2022/12/31

2022年度没ネタ整理36


暗闇に駆ける馬を見た。それが普通の馬であれば噂にはならないだろう。ただ、子供が馬を駆けさせて何処かに移動している、よくあるそれだけの話なのだ。しかし、それが燃えるような赤い鬣を持つ馬だとしたらどうか。死を運ぶ馬か、神の化身か、化け物か。そんな不吉な噂がこの歪な世界で囁かれ始めた。
ーー暗闇に灯された赤は正しく炎である。風に靡いてゆらゆらと揺れる赤の鬣をものともせず、異民族の服を着た子供はその馬に跨っていた。ああ、これが噂にきく死を運ぶ馬だろう。煌々と煌めく炎が風に揺られて火の粉をまわす。どうやら自分は死ぬらしい。この異界で、志半ばで。ただそう思いながらその赤を見つめれば、こちらを見下ろして不思議そうにした子供は口を開く。
「お兄さん迷子なの?熊とか出るから帰った方がいいよ」
「……は?」
それはそれは素っ頓狂な声だったとは、後にその人物から告げられることである。


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怪我してる推しを見つけた。ギャロップちゃんに跨り見下ろした先にいたのは三国無双の荀攸殿である。
いやー、死んだと思ったらまさかのポケモンの世界、なおかつ原作にない地方で、まぁなんやかんやしていたのだが。なんでまた三国無双の世界に??いやこれポケナガがあったことを考えるとその三国版かな?と若干思いはしたが、どうも他の村人の話を聞くに遠呂智っぽい。思っているより物騒な場所に来てしまった。引きこもっても後々破滅フラグ立つし、程よく他人と接点が必要なこの世界。どうしたものかと思っていたのだが。
とりあえず推しの手当てをすませ、彼を見下ろす。撤退途中か何かだろうか。手当てをする私をじっと見つめていた彼を見上げる。はた、とあった目に、うーん、推しはリアルにいても推し、と理解する。
「お兄さんとりあえず自力で戻れそう?」
「……いえ、おそらくこの足だと少し難しそうです」
「でしょうね。ギャロップ、このお兄さん乗せていい?」
そうギャロップに聞けば嫌だと言わんばかり鼻を鳴らされた。おお、ツンを発揮してらっしゃる。兄から譲り受けたポニータから進化した彼はツンデレなのだ。ギャロップはぐいぐいと私の服を引っ張っる。散歩中だし放置でよくない?みたいな反応だ。
「怪我人の放置はクマやトラが出てやばいからなぁ。このお兄さん食べられるのはちょっとな……ギャロップも嫌でしょ、お兄さん食べられるの」
そう尋ねればちょっと不服そうにしたが、我慢するらしい。かわゆい。後で構ってあげよう。ごめんね、と謝ってボールにしまう。え?みたいな声が聞こえたが無視する。モンスターボールって不思議だよね!続いてカイリューを出せば彼は嬉しそうに鳴いた。
「カイリュー、怪我人乗せていい?」
「ふぁ!」
元気に挨拶しカイリューはこれと言わんばかりに屈む。私は前にのり、推しを引っ張って後ろに乗せて私を掴むように告げれば、混乱したまま彼はそうし、カイリューは力強く羽ばたいた。うっわ、推しと密着はやばい。あと怖いのか推しの力強い。内蔵でそう。ぐんぐんと空に登ったカイリューは雲を突破した。いつ見ても星と月が綺麗である。
「お兄さん空みて、空!綺麗だから!」
そう言って振り返れば、ぎゅっと目をつぶっていた彼はゆっくり目を開けた。彼が息を呑むのがわかる。
「これは……」
「明かりがポツポツ下にあるの見えます?」
「……はい」
「多分あそこに人がいるのだと思うんです。あのあたりは川で、森かな。お兄さんはどの辺りからきたんです?」
彼はじっと下を見て考えたようである。おそらくあのあたりかと、と告げた彼に、私はカイリューに指示して少し迂回してそちらに向かった。
とりあえず陣から少し離れた場所に推しをおろす。
「ありがとうございます。貴方の名前は?」
「私はナマエです」
「ナマエ、ですね。俺は荀公達といいます。ありがとうございました。この恩はいつか必ず」
そう言った彼に、私は「期待してます!」とだけ告げて、カイリューと一緒にそらをかけた。
「カイリュー、さっきの人、かっこよかったねぇ」
「うぉん!」
「それにしても、大変な世界に来てしまったよ」
私の呟きにカイリューは首をかしげる。なんでもないよ、と彼を撫でて雲の上を進んだ。

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噂は噂を呼ぶ。あの日見た炎の鬣をもつ馬はすっかり怪談めいた扱いである。不吉な馬。死を運ぶ馬とそんな馬をかる子供。妖の類を退治してほしい。その依頼が民から魏の国へ寄せられた。流言の類か、妖魔の類か。そんな話に軍師たちも動員され、その中には荀公達ーー荀攸もいた。
「殿、この件は俺にお任せください」
「荀攸?」
「その流言について心当たりがあります」
おそらくはこの間荀攸を助けた子供だろう。不思議な獣を連れていた。荀攸は炎の鬣がゆらめく様も覚えているし、空に舞い上がる時の風、星、揺蕩う雲を覚えている。不思議な獣を連れて仙界からきたのか、それとも他の世界から来たのかはわかりかねる。どちらにせよ異民族の出だろう。子供が一人でいるのであれば、何処かの誰かが保護すべきではある。それに、誰かに利用されるよりは手元に置いた方がいい。そう判断したが故の発言である。
当然のようにそう告げた荀攸に任される形になったのは良い。馬の扱いとなれば曹休であるが、他の勢力が同じようにいてもおかしくはない。ということは馬の扱いというよりは、ある程度武装できて判断が効く人物を連れて行った方がいいが、しかし、あまりに武装しすぎてしまうと子供が怯える可能性がある。
「……公達殿、心当たりとは?」
そう心配そうに荀攸に声をかけたのは同族の荀ケである。というよりは、軍師達が気になったようでかれをみた。
「……この間、俺が違う方角から帰還したでしょう?」
「ああ、珍しく荀攸殿が怪我をして何故か間反対から戻って来た日か」
賈詡の言葉に荀攸は頷く。
「実はあの時、異民族の子供に助けてもらったのですが、おそらくその子供のことです」
「では、荀攸殿は燃えるような鬣をもつ馬を見たと?」
「馬に関しては実際連れてきてお見せした方が早いかとは思いますので伏せます。が、恐らくあの子供は我々の世界や戦国の世界からきたわけではないと思われます」
「どこにも属していない?」
「おそらくは。そして保護した方がいい」
荀攸の言葉に周りは目を見合わせる。
「荀攸殿がいうならそうなのだろうね。子供を保護する方法を考えよう」
「子供に関しては警戒心はなく、話は聞いてくれそうでした。なので、子供と動物を威圧せず、しかしながらある程度武力を扱える方に協力を仰ごうと思います。妖魔の残党がいる可能性も否めないので」
「目処は立っているのですか?」
「はい」
荀ケの問いに荀攸は頷く。李典と楽進、そのどちらかであれば恐らくは子供にも威圧せずに話を聞く姿勢をとるだろう。

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目の前に人がきたな,と思ったら公達殿だった。ひゅーー!!推し!!今日色々あって疲れたけど元気出た。
「こんばんは、公達お兄さん!」
「はい、こんばんは。今日はあの馬をお連れではないのですね」
そう告げた彼の周りには推しと同じ所属である李典殿と楽進殿だろう。武器は持っているが敵意はないのだろう。
「いやー、最近、矢を放たれたりするので」
「怪我を?」
「かすり傷で済んだのでよかったです……公達お兄さんはどうされたんです?迷子?」
「いいえ、貴方達を保護しにきました」
彼の言葉に目を瞬く。それは願ったり叶ったりの内容ではあるのだが、私が連れている存在が存在である。じっと彼を見上げれば、俺は味方です、と真っ直ぐに言われる。まぁ、大丈夫か。推しは真面目だし。楽進殿も李典殿も怪しい人じゃないし。
「わかりました!お兄さん達について行きます!」
「……なんていうか、お嬢ちゃん大丈夫か?俺たち初対面なんだぜ?」
「いやだって多分公達お兄さん嘘つかないし、お兄さん達も嘘つくの下手そう……」
そうぶっちゃければ、「そうですね」と楽進殿が頷いた。
「私は苦手です」
でしょうね,とは言わないが。わかりますか?と聞かれたので、うん、苦手っぽいですとうむうむと頷いておく。
「ちょっと暮らしてた場所畳んできます。待ってください」
「私でよければ何か手伝いますよ」
「ありがとうございます」
とりあえず暮らしていたテントの方へ向かう。子供一人ねるには子供用のティピーテントで丁度いいからな。移動できるし。とりあえず寝床にしていた水辺が近い場所にいき、テントを回収する。まぁ、布とかを回収するだけでテントの木の棒のかわりにした竹はその辺のやつ採取しただけだが。
「こんな場所に……」
「これを片づけるのですか?」
「中にいるマルを連れてきます。待ってください」
そう言いつつテントに入ってモクローのマルをみる。荷物番をしてくれているはずなのに寝ている。夜行性だから仕方ないか。
「マル、移動するよ」
「ほぅ」
のそりと起き上がったマルをフードの中に入れる。その他テントの中に置いていたものを回収して外に出た。
「マル殿は?」
「この子です」
ずい、とフードの中に入れたモクローのマルをみせる。マルは 驚いて私と彼らを見比べたが、敵意がないと理解したのだろう。片羽をあげて挨拶をした。ふふん、可愛かろう。
「これは,鳥、なのでしょうか?」
「梟、に、しては丸いな?」
「やはり、見たことない生き物ですね」
「……私の世界の生き物です。モクローと言います。名前はマルで、私の友達です。あと、私はナマエです」
「ナマエ殿とマル殿ですね。私は楽文謙。こちらは李典殿です」
「李曼成だ。しっかし、子供一人でよくこんな危ない場所にいれたな」
「マル達は意外と強いんですよ」
ねー、マル?といえば、マルは元気に鳴いて胸を張った。マル殿が強いとは……?と首を傾げた三人は可愛いしかない。まさ
「しかし、ナマエ、馬は……」
「さっき言った通り、今気が立ってるのでしまってます」
「しまってる」
「別の子なら見せれますよ」
そう言って、ボールを取り出す。おとなしいポケモンを出すか、とボールを投げた。現れたのはドダイトスである。
「うわっ!?」
「……これは、亀ですか」
「ドダイトスと言います」
「木が生えてますね」
「はい。小さな動物がよく集まります」
ドダイトスの頭を撫でておく。触っても?と聞いた楽進殿に、ドダイトスを見ればにっこり笑われたので「いいっていってます」と告げた。恐る恐る触る楽進殿は亀だ……という謎の発言をした。
「いったいどっから……」
「俺にもよくわかりませんが、ナマエは玉のようなものからこのように俺たちの世界にはいない生き物を呼び出せるようです」
「妖魔軍に目をつけられる前にってことか」
「それもあります」
もって言うところが多分ミソだが、この世界彼らの元の世界よりもギスギスはしていないはずなので気にしないでおこう。
いそいそと片づけを終わらせ、竹はまぁなんかに使えるかと鞄にさした。ドダイトスをボールにしまって準備は完了である。
「公達のお兄さん、準備できました」
「では、許昌へ向かいましょう」
おっとこれは本気で保護される感じだな。

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公達お兄さんとあいのりで許昌についたのだが、曹操様と会う前に一つ弊害がある。噂はギャロップに乗った私のことなのだ。
「いや、出してもいいんですけど、今、すっごく気が立ってるので……危害を出しちゃうと大変ですし……」
「先程もおっしゃっていましたね」
推しの言葉に頷く。
「この前弓矢や刃物を持った人間に追いかけられてからすっごく怒っていて……」
散々だったというか。推しにどんな噂かはきいたが、ひどいことをしないでいいと思うのだ。
いやでもまぁ見せないと噂の正体は私だとは理解されないよなぁ、と頭をかく。うーん、と考えてから、そう言えばとボールを探す。兄からおくられてきた卵から孵ったのがポニータだったのだ。
「あ、公達お兄さん、仔馬の方だったら見せれますよ」
そう言ってボールを投げる。ぽん、と言う音とともにあわれたポニータの焔は嬉しそうに私の周りを駆け回ってから、周りの人に気づいたらしい。誰?と言う風に首を傾げた。可愛いかよ。
「炎の鬣……?」
「この仔馬が大きくなるとですね、噂の馬になります」
「先に俺の口から説明しておきましょう。恐らくこの仔馬がいれば理解されるかと。ナマエは楽進殿と李典殿とこちらで待機してください」
「わかりました」
そう頷いてポニータを撫でておく。ぐいぐいと鼻先を押し付けるポニータが可愛い。遊べと言いたいらしい。
「熱くないのか?」
「懐いてる人には燃え移りませんし、熱くもならないんです」
「じゃあ私たちが触ると丸焼けですか」
「丸焼けにはなりませんが、火傷はするかもしれません」
「はー、やっぱり本当に燃えてるのかこれ」
楽進殿と李典殿とポニータを眺めたが、ポニータの遊べアピールが激しくなってきた。しばらく待機ということで、オカリナを取り出して吹けばポニータはぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねた。可愛い。私のフードに入っていたマルもパタパタ飛んでいる。そうこうポニータと遊びももういいかと思ったので、私はオカリナを吹くのをやめる。人が結構集まっていたらしい。ご機嫌にオカリナ吹いてる場合じゃなかった。うっわ、推しが曹操様連れてきてた。溢れ出るスパダリ感。教えて欲しかった。
「……えっと、こんにちは……?」
困惑しながら言えば曹操様がふっと笑った。
「ナマエ、こちらは曹操殿……偉い人です」
「偉い人」
「国としては二番目、俺たちの中では一番偉い人ですね」
「えぇと、はじめまして、ナマエです。こっちはポニータの焔と、モクローのマルです」
「ふむ、ナマエ……確かにあまり聞きなれない響きだな。お主、どうしてあんな場所にいた?」
「えっ、どうしては難しいです。楽しく散歩してたら霧が出てきて……あそこにいました。見たことない場所でよくわかんないし、動かない方がいいかなって。迷子は動かない方がいいって兄にならいました」
そう困った顔をする。ポニータは気にせず遊べと言わんばかり私に擦り寄ったが。炎が、といわれたが大丈夫なので撫でる。
「懐いてる人にはこの炎は燃え移りませんが、他の人が触ると火傷してしまいます」
「だ、そうだ、孟徳。触るのはよせ」
触ろうとした曹操様に、夏侯惇殿が釘を刺す。マジで保護者だな。

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畑作ったり放牧地的なものを作る許可を得たので許昌の近くにそう言った場所を作ってみる。一人でできるもんと言ったのだが、一人でと言ってもどうやってみたいな感じで罠築城大臣お兄さん(仮)の満伯寧と推しがついてきた。目の前にいる推しは私を見下ろす。
「さて、ナマエ、どうやってこの木を一人で伐採するのですか?」
「みんな手伝って」
そう言って適当にボールをたくさん投げれば草タイプと格闘タイプ、地面タイプのポケモンが現れて返事をした。マルがフードの中から飛び跳ねた。可愛いかよ。
「とりあえずいつもみたいに広場ときのみの畑をつくるから、森をある程度切り開こうと思うよ」
そう言えば、ポケモンたちは返事をする。
「公達のお兄さん、多分木材余るけどどうする?使います?」
「……使います。しかし、運ぶのが問題ですね」
「ドロバンコとバンバドロが引っ張ってくれるから問題ないですよ。じゃあみんな余った木材は固めておいてほしいな。では作業開始。がんばろー」
私の言葉に彼らはまた頷いていつも通り木を伐採したり土を慣らしたり、運んだりしてくれる。私とマル、小さいポケモンで渡された木を加工していく。
「これは凄い!あっという間に木が倒れていくし、土も耕されていくね!」
「これは少し想定外ですが、なるほど……しかし、人を攻撃したら大変なことにはなるのでは?」
「人に飼われてるポケモンーーこの生き物は滅多に人を攻撃しないですよ。人に危害を加えるのは怒った時だけです。人から指示もしませんし」
そう説明すれば、ナマエの世界は平和なのですね、と言われた。私今の地方から出たことないから知らん。
「よくわかりませんが、ポケモンとポケモンを競わせることはあります。基本的にポケモンと人間は仲良しです」
そう言って柵を他のポケモンにわたし、はめてもらう。数時間ですっかりできた放牧広場にウールーちゃん達を放った。ぐめぐめ鳴いたウールーちゃん達はコロコロ転がる。まぁ一匹満寵殿にぶつかったけど。
「おっと」
「ぐめ」
ムッとしたウールーちゃんには悪いが、ぶつかったのはウールーちゃんである。
「こら、ウールーちゃん!伯寧のお兄さんびっくりするでしょ!」
「ぐめ!」
「伯寧のお兄さんにぶつかった詫びに撫でろといってますね、これは」
そう言えば満寵殿はもふもふと撫でた。
「あはは、この子達はとてもふわふわだね」
「ウールーといいます。夏に毛を刈って、布を作ったりします」
「羊のようなもの、でしょうか」
「君の世界の生き物は本当に不思議だね。火を扱ったり、木を倒したり、地面をならしたり……よし、決めた。次に築城するときは君達に手伝ってもらおう」
「任せてください」
そんな話をしていればフシギダネが木材どうすんの?みたいな感じで見上げできたので私は推しを見る。
「公達お兄さん、木材どうしますか?」
「城壁などの補強に使います。一度こちらに保管してもらっていても?」
「大丈夫です。もうちょっと遊んで帰っていいですか?」
「はい、構いません」
推しが頷いたのでぐめぐめないてるウールーちゃん達とコロコロ転がって遊んだりすることにする。ギャロップとポニータを出せば、二匹も端っこで遊び始めた。
「楽しいのですか?」
「楽しいです」
子供の遊びに対するポテンシャルを舐めないでほしい。

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「一人で開拓できる力がある、から、荀攸殿は連れてきたわけではないとは思うけれど」
「はい、あれは想定外でした」
郭嘉の言葉に荀攸はそう言って肯定した。想定外?と首を傾げた周りに、荀攸は口を開く。
「あの子供はあの生き物を使って空を飛べます」
「空を!?」
「はい。だから、他の国に渡ると厄介だと判断したまでです」
布陣も仕掛けもすぐにわかってしまう。夜でさえ松明の光から陣の位置が把握できたのだ。それがもし昼間だとすれば?情報は筒抜けである。
「さては、あの時、荀攸殿が相手の位置を理解していたのは」
「ご想像の通りです。ナマエはあのとき空から送ってくれたのですが、その際にナマエが川の位置、森の位置、明かりが見える場所に人がいると教えてくれました。そこからの推測です」
「確かに敵につくと厄介だ」

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「ナマエのご両親もさぞ心配してらっしゃるでしょう」
「んーー、私の両親,もう死んじゃってるからな」
荀ケ殿の言葉にそう答えたら荀ケ殿が固まってしまった。逆にすまん。郭嘉さんが首を傾げる。
「それは病で?」
「ううん、父と母は崩落に巻き込まれたって聞きました。なんか大きな事故だったみたいで、一緒にいたポケモン達も巻き込まれちゃいました。兄がいるんですけど、兄は出稼ぎしつつ世界中を旅して回ってるから、私はマル達とのんびり暮らしてます」
「子供一人じゃ大変じゃないか?」
賈詡殿の言葉に「うーん」と考える。特に大変ではない。ポケモン達がいるからである。
「特に大変だとは思ったことはないです。お兄ちゃんが違う地方からポケモンをたくさんおくってくるからその世話が大変なくらいかなぁ。なんせど辺境なので、近くの集落に行くにも山を越える必要がありますし……」
「寂しくはありませんか」
「みんながいるので」
ね?とマルを見ればマルがにっこり笑った。しかし、まぁ。
「こうやってたくさんの人と暮らす方が珍しいので、元の場所に戻ったときに寂しくなるかもしれません。今度は私の世界にきたらみなさんが遊びに来てください」
まぁ無理だろうけども。荀ケ殿が「ええ必ず」と頷くあたりなんというかこの人人格者である。推しがめちゃくちゃ頭撫でてくれる。うれしや。
「お兄さんは出稼ぎと言っても何するんですか?」
「ポケモンの強さを競うのですが、兄はそれが半端なく強いらしくってファイトマネー……まぁ負けたらお金払うみたいなんですけど、それで稼いでるみたいです」
私の家完璧兄のボックス扱いだからな。いろんな地方のポケモンがたくさんいるのだが、たまに親の名前が兄ではないポケモンが送られてくる。ワタルとかシロナとかダイゴとかダンデとか。そして気づいたら違うポケモンと入れ替わっている。私は育て屋さんかな??ちなみにお金がなくても生きていけているので、あんまり兄の送られてきたお金には手を出していない。金額やばいことになってる気がする。
「強さを競わせるってどうやるんだい?」
「ポケモン同士を人間の指示のもと戦わせます。ポケモンはそれぞれ16のタイプ……属性を一つ以上二つ以下持っていて、それらに相性があるんです。あと四つの技を覚えます。技は相手を攻撃するだけじゃなくって、ポケモンの力を高めたり回復したり相手の状態を変えたりするものがあるのでそれをどう組み合わせるかが云々って聞きました」
「属性ですか」
「はい、色々あります。くさとかほのおとか、みずとかこおりとかじめんとか……マルはくさとひこうですし、ギャロップとポニータはほのおです。ウールーちゃんはノーマルと言って特に特殊な属性はもちません」
「この間の大きな翼が生えたものは?」
「カイリューはドラゴン……竜?の属性です。カイリューは竜の属性の中で上位三位を争うくらい友好的です」
あとは隣のもっと高い山からやってくるジジーロンとか、フライゴンとか。ジジーロンみてるとネバーエンディングストーリーのファルコン思い出すからな。
「公達お兄さん、今度、お空の散歩に行きましょう。いろんな場所見てみたいです。川沿いとか、海の方とか、森の奥とか」
「えっ、是非とも私も行ってみたいな!」
「みんなで行きますか?準備しときますね!」
キラキラした目で見ておく。まぁ、大人の事情で断る人もいるだろうが。


と、おもったら全員集合してた。とりあえず六匹揃えましたけども。兄からもらった四次元な鞄漁ったらちゃんとライド用の蔵が出てきたし。
「ウォーグルダイブは慣れないと多分難しいので、お兄さん達は背中に乗るタイプにしときます」
ぽんぽんぽんぽんぽんぽんとボールからポケモンをだす。ピジョットの夫婦、カイリュー、アーマーガア、ウォーグル、フライゴンである。カイリューが推しに気づいてにっこり笑って手をあげて挨拶をした。フライゴンも挨拶をした。ウォーグルは私の服つまんでるけども。アーマーガアとピジョットが咎めるように鳴いてやめたが。
「これは鳥、かな?」
「こっちが鳥です。こっちが竜属性のポケモンです。お兄さん達は慣れてないのでライド用の鞍をつけます」
「鞍?」
「落ちたら危ないので、捕まるところと固定です」
ピュイと笛を鳴らせば全員寄ってくる。みんなに一応乗せていいか聞いてから鞍をつけた。ウォーグルは私用だからいつもの棒である。
「ナマエよ、見たことがないポケモンを連れているな」
「曹操様、夏侯惇さんがこんな顔してましたよ」
「あれはいつもよ。何かするのか」
「この前言ってた空の散歩です。曹操様はもうちょっと安全な方法があるのでまたそれが完成したら」
「あぁ、楽しみにしている」
「……もしや、ナマエ、この方法は安全ではない?」
「?安全です。でも、アーマーガア……黒い子は籠に人を乗せてそれを運びます。今回はそれがまだ作れてないので」
そう言いつつ鞍をつけ終わる。乗りやすいようにみんなかがんでくれるあたりいい子である。
「とりあえず、好きな子に乗るといいんですけど、伯寧のお兄さんは大きいのでカイリューの方がいいかな?」
「カイリュー?」
「そちらの大きなぽけもんです」
「きみか!」


「よし、いこう、ウォーグル」
そう呼びかければ、ウォーグルが一度宙を舞ってから私の手に持った棒を器用に掴んで空に舞い上がる。それと同じく他のポケモンも空を飛んだ。

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