2021/12/31

2021年オフラインネタ帳大放出祭56




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あぁ、だから越後くんは私を連れてきたくなかったのではと思う。目の前にいるその人物達は私をみて目を少し見開いた。どうしてそんな反応をするのかは理解できないが。はじめまして、のはずだから、だ。私は越後くんをみた。
「やっほー、越後くん。友達?」
「……まーな。なんで苗字がいるんだよ」
「いや、私東京のチームだし。私のチームの本拠地だし」
そう言って私は指差す。エレーナ所属だから、と言えば彼はああ見たいな顔をした。古谷くんが口を開く。
「越後、彼女?」
「……おう」
なぜに肯定する。顔がいいから冗談でも許さんと思ったら耳が赤い。うわっ、心臓に悪い。仕方ないから話にのってやろう。
「ひゅー!越後くんの彼女に選ばれた苗字ナマエでーす、よろしくー!」
わーいと言いながら手を振る。ハナちゃんにそっくりな人がショックを受けて、蓮にそっくりな人が「越後」と言った。
「趣味悪くない」
「失礼なやつがいる。誰アイツ」
「持田蓮。その隣が花森圭悟。あっちにいるのが城西望、秋森俊基、手前にいるのが古谷巧海」
メンバー変わらないのか、と思いながら反芻する。
「古谷くんに秋森くん、城西くんはくんって感じじゃないな。城西ぱいせん……城さんでいいか。持田くんに花森くん……」
そう言ってからこれなんか言いにくいな、と思う。ハナちゃんがだんだんうつむいていく。私はそれを気にしつつ、持田蓮をみた。
「失礼だから君付けする必要ないな、持田でいいか」
「蓮でいい」
「初対面下の名前呼べムーブかますとか飛んだ俺様じゃん」
ケラケラ笑いながら、そう言う。ナマエー!とチームメイトに呼ばれて私は振り返る。
「バス乗るってー!試合でれなくなるよー!」
「やだ!!すぐいく!!じゃあね、越後くん!ミスすんなよ!古谷くんも秋森くんも城さんもがんばれ!」
そう言ってから駆け出して、少し振り返ってから手を大きく振る。
「蓮と泣き虫ハナちゃんもまたね!」
言い逃げをした。そのまま私はチームメイトに追いつくとバスに乗り込む。心臓に、色々悪い。全部、全部。
「びっくりしたー」
そう呟いて私は隣にいたチームメイトにもたれかかる。何が?と言った周りに私は苦笑いをするのだが。


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「お前、幸せなの?」
「何で?」
「別に、聞きたかっただけ」

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ハナちゃんは泣き虫だ。しくしくと泣く彼の涙を拭う為に手を伸ばす。なんで泣いてるの?と彼を覗き込みながら聞けば、ナマエが忘れているからだと言う。私は目を瞬いて、何を?と尋ねた。
「俺たちのことを全部、全部忘れてるからだ」
「会ったことある?」
「ほら、そんなことをいう」
さめざめと彼はそう言う。私は困った。だってそれはこの世界のことじゃない。きっと一緒にすることじゃない。手で彼の頬に流れる涙を拭う。
「お、俺たちはナマエを探していたのに」
「うん」
「ナマエはいないし、いたとおもったら、越後といるし」
「……うん」
「なぜだ……」
そう言って彼の涙を拭う。違う人なら、同じような仕草をしないでくれ。同じような表情をしないでくれ。同じあだ名で呼ばないでくれ。ポロポロと彼は涙を流して背を丸めていく。私を抱き寄せる形で。じゃあ、花森くんって呼んだらいい?と尋ねれば彼は天邪鬼のように首を左右に振った。私は一度目を伏せて、おりゃ!と彼を思いっきり抱きしめた。痛い!と言った彼に降参したかー、と笑いながら告げる。やっと顔を上げたハナちゃんに私は彼の鼻をつまむ。
「ハナちゃんがハナちゃんであるように、私は私だよ」

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