2022/12/31

2022年度没ネタ整理33


霧の先に進んだら時代錯誤な場所に出た。えっ、なにこれ。そこにいた人に何かの撮影ですか?って聞いたら撮影??って言われたし、意味わからん。来た道戻るかと来た道を見てみても、霧は晴れて普通に森があるだけである。
「そんな千尋ちゃんじゃないんだから……」
そう言いつつ頬をつねったけど痛い。イコール、夢ではない。嘘だろおい。転生した時にも嘘だろおいって思ったのに。
「うぇぇ……やっぱり霧が出てる間はじっとしていればよかった……こんなの想定外すぎる……」
「……可哀想に、こんな世界に一人で迷い込んじまったのかい」
「こんな世界?」
「あぁ、仙人だか神だかがいくつかの世界を混ぜちまったようでね。どこも混乱してるんだよ」
「えっ、」
「あっしについておいで。安全な場所にくらいなら連れて行ってあげるよ」
この人、味方、いい人、私、理解した。ありがとうございます、とお礼を言えば、アンタは警戒心を持った方がいいねぇ、と言われた。ごもっともである。

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せいっ。俺なんか病を発症している徐庶さんの口に肉まんを突っ込む。もごっ!?ってなってるけども。
「徐庶さん、謙遜は美徳の一つですけど過ぎたものはいけませんよ。徐庶さんは評価されたのだからいまの地位にいらっしゃると思いますし、何より貴方を評価する他者に失礼です。あんまり
 謙遜していると好機を逃しますよ」
ね、と言いつつそのまま肉まんをはなす。返事は?と聞けばわかったよと頷かれたので「よろしい」とにっこり笑ってなでなでしてしまった。いかん、これは昔の癖だ。
「話変わりますけど、これ徐庶さん食べてください。私は他の人に配りますから」
そう言いつつ肉まんを渡して撤退する。視線が痛い。

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「うっわ、凄い顔が良い人達がいる」
そう言って顔のいいお兄さんを遠目で見る。きゃいきゃいと言いたくなるなあの顔面偏差値。何あれアイドル集団じゃん。
「ナマエ、何見てるんだい?」
「いやあそこ一体顔が良い人がいっぱいいるから」
「あぁ……彼らは魏の軍師達だよ」
「めちゃくちゃ顔がいいね。眺めてたら元気になる」
やーこれはいい目の保養、と思っていたら、はたり、と金髪のお兄さんと目があった。ニコリと笑われた上で、ひらりと手を振られたので徐庶さんをみる。
「知り合い?」
「……ちょっとした知り合いだけど、今のは君にふったんじゃないかな?」
「え、うそ、やったー!カッコいい人に手を振ってもらえた」
きゃいきゃい言ってたら作物育ててる人がきた。
「ナマエさまー、作物の様子見に来てくれねぇか。どうもうまくいかねぇでよ」
「いいですよー。じゃあねー、徐庶さんちょっと私仕事してくる」
「一人で大丈夫かい?」
「多分龐統さん近くにいる気がするから大丈夫!」
ひらりと徐庶さんに手を振って畑に向かう。あー、これはハッピーな気分ですな。

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「最近めちゃくちゃ顔が良いお兄さんが手を振ってくれるので私が元気になる」
「何それ、誰のこと?」
「魏の軍師の金髪のお兄さん。にっこり微笑んで手を振ってくれる」
「……へぇ?ああいう男が好みなんです?」
「好みとは別問題。ああいう人は見てて元気になるけど、あの人の場合対応慣れすぎてて関わりたいかどうかって言われるとどちらかというと関わりたくない。絶対女性関係面倒くさい。仲良くなったら嫉妬した女の子に刺される気がする」
そいはっきり言えば法正さんと馬岱さんが吹き出して笑った。なんでだコラ。報復するぞオラ。近くで涼しい顔してた諸葛亮さんも肩震わせてるんだ。
「……総評としては?」
「顔がとてもいいファンサが素晴らしい人」
「ふぁんさ?」
「また変な言葉を……」
「私の世界には男女問わず顔が良い人を集めて歌って踊って興行をすることがあり、ああやって手を振ったり指差したりする行為をすることをファンサと呼び、それをするとその興行が好きな人は喜び投げ銭が捗るからやってる方も喜ぶ図式が成り立っている」





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畑とか手伝ってたのだが今日は気分がとてもいい。今日の分は終わったし、草の上に座って近くにあった葉っぱで草笛吹いてたら、良い感じの風が吹いてめちゃくちゃ気分が良い。いやこれ昔からこうなるんだけども。陽が差したりするからな。吹いてた懐かしい曲だなぁ〜と思いながら気分よく吹き終わる。近くで遊んでたちびっ子がびっくりしてなにそれ〜!!ってくるの可愛すぎかよ。せがまれてもう一回吹くけどな。

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最近手を振ってくれる人が増えた。なんだあれは箱推しするしかないな??めちゃくちゃ怪しい(褒め言葉)おじさまも振ってくれるしな??うっわ、優しい。
「うーん、箱推し」
「ナマエ、あんまり仲良くしちゃダメよ。今はこんな事態だから手を取りあってるだけで、ホントは敵なんだからね」
「そうなんです?」
そう言いつつ視線を馬岱さんに向ける。困ってる顔だな。
「……そうなのよ。ナマエが思ってるよりたいへんなのよ。ナマエが間者だって思われる可能性もあるんだからね」
「それはやだなぁ。でもこう、どうせなら他の国の人とも仲良くなりたい」
「うーーん、わかってない」

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「龐統さんとお茶飲んでほっこりする時間は必要不可欠だから」
「嬉しいこといってくれるねぇ」


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なんか視線感じるな〜、と思ってたら魏軍師ファイブ(ユニット名適当に命名)の一人、小柄な人がいた。ひゅー!!私ついてるーー!!にこーと笑って手を振れば、びっくりされて周り見てからちょっと控えめに手を振りかえしてくれたけど。は?かわいい。
「かわいいの極み」
「何がですか」
「うわっ、法正さん今日もいけてますね。あそこに魏軍師の方が控えめに振りかえして下さったので」
「……あぁ、あれは荀攸殿ですね。名門荀家の出で、寡黙な人間です。なんでも一度董卓を暗殺しようと計画しましたが仲間に漏らされて投獄されたとか」
ほへー、と思う。裏切られるとそうなるよなぁ、わかるわかる。
「別に悪そうな人じゃなさそう」
「貴方からすればほとんどそうでしょうね」
そう言ってもう一度視線を其方に移したがいなくなってた。
「あ゛っ!いなくなってる!!」
「お忙しいんでしょう」


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「ぎんぺーちゃん、私はぎんぺーちゃんより鍛錬積んで間ないのでそれはできないですね」
「そっかー」


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「こちらよろしければどうぞ」
「いいのか?」
「美味しいものは分けあった方が美味しいんですよ」


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「これ、蒸しタオルって言って、私の世界で簡易に疲れとる時に重宝されるものなんですけど」
「そんなもので疲れがとれるわけが……」

これが即落ちか。すやすやしてるらしい法正さんに、蒸しタオルの効力やばいな、と思う。上にブランケットかけてそっとしておこう。

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「法正さん?私の部屋で寝てますね」
「えっ……?」
「龐統さんにこの前やった蒸しタオル渡したら寝ちゃったので、そっとしてます」
「あぁ、そういうことかい」
「起きたらお茶飲もうと思って」

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なんか怪我してるモロくそ人間じゃない人がいたからとりあえず手当てして返したけど、あれがもしかして妖魔だろうか??と思いながらやってきた畑の様子をみる。いやー、この辺りの土があんまり良くないんだよな多分。土を撫でても半分死んでるっていうか。
「せいがでますね」
「わっ」
後ろからかけられた声に振り返る。魏軍師ファイブの荀攸さんである。うわっ、声もいい。
「ここは蜀の陣ではありませんよ」
「そうなんですか?なんか村の人に作物育ちにくいから見てほしいって言われたので来たんですけど。陣とかはすいません。よくわからなくて……」
困った顔をして見上げる。彼はこちらをじっとみたけども、何にもないぞ。というかこの人偉い人だよな。顔がいい。じっと見返したら照れられたので、にこっと笑っておく。私を連れてきた農民がたじたじしている。
「このあたりは水の問題ではなさそうですし、貝殻を焼いて砕いたものを撒くといいですよ」
「貝殻を?」
「こういう」
そう言って持ってきておいた貝殻の粉を見せる。
「粉にした貝殻を撒くと、土が豊かになります。なんでも土の養分を補給してくれるのだとか」
農民に許可を取りつつ撒いておき、あとは水とか様子を見るように伝える。そろそろ戻らなければ徐庶さんが心配するだろう。
「では、魏軍師の荀攸さん。またいつか」
「えっ……」

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いろんなところが混ざっての宴といえど、結局は結構派閥で集まるんだなぁ、と思う。というか。
「徐庶さんなんでめそめそしてるんです?あんまりジメジメしていたらきのこはえますよ」
そう言って徐庶さんの肩をポンっと叩いたらうっ、うっ、ナマエ、といいながら抱きつきにきた。酒臭っ。とりあえずよしよししとくが。しばらくよしよししていれば、擦り寄られた。こら。まぁ、ナマエ、と囁かれた瞬間に身の危険感じて一本背負いした私はわるくない。めちゃくちゃすごい音したけど。宴中だから視線向いたけど。一部始終見てた法正殿が爆笑してるけど。
「いや、ちょっと……いけない、徐庶さんみたいなカッコいい人が耳元で囁くのはいけない。綺麗なお姉さんにやろう??」
そう言いながら徐庶さんの背中をぽんぽんする。痛そうじゃないから多分受け身は取ってるんだろう。
「……ナマエがいい……」
「徐庶さーん??さっきから大丈夫??」
「大丈夫じゃない……ナマエがいなきゃ俺はだめだ……」
面倒くさいスイッチ入ったな。これは。はー、とため息ついて彼の手を取る。
「元直様、今宵はどうやらお酒に酔っていらっしゃるご様子。酒は万病の薬とは言いますが、飲み過ぎは体に毒です。あまりおいたがすぎませんよう」
そうにっこり笑って敬愛にキスしておく。ポカンとした彼に「では、おやすみなさい」と声をかけておく。夢か……ってぼやいてたけど。夢にしてくれ。酔っ払いが多いから撤収しようとしたら女の子が集まってる場所に手招かれた。
「ナマエ、今は何を……?」
「え?手の甲にキス……えっと接吻を……」
そう言えば大胆ね、と尚香さんに言われたので首を傾げる。
「あーー、たまに起こる価値観と時代風習の違いからの勘違い……私の時代では手の甲に接吻することは敬愛を示します。ちなみに指先だと感謝と賛辞です。だいたい(面倒くさい)酔っ払いはびっくりしてこれで鎮まるので」
「そうね、今も固まってるものね」
「ナマエ、ぶっちゃけ、徐庶のことどう思ってるの?」
「えっ、なんだろ……ちょっと手のかかるお兄ちゃん?」
「お兄ちゃん」
「というか、あそこらへんまとめてお兄ちゃん」
そう言って徐庶さん達の集まりをさしておく。お兄ちゃん、と繰り返したのは星彩さんである。
「ナマエ、それは、どうかとおもう」
「ナマエは好い人いないの?あ、魏にいる郭嘉殿とか?」
「郭嘉さんははちゃめちゃに顔面がいいんだけど、お近づきになると数多のお姉さん達が絶対怖いからちょっとな……」
「じゃあ徐盛は?」
「徐盛?」
「あら?この前甘味食べてなかった?」
「あぁ、あの人。名前初めて知った。一人で入りずらそうだったから一緒に甘味食べてただけですよ」
「あら、そうだったの?残念」
「じゃあ、元の世界にいたとか?」
「それもないですね〜、元の世界では練習ばっかしてましたから」
「武芸のですか?」
「いや、私の世界では……凍った池の上で舞を踊ることがあって。人工的に作り上げた凍った池の上を刃みたいなものがついた専用の靴をはいて誰の舞が美しいか大会を開いて色んな国の人が競うんです。私はずっとその練習してたので……」
「へぇ、そうなんですね。ナマエの家族はどんな人なんですか?」
「うーん、仲がいい家族ではないかな。母親は姉兄つれて出て行ったし、父親は仕事で忙しいうえに他の国にいるからあんまり帰って来ないし……家でいっつも一人だったから、こう周りが構ってくれるの嬉しいや」
周りに頭を撫でられる。子供じゃないんだけどなぁ、とケラケラ笑って盃に入ったお酒を飲み干す。うーん、飲みなれない。
「ちょっと夜風にあたってきます」
「お気をつけて」
そう言った月英さん達に頭を下げてそこを後にした。


気分があんまり晴れないので草笛でも吹くかーと思いながら近くの葉っぱをとって適当に座る。唇につけて音を奏でれば、夜だから綺麗に響いた。やっぱり父親に教わったこの曲の旋律は綺麗だ。うーん、いかん、ホームシックになってきた。色々考えないようにしてたことがごちゃごちゃしてきた。音が震えてくる。音が奏でられなくなる。丸くなる。う、わ、吹くんじゃなかった。
「……どうかされましたか」
誰かが立ち止まる。いえ、悪酔いしただけです、と答えれば、その誰かは水をお持ちしましょうと告げたが。
「大丈夫です。心遣い感謝いたします」
顔をあげれば荀攸さんである。おっとあの飲み会、魏軍師ファイブもいたのか。
「……泣いていらっしゃる」
そう言って彼は屈んで背中をさする。優しい人だ。蜀で何か?と尋ねた彼に、「いいえ」と答える。
「蜀の方は皆さんよくしてくださいます。ただ、家族を思い出したというか……奏でてしまったら、考えないようにしていたことを考えてしまったといいますか……この曲は父親に教えてもらったものなのですが……父親を思い出してしまい……吹くんじゃなかったと……」
「そんなことを仰らないでください。とても、美しい音色です。俺は音曲に詳しいわけではありませんが、今まで聞いたものの中でどれよりも美しいと俺は思います。この間は子供達と楽しそうに吹いていらっしゃいました。どうやって音を鳴らしているのかこっそり試してみましたが、全くわからずで……見ていたらしい叔父になにをしているのか心配されましたし、同僚達には何かの策かと勘繰られ……」
それはこっそりではないのでは。この人やることなすこと可愛いな。湧き上がってきた笑いに、ついに、ふふ、と笑えば散々だったと告げた彼は動きを止めた。
「それはもうこっそりではないのでは?」
「あくまでその時には誰もいなかったのですが」
「荀攸さんは可愛いらしい方ですね」
「可愛らしくなど……そもそも可愛らしいとは男に使う言葉ではなく、貴方のような方に使う言葉です。そして貴方は狡い方です」
「どうしてですか?」
「きっと貴方は俺たちのことを徐庶殿達から聞いたのでしょう。しかし、貴方の名前を俺は知りません」
「私の名前ですか?ナマエと言います。氏が苗字。名をナマエ。字は私の国にはありません」
「苗字殿?」
「ナマエでいいです。苗字はあんまり名乗ってないんですよ。敬称もいりません。偉くないので」
「ナマエ……?」
「はい、なんでしょう、荀攸さん」
「そのさんというのは敬称でしょうか」
「そうですね、私の世界の敬称です」
「では、ナマエさんと」
そうちょっとはにかんだ彼に、呼び捨てでいいのに、と言えばそういうわけにはいかないと言われた。
「荀攸さんと話していると、気分が良くなってきました」
「……それは良かったです」
「ナマエ、あんまり外にいると冷え……」
「……どうも」
「あ、徐庶さん酔い冷めました?」
「誰か出てきたのなら大丈夫そうですね。俺もそろそろ戻ります」
「はい、ありがとうございました」
「いえ、お気になさらず。俺が好きでやっただけです……では、またいつか、ナマエさん」
「はい、またいつか、荀攸さん」
ケラケラ笑ってそう言えば徐庶さんが「何かあった?」と尋ねてくる。
「泣いた後がある」
「お酒によって家族思い出して悲しくなっただけです。荀攸さんと話して元気になりました」
「……そう、ならいいんだ。ナマエ、あまり一人で外に出てはいけないよ。酔った男は何するかわからない」
「徐庶さんがそれいいます?」
「えっ」
「さっき、いつも以上にメソメソしてて大変だったんですよ」
「……あぁ、そういう……とりあえず戻ろう、ナマエ。冷えてしまうよ」
そう言った彼に屈んでくださいという。首を傾げた彼の背中側に周り手を突っ込んだ。つめたっ!?と跳ねた彼にケラケラ笑う。彼は私を見て安心したように息を吐いて、私の手を取ったが。

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「龐統さん、鞄の中からドロップ缶とかでてきたからお茶に……お仕事中でしたか。すいません、出直します」
久々に放置してたカバンからお菓子類が出てきてテンション上がったので龐統さんに報告にいけば、偉い人が集まってるっぽかった。知らない人もいるけどな。うわっ、よくみたら魏軍師ファイブがいる。あと他にも赤い服きた可愛い系フェイスとか着物とか甲冑きた顔がいい人がいる。うーん、眼福である。撤退しよ。失礼いたしました、と頭を下げて下がろうとすればは?というこえがかかった。
「ナマエじゃん。なんでお前いんの?」
「ん?……えっ!リシじゃん、やっほー!元気?私は元気」
そこにいるのはクラスメイトである。
「俺も元気〜、じゃねぇよ、いやマジでお前何してんの?」
「学校から駅までのショートカットとして霧が出てる森の中通ったら知らない場所にでてしまって、龐統さんに保護された。リシは?」
「俺も似たようなもんだよ。家にさっさと帰るために西の森にチャリで突っ込んだ」
その言葉にふはっと吹き出す。
「笑った。なに、自転車もってきてんの?時代合わなさすぎない?」
「ばーろー、俺の自転車舐めんなよ。どんな悪路でもいけんだよ。ママチャリだけどな」
その発言に今度はケタケタ笑う。ママチャリかよ。
「リシの知り合いなんか?」
「同じ学舎にいるやつですよ」
「……おっと……私は邪魔になるから退散するね。リシいいのあげる」
そう言って封が開いてないタブレット菓子を投げる。キャッチした彼は「は?」と声を上げた。
「お前何処で買ったのこれ」
「いや、持ってた。誕生日とかでたくさんもらった中にあったけど、それ刺激が強すぎて私食べられないから。いつもお父さんに食べてもらってたけどいつ会えるかわからないし」
「じゃあ、ありがたくいただく。サンキュー」
ひらりと手を振った彼に「なんかよくわかんないけど頑張ってね」と私もひらりと手を振っておいた。

「さっきの、眠気覚ましって本当かい?」
近くによってきた徐庶さんはそう言って首を傾げた。とりあえず農作物についての報告が書かれたらしい書物を仲のいい文官さんに教えてもらいつつ、日のあたりがいい場所でふむふむと考えていたのだが、話が終わったらしい徐庶さん達が現れたのだ。見上げてみれば知らない人もいる。
「私の世界の眠気覚ましですね。徐庶さん達はリシが持ってるのは食べない方がいいですよ」
「えっ」
「多分この時代の人には刺激がきつすぎます。多分みんな息できなくなって苦しんで泣く」
私の発言に法正さんが口を開く。
「毒じゃないですか。恨みでもあるんです?」
「毒とは違いますよ。死にませんし。……食べてみます?」
そう言って別のタブレット菓子を取り出す。まだマイルドなやつである。徐庶殿どうぞ、えっ、みたいなやりとりがあるのをみながら私は一つ口に放り込む。うむ、スースーする。私が飲み込んだのを見て、遅効性かどうか判断してるらしい。
「なら、私が食べてもいいかな?」
不意に後ろから降ってきた声に肩を揺らす。すぐ近くには魏軍師ファイブの一番身長が高い人がいた。ボタンかけ間違えてるのは……ワザとだろうか。一番手を大きく振ってくれる人である。うわっ、顔がいい。キラキラしてる。
「食べます?」
「いいのかい?」
「いいですよ」
彼の手のひらの上に粒を出す。全員で覗き込むあたり実は国関係なく仲良いだろこの人達。
「小さな……」
「白い……?」
「私達はタブレット菓子といいます」
「たぶれっと菓子?」
「甘くはないですけどね」
口に含んだ彼はしばらくしたら、目を瞬いた。
「ああ、なるほど、これは確かに刺激的な味だ!確かに目が覚める。あっはっは、これは楽しいや、吸う空気が冷たく感じる!味としては辛いね!!へー、面白いね!あといくつかくれるかい?ちょっと配ってくるよ!」
魏軍師ファイブを道連れにしようとしている。私はとりあえず手のひらに四つ乗っけようとすれば、郭嘉殿と荀ケ殿はまだ会議中だから二つでいいよと言われた。そちらを見れば確かに二人で、荀攸さんが軽く会釈してくれたので会釈しておく。背の高い彼はそれを持って魏軍師ファイブの二人に合流した。なにやら説明し、全員口に含む。荀攸さんがめちゃくちゃびっくりしてるの可愛くないか??可愛いな??
「結局辛いんですか」
「多分想像してる辛さと違いますよ」
そう言って全員の手のひらにのせる。カッと全員目を見開くのおもしろすぎる。もう一回やってほしい。
「これはなかなか確かに目が覚めますね」
「ナマエはこれを士元に渡しに?」
「いや、タブレット菓子を渡そうとはおもってないです。これは私の眠気覚ましなので。ただ、休憩がてらお茶にしませんかとお誘いに来ましたけど……今日は何か偉い方が集まる日だったんですね」
「そうなんだ。ナマエは何を?」
「収穫の時期や手を入れた場所がどうなったのかを確認していました。収穫したものをどうするかも。またきちんと孔明さんに報告します」
すっかり農作物担当である。



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「だから、俺なんかじゃなくって、徐庶さんは凄い人なんです。凄い人だから今の立場にいるんです。貴方はたくさんの人に選ばれたんです。そろそろ自分を卑下するのをおやめください。私たちの世界では謙遜を超えた卑下は、貴方を評価し選んだたくさんの人を貶すことと同義です」
貴方は貴方を選んだ人達を貶すつもりですか。
そうはっきり言ったナマエに徐庶殿が動きをピシリと止めた。珍しく苗字が怒っている。まー、色々思うことがあるのだろう。あの世界ではアイツも国を背負う人間だ。分散されることもなく、ただ一身に。徐庶殿が固まっている。とう、とふざけたような声色と共にナマエは徐庶殿の頭にチョップをした。いてっと言った彼に、ナマエはケラケラ笑ったが。
「次に俺なんか病が発病したら私が売りつけた恩を返したい法正さんに頼んで報復してもらいます」
「それはいいですね、是非ともやりましょう」


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貴方と私がいれば大丈夫!な訳がないんだよなぁ、と困った顔をする。私徐庶さんや龐統さんと仲良くさせてもらってるが、何かを教わっているわけでもないし。今日も素敵にやる気!元気!姜維!さんである。それを他者に強要したらどうかとは思うが彼はまぁそこまでしてこないから大丈夫だろう。まぁ私の場合今現在作物関係にスキル全振りだからな。兵法とかからきしだし、武術的にもあんまりだ。本業的なものは氷がないとなんにもできない。冬にならないと氷がない。たまに部屋の中でくるくる舞っていたり、体力を落とさないように気をつけたり、体重を増やさないように心がけていたりするが。
「ナマエ殿は舞を練習されているでしょう?」
「えっ」
「一部の兵や将が垣間見たとお聞きしました」
「えっ、普通に恥ずかしい」
困った顔をする。いや、普通に恥ずかしい。普通に鼻歌歌いながらやってた。
「リシ殿に聞けば、氷上で踊られるそうですね。冬になれば川や湖にも氷がはります」
「ただ、氷が張っていればいいというわけではないのですが、私も練習をそろそろしたいので少し冬が楽しみですね」


と言ったのは秋口である。真冬はどうなるか?
「さっむっ」
いやー、ウィンドブレーカーとか謎にカバンに入れててよかったと思う。昔の人寒さに強いなー、と思う。人が乗っても割れないくらいの氷が張ったと言われたので防寒着着て見に来てみたのだが氷の状態が思ったよりいい感じである。製氷作業入らなさそうだ。とりあえず私は持ってきていたスケートの靴を取り出す。
「おやぁ、物騒な靴だね。刃物がついてるじゃないか」
「これは人を傷つけるためのものではなく、氷を滑るためのものですので、物騒ではないですね」
そう言ってスケート靴を履いて龐統さんの手を借りて立ち上がる。そのまま氷の上を滑り出せば、やっぱりスイスイ滑れる。楽しいかよ。ひゅー、とじゃんじゃん滑りつついつもこなしていたウォーミングアップをする。くるくる回っていれば、楽しくなったのでジャンプなどしてみる。うむ、久しぶりにやったが、調子はいい方だろう。
「龐統さーん、私しばらく滑ってるので、体冷やさないように程々にしとおいてください〜」
そう手を振れば、彼は「あいよ、ナマエも気をつけるんだよ」と手を振った。


一通りやって満足したのでそろそろ戻るかと川岸を見れば焚き火にあたりながら龐統さんは待ってたらしい。帰ってもよかったのに、そのまま戻る。こりゃまいったねぇ、と龐統さんに言われたが。
「ナマエは仙女の類だったのかい」
「仙女?ないない、私は普通の人間ですよ」
靴を脱いでいつもの靴に履き替えて焚き火に温まる。
「大きな川ですね、どこまで続いてるか行ってみたくなります」
「あっしはナマエが帰ってこなくなりそうで嫌だねぇ」
これだから龐統さんは好きである。

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氷上で踊る仙女がいる、という噂が広まっている。それと共に川沿いに蜀の将兵が集まっていると聞く。実際に魏の兵や近くの村人が見ているらしい。仙女はいつも蜀の兵に連れ帰られるとか。仙女に見立てた何かの計略か、侵攻か。曹操様や蔡文姫様も興味があるようである。見たい曹操様をとめる周り的な。氷上で踊るとは?と首を傾げていたが、見かけたことがある姿を思い出して、ああ、と納得した。
「多分どちらでもないですよ。ただ練習してるだけだと思います」
ついそう口を出せば、視線がこちらに向いた。夏侯惇将軍が眉間に皺を寄せた。
「練習?」
「はい。俺たちの世界ではいろんな国で氷上で舞う姿の美しさを競うことがあるんですけど、苗字ってやつは俺たちの国で一番美しいと言われてますし、他の国と合わせても一、二を争う美しさと言われてます。氷がないと練習できないから氷が張ったのを見計らって出てきたんじゃないでしょうか。練習しないと技術劣りますしね」

と言ったら見に行くことになったので、なぜか寒さにも暑さにも耐えれるようになったヴァイオリンを持って向かう。ついたその先にいたのはやはり苗字だった。くるくると楽しそうに回ったり、飛んだり、体をしならせたりしている。一応構成にはなっているのだろう。対岸にいる蜀兵が俺たちを警戒したようだったが、こちらが攻撃する意思がないのを理解したのか何もしない。苗字は自分の世界に入っているのか気づいていない。メンタル強いな。
「侵攻というより彼女の護衛という感じかな……しかし、なるほど、美しい」
「うむ、見事よ。煌びやかな服を着てほしくはあるが……」
「しかし、驚いた。よく見れば郭嘉殿に満面の笑みで手を振るお嬢さんじゃないか」
何やってんだアイツ。曹操様が郭嘉殿を見上げる。
「惚れられたか、郭嘉」
「いえ?近づいて来られないのを見ると違うと思います」
そんな会話を聴きながら、ヴァイオリンを取り出す。何を?と聞いた荀ケ様に口を開く。
「あれはもとより音曲あってのものですから。多分集中しているので今は周り見えてませんけど、音は拾うと思います」
そう言って音を彼女が演じたことがある曲をひとフレーズ奏でれば彼女は理解したのかす、と中央に立つと停止する。そのまま音を奏でれば、彼女はそれに合わせて氷上を舞った。

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場所は覚えたので通うようになった。ら、こっそり着けてくる蜀の将がふえた。見物料とんぞ。馬超さんあたりは堂々とついてくるからいいが。まぁそんなこんな基礎練習を毎日欠かさず繰り返してたら、ヴァイオリンの音が聞こえた。幻聴かな?と思ったが、反対側の対岸にいる誰かが寒い中弾いてるらしい。まぁ私が一回大会でやった曲なのでありがたく私はやるぞ。音に体を乗せる。感情をのせる。全てを乗せる。

ぴたりと止まった音にぴたりと止める。ひゅーー!いいね!!と思いながら対岸を見れば、そこにはバイオリンを持っている人と何人かがいた。魏軍師ファイブもいる。演奏のお礼を言わなければならないと、滑りながら近づこうとする。まぁ、また違う音が蜀側からして振り返ったが。リシがアコーディオンを持っている。いつからいたのかどこから取り出した不明である。始まったワンフレーズにやれやれ人気者は辛いぜと真ん中に戻る。まぁやるけど。違うポーズを決めて、目を伏せる。もう一度始まった違う曲に、切り替えた。


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「あぁ?……長沙か?腹立つなあいつ」
「星?」
「向こうで音曲奏でてるやつに喧嘩売られたのでちょっと買います」

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「あはは、仲悪すぎんよ〜」
舞い踊ってからケラケラ笑う。自己主張激しすぎ笑った。私はもう疲れたので店じまいである。


2/11〜2/16



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