2018/02/16

最近ガバガバな文しか書いてない

・嫌われ要素?
・多分司書後ヨシノになるまでの間らへん

そもそも、この司書ではない娘は館長の温情でこの図書館にいるだけであり、特殊な力があるわけでもなく、いなくなってもいい存在なのである。だが、みんな追い出そうともせず、暖かく迎えてやっているのをみると恐らくはこの先も居続けるのだろう。放り出せ場いいのに、とは思うが、それを口にした瞬間、恐らくは非難の嵐に飲まれるのだ。ならば、ほんの少し、ほんの少しずつ、彼女に敵意を向けさせればいい。塵も積もれば山となるように、ほんの少しの敵意でも数が増えれば彼女は押しつぶされてここからいなくなる。そうなれば――。

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向けられた敵意を拭うことは難しい。ただでさえ、居候の身なのだから、私はここにいる理由はない。そもそも、『知っている』帝国図書館から『知らない』帝国図書館にきただけで不安定だったのに、それは拍車をかけるだけだ。逃げるのか、と、誰かが聞いた。
「逃げ場なんてないのに」
私の逃げ場であるその人達もまた敵意を持った目でこちらをみて。いくあてなんて、何にもない。持っている荷物も少ない。帰りたいのに、どうすればいいのかわからない。いつもそばにいる陸奥守もいない。誰もいない。
きぃ、と音を立てて開いた扉にそちらをみる。入ってきた館長とアカとアオに、私はなんとも言えない。
「出ていくんですか?」
「はい」
「出ていくっつったって、行くあてはあるのかよ」
「ありません、でも、ここにいるよりは」
そう静かに目を伏せる。
「逃げるんですか」
「はい」
「お前の非を認めるようなものだぜ?」
「そうなりますね……何も返せなくてごめんなさい」
そうしずしずと頭を下げる。何も言わない館長が、そっと私の頭を撫でた。
「すまない」
「貴方が謝る必要はありません。貴方はここの長だ。一個人の言葉よりも大多数の言葉に耳を傾ける必要がある」
「それでも、すまない」
そう頭を下げた彼はいい人だ。
「気にしないでください。私は元より存在しない人間なのだから」
微笑んでそう返せば、アカとアオは首を傾げ、頭をあげた館長は目を伏せた。

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「お姉さん、出て行っちゃうの?」
エントランスである。そう首を傾げた賢治くんに、はい、と返す。みんなまだ眠っている頃だろうに、起きている館長とアカとアオも――いや、三人は研究があるからか――賢治くんも朝に強いなぁと思う。
「お姉さんが悪くないのに?」
「悪くなくても丸く納めるにはこうしたほうが早いです。それに」
「それに?」
「大事な人、と、そっくりな顔で睨まれるのは少し辛いので」
そっと胸にあるネックレスを握る。賢治くんが眉尻を下げた。
「……また会える?」
そう尋ねた彼に、そうですね、と呟く。ずっと味方でいてくれた彼に会えません、というのは少し酷だ。
「何か助けてほしいときは、桜の木に手をついて私の名を呼んでください。そうしたらきっと、君のお願いであるのなら私は来ます」
「桜の木」
「中庭にあるでしょう?」
そう笑みを浮かべれば、彼は小さく頷いた。またね、と言って図書館を出る。すれ違った文豪は何も言わない。ただ、こちらをちらりとみただけだった。

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何とか雇ってもらえる場所を見つけた。老夫婦が管理している廃れかけた神社である。まぁ、二人とも病気がちでお勤め関係ができにくきなったから仕方ないが。とりあえず、私はまた審神者のような生活に戻ったのである。朝のお勤めとか、掃除とか。偶に神楽を舞ってみたり、とか。空いた時間に帰るすべを探すけれど、見つからないそれ。このまま一人で生きて行くのかぁ、と思いながら掃き掃除をしていると見知った声が見えて、少し動きをとめる。どうしよう、どうしよう、と思いながら社務所に駆け込んで扉を閉めた。ざりざりと歩いて通り過ぎた音、カランカランと鳴り響いた鈴と、拍手の音。何もないのに怖くてネックレスを握る。また近くを人が通って行き――チリン、と社務所の鈴が鳴る。
「誰かいませんか」
そう尋ねた声にいないよ、と首を振った。柔らかなその声が厳しい言葉を吐くことを知ってしまった。優しいその目が敵意をもつそれだと知ってしまった。どう対処すればいいかなんてわからなかった。元の世界に戻った時、なによりも同じ人に同じ気持ちを抱いてしまうのがとても怖い。
「誰もいないみたいだな」
「だが、箒が落ちてたぞ」
「風であそこに落ちたんじゃないか?ま、また来たらいい話だしな」
そんな声がして、また遠く離れて行く足音と会話。しばらくは、ここにいよう、と、膝に顔を埋めた。

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落ち着いたから箒を持って、掃除をする。夕方にでもなればあの老夫婦は帰ってくるだろう。それまでにやることを考えていれば、「アンタは」と言う声がして固まる。振り返ったさきにいたその人に、箒の柄を強く握って後退る。鋭い目に、またびくりと肩を跳ねさせて、また一歩後退る。
――逃げるんじゃなかった、と思う。逃げて仕舞えば、立ち向かう勇気がなくなってしまうからだ。
「なんで、アンタが」
耳を塞ぎたくなる。ただ、蛇に睨まれた蛙のように固まっていれば、おや、とお爺さんの声がした。
「佐藤くんじゃないかい、久しぶりだなぁ。ナマエ、ただいま」
やってきたお爺さんに、おかえりなさい、と言葉を紡ぐ。
「掃き掃除もありがとうなぁ、今日はもうおあがり」
「夜のお勤め……」
「それくらいならワシがやるさね」
そう帰るように促してくれたお爺さんに、頭を下げてまた社務所兼住居にひきかえす。先に裏から入ったらしいおばあちゃんが飛び込んできた私の頭を撫でた。

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「あの子はそんなことする子じゃない」
そう否定した老人は、やけに真っ直ぐな目をして告げた。

あの真っ直ぐな目も、優しさを滲ませた目も、怯えたような目に変わった。――苦しい。
あのしなやかな体も、上品な所作をする体も、俺を見ただけで蛇に睨まれた蛙のように固まった。
――悲しい。
聞いているだけで落ち着いたあの声も、聞かせてくれない。ただただ怯えた彼女にとって自分は恐怖する対象なのだろうと思う。それが気に入らなくてタバコを吸う。それだけのことを彼女はしたのだ。いや、したはずなのだ、が正しい。
――彼女が、もし、何もしていないのであれば。縋る手をはたき落したのは自分自身であるのに、こんなことを抱くなんて、間違っている。
「佐藤先生、どうしたんだ?」
そう首を傾げた館長に、いや、と言葉を濁す。余計なことを言えば火に油だろう。いや、しかし、彼は中立だったと思い出し、口を開いた。
「苗字にあったんです」
「苗字さんに?」
「少し離れた神社をまた手伝ってましたよ」
「あぁ、よかった、住むところができて」
そうほっと息を吐いた館長に、俺は彼を見る。実家に帰ったのでは、と言われていたが。苗字さんは身寄りがなくてな、と苦笑いをした彼に目を見開いた。
「身寄りがない?あんなに所作も礼儀もしっかりしているのに?」
「あぁ。俺も最初に聞いた時は家出した人の嘘かと思って、猫に調べてもらったんだ。すると、身寄りどころか戸籍もないようだった。だから、おいていたんだが……」
言葉を濁した彼は、「でもまぁ、新しい道を見つけたんだ、こことは縁がなかったんだろう」とまた苦笑いをする。
「佐藤先生が悔やむことじゃない」
そう俺の肩を叩いた館長に俺はそっと目を逸らした。

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シャン、と音を立てる。豊穣祭だ。しゃん、しゃん、と鈴を鳴らして神楽を舞う。秋祭りとあって、普段は全く人の気配がない境内も賑わっている。しゃん、と鈴を鳴らすたびに、風が紅葉を舞い落とした。その次の日からである。少しだけ、境内が賑わうのは。

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気に入らない、と言った誰かは、気に入らない、と、神に告げた。気に入らない、気に入らない、だから、ここからいなくなればいいと。それを聞いた神さまは、あいわかったと返事をした。見えてない相手に少し目を細めながら。

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「潜書ができなくなった?」
やってきたアカとアオに巫女姿のまま首をかしげる。そうなんだよ、と告げたアカにアオが告げる。
「それどころか、転生もできなくなってしまって」
「なんでまた」
「わかんねぇ。ただ、朝起きたらできなくなってたらしい。ったく、冗談やめてくれって感じだよ」
そうアカはため息をつけた。アオはアオでやれやれという風に息を吐いたのだけど。
「貴女が居なくなってちょっとずつ仕事が溜まってきてるんです」
「戻りませんよ。戻ったら私のせいで力がなくなった、とか、私のせいで仕事が増えたとか言われそうだし」
「だーよーなー、ただでさえ、お前のいる神社に行ったからこうなったって騒いでるのに」
「もうやめてくださいよ……私関係ないじゃないですか」
「だろー?だから、やんわりと館長が違うっつってもそういうんだよな」
たった鳥肌に慌てて腕をさする。やめてほしい。
「もうなんか、なんで私の平穏を蝕んでいくのかわかりません……あ、そういえば、しばらく私はこの神社というか街にいないので」
「はぁ?なんでたよ!」
「お爺さん達の息子がしばらく帰省されるので、私は旅行に行きます」
「ぐー、俺たちの愚痴り場所がなくなるじゃねぇか」
「一緒に行きたいですね」
「館長を過労死させちゃダメですよ」

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ショーケースに佇むそれを見る。何度かあるブームがまだきていないだろうそこは静かである。だから、そこにいくらいようと誰も気に留めないんだろう。
「三日月宗近」
そうそっと彼の名を呼ぶ。伏せていた目がこちらを見た。はた、と、あった目に、彼は後ろを振り返る。
「違う、見えてる」
「変わった人の子もいるものよ」
「……そうだね」
恐らく、この世界ではこの力自体が異端なのだろう。そっとため息をついて目を伏せた。
どこから来た?
東の方から。
いつからみえる?
むかしから。
そんなことを淡々と話す。
「ここは寂しくない?」
「皆がいるから楽しいぞ。人も来るしな」
「皆……他の展示物かぁ」
「他の展示物は見えないのか?」
「頑張ればみえるだろうけど、これ以上見えるようになったら危ないと思うから」
「ふむ、一理あるが、みんな残念がっているぞ」
そうカラカラと笑った彼はそっとわたしを指差した。
「どれ、見えないじいがお前に教えてやろう。何かが、お前についている。祓ったほうがいい」
それ最悪なやつじゃないか。

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旅行で陸奥守に会いに京都に来たはずが三日月さんと会ったせいで、か、知らないけれど、夢に三日月さんが現れるようになった。困る。縁を勝手に結ばれたらしい。それと同じく石切丸とか展覧会や展示を見た刀剣にも縁を結ばれた。ちなみにまだ陸奥守が陸奥守だとわかっていないらしい。わたしは姿が見えたからわかったけども。
そんなこんなで旅行を楽しんで帰えった。老夫婦にお土産をわたし、のんびり話して、ちょっと気持ちが持ち直したなと思う。
そんな日の、夜のお勤めの後のことだ。リン、と耳元で音がなる気配がした。そちらを見ると、枯れた桜の葉が落ちる。なるほど、賢治くんのピンチらしい、ととりあえず上着を羽織り、老夫婦には説明をして図書館に向かった。クローズド、となっている図書館にどうしたものかと思ったけども、また落ちて来た桜の枯葉に眉間にしわを寄せる。扉を押せば、空いたそれ。桜の木、ということは中庭だろうとそちらに向かう。
「ーー!」
声が聞こえた。泣き声のような、叫びのような。近くにあった煖炉の火かき棒を掴み、割り込むように振り落とされたそれを防ぐ。そのまま唖然とした相手を弾き、賢治くんを掴んで距離をとった。
「おね、さ、」
「ごめんね、遅くなって」
そう言って彼のボロボロになった帽子を頭に乗せてあげる。そして、何かを振りかざそうとした相手を見た。どうやら司書らしい。何か黒い靄がついてるけど。彼はわたしを見て何か叫んで駆け出す。遠のいた気配に、なんだ?と首を傾げた。まぁ、あの人はどうでもいい。先に賢治くんだ。ギュッと服を握った彼に眉間にシワを寄せた。
「手当を」
「無理だよ、司書さん、どこかに言っちゃったし、アカやアオ、館長もボロボロだし……」
とても不穏な言葉である。とりあえず誰もいないのであれば、と彼の手を引いた。

向かったのは医務室である。どうやらだれか起きているらしい。扉をノックすれば、薬はもうないぞ、と声が聞こえた。ガチャリ、と開ければやはりいたのは森先生である。四つ閉じられたベットからは寝息、呻き声が聞こえる。森先生もボロボロで疲れていそうだ。こちらを見た彼は目に驚きを宿す。
「君は、苗字?」
「えぇ、インクはありますか?」
「ーーある、が、」
「ください。調速器もあれば」
そう言えば、彼は棚からインクと調速機を出した。賢治くんを座らせて、インクと調速機を持たせる。ベッドがないから、仕方ない。彼の本に手をかざして、目を伏せた。ーーその作業は刀剣たちの手当てと同じだ。霊力を少し込めて、なおすのだ。ふわり、とかおった桜、カチリ、となった時計。目を開くと怪我が治った賢治くんが寝ていた。桜の花ビラを落として。こちら側に倒れこんだ彼を抱える。
「ーーどちらだ、君はもとよりその力があったのか、それとも――いや、愚問だったな」
そう自嘲したような笑みを浮かべた森先生は「俺も治してもらえるか?」と首を傾げる。
「かまいませんよ」
そう言えば彼は賢治くんをソファに寝かした。

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何が起こったんですか。
控えめにそう尋ねれば、随分と草臥れたように森先生が口を開いた。
「司書が狂ってしまってな。力が使えなくなって、そんなはずはない、と、無茶を繰り返し――止めるものがいなくなってしまった」
「――何人かが――亡くなった?」
「いいや、絶筆はしていない。辛うじて、な。だが、そんな状態でさえ、司書は無理強いるんだ。最初は館長やアカとアオが止めていたんだが――三人に手をかけた」
「手を?」
「怪我を負わせてしまったんだ。だから、ここには三人がいない」
なんて言うことだ、と絶句する。恐らくは、それだけ侵食も進んでいるだろう。
「君に縋る権利はないとわかっている。何故なら、俺たちは君を傷つけたからだ」
そう言った彼の手を握る。そっと力を流し込めば、彼の力が抜けていくのがわかる。
「……こんな事態になって仕舞えば、そう言うことは関係ないのでは」
「君はできた人間だな、」
そう緩やかに目を伏せた彼は寝息を立てた。



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