2022/12/31
2022年度没ネタ整理17
別の世界の、私の叔父達と同じ名前の人はいないのかと思っていれば、どうやらこの歪な世界には巻き込まれていないらしい。まぁ時代を見ても様々だ。織田信長、今川義元といった面々がいると思えば、石田三成達がいる。時代に幅がありすぎる。彼らの乱世の始まりがどうであれ、もう足利には将軍家という威光はない。
未だ戻れていない状況で、このまま暮らしていくしかない状況で、わたしには後ろ盾がないと言ってもいいだろう。いや、これで足利の勢力はあれど、異なる世界の足利だなんて言ったところで、信じてくれる気はしない。そもそも末裔レベルであるし。
「そういえば、どうしてナマエや衣舞殿は氏を名乗らない?」
あちらにいる人達をみるに、氏がないってわけじゃないだろうし。
賈詡殿がそう告げる。私は困った顔をした。
「私や衣舞は氏を名乗ってしまうと、ややこしいことになりかねたので」
「ややこしいこと?」
「同じ氏の方があちら側の城主や武家にいらっしゃる可能性が否定できず……」
「あっははー、なるほど、たしかにあちらも同じ氏を持つ人が魏にいると驚いてしまうか」
「それはあの力みたいに荀攸殿との約束かな?」
「いえ、私が衣舞に話を聞いて、私が持ちかけたことです。恐らく衣舞は最初に曹操様に氏を含めて名乗っていそうですが……私は初対面の方には名前だけを名乗るように癖づいていますので」
私の説明に、癖、ね、と郭嘉殿は私を見下ろした。二人はサボりモードにはいったのだろう。仕事をしないと二荀におこられてしまう(し、私もとばっちりをくらう)と思うのだが、お茶を入れれば恐らく休憩と思われるだろう。とりあえずお茶をおいれします、と言って立ち上がれば、彼らはお礼を告げた。
「ナマエはきっと良い家の出だね」
「なんともいいかねます。そもそも私は今元の世界では叔父に面倒を見てもらっていますが、血がつながっているかも怪しいですし……」
そう言いつつお茶のセットを彼らの前におく。お、ナマエの身の上話とは珍しい、と茶々を入れた賈詡殿に肩を竦める。そこで荀攸殿が現れた。満寵殿が必死に書き物をしていて、私たちが休憩に入りかけてるのを少し不満そうにじっとみたが、先手を打つことにする。
「荀攸殿、今お茶をおいれしますので」
「……ありがとうございます」
「いえ」
立ち上がってお茶を淹れる準備をする。恐らくもう少ししたら荀ケ殿も戻ってくるだろう。今休憩に入ったところ、という会話をしていれば、荀ケ殿も戻ってきた。彼が怒る前に、私は彼に声をかける。
「荀ケ殿、丁度お茶が入ったところです。少し休憩はいかがですか」
「そうですね、いただきましょう」
そう頷いた彼はいつもの席にかける。私はお茶を淹れて彼らの前においた。なんの話を?ナマエの家の話だそうですよ。荀家二人の話をよそに、郭嘉殿が首を傾げる。
「それで、ナマエは何故そう思うんだい?」
「いえ、叔父が初対面の時に病死した母方の家族と名乗ったのですが……私や叔父の年齢を考慮するに、母は姉に当たるはずなんです。もう一人の叔父にそれとなく聞いてもそのようなものはいないと言われましたし……叔父に聞いても笑うだけですし……髪色や瞳の色が酷似しているので、恐らくは血が繋がっているとは思いますが」
そう言って私も自分に与えられた席に座り、お茶を口に含む。うむ、美味しい。
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