2021/12/31

2021年オフラインネタ帳大放出祭34



ナマエは足元から不思議な感覚を感じ取って足元を見つめる。寂しいと訴えかけるようなそれに、ゴーストタイプのポケモンがいるのかと思い周りを見渡したがいなさそうだ。
「だれかいるの?」
ナマエがそう問いかけても、誰も返事をしない。だだ、紫色に似た色がちかりと光った気がした。

ナックルシティのお祭りである。人間はポケモンの仮面をつけて、ポケモンたちはおめかしして楽しむお祭りなのだとはキバナから聞いていた。ナマエはヴィセンテとリザに言われてそこで笛とダンスを披露することになっていた。渡されたドレスも仮面も、ラティアスをイメージしたものなのだろう。ヴィセンテがラティオス、リザがルギアをイメージした服装に身を包んでいた。ナマエは高いその場所から賑わう人達をみわたした。まるでたくさんのポケモンが集まっているようだ。
「こうしてみると、シンオウの伝説が本当に思えくるな」
「昔は人もポケモンも一緒だった?」
「あぁ。だってみてみろ、まさにポケモンも人間も一緒だ」
その発言にナマエはもう一度そこを見下ろす。確かに、一緒だった。
「よー、ナマエ、ヴィセンテさん、リザさん」
「キバナさん」
ナマエが振り返れば、キバナがいる。ジュラルドンの仮面をつけた彼は長身なのも相まってまさにポケモンのようだ。ナマエのフライゴンとピカチュウがキバナを興味津々にみる。よー、ナマエのフライゴン!と頭を撫でた彼にフライゴンはびっくりしたようだった。すぐに仮面がのけられて、あぁなるほどキバナかと理解したようであるが。
「すごい人ですね」
「まぁな。でも今回は特に人の集まりがいい」
「どうして?」
「久しぶりに王族がくるし……数十年間ここで踊るやつがいなかったからな」
悪戯っぽく笑ったキバナにナマエは目を瞬く。そんな話は聞いていない。ヴィセンテが「そうなのか?」と首をかしげる。
「少なくとも俺が物心ついたころにはなかったですよ」
「なんともなかったのか、それで」
ヴィセンテはそう言って顔を顰める。ここで舞い踊るのは少なくともこの国が建国された頃は伝説のポケモンを鎮めるためだったはずだ。確かにヴィセンテが生まれた時にはその意味が伝わることはなく、ただこの祭りでは王族は踊らなければならないという決まりに形骸化していたのだが。キバナは目を瞬いて、ナマエも首を傾げた。ヴィセンテはその様子に息を吐いた。
「この祭りで舞い踊るのには意味があった」
「意味?」
「昔は、と言っても建国された当時は、ポケモンへの慰めと、死んだ生き物への鎮魂、そしてこれからの豊穣の願いのためにまい踊ったとされる」
「な、な、ヴィセンテ博士、その話を詳しく!」
かけてきたのはソニアとワンパチ、ホップである。露天で売っているワンパチの仮面をつけたソニアと、ウールーの仮面をつけたホップだ。ナマエが手を振れば、ホップも手を振りかえす。ずんずんとやってきたソニアにヴィセンテは頬杖をついた。
「自分で調べたまえ……と、言いたいところだが、君が調べるには少し難しいか。多分書物は俺が隠したし」
「隠した?」
「俺が子供の頃、図書室の大掃除があってな。俺がたまたま不都合な記述が書いてある本を見つけてな、捨てられるなり燃やされるなりするかと隠した。その本によれば、というか、俺の解釈ではこの祭りは災厄の被害にあった人間やポケモンへの鎮魂の為、そうして災厄の孤独を慰め、災厄に豊穣を願うために舞踊り、人も分かち合うためにポケモンの姿になりこの祭りを開いた。それが始まりだとされてる。まぁ、俺たちの時にはすでに舞い踊るのは形式的だったし、キバナくんをみるとかなり形骸化してる」
「災厄?自然災害ってことか?」
キバナの問いかけにヴィセンテは首を左右に振った。
「ナックルシティは一番安全な場所にある。もっとあるだろう。最近」
「最近」
「まさか、ブラックナイトのこと?」
ソニアが伺うように尋ねた。ヴィセンテは「恐らくな」と告げた。
「もとよりどの地方でも、伝説や幻といったポケモンには負の面と正の面がある。ルギアは暴風を呼ぶとされているが、ある地方では動力源の風を起こすとされているし、カイオーガとかもそうだな。災厄はとても力を持っていた。この地方を壊滅させるほどに。でも、その力にあやかれればこの国は繁栄できる。そんなものか」
ヴィセンテがそう言えば、ソニアが物凄い勢いで手帳に書き留める。
「まぁ、建国された後はそうだっただけで、ブラックナイトが暴れるのとこの祭りどっちが先なのかはわかりかねるが」
ヴィセンテの言葉に、ナマエは足元を見る。
「どうしたんだ?ナマエ」
「さっきね、さみしいって感じたの」
「ナマエが?」
「ううん、したからだったから、ゴーストポケモンかなっておもったよ。でも、もしかしたら、ブラックナイトだったのかな」
ホップ達も同じく足元をみる。特に異変はない。
「ナマエ、それなら心を込めて踊ったりしないとな」
「さみしくないよって?」
「あぁ」
「がんばる」
そう刻々ナマエは頷いた。


寂しくないよ、とナマエが想いを込めて笛を奏で、踊りを踊る。カロス地方の民謡だ。どこか勇ましく、どこか物悲しいようなメロディーをナマエは笛で、ヴィセンテはアコーディオンで奏でる。ひらりひらりとリザの監修で覚えた踊りは少し難しかったが、それでもナマエは覚えてみせたのだ。不意に、足元がチカと赤紫色の光を放った。音楽やナマエの踊りに呼応するように赤紫色の光はナマエの足元に図柄を描く。まるでその赤紫色ナマエはその赤紫色の光とダンスするように、笛を奏でて舞踊った。曲の主演が近づき、音が静かに収まっていく。そうしてピタリと音楽が止むと同時にナマエはダンスをやめる。ポケモンや観客達も拍手を送る。そこで終わるかとおもえば、ヴィセンテが曲調を変え、古い言葉を口ずさむ。アルトマーレの民謡である。それを聞いてナマエのポケモンやヴィセンテのポケモン、リザのポケモンやホップのポケモンが反応した。タンタンとナマエがステップをふむと、フライゴンが一番乗りだという風にやってきてナマエとダンスを踊る。お互い向かい合って、礼からはじまり、一緒にポケモンでも踊れるような単純な動きのダンスを礼で終わればピカチュウが次にやってきてくるくると一緒に同じダンスをする。アルトマーレのフェスティバルで踊られるダンスだ。好んでナマエはポケモン達とこのダンスを踊っている。元は人間同士で踊るものなのだが、ナマエはフェスティバルのたびにラティアスとラティオスと楽しく踊っていた。それを見て覚えたフライゴンとピカチュウからポケモンたちに伝わったのだろう。街にいるポケモンたちもそのようで、ナマエとダンスを踊るポケモンの真似をしてトレーナーや小さな子供とダンスしている。リザはそれを見て、ホップの肩を叩いた。
「男は度胸よ!ホップくん!いってみなさい!」
「えっ!?」
「この踊りは簡単よ。アルトマーレのフェスティバルでは旅行者も飛び込みで踊るわ。まずは相手に向かってよろしくお願いしますの一礼、手を取って右にステップ、もどって左にステップ、戻ってくるっと回ってありがとうございますの一礼よ。その繰り返しなの」
「い、いきなり無理だぞ!」
ホップの言葉に、キバナが悪戯っぽく笑う。
「じゃあ、俺が先に行ってくるな。ロトム」
キバナの言葉に、スマホロトムがキバナのポケットから飛び出す。ジュラルドンの仮面をつけたキバナはひらりと手を振って、タイミングよくナマエの近くに出た。お互いに一礼して手を取って、右にステップ、もどる、左にステップ、戻ってくるりと回って一礼した。つぎは飛んできたポケモンだ。じゃあ私も行っちゃおうかな、だなんて意地悪っぽく告げたソニアに、ホップは両頬を叩いていくぞ!とステージに足を踏み出した。そうしてナマエに向かって一礼すると、リザが教えたように、キバナやポケモン、他のトレーナーが踊ったように踊る。そうして終わりの礼をする。そうすれば、次の人がやってくる。その人と踊り終えれば、ナマエはくるりと回って違う動きをした。ヴィセンテが曲を終わらせると、ナマエはドレスの端を持ち上げて一礼した。歓声が聞こえる。それにヴィセンテは手を振って答え、ナマエにも手を振るようにうながした。ナマエは手を振って、そのままヴィセンテと一緒に舞台袖にはけた。
「さすがに疲れただろ」
「でも、たのしかったよ。マタドガースが来た時はびっくりしたけど」



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pkmn 

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