2022/12/31

2022年度没ネタ整理18


「……なんで私の別荘がこんな場所に……」
目の前にあるのは私の別荘で間違いない。叔父から譲られた別荘で、叔父が私を連れて行けずに長期間家を開ける場合に私がいる屋敷だ。和洋折衷建築なその屋敷は私のお気に入りではあるのだが、こんな世界に混ざってもな、とは思うわけで。しかしながら多分護衛の人や世話人の人はいなさそうである。同じく屋敷を見ていた荀攸殿が首を傾げる。
「ナマエの別荘?」
「私の家です。別邸というよりは、隠れ何処のような……叔父が留守の間はここに住んでいます」
「……中に入りますか?」
「この雨ですし、そうしましょう。荀攸殿が見たことがないものが多いかもしれません」
「触らないように気をつけましょう」
そう言った彼に頷いて、門に繋がる道を進む。不審な点もない。とりあえずたどり着いた門をあければ、やっぱり私の別荘である。昔の名残なのか残っている厩に馬を繋いでから、玄関の扉を開けて、ただいま、と声をかけてみるが返事はない。やはり人の気配はなさそうだ。嫌な気配も特にない。もぬけの殻だ。とりあえず履いていた靴や足元の武具をとり裸足になって上にあがる。玄関付近にある洗面所にはいってみれば、やはりそのままのようである。とりあえず汚れた羽織を脱いで、水やお湯が出ることを確認して手を洗う。脱衣所やお風呂の方も見たが、そのままだ。温泉を引いてると言われているが、それ以外も変わらなさそうである。お風呂で足の汚れを落としてタオルを持って荀攸殿を待たせている玄関に向かう。律儀に玄関先で待っている彼に眉尻を下げる。
「荀攸殿、申し訳ないですが、履き物などを脱いでから上がっていただけると」
「わかりました」
履き物を脱いでから上がった彼に先程と同じようにしてもらおうと思ったが、もうお風呂に入ってもらった方が早いのでは?と思うわけで。確か、客や世話人用の着流しなどがあるはずである。
「荀攸殿、とりあえず、雨に降られて体が冷えていますし、風邪をひくと大変なので、入浴していただけると助かります」
彼が何か言う前にぽいぽいと説明をしていく。これがああでこれがこうで、これを押すと温かいシャワーが出てと順に説明してから、上がったらこれで体を拭いてくださいと戸惑っているらしい彼に、入ってる間に服は準備しますので、と言いつつ彼を脱衣所に押し込む。確か近くに私や叔父さんを世話してくれている三淵さんの部屋があるはずである。着流しを見繕って戻り脱衣所に向かえば彼は観念したのかいなかった。
とりあえず玄関先でスタンバイすることにする。濡れた床を拭いたり、三淵さんの部屋をみたりする。なるほど、変わらない。一応光の婆娑羅を伝わせてみたが悲鳴も何も上がらないし、誰かが現れないのを見ると本当に誰もいないらしい。一応自分の着替えも準備し、しばらくすれば、困惑たっぷりに上がってきた荀攸殿は私をみてホッと息を吐いた。
「ナマエ、さすが中いきなりで戸惑いました……よかったのですか?」
「はい、構いません。荀攸殿が入浴されている間に婆娑羅を伝わせてみましたが、反応がなかったので誰もいないみたいです」
「あぁ、いえ、そうではなく、ナマエも冷えているでしょう。俺が見張っているので、温まってくると良いでしょう」
そう言った彼の髪をタオルでぐしゃぐしゃして水分をとっておく。湯冷めしないようにだけご注意ください、とだけつげて私はとりあえず中に入ったが。

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温まってほかほかしている状態で荀攸殿に合流すれば、何か考え事をしていたらしい彼は驚いた。外の雨はまだやまなさそうである。
「とりあえず、荀攸殿、変に許昌まで戻ろうとするよりはここで雨が上がるのを待った方が得策のような気がします」
「そうですね……」
窓の外の雨を伺う。結構な土砂降りである。
「何が何なのかわからないでしょうから、私がご説明します」
「助かります。変に触って物を壊しても困りますから」
そう言った彼に私はまぁとりあえず説明をするために部屋に向かった。

便利ですね、と告げた彼に、便利です、と頷く。やはり荀攸殿の時代との差を考えれば、私の生きている時代は圧倒的に便利だ。つまみを捻れば火はつくし、ボタンを押せば家の中は明るくなる。食べ物は冷蔵庫のおかげで長く食べ物を保管しておける。
「蜀にいるナマエのような方が文句を言いたい気持ちもわかります。このような世界から俺たちの世界に来たのであれば、圧倒的に不便でしょうし」
「私は結構楽しかったですよ。見るもの触れるもの初めてのものばかりで」
そう言いつつ冷蔵庫の中身をチェックする。なるほど、食材はなぜか揃っている。簡単なご飯なら作れそうだ。
「荀攸殿は何か食べたいものはありますか」
「そうですね、ナマエの世界の食べ物などは興味はあります」
そう言われると難しいな。


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とりあえず夕飯はパスタをつくって食べ、私が暗記してた教科書を見せたりする。一人で寝かすのもどうかと思い、ゲストルームがツインなのでそちらで寝るとする。おやすみなさい、荀攸殿、と言えば、反対側のベッドで彼はため息混じりにおやすみなさいと告げたのだが。


翌日雨が止んでたので簡単に入れないように婆娑羅を使って隠しておいた。衣舞達を連れてくれば多分良いのではないかとは思うのであるが。後、私がよく使っている宝笏があったので持って行くことにした。

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「ナマエちゃんの家ってタワマンじゃなかった?」
「それはおじさんと一緒に住んでる家。今回見つかったのが、叔父さんが長期出張とか私がついていけない場所にいってる間、私と叔父さんが信頼してる使用人達が一緒に行く家」
「あぁー、たまにお義姉ちゃんの話題に出るナマエちゃんの避難場所かな」
「多分そう」
「スマホ充電できるかな?」
「電気やガスも謎に通っていたから、みんな集まればスマホ充電とかできるよ。スマホが元の世界と通じるかは謎だけどね」
「元の世界に通じなくともあたしたちや姉御達と連絡が通じたら楽じゃないかなぁ」
「それは一理あるな……」
そう考える。曹操様に報告をあげて、とりあえず高校生全員で集まって良いか確認して、書状をだして、と段取りを脳内で組む。
「とりあえずあたしは先に行きたい」
「曹操様に報告してからな」
「曹操様絶対行きたいって言うよ。珍しいもの好きだもん」


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