2018/02/14

兼任司書ネタ



朝からお菓子をたくさんもらう日である。刀剣たちから一つずつだけどもいる刀剣の多さを考えると数十個にも及ぶそれ。友チョコならぬ主チョコやき!とは私が審神者になってすぐのバレンタインデーで、陸奥守が言った言葉である。私にとってバレンタインデーはもらう日、なのであり、渡す日、は、ホワイトデーに変わる。それが、去年、違うとわかったの、だけれど。
「忘れてた」
朝からお菓子をたくさん貰ってホクホクしながら出勤したのだが、忘れていた。こちらでは渡す側だった。ほらな、賭けは俺たちの勝ちだ、なんていう菊池さんに私は目をそらす。開いたままの扉を見れば、ひょっこりと、他には見えないだろう光忠さんがいた。
忘れてたね、と苦笑いした彼に不自然にならないように頷く。
「お昼までに何か作っておくから、取りにおいで」
そう言った彼は引き返して歩いて行った。
「ナマエ?」
「いえ、この先口々になんでどうしてを言われるかと思うと気が重いな、と……むしろ半休取って作ってこようかなぁ」

==はぁぁ、うかばねぇぇ!!!以下は現パロ的な
・兼任司書はなんか神社系の実家ではあるけどお菓子会社に勤めるパッパと実家の神社手伝ってるマッマがいる。兄もいる。刀剣は基本ご近所。
年はむっちゃん(高3)>司書(高2)的なそれ。
・アルケミストもクソもない司書が佐藤せんせを召喚する話である

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なんとなく、変な感覚がする本を見つけた。何がどう、とかいう話ではないけども、ただ、他の本とは違うというような直感である。兄と兄の友人である歌仙くんと、私の幼馴染であるむっちゃんと古本市に来た時だ。その本を手にとって眺める。佐藤春夫全集と書かれた分厚いそれは恐らくは古いものなのだろう。黄ばんだページは年月を表している。ペラリと作者を見ればやはり大正昭和を中心に活躍した作家となっていた。佐藤春夫、は、聞いたことがない。兄や歌仙さんなら知るだろうけれど、教科書ぐらいでしか近代文学に触れない私は全く知らない、し、難しい。あの現国に含まれる癖に古典みたいな言い回しをしたりするし。先生の注釈や辞書がなければ読めない。
「気になるのかい?」
そう首を傾げたこのスペースの店主に、少し、といえば、あげるよ、と言われた。
「え、売り物じゃあ」
「いいんだよ、どうせ店仕舞いの為にゴミよりマシかということで出しているだけだし」
「店仕舞い?」
ああ、管理している祖父が亡くなってね、だなんて告げた彼は何か閃いて私をみた。
「そうだ、それをタダであげるから本全部もらってくれない?たかだか数十冊だからさ!」
そう言った店主に私は固まる。横にやって来たむっちゃんや兄、歌仙さんに訳を話せば「もらうだけもらっとけ」と言われてしまった。とりあえず、今日はその全集だけ貰って帰る。うーん、損なのか得なのか。

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その日、夢を見た。ちりん、という風鈴の音。大丈夫か、と揺らされる。ゆっくりと目を開く。目の前にいるのは男性だろうか。ただ、私を見て目を瞬いたが。
「あなたは」
「あぁ、良かった、日本人だったのか」
そうほっとしたように息を吐いた人は、玄関の前でお前が倒れていたんだよ、と告げる。
「それはありがとうございます」
「いや、元気ならいいんだ。待ってくれ、水を取って来てやる」
彼はそう言って部屋を出た。ちりん、とまた風鈴が鳴る。涼しい風だなぁ、と思っていれば、デカイ声が耳をつんざいた。
「ナマエ!そろそろ起きるぜよ!」
そんな声と共に視界が切り替わる。目の前にあったのは笑っているむっちゃんの顔だ。
「……寝てた?」
「おん!」
ニッコニコと笑いながら言ったむっちゃんに、兄が降りるぞ〜とだるそうに告げる。私はため息をついてゆっくりと立ち上がった。

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それから度々、あの男性の夢をみる。あったことない人だ。向こうは向こうで私を幽霊的な存在だと思っているらしい。まぁ、向こうからすればいきなり消えるしな。おもしれぇ、と言った彼は余裕があった。
――しかし、今は余裕がない。と、いうのも、私が熱でぶっ倒れている時に見ている夢だからだ。それゆえ私はフラフラしてるわけである。あったかーい、と言いながら懐に潜り込んだところ、ペイっと剥がされて年頃の娘がそんなことをするんじゃない、という説教からの、熱があるのか!?である。
「待ってろ、今布団を引いてやる」
そう言って背を向けた男性の背中にまたへばりつく。頭の中でお父さんがむっちゃんじゃないんだぞ、と怒ったが無視だ。男性はため息をついて私の頭に手を置いた。ぐしゃり、と撫でられた頭、優しく包まれた手に優しいなぁ、と笑った。

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急な話であるが、私は神道系の家系で、変な家訓というか、家の決まりというか、そういうものがある。何かを下ろさなければならないらしい。ちなみに兄は喋る狐二匹を出した。一匹――通称オトモは鳴狐に預けられているけど。もう一匹のコンノスケは我が家にいる。母親は秘密とハートを出された。母親の実家で知り合いみんながどんちゃん騒ぎの中、お母さんと準備をする。巫女さんの服めんどくさい。
「どうやっておろせばいいの」
「そうね、出会ったものを鷲掴みしてくればいいわ」
「鷲掴み?」
「鷲掴んで名前を聞くのよ」
そう笑った母親に、ああ、だから兄は狐を鷲掴みしてたのか、と思いました、まる。
「じゃあ、なんか連れてくる」
そういえば母親はふふふと笑った。

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最後までお見送りしてくれたむっちゃんは良しとして、私が何をつれてくるか賭けをしていた人はずるいというか。まぁ、そんなことは置いておいて、社を抜けたら知ってる場所だった件。現れた男性は、巫女衣装?と首をかしげる。なるほど。私は彼に駆け寄って彼の手を鷲掴みする。
「どうしたんだ?」
「一緒に来てください」
「一緒に?何処へ。終わりがある世界だぞ」
そう言った彼は自嘲したように笑う。
「終わりがある?」
「あぁ、ここは、一日の繰り返しなんだ」
彼は目を伏せる。一日を過ごして、気づいたら同じ日になっているらしい。
「何それこわい」
「まぁ、あの世なんざこんなものかもしれないが」
「あの世?貴方は死んでるの?」
「あぁ、昔に。ラジオの収録中だったことは覚えてるが」
「ラジオ?芸能人?」
「いいや、作家だ」
そう告げた彼は、だから、お前が来てくれるようになって、とても嬉しかったんだよ」
そう微笑んだ彼に、なら、と告げる。
「同じ繰り返しから脱出しません?」
「脱出?」
「ええ」
「……できるのか?」
「はい。巫女の衣装着てるのには訳があるんですよ。なんか、我が家は神道系の家なんですけどね、決まった時期になると誰かを降ろす決まりがあって」
「降ろす」
「兄は管狐さんと狐さんでしたし、母は知らないけど、人間を連れてくることもあるってばっちゃが。まぁ、私は誰か連れて帰らないといけないし、貴方が繰り返される日常から解放されたいならいいかなって」
そう言って彼をみて、手に力を込める。
「ま!拒否権はないんですけどね!」
彼を強く引っ張れば、景色ががらりと変わり、知っている社の奥になる。変わった景色に目を瞬いた彼、私はヒャッホイ成功!と喜んだ。
「現世へようこそ、ん?おかえりなさい?まぁ、いいか。私はナマエです。貴方は?」
「――佐藤春夫だ」
なんだって。

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私が佐藤さんの手を引いて帰れば、騒ぎが一瞬止まった。母親に、鷲掴みしてきた!と報告したら母親はナイスよ!と親指を立てる。
「なに、ナマエは人をつれてきたってこと?」
「人が来ることもあるんだねぇ」
「ってか、本当に人なのか?」
その言葉に私は佐藤さんをみる。佐藤さんは人だ、と苦笑いをした。今度ば佐藤さんが首を傾げた。
「彼らは?」
「親戚とかご近所さんです。毎年この時期になると騒ぎます」
「名前はなんていうんですか?」
「あぁ、悪い……俺は佐藤春夫だ。作家……だった、が正しいのか」
「佐藤春夫」
その言葉にピシリと固まる一部。なんだ?と思っていれば、ニコニコ笑っている父親が「佐藤春夫と言えば、文豪の一人だね」と告げる。周りがまたピシリと固まった。
「佐藤先生って呼んだ方がいいです?」
「いや、師匠って訳じゃないから、別にいいぞ」
「じゃあ、佐藤さんでいいや」
私の発言に兄と歌仙さんがすっ飛んで来るのはすぐのことだ。



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