明会があります。
そう言って渡されたしおりである。子供向けの優しいものと大人向けの冊子だ。施設の人に言ったら二つ返事でゴーと言われる気がするが、中学生からは奨学金出すし中国おいでよと徐庶さん達に言われている現在である。徐庶さんに相談したい気もする。しかし、電話が問題である。国際電話高いな。うーん、と悩んでいれば役人がどうしたのかと聞いた。
「これ断ったらどうなるんですか?」
「どうもなりませんが、中学校卒業、高校卒業、大学や専門学校卒業の節目でまた勧誘はされますね」
「義務教育のあと三年は?」
「通信教育となります」
説明した彼は「保護者の人とよく相談してくださいね」と笑ってみせる。
「その保護者(?)が中国にいるんですけど、どうしたらいいですか?」
「君の名前は?」
「苗字ナマエです」
「……ん?君は施設出身ってなってるけど」
「知り合いが中国にいて、中学生から中国においでよって言われてます。学校の奨学金あるしって」
うーんしかしこの反応は多分信じてないなこの人。じゃあこのスマホで連絡してみて、と渡されたスマホに私はラッキーと思う。ポチポチ連絡先の番号を入力してコールすれば、また聞き慣れない中国語がきたので、『わかんないから昔の言葉で話して』と言えば彼はガッテンがいったらしい。
『ナマエ!?何かあったのか!?』
『うーん、なんかよくわからないけど、保護者の人と相談してって言われたし、私の保護者徐庶さんかなって思ったから電話してみた。今時間大丈夫?』
『あぁ、ちょうど休み時間だから大丈夫だよ』
ちょっとほっとした徐庶さんに、私も徐庶さんが大丈夫と言ったのでちょっとほっとする。
『まぁ要約すると……中学校通いながら働かないか?って聞かれてる』
『働く?なんでまた』
『なんか知らないけど才能があるから働いて欲しいんだって』
そう大人用の紙をペラペラめくる。
『眠る魂を呼び覚まし、姿形を与え、歴史を守るために働きますだって』
『変な宗教に聞こえるけど』
『うーん、私も学校での説明じゃなかったらその類かなって思った』
『……ん?なんだい?孔明、士元……ナマエ、ちょっと待ってくれ』
その言葉に大人しく待つ。三人で何か話してらぁ。ちらりと役人を見れば、彼は驚いているのがわかる。本当にいるのか……とぼやくあたり彼は嘘だと思ったらしい。
「説明会にはこれそうかい?」
「うーん、説明会の話はまだしてないよ。向こうは中国語しか話せないし、向こうはまだ一応学生だから旅費もあるしね」
「学生だからか……」
多分学生だから引き取れなかったイメージがついてそうだ。まぁ、施設に入ってから会った事は黙る。
「ちょっと上に掛け合うから待っててね」
そう言った彼はべつのスマホを取り出した。なんだ、二台もちか。
『ナマエ、おまたせ。もしかして、審神者ってやつのことかな?』
『うん、それ。知ってたの?』
『孔明がね。噂は聞いたことがあるって。こっちでも問題視されてるんだ』
『保護者同伴の説明会があるって言ってたから、徐庶さん来れる?』
『行くよ』
即答である。よし、これでまともな保護者がゲットだぜ。ちなみに各家庭交通費支給されるので徐庶さんの旅費は支給される事になった。あと他国語向きのパンフレットももらった。やはりいままでも親が海外籍な人がいたりしたので海外向けのパンフレットへ一応あるらしい。なるほど手厚い。

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『徐庶さーん』
そう言いながらやってきた徐庶さんの周りをくるくるする。久しぶり、と彼は私の頭をくしゃりと撫でた。とりあえず適当なカフェに入り中国語向けパンフレットを渡す。それを読み込む間は私は暇なので頬杖をつきながらニコニコしてそれをみた。読み込んだ彼は『なるほど』と息を吐いて冊子を閉じる。
『中国で問題視されている事の日本なりの解決策ってわけだ』
『中国ではどうしてるの?』
『対策部隊は一応あるよ。俺たちみたいな記憶もちは一応そこに入ることは義務付けされてるんだけど、まぁ、曹操殿がうまく政府を転がしてやっているよ。ただ、中国では俺たちみたいなのが飛んで兵を率いるから危険なんだ。日本がそうなら止めるべきだって……いや……ナマエのことだから紛れて行くな……』
行動を読まれている。私は真顔でそんなわけないヨと言ったが、多分行く気がする。
『とりあえず疑問点は幾らかできたし、説明会にぶつけるかな』


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徐庶さん無双。ちょっといいですか、から始まる疑問点攻めである。つえーー!!と思いつつ、私もじゃんじゃん疑問を出す。他の保護者も聞きたかったことらしく、周りもならって疑問が飛び交った。まぁ、最終的には偉そうなおじさんが、中国人は黙ってろと差別発言的な事を言い徐庶さんから困ったような顔が消えた。
「ナマエ、協力する必要はないよ。こんな不完全で不透明な資料、質疑にも詳しく答えず、なおかつ僕の国籍が違うからと理由づけするような相手だ。何か後ろめたいことがあるかもしれない」
「うん、そうする」
にこり,と笑いながら徐庶さんを見上げる。周りがザワザワしてきた。別の人が頭を抱えている。
「なんの騒ぎかな?」
ひょこりと顔を出したその人は見たことがあった。でも見たのは現在でも過去でもなく、あの融合してしまったおかしな世界でである。現代の服に身を包んだ彼に、先程の男性は厄介な保護者がいたのでと告げた。
「厄介な、とは少し困った表現だね。子供をまったく知らない未知の場所に出すんだ、親が用心深くなっても仕方がないよ」
「毛利殿?」
そう問いかけた徐庶さんに、彼は私と徐庶さんの方を見る。君は、と小さく呟いたかと思うと目をキラキラさせた。
「徐庶殿じゃないか!ってことはそのとなりにいるのはナマエ殿かい?」
その言葉に「そうでーす」と手をあげた。
「なんで二人がここに?」
「私が日本生まれの日本人なんですけど、色々あって保護者の徐庶殿を召喚しました」
「そうだったのか。いやぁ、倭人説が多々あったけど本当にそうだとは。このあと暇かい?ぜひ話したいんだけど」
「今から暇でーす」
「今から?」
「うん」
「あぁ〜,なるほど、そう言うことか。わかった、二人には私から説明しよう。お茶しながらどうかな?」
その言葉に二人で頷く。毛利殿は男性に「連れて行くね」と言ってそのまま私達を連れ出した。


「いやぁ、すまないね。多分彼も悪気があるわけじゃないんだよ。愛国心もあるけれど、偏った思想もある人だから」
連れてこられたのは近所の和風カフェ的な場所である。好きなものを頼んでいいよと言われたので私は抹茶ぱふぇを頼んだ。
「ナマエ殿が適性検査に引っかかったんだね」
「適性検査?」
「日本では学校卒業の年に審神者に適性があるか調べることになっているんだ。中国にもあるだろう?」
「ありますが、中国は主に記憶もちの人しか過去には赴きません」
「えっ、中国は本人が出向くのかい?危ないじゃないか」
「現状は。今曹操殿がそれを安全な方向に変革しようとしています。日本は違うんですね」
「日本は基本付喪神という刀剣に宿った思念を人の形にするんだ。意志のある式神みたいなものかな。彼らが過去に飛んで時代の変革を防ぐんだ」
「なるほど、審神者は指揮をするということですね」
「まぁ簡単にいえばそうね。あとは陣の運営もあるからまぁ色々やらなければならないのは確かだね」
ほーん,と思いながら聞いていればパフェが運ばれてくる。
「まぁ、ナマエ殿にとってはそこまで大変ではないとは思うよ。って、え、ナマエ殿施設にいるのかい?」
何か資料をみていた毛利殿が私をみた。
「そうだよ、だから徐庶さんにわざわざ中国から保護者代理に来てもらった。施設の人なら二つ返事で行くことなるし、中学生からおいでよって徐庶さん言ってくれてるから」
もっもっとパフェを食べる。美味しい。こちらをみた徐庶さんに、ぱふぇを匙で一掬いするとはい,とあげたら食べた。餌付けだな。
「ふふふ、仲がいいね。ゼウスの作った世界ではちょっと険悪だっただろう?」
「あれは徐庶さんに放牧されてなんの説明もないまま会えなくなったと思ったら徐庶さんしんじゃってたから。と言うかあの頃色々ありすぎるわ、そのわりには初期からいる軍師枠が満寵さんしかいないわ、蜀からの北伐に毎回駆り出されたり周りのこととかで色々してたからなんか色々やになってたけど、年下に当たるわけに行かないからいなくなった徐庶さんにイライラを向けてた感じはする。とても反省してる」
そう言って徐庶さんをちらりとみる。徐庶さんの精神にダイレクトアタック決めたかもしれない。ふるふるしている。ナマエ!!とハグされたので、徐庶さん!!とハグしかえしといた。
「ナマエ殿、うちの子にならないかいって聞こうとしたけどこりゃあ無理だねぇ」


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あの役人にしてやられて審神者になることになったが、徐庶さん達とは連絡をもらえるし、毛利さんから新しい服をもらえるし、徐庶さん達からは(どうやって輸入したかはわからないが)撃剣ももらえたので待遇施設よりよいのでは??と私は思う。着物は文官の服っぽいが、私が着やすいだろうと中華系の服も含まれている。どうやら研修が先にあるらしく、撃剣持って担当者のところに行けば危ないからと術でないないされた。すげぇ。なんか意識したら出せたり消したりできる。便利だ。
「一応翻訳の術もかけさせてね。タブレットは勝手に翻訳されるようになってるよ。後は研修中はお給金もちゃんと支払われるけど、自由に使えるのは月一万円までだからね」
「のこりは?」
「貯金される仕組みです。夏と冬、7月と12月は手当金から三万円ほど自由に使うことができるよ。タブレットの通信費や食費とかはかからないから安心してね」
「施設より待遇がいい……」
そうぼやりとつぶやいてしまったのは仕方がない。なにより徐庶さんと連絡すぐ取れるのが嬉しい。担当さんはそれにほっと息を吐いて、じゃあ研修がんばってね、と緩やかに笑った。


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審神者のじっちゃんはイケおじタイプである。厳しいが怖いわけではないし、刀剣達の信頼も厚いんだろう。張遼殿タイプらしい。うーむ、信頼できるこの感じ。研修生がいっぱいいるのかと思ったら刀剣男士らしい。研修生は一本丸につき一人らしかった。まぁそれはいい。本丸を一周案内してもらったら厩があった。中をのぞけば馬がたくさんならんでいる。
「馬だ!」
「刀剣男士達が出陣する時に使う」
「審神者は乗らないのです?」
「趣味で乗る奴らはおるが、基本は乗らぬなぁ」
ほーん,と思いながら馬を見上げる。目がくりくりして可愛いな。次のところに行くので、小学生らしくバイバーイと言っておいた。



「でっかい……」
大太刀の大きさを見上げながら呟く。いや、呉の周泰殿や柳生殿もこんな大きい刀使ってた気がする。審神者殿に言われて道場に行けばいろんな刀の大きさをもした木刀があった。持ってみるかい?と緑色の袴を着た男性に言われて持ってみる。うーん重い。これは振りかぶれない,となると横に薙ぐしかないのでは。
「うーん、重い。今の身長だと流石に無理だなぁ」
「ふふふ、そうだねぇ」
ありがとうございます,と言いながら大太刀をかえす。すると隣にいた緑色ジャージの男性が私を見下ろした。
「槍も持ってみたらどうだ?」
「槍も重そうだなぁ」
はい,と渡される。長い。短いのをくれ。でもこれくらいの長さならいけるか?いやでも自分が小さいしなぁ,と構えてみる。いやこれ振り回すのはちょっと今の身長じゃ無理だわ。
「おっ」
「おもい……」
「でも構え方は合ってるぜ」
えいや、と試しに突いてみたり、薙いでみたり、馬超さんみたりクルクル回そうとしたが無理だった。
「むり、おもい、へとへとになる」
「槍術かなにかをしていたのか?」
「知り合いの人が使ってたから見様見真似です」
うーん,と思いながら槍を返す。緑色ジャージのお兄さんは私の肩を抱いた。
「主!!槍部屋でいいと思うぜ!!」
「御手杵、勝手に見習いを槍にするな」
「ちぇーっ」
「太刀や打刀は?」
「うーん、変な癖出ると思います」
それくらいのサイズになると多分今度は撃剣の癖がでる。逆手持ちだし。でも振るう分にはいける気がする。
「こらー、見習いだぞ。あと、見習いは槍だ」
「槍」
「すまんな、槍はどうも振るう人間が少ない」
そんな発言にはて?と首を傾げる。審神者殿は少し眉尻を下げて困った顔をした。
「人の姿をしているが、やなり武器として人間にふるわれたいらしい。打刀や太刀は使えるが槍となれば扱えるものが少なくてな」
「なるほどー。なんか人間と刀剣の区別が外観だけだとわからないな……」
「なれたらわかるようになるだろう」
ぽん、と頭を撫でた審神者殿に、もっと撫でていいんだよ!と手を捕まえて頭の上に戻す。なにあれあざといとはよく言われた言葉だから気にしない。


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あとは刀を作る部屋だとか刀と一緒に出陣する式神を作る部屋だとかも一通り見学する。式神である刀装は人が持っても意味ないらしい。なんだ、残念。自分にあてがわれた部屋に行けば、一人部屋である。いやっほい!壁際に並んでいる本棚には教材が並んでいるが、まだまだ余裕がある。三国志と三国史並べよう。あとは兵法書とー、色々読みたいものがあるぞ、とワクワクする。今までは図書館入り浸りだったし。とりあえず荷物を置いて何時になにをするということをメモしていく。勉強の時間もちゃんとあれば自由時間もちゃんとあるのでハッピーである。
「ご馳走だー!」
ひゃっほーい!と目の前の御膳をみる。デザートまである。嬉しいかよ。


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意外と読書家だね,と言われたが、知識を入れるのが楽しいだけなので勉強にしろなんにしろそんな感じで苦ではない。馬鹿っぽく見えるとは昔からよく言われる言葉だしな。徐庶さんも私が無事なのをみて安心したのか見るからにほっとしていた。そんな私は今、御手杵さんの膝の上に座り一緒にゲームをしている。まぁ私操作してないし、御手杵さんのプレイに口出してるだけだけど。アクション戦略ゲーっぽいやつだ。陸奥守さんやら獅子王さんやら倶利伽羅さん、同田貫さんとやってるらしい。どこかの誰かの布陣をみて、うーん、と首を傾げる。
「この布陣南の方は兵が薄いけど突っ込まない方がいいと思うなぁ。伏兵いると思う。かと言って北から攻めると骨が折れるし、南が追撃隊になる可能性もありますよね。御手杵さんどうします?伏兵覚悟で南攻めます?あ,待って、南からの追撃隊のためにこっちに罠仕掛けて弓矢部隊か銃部隊置いていいですか?」
「おぉ、それはえい。ワシは追撃に備えて伏せて消えとくかのう」
「じゃあ俺たちは北から突っ込むか」
「えっ、本陣誰守るんです??」
「大倶利伽羅がやってくれるから大丈夫だろ」
そのままスタートしたゲームに、やっぱり伏せていたのがしばらくして慌てたように兵が追撃に来ますよね。陸奥守さんの餌食になっていきますよね。
「これ作った人北側からの進軍想定してないから多分弓兵も銃兵も少ないんじゃないかなぁ。本陣に突撃ー。そのまま陸奥さんが南から進軍したら挟撃ー」
イエーイ,と言いながらお菓子を摘む。そのまま陸奥さん達が進軍してちゃんと挟撃の態になったのはいいと思います。勝利!と書かれた文字に、おんしは賢いのうと陸奥さんに頭をぐしゃぐしゃされた。満更でもない。


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「やぁ、ナマエ。久しぶりだね」
「えっ、郭嘉さんだーーー!!!」
ひゃっほーい!と声を上げる。今日も顔がいい。定時報告というか、まぁ、そんな感じの連絡を徐庶さんにいれたかったのだ。徐庶さんの番号であるのを確認し、えっ、なんで??と首をかしげる。画面越しでもわかる。いい匂いする。
「偶々こちらの学校と彼の学校、あともう2校で話し合いがあってね。彼のスマホの待ち受けが君との写真だったから、すこし拝借したんだ」
「それを窃盗というのでは?」
「拾っただけだよ」
にこりと笑った彼に私は深く突っ込まないことにする。
「郭嘉さんだけ?」
「おや、私だけでは不満かな?」
「ううん、郭嘉さんと話すの楽しいからいいよ。顔色も良さそうだからよかった。郭嘉さん今何歳?高校生?」
「私は大学生だよ。荀攸殿と私はね。荀ケ殿と満寵殿が徐庶殿と同い年。賈詡は大学院生」
「逆転しました?」
「こればっかりは選べないからね。ナマエ殿は随分幼く見えるけど」
「12歳です」
いえーい、とピースをしておく。彼は「おや」と口を開く。
「本当に子供だとは」
「郭嘉さん、誰と話を?」
「噂をすれば……」
その台詞とともに郭嘉殿が画面を別の方向に向ける。そこにいたのは荀攸殿である。
「ナマエ!?」
「やっほー、荀攸殿!元気?」
「元気ですが……えっ、ナマエ、ですか?幼くありませんか」
「12歳らしいよ」
「えっ……というか、郭嘉殿、ナマエの連絡先を?」
「いや、徐庶殿のスマホを見つけてね、どうしたものかと思ったらナマエから着信が来たんだ」
「では、徐庶殿とナマエは知り合い?」
「まぁ、出会いの因果は結構めぐっているようだからおかしくはないよ。ナマエは徐庶殿の弟子だったのなら1番に会うのは徐庶殿だろうしね」
「ナマエは今どこに?四川の方?」
「日本にいますよ」
そう言ってお茶を飲む。日本?と尋ねられた為、日本です、とうなずく。
「なんでまた」
「生まれたのが日本だったから」
「……そういうパターンもあるんですね。考えもしませんでした」
「というより、ナマエ殿は確か流れ着いた倭人の子供説があったね。そっちかな?」
「えっ、そんな記録ありましたか」
「三国国家の記録ではなく当時庶民の記録だからあまり見ないかもしれないね」


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「なんかいっぱい同じ人がいるな??」
「まぁ、審神者がおろしてるのは分霊だからなぁ。結構オロさんし審神者によって性格違ったりする」
ほーん,と思いながら御手杵さんと審神者さん、審神者さんの今日の近侍である袮々切丸さんと並んである。でかい。まわりがでかい。満寵さんぐらいあるもんなぁ、とちょっとむくれる。これでもまだ身長は伸びる予定である。周りを見渡せばなにやら色々な店が出ていて多分刀剣や審神者達で賑わっている。面白いのはいろんな時代のお店を模してることだろう。その中の一つ、なにも書かれていない暖簾をくぐれば木刀や竹刀が並んでいた。結構な人で賑わっている。御隠居扱いされてる審神者殿に結構偉い人では?と思ったりもしないがまぁ触れないでおこう。いや、この子の背丈に合う槍を仕立てて欲しくてな、と言った瞬間そこにいた槍達の視線が向いた。
「御隠居、新しい刀剣です?」
「いや、見習いだ」
「見習い」
さらに向いた視線ににっこり笑っておく。見習いでーす、お願いしまーす、と元気よく言えば「元気がいいのは良いことだな!」と知らない大包平さんに言われた。私もそう思う。
「槍を持たせて様になったのが槍布陣が気に入ったらしい。誉の願いだ」
「あー、御隠居のところ、もう誉が飽和してそうやもんね。ちょっと待ってくださいね」
そう言って奥に店主は入り,槍っぽいものを大量に持った刀剣と店主が出てくる。そこから始まるその場にいた槍により批評会である。木刀なら槍というか棍っぽいよなぁ、と思いながら槍を色々持たされる。
「もうちょい長くても多分大丈夫」
多分身長の対比からして。だがまぁ、長くなると重くなるのは確かである。やばっ。私の武器撃剣から槍に変わっちゃうね!!魏にあんまりいないタイプである。
「ナマエ構えてみろー」
「はいよ〜」
そう言いつつ構える。これくらいの重さなら多分いけるし、ぴょんぴょん跳ねられる。
「これくらいなら大丈夫。ぴょんぴょんできるよ」
短刀と鬼ごっこしてるときに昔と同じくぴょんぴょん(今で言うパルクールというものらしい)駆使してる私である。審神者殿も最初は驚いたようだが、運動神経がやたらと良い子供と認識された。店主が首をかしげる。
「ぴょんぴょん?」
「これはやばいのができちまったな、主。短刀の機動をもつ槍ができちまった」
「あぁ、刀剣男士でないのが惜しいな」
そういう御隠居も太刀でないのが惜しいと誰かがぼやいたが、多分審神者殿は気にしていない。私も特に気にしてない。
「なんや、御隠居がまた俺らの知らん刀剣見つけてきたんか思ったら違うんか。なんでまた見習いを?」
「旧友の頼みでな。予定にはなかったが、まぁ見習いは容量が良いし我儘も言わんから良い拾い物をした」
「私も今の暮らしの方が豊かだからハッピーですよ!」
槍を持ってぴょんぴょんジャンプする。店主は審神者殿をみた。
「……お馬鹿っぽいのに?」
「こう見えて武経七書を暗記した上で理解しているとみる。旧友からも本人からも詳しくは聞かんが、恐らくは前持ちだ」
さらりといった審神者殿に、前持ちとは?と首をかしげる。はーー、と何か感慨深いような声を出して私を見下ろした店主に私は首をかしげる。
「普通のちょっと顔のいい坊ちゃんやねんけどなぁ」
「もっとよいしょしてもいいよ!!」
坊ちゃんはもう慣れたものである。まぁ、よお喋る口やなとほっぺをむにむにされたが。もっと言うことがあるのではないか?と寧々さんに言われたが、まぁ気にしていないからいいのだ。

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「なんで新しい刀剣って言われるんだろ」
お茶を飲みつつ、道明寺桜餅をもちもち食べる。審神者殿は他の買い出しがあるらしく寧々さんと万事屋などに向かい、私は御手杵さんとお茶屋さんでお休み中である。審神者殿と歩いていれば行き交う刀剣や審神者からの視線が結構向くし、新しい刀剣かと審神者殿に聞く人も結構いる。今はそうでもないが。
「主はなんか審神者でも結構な立場にいるらしいんだよなぁ。だから新しい刀剣男士が顕現される候補に上がったらまず俺たちの本丸に来るんだよ。で、手合わせ用の木刀買いに行くだろ?それが先のお披露目になるんだよなぁ」
「槍の木刀担いでるから余計に新しい刀剣扱いされるのか……」
そう納得していれば、お店の刀剣が「おや、さにわではないのかい?」と尋ねた。
「うちの見習いなんだ」
「さいねんしょうわくのみならいかな?めずらしいね」
「えっ,そうなんです?」
私は目をパチパチと瞬いた。刀剣は口を開く。
「わたしたちや、このあたりのみせのみならいはみなこうこうをそつぎょうしたのがおおいよ」
「俺達のところにきた見習いでもナマエが最年少だな」
ほーん,と思っていれば、審神者殿が酒樽を担いだ寧々さんと、もう一人とやってきた。
「ナマエ、待たせたな」
「やぁ、ナマエ殿、元気にしてたかい?」
審神者殿と毛利元就は旧友なのね、とはいはいと納得する。毛利元就さん老けないなぁ、とぼんやりしつつ、毛利さんに大人しくウリウリされておく。私も毛利さんのほっぺをうりうりしかえす。絶対こう見えて審神者殿と同い年だろ。
「寧々さんが担いでるのは日本酒だから今日はみんなで集まって飲み会かな??」
「私がナマエ殿に会いたくってね。ほら、一応日本では私が君の保護者になってるからね。君くらいの年の子は決まりで毎日定時に連絡と、月に一度は保護者と会わないといけないから。夏には君のお師匠さまにも会えるんじゃないかな?夏休みだろうし」
その言葉にバンザイをする。嬉しい。とても嬉しい。
「嬉しい!!お師さまに会えるの!?」
「うんうん」
「でもわがまま言うなら公達さんや奉考さん達にも会いたい!」
「なんだいそれ、私も会いたい」
毛利さんの声がガチだった。

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毛利さんと審神者殿、刀剣達で飲み会中であるが、私は定時報告の時間なので部屋でタブレットをポチポチする。コール画面になって、映し出されたのは徐庶さんである。向こうもなんか騒いでるな?
「やぁ、ちょっと待ってくれるかな?……孔明、士元、悪いけど時間だからちょっと席を外すよ」
「あいよ」
「わかりました。よろしくお伝えください」
「なになに?徐庶殿、彼女?」
「……元直の妹からの通信だよ。離れて暮らしていてねぇ、寂しいからよく連絡が来るんだ」
「妹!」
遠くから聞こえたそんな声に、画面はそのまま庭っぽい場所に向かう。
「ごめんね、ナマエ」
「こちらこそ、飲み会だったんです?」
「昔の面々でね」
「じゃあこれで定時報告終わる?」
「……俺はもう少し話したいかな」
そう言って階段か何かに座った徐庶さんに、なら,と思いつつ毛利さんに言われたことを思い出してはっとする。
「あっ、徐庶さんと夏休みに会えるって毛利さんに聞いた!会いたい!」
「そうなのか。ちょっと俺も毛利殿に聞いてみるよ。俺も会いたいし。……無茶してないかい?」
「してないよ」
「本当に?」
「うん」
「本当だね?」
「うん。みんないい人ばっかだし。どうしたの?徐庶さん、何かあった?」
念押しである。なんで?と聞けば、彼は「君の」と小さくぼやく。
「俺がああ言ってから、ナマエが無理をしてたって満寵殿に聞いて馬岱殿にも色々聞いて……俺は恨まれて当然だなって、もう少し他の方法があったかもしれないなって」
うーん、酔っている。多分酔っている。俯いた彼を私はよいしょすることにする。
「めちゃくちゃ恨んだし怒ってたけど、今はそうじゃないよ。また会えて嬉しいし、徐庶さんと一緒にいれて嬉しいから」
「うん」
「……昔を変えるのは、昔の自分たちへのただの冒涜だから、私は今の時代に徐庶さんと一緒にいたいな」
「あぁ、一緒にいるよ」
「うん」
「……ナマエが嫌だって言ってもいようかな」
それはちょっとどうなんだ。ちょっと女の人が黄色い声上げそうなとろけるようなえみをうかべるんじゃない。誰だ徐庶さんにヤンデレ成分入れたやつは。うーん、それはおこるよ!といえば彼は困った顔で冗談だよと言った。うそつけ。


そのまま今日の報告をして、就寝時間に近くなったので通信をきる。まだ眠くはない私は部屋を出て飲み会してる部屋に帰る。なるほど、大多数が出来上がっていそうである。私が戻ってきたことに気づいた毛利さんと審神者殿が手招いたのでそちらに向かった。
「ナマエ、連絡はできたかい?」
「できました。なにやら懺悔されたので、一緒にいようね,って言っときました」
「向こうはなんて?」
「一緒にいるよって言われました」
「……まぁ事実,彼は君を引き取る気でいるからね。しかし、現実としては少し難しい。彼は独身だから君を子供として迎えは入れれないし、妹にするにしても彼の両親の許可がいる」
毛利さんの言葉に近くにいた山鳥毛さんが首をかしげる。
「雛が連絡をとっている方は兄ではないのか?」
「お兄さん代わりでもありお師匠様でもあるんだよね?」
「うん。保護者してくれてる」
そう近くにあった料理をひょいひょいと小皿にとる。審神者殿が盃を傾けながら毛利さんをみた。
「俺はお前の隠し子かと思ったが違うのか」
「違うよ。この子とはちょっとした知り合いでね。うん、でも隠し子っていうのはいいかもしれない。そう根回しするかな」
「お前のちょっとした知り合いが審神者にいていいのか?」
「基本はいけないね。でもこの子は例外だ。直接的には関与していないから、審神者になれる」
「いつまで経ってもわからんな、政府の見解は」
「みんながみんな君みたいな考え方をしてくれるなら私達も楽なんだけどねぇ」
ひょいひょいと毛利さんが甘いものを私の皿に乗せてくれる。ハッピーである、と思ったらあずきパッパに見習いは寝る時間だと連れ出されるはめになった。げせぬ。

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歴史の教科書片手に地図を広げ、お小遣いでかった兵棋を並べていく。ほーん,と思いながら眺めて歴史の教科書をまた読み込む。自習の時間である。こうした方がどうも覚えやすいのだ。多分審神者ようだからだろう。当時のわかる範囲での布陣図が書かれているからとても楽しい。ジーっと眺めて絶対歴史改変したいやつこっちから攻め込んでくるよなぁ、と駒を追加する。じゃあこれを対応する策は……と駒をまた追加する。………。いやでもな。実際この布陣に直接来ることはない気もする。兵糧とか資材とか狙うか??そもそも民衆に焚き付けて反感かわすとか……。
「おっ、嬢ちゃんじゃねぇか。地図広げて何してるんだ?」
「桶狭間の戦いで遡行軍がつくならここかなー、それに対応するにはこっちかなー,って考えてます」
「ほー、正三位が聞いてやろう」
そう言った彼に、ここがこうだからここをついてくると思うからここを守れればいけると思うとか色々話してたら日本号のおじちゃんは長谷部さんにつられて言ってしまった。出陣らしい。そのまま自習の時間が終わったので駒をしまう。
「げ、次の数学テストだ、忘れてた」


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「ナマエは自分の弱点に一応カバーできる人員をおいてたからじゃないかなー」


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