2018/02/09


「私は優しくなんてないんだなぁ」
そうため息をついて目を伏せる。子供の事情を知り、皆私を優しいと言うが違うのだ。おおきな猫のぬいぐるみ、基クッションに体を沈める。なんだか精神不安定であるのは、この前の任務でバッサバッサと手にかけたからだろう。だから、彼ら、に、触るのを躊躇してしまう。それを繊細な人が多いここは感じ取ってしまうのだから、悪循環だ。扉がノックされて、どうぞ、といえば佐藤さんが入ってくる。クッションに沈んだままそちらを見れば彼は首を傾げた。
「ナマエ?」
そう歩いてきた彼は私を覗き込む。優しい人は佐藤先生みたいな人だろう。私の頭を撫でようとした手を止める。
「今、私に優しくしない方がいいですよ」
「どうして?」
「貴方に依存してしまうだろうから」
そう緩やかに手を離す。彼は目を見開いて、手を下げた。
「良くも悪くも、今、少し、精神的に不安定なので。あと、私に触れない方がいいです、ばっちいから」
そう笑ってクッションにまた沈む。しばらくすれば戻りますから、と言えば、彼は何も言わない。ただ、一人用ではないそのクッションに同じようにもたれてきた。なんだ、猫ちゃんは私のものだ、とそちらを見れば、佐藤先生は何も言わずに腕を組んでクッションに沈む。
「佐藤先生?」
「……アンタが何を抱えてるか知らないが、あんまり煮詰まるなよ」
そうタバコを取り出して火をつけた先生はそれを吸う。絵になる人である。
「先生、タバコ」
「あぁ、悪い」
「悪びれてない謝り方。まぁいいや、先生、タバコちょーだい」
本来なら臭いがつくからダメだが、今日ぐらいはいいだろう。彼は子供にははやい、といったが。
「こう見えて成人して数年経ってるんですけどね。色々経験済みなんですよ」
「……そうか」
彼は煙を燻らせて、そっと私の腕を掴んだ。
ーーまぁ、少女漫画的な事が起こった、とだけ。


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「佐藤先生がしんどい」
「語彙力」
「佐藤先生が甘やかしてくるから辛い」
「いい事じゃない」
「依存してしまう」
そう閉館した図書館のソファで寝転びながらぼやいたナマエは本を顔に乗っけた。
「いいじゃん」
「同業者ならとにかく、普通の人はヤバイ。そういうの、向こうの幼馴染に向けるようにしてたから余計にヤバイ」
「何が具体的にヤバイの」
「ーー殺せって言われることがあるかもしれない。そうなった時、負荷がかかりすぎる」
ポツリ、と呟いた言葉に、私は動きを止める。
「向こうの幼馴染はお互いがお互いだからで割り切れる。でも、どう足掻いたってこっちは割り切れない」
ナマエはそっと本を退けた。
「だから私は道具として出来損ないなんだよ」
ナマエはその言葉と本を残して影に沈むように消える。時期に帰ってくるか、という考えが誤りだったと知るのはナマエがいくら経っても帰ってこなくなったからだった。

==没



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混合系 

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