2021/12/31

2021年オフラインネタ帳大放出祭74




嫌だなぁ嫌だなぁと思っていれば、ガチで嫌な展開になってて笑ってしまう。テラに担がれてぐったりしてるのは成長した弟だとはメタ知識で知っているのだが、なんていうか、うん。
「うわー、やだやだ、帰還フラグとかいらない」
そう苦い顔をする。いやいや、ホントに。馬車馬ちゃんの知り合い?とはマスターオブマスター、すなわちマスマスの発言である。マスターが弟の羽織に描かれてる模様に気づいたのか、私を見た。
「……ナマエ、お前の家の者か?」
「……、」
私は基本、マスターには嘘をつかないようにしている。嫌だって彼の信頼を損いたくないのだ。困ったように眉尻を下げる。
「……、……」
「あらほんと、ナマエが着てた服にも同じマークはいってたね。懐かし〜。で、ナマエの知り合い?」
「……、……、……」
観念する。肩を落とす。仕方ない。認めるしかあるまい。
「……多分、弟です」
はーー、とため息をつ来ながらそう言えば、周りが叫んだ。うるさい。マスターが弟?と首を傾げた。
「最後に見たのがソラ君ぐらいでしたけど、多分時間が経ってるので、恐らくしか言えませんが。あの羽織に描かれた紋様は確かに家の紋様ですし、この髪色は弟くらいしか思い当たりがないですね」
「なら、ナマエがそばにいた方がいいんじゃない?」
「そうはいかない。彼の中で私は死んでいるだろうし、私が生きていると私の世界の者がきいたら厄介なことになる。目を覚ます前に他の場所に送り出す」
「えっ!?なんで!弟なんだろ!?」
「弟だからだ。これが彼のためだ、会わないほうがいい」
そう言って首を左右に振る。一部が意味わかんネェとか言う顔をしているな。
「ソラ、納得できないと言う顔をしているね」
「だってさ、弟なんだろ?なんでそんな悲しいこと言うんだよ」
「……頭の片隅にでも置いてくれたら嬉しいが。世界の全てが君たちが過ごした街やこの街のように平和な世界で構成されているわけじゃない。私達がいた世界は、当たり前のように国々が戦争をしていた世界だったし、時に血の繋がった親族であっても争う世界だ」
「なんでそんなことするんだよ」
「さぁな。それが私も理解できない。名誉の為か、資源の為か、権力の為か、領土のためか。民の為を謳ってはいるが、そこには決して民の為だけではない欲がある」
そう真面目に言ってから、ソラ達がわけがわからないみたいに首を傾げたので苦笑いする。いかん、真面目にしすぎてしまった。
「まぁ、事情は色々だ。君はそんなことを知らなくていいのかもしれない」
「おや?これはこれは、三河の化け物さんではありませんか」
闇の回廊開いたと思ったら明智さん来て顔を引き攣らせてしまった。無双の明智さんをくれ。あと釜怖いからやめてほしい。
「生きていたとはねぇ。貴方、父君に計られて自らの従者に殺されたはずでは?」
「あっはっはっはっ、見てもらったらわかると思うが、私は五体満足で生きてるよ。元の世界には戻るつもりはない。竹千代を連れて帰れ」
「私が?連れて?なんのために?私は竹千代を殺しにおって来たんですよ。参ったことに、我が主人はわがままなんですよ」
「信長公か秀吉公かわからないが、何のために?」
「我が主人はその二人ではありませんね。手に入らないのなら、亡骸でもいいと言う話だったので……貴方ともども斬らせていただけませんかね?」
「……いるべき場所に帰れ、明智殿。ここは貴殿のような人間が来る場所ではない。安心しろ、竹千代もきちんと帰すさ」
「どちらへ?」
「どちらへってそりゃあ」
「彼の帰る場所は何処にもありませんよ。可哀想でしょう?だから、殺して差し上げるんです」
「待て、三河はどうした。忠勝は。半蔵は」
「さて、どうなったことか……三河は戦地へと姿を変えましたのでね」
「おいおい、冗談がひどいな」
「冗談だと、思います?」
にたり、と笑った彼にため息をつく。これだから帰還フラグってやつは。
「貴方と貴方の弟が守り抜こうとしたモノはなくなりました。その何処に彼の帰る場所があるのでしょうね」
かちん、と来たというか、でも咄嗟にキーブレードじゃなくて婆娑羅纏わせたグーでパンチした私流石すぎないか?とりあえずキーブレードで元の世界へ繋がる回廊を足元に作って明智殿落としたけど。明智殿は高いところから落ちても大丈夫って信じてるから。閉じた回廊を見つめていれば、「……姉上?」と声がかかる。やってしまった。別の場所で明智光秀に話を聞くべきだった。
「姉上!やはり、無事だったんだな!よかった、姉上の遺体が見つからなかったから、もしやと思ってたんだ!」
「……」
「姉上?……あぁ、そうか、ワシも背が伸びたから……竹千代だ!姉上の、弟の!」
どうするかなぁ、と思う。これは何というか……想定外というか……。会いたかっただの、無事が嬉しいだの、たくさんそういう言葉をつげて、狸みたいな困り顔で、姉上?と聞いた弟もとい竹千代もとい徳川家康に私は目を伏せた。ぽんと頭を撫でる。目をまん丸に見開いた彼に、笑う。
「久しぶりだな、竹千代。大きくなったな。前はこんなだったのに」
「ワシはそんなチビじゃねぇ!」
「さて、竹千代。お前は元の場所にかえりなさい」
「……姉上も共に帰ろう!きっと忠勝や半蔵……三河の皆も喜ぶ!」
「それはできない」
「どうして?」
「竹千代、もう成年したろ。名前は?」
「……家康だ」
「そうか、徳川家康。君は戻ってやるべきことをやりなさい。私にあったことは夢だとも思え。現実から目を逸らすな。君だって、私が戻ってはいけない理由がわかってるはずだろう」
「……っ!わからねぇ!わかりたくねぇ!」
あーこりゃお手上げですね、いや青年家康だからワンチャン聞き分け良い子かと思った私が馬鹿でしたわ。これは理解しているけど、拗ねている。はー、とため息をついた私にびくりと肩を揺らす。幻滅しないでくれ、と小さく呟くように告げた。家康に、昔のように目線を合わせる。
「竹千代、」
「……」
「竹千代、そう拗ねるな」
「拗ねてねぇ……」
「竹千代、あのな、お前に意図せず重荷を押し付けることになった。それは心底悪いと思っている。私と比べられたりして、大変だっただろう」
「じゃあ一緒に帰ってくれ」
「竹千代、何度もいうがそれはできかねる。もう恐らく亡くなっているだろうから言うが、あの日、私がお前のいる世界で死んだとされる日、京からの帰り道、私を殺そうとしたのは父上だ」
「ーー」
「正しくは、父上の命令をうけた半蔵達に手にかけられた。半蔵はああ見えて、私の命令をよく聞く男だろう?半蔵が一か八かで、闇の婆娑羅の中に私を落とした。それをあちらにいる方々が助けてくださった」
「なんで、父上が、姉上を」
「私が男でなかったからだ。いくら優秀であろうと、いくら人望を得ようと、私は私である限り、あの世界では父上の跡を継げない。それどころか、跡を継ぐ予定のお前の障害でしかない。あの頃、お前は言ったな。私が城主になれば三河は安泰だと。それは違う。子供のお前には見せないようにしていたが、あの時すでにあの国はお前と私で家臣が二分化されつつあった。少なくとも、私達が知らない間に、大人達の間で、どちらかを殺すという話が出ていたようだ。だから、私が半蔵に頼んで大人達の意見を誘導させた。私を殺すように」
「どうして」
「君に生きて欲しかったからだ、竹千代。たった1人の弟をみすみす殺させてやるか」
さて、真面目モードももう終わるとする。あんまりすると周りがびっくりするからな。まぁあまりにも私の世界の治安の悪さにびっくりしてるけど。
「まぁ!私はこの通り生きてたんだけどな!そこは運が良かったとしか言いようがない!さて、お喋りはおしまいだ。……お前はお前だ、竹千代。私がお前に慣れないように、私にはけっしてなれない。お前の信じる道を進め。私はお前の道、竹千代を信じている」
強制グッバイ大坂城近くにおかえり。いやー、多分豊臣さんとは仲良さそうだったから……うん。



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