2018/01/08

巴里の騎士・一


××今までのあらすじ××
・トリップしたら某名探偵の如く体が縮んでいた。しかもパリだった。なんやかんやでシャノワールの清掃員してたら大神さん来た。加山さんも来た。テンションあげてたら隊員になったし副隊長に選ばれた。多分トリップ補正。大神さん日本帰った……探偵と知り合った……大神さんタスケル……空飛ぶ……日本で元の世界の友人とコンニチハした。大神さん幸せになってください(白目)……落ち着いたらジャンヌダルク現れた……また落ち着いた……休暇で日本に来たら友人の一人が司書になってた←現在。
大神さんは癒しだから恋愛対象でないし、加山さんは兄貴。
・ちょっと時代錯誤。大神さんたちの時代がずれにずれてる

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休暇という名の出張をもらい、帝国にき来たなう、である。帝都に来たのは久しぶりであるし、さっさと大神さんに資料を渡して皆んなの手紙を渡して休暇にするか、と意気込んだ。まぁ、大神さんは相変わらずだったし、花組さんも相変わらずである。加山さんは紐育にいるらしい。あの人面白いから好きなんだよね。さて、やることも終わったし、友人の元に顔を出すかと息を吐く。今は帝国図書館にいると手紙で言っていたし、手紙はそこに送るように言われている。適当に買ったお土産を手に図書館に続く道を進んだ。

図書館は立派なものである。中に入ればちらほらと利用客がいる。さて、司書となった彼女を探さねばなるまい。特別な云々、と言っていたしもしかしたら他の場所にいる可能性もある。さて、どうするかと思っていたらパチリと目があった。……何処の野球部だ、と思うみたいな服である。
「よ、どうしたんだ?こんなところで」
そう言われたのは日本語である。うん、日本語。……これはヤバイ。大神さんはフランス語を喋ってくれた。それは外観が日本人である私であるが、パリ暮らしで長いためフランス語の方喋れるからだ。書くのと読むの、はたまた聞くのはいいが、喋るのには労力を使う。大神さんと加山さんは苦笑いして、私に合わせてくれるのである。
「あー、私、ナマエ、です。友達、探して、」
「友達探してんのか?」
そう尋ねた彼に頷く。そして苦笑いして口を開いた。
「私、日本語、ちょっと、不便、喋るの、苦手、書く、得意」
「ああ、なら、こうした方が早いんだな」
そうポケットから小さな手帳と鉛筆を取り出した彼に頭を下げて、司書の子村はいますか?と綴る。
「司書?司書の知り合いかぁ、司書なら今司書室にいると思うぞ。こっちだ」
そう手招いた彼にありがたいな、と思う。彼に続いて進めば、やはり図書館は広いことがわかる。司書ー、知り合いが来てるぞー、と扉を開けた彼。扉の先にいた友人は目を瞬いた。
「あれ?巴里にいるナマエがここにいる。幻かな?白昼夢かな?」
『ぶっ飛ばすぞ、テメェ』
そうフランス語で言えば中にいた人々の視線が私に向いた。
「ナマエ、日本語喋ろ?」
「嫌がらせ。私、今、日本語、不得意。フランス語、話せ」
「なにそれ無理ゲー。ボンジュール?」
「bonjour」
そう片手を上げれば彼女はめちゃくちゃ笑った。
「違和感!」
「……お土産、いらないんだ、シャンパン、マドレーヌ、本、」
「嘘嘘!でもフランス語は無理!」
「英語」
「英語なら」
そう告げた彼女に息を吐いて、英語を口にする。
「休暇という名の主張でこっちに来てるから、ちょっと顔出しとこうと思って」
「出張?清掃員なのに?」
「あー、昔、劇場がお世話になった人が帝国劇場の支配人してるから劇場間のやりとりでちょっとね」
「パシられたのか」
「まぁね」
「日本語書けるのに喋れないの?」
「日本語は書けるし理解はできるんだけど、いかんせん幼ない体で向こうにいたし向こうは常にフランス語だから喋れないんだよね」
「ああ、なるほど」
「って事で、はい、お土産」
そう言ってお土産を置く。ありがとう、と受け取った彼女に、周りを見ればポカン顔だった。彼らは日本語で話し始めた。
「司書さん、英語できたの?」
「まぁね。あ、コイツはナマエ。日本人に見えるけど、フランス暮らしの方が遥かに長いから日本語が不自由」
「フランスって事は、手紙の相手ですか?」
「そうそう」
そんな会話を聞きつつあたりを見渡す。うーん、色男ばっかで肩身がせまい。
「いつまで滞在してるの?」
「さぁ?」
「さぁ?」
「なんか、偉い人の話、しばらく行って来いって」
「どこに泊まってんの?」
「止まる?」
「宿泊」
「あぁ、帝国劇場、かな?空き部屋なかったら適当に」
「空き部屋なかったらおいでよ、館長に話通しとくから」

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『友人が泊めてくれるそうなので大丈夫です』
俺が司令室で寝るよ、と告げた大神さんに首を振る。どうやら部屋を改装していたが間に合わなかったらしい。なんてこった。
『友人?』
『図書館で働いている友人がいるんです。宿がなかったら泊めてくれるって』
『図書館っていうことは、帝国図書館かい?』
『何か知ってるんですか?』
『あそこはまた違う部署でね。館長によろしく言っておいてくれ』
笑顔を見せた大神さんは、ちょっと動揺する。ナマエくん?と首を傾げた彼に、なんでもない、と首を左右に振った。

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「大神サンが、よろしく、と」
「ん?君は大神くんのとこの子なのか?」
「巴里の方です」
「そうだったのか。まぁ、ゆっくりしていってくれ。文豪たちも話を聞きたがるだろう」
そうぽんぽんと頭を撫でた館長は渋かっこいい。
「文豪……?」
「大神くんから聞かなかったかい?」
「別部署」
「そう、それだ。日本では本に怪奇現象が起きている。ここは、それを食い止める研究をしているんだ」
その言葉に、ふぅん、とおもう。ということは友人の周りにいるのは文豪だろう。……近寄りたくない。

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ナマエって何歳なの?
勧められたお酒を眺めていたら尋ねられた言葉。18と言えば持っていた酒が没収された。郷に入れば郷に従え的なソレか。残念。
「年下だったの!?」
「そうなの?」
「あんた一番年下よ!」
「あんたってことは他もいるの?」
少しむくれながら言えば、友人は頭を抱えた。連れてくるから待ってなさい、と席を外した友人は酔ってないだろうか。
「18そこらで仏蘭西から日本に来るってことは金持ちなのか?」
「まぁ、今は劇場副支配人、上り詰めた、だから、そこそこは?」
そう首を傾げる。まじかよ、と目を瞬いた彼に、まぁ最初は最貧民層だったけどなぁ、と思う。今でこそ黒髪の騎士様とかいう称号を得ているしみんな私に優しいが、前は散々だったしなとも思うわけで。
「はぁ、その年で副支配人か」
「まぁ、働き始め、10さいくらい、清掃員」
「十歳から働いてたのか?偉いなぁ」
そうかいぐりかいぐりと頭を撫でられる。うむ、撫でられるのは嫌いじゃない。大神さんも加山さんも撫でてくれなくなったし。カンナさんぐらいしか撫でてくれないし。
「しかし、清掃員から副支配人まで上り詰めるとは、凄いじゃないか」
「えへへ、」
褒められたら照れるしかないじゃないか。恐らく今この状態を見られるとグリシーヌに花を飛ばすなと怒られ、ロベリアに犬みたいに尻尾振ってんじゃねぇよ、と言われる。だが、私だって褒められたいし甘えたいのである。離れた手を残念だと思いながら見つめればまたその手が頭に着地する。
「佐藤?」
「いや、なんか、つい、な?」
そう苦笑いした人はサトウさん、理解した。



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