2022/12/31

2022年度没ネタ整理51

死んだと思ったのになぁ、と高台の草原から周りを見渡す。これが天国か、と思ってみたが高台の下が戦場になっているのをみるとおそらくは違いそうだ。降魔じゃないんだなよなぁ、と人間と降魔っぽいのの争いを見ていれば、妖側の援軍がきて人間側がおいやられる未来が視える。ただでさえちょっと不利だもんな。そう思いながらどうするか考えていれば、戦場にいる人と目があった。色男だなー、と思いながら彼の後ろにきた魔を遠隔魔法的なもので凍らせる。そのままゆるりと彼の元に行くか、とテレポートをつかう。
「色男さん、ここからは手を引いた方がいいと思うのだけれど」
そう言って彼の近くに降りれば周りにいた兵と将兵はは私を見た。
「貴方が守ってくれたのかな?」
「貴方があまりにも無防備だったので」
「あまりにも美しい人が崖の上にいたものだから、見惚れてしまっていたよ」
「口がお上手なことで……さて、貴方達は早めに逃れた方がいい。もうじき北西と東北から人ならざるものの援軍がくるようだから」
私の言葉に彼は些か驚いたように私を見る。更に!?みたいな声がするのを見るに、援軍がそれだけこちらにきたのだろうか。感覚を探れば確かにまぁ人間より魔の方がおおい。とりあえず大きな門の前に行く。……うーん、これ古いな。タイムトラベルでもしてるようだ。
「あんた、その情報をどこで?」
「さぁ」
「そのような不確かな情報を……」
まぁ、普通は信じないだろうなー、出どころを言っても信じないだろうが。
「いや、信じてみよう」
「郭嘉殿!?」
「これ以上妖魔が現れるのであれば私たちに勝ち目はない。それに、わざと時間をかけられているようにも見える」
「疑う人も素敵だけれど、話がはやい人ほど好ましい人はいないね」
「しかし、参ったことに貴方がいう方角はこの崖なんだ」
「……他の方角に行くのはあまり好ましくはないかな」
そう言って氷魔法的なもので階段をつくる。強度高めて分厚くせんと崩れて死人がでる。どうなってるかって言われてもな。私も物心ついた頃から扱えたからよくわかってない。転生した時から使える。とりあえず肩を竦める。
「これで逃げれるはずだよ、色男さん。私は最後に門を閉めてから階段を登ることにするよ」
別にそこで私が死ぬイメージもないわけだし。周りが相談、のちに撤退していく。どれくらいの人が来るかわかったものではないが。最後の人が登るのを見てから扉に近づき、戦場の感覚を調べても人間はいない。なので扉を凍らせて閉じてしまう。そのまま私も階段を登り、階段を崩した、ところで体調が万全ではないことを理解する。うーん、未来を何回もこまめに見るとこういうことがおきる。そのまま倒れた私を誰かが抱き止めたが。

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目が覚めると知らない部屋だった。寝台もなるほど新しい割には型が古そうだ。着ていた服のまま寝かせてもらっていたらしい。側には着替えのようなものが置かれていた。うーん、やはり時代劇もののようだ。色男も郭嘉と呼ばれていたあたり、三国史だろうか。私達のように皮肉って言われたわけではなさそうだし。とりあえず置かれていた服をきて、そのまま外にでる。夢見心地だ。中庭なのか、綺麗な庭には蓮の花が咲いている。さてはてこれは一体?と内心首を傾げたが、とりあえず水面にうつる私は生きている。私の近くに飛んできた鳥と見つめ合ってから手を差し伸べれば、とっとっと、と小さな鳥は私の指先にとまった。
「おや、どこに行ったのかと思えば」
小鳥達と手で戯れていれば、声をかけられる。飛んでいった鳥達の逆方向をみれば、色男が悠々と歩いてきていた。
「ありがとう、色男さん。貴方でしょう、つれてきてくれたのは」
「お礼を言うのはこちらの方かな。あの後、君の予測通りに敵の援軍がきてね。貴方の発言がなければ私達はもっと被害が出ていたし、撤退もうまくいかなかっただろう」
まぁそれはそうなので、困ったように笑っておく。しかし、まぁ、彼が歴史に名を残している郭嘉ならば、どうにかはしただろう。
「曹操殿が貴方が目を覚ましたら礼を言いたいと言っていてね。悪いけれど、私についてきてくれるかな?」
まぁ、その選択はイエスしかなさそうだ。それに今度は曹操ときた。やはりあの降魔の空間は過去に繋がっていたのだろうか。わかりました、と頷いて、彼の誘導に従う。側から見れば美男二人だって?私は残念ながら女なんだな。はっはっはっ。


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何故わかったかと言われても、彼らには俄に信じられない話だろう。占いと似たようなものだ。信じる人はどこまでも信じるし、信じない人は信じない。それはいやでも理解している。
「黙秘、か」
「……というよりは貴方達には俄に信じられないでしょうから。私にとって確かだけれど、貴方達にとっては確かではありません」
そう説明すれば、李典の勘のようなものか、と曹操殿が告げる。李典の勘とは?と不思議に思っていれば、しかし、と誰かが口を開く。
「彼は李典殿より明確に情報を知っていました。良い、悪いというものではありません」
発言した人に知っている人の面影をみる。異世界のそっくりさんは喋ることができるらしい。あと、姿がぶれて色男含めて雨に降られる姿が見えたのだが、大丈夫だろうか。郭嘉といえば、病弱ではなかったか。雨に降られてかけていくのがみえる。
「荀攸殿がどうかしたかな?」
その言葉にハッとする。色男がこちらを見下ろしていた。
「……いえ、もう会えそうにない知り合いに似ていたもので。……今夜あたり急な雨にはお気をつけくださいね」
そう言えば彼は目を瞬いた。覚えておくよ、と告げた彼に、郭嘉殿、とまた違う男性に色男は呼びかけられる。
「曹操殿、どうやらまだ体調がすぐれないようですし、しばらく部屋で休んでいただく、ということでどうでしょう」
彼の言葉に話はその方面で固まったらしい。元の部屋、中庭あたりまでは出てもいいがそれ以外には行かないようにと釘を一応さされ、中華式の礼をしてお礼を告げてからまた部屋に戻る。まぁ、間者を疑われるのもわかる。良し悪しだけの判断ではなく、明確な情報がありすぎたからだろう。もう寝ようと固い寝台に伏せてしばらくしたころ、雨が降り出した。彼らはどうなったのだろうと目を伏せたら変わらず雨に降られる姿が見えたのを考えると対策をしなかったらしい。

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「これは面白いことになってきたね」
雨が降る。ザアザアと。飯屋の外を伺えば、雨が降っていた。濡れて帰るしかない、という話をしていれば郭嘉がそうきりだした。
「面白いこと?」
「今朝、殿の前にあの子と話しているときに今夜あたりの急な雨には気をつけるように言われたんだ」
「は?いつ?」
「解散間際かな。荀攸殿を見つめていたから不思議に思ってね」
「……何故俺を」
「知り合いに似ていると、言われたけれど……正しくは荀攸殿と少しずれた虚空をみていたんだ。そこには何もいないのに」
郭嘉の言葉に彼らは驚いたようだ。賈詡が揶揄うように口を開く。
「おいおい、郭嘉殿、怪談の類か?」
「……彼は言っていましたね。彼にとっては確かだが、我々にとっては確かではない、と」
「では、彼には何かがみえてるとでも?」
「まだ判断はつかないけれど、少し話を聞いてみよう。どちらにせよ、あの子は私達の世界でも、戦国の世界でもなさそうだ」

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「そう言えば、ナマエ殿は今何歳なんだ?」
郭嘉さんと歩いていれば兄弟に見える、という話をしていた。私がきた経緯を知らない人にはそう見えるらしく、よくお互いにそんな声をかけられるのであるが。まぁ、そんな話の中で年の話がでたのだ。
「私ですか?今年で19ですが」
そう言ったら周りが驚いた顔をした。えっ、はっ、と困惑した声が聞こえる。郭嘉さんさえも驚いている。
「え、そんなに老けて見えますか?」
困惑である。私がそう見えてるだけで周りにとってはそうではないのだろうか。
「いえ、そういうわけではありません。落ち着いてらっしゃるので」
「驚いた、まだ成人していなかったのか」
「だから呼び捨てで構わないと言ったのですが……」
「恋人や伴侶は?」
「元の世界では仕事が恋人でしたので」
そもそも自分が死ぬというか、いなくなることを理解していたのだから、誰かとそういう関係になってはいけなかったのもあるが。それにやることややるべきことが多すぎたのだから仕方がない。
「それはいけない。人生は楽しまないと」
人の一生ほど短いものはないよ。
郭嘉さんの言葉に、それもそうかもしれないな、と思う。今の年まで楽しんだ覚えなどほぼない。劇や踊り、音楽というものは自分にあっていた為苦痛ではなかったが。参考にします、と言えば周りが郭嘉殿は遊びすぎだから見習わなくていいと言われた。この人も人生が短いのを理解してるんだろう。
「不思議なんだけど、未来が見えるなら、自分が死ぬ時もみえるものなのかい?」
満寵さんがそう尋ねる。私は困ったように笑う。満寵殿、と制した荀ケさんに満寵さんは口を開く。
「でも、荀ケ殿、対策を打てば回避できるかもしれないっていうことでしょう?」
「私の世界には、妖魔のような存在、降魔というものがいて、稀に国を襲うことがあるんですよね。それはだいたい小規模なものなのですが、物心ついた頃から降魔が国を焼く夢を何度もみて、私はそこでいつも帰らぬ人になるんですよ」
そう言って杯をあおる。
「それが未来だと理解したのは五歳の頃。それを回避しようと大人達にいっても悪い夢を見たのだと言われ続け、大人達は頼りにならないと降魔と抗戦する組織に乗り込んだのが7つの頃。そこには三つの実働隊があったのですがそのうちの二つにはあしらわれ、面白がった残り一つに招かれて、その実働隊の一番になったのが十四歳のころ。一つの力ではどうにもならない為、三つを合わせるべきだと言っても仲が悪い為今度は三つにあしらわれ、ならばどこにも属さない誰かにまとめてもらうかと思い立ったのもその頃でしたね。そこからは表舞台で動きつつ、裏では新しい部隊の新設に取り掛かり、十七の時にその部隊が新設されました。新設されてからは裏でその隊長を支え導きつつ、それと同時に降魔の動きが活発になっていたのでその対応をして……まぁ結局、その隊長が見事に三つをまとめて降魔に打ち勝って未来がかわったんですよ」
「それはよかった」
「でも、私の未来だけが変わらなくてですね。いや、些細には変わってるんですけど」
そうチビチビとお酒を飲む。うーん、酔っている。酔っているからへにゃりと笑ってしまう。
「最初の頃は私は二十歳を迎えずに死ぬんです。大侵攻が十九になる年ですので、その時に必ず死ぬ、もしくは元の世界には戻れない。打ち勝つ未来が確定されても、どうもそれだけが変わらず」
「待ってください、十九の年、ということは」
「今年ですね。降魔がいる世界に乗り込んで壊滅させましたが、どうしてもそこに一人残る必要がありましたので。残って意識を失った後、目が覚めたらあの高台にいました。一抹の望みは抱いていたのですが、そこは変わらなかったんですよ。まぁ、それは小さい頃から覚悟していたことなので」
なんてことはないのだ。今はある意味ボーナスステージのようなものだろう。
「……まさに、仕事が恋人になるわけだ」
賈詡さんがお酒をさらに注ぐ。うーん、もうこれ以上は飲んだらやばい。
「ナマエ、それならこの世界では好きに過ごせばいい。私が貴方の身分を保証しよう。たくさん頑張ったんだ、もう遊び呆けたって誰もとやかく言わない」
隣にいた郭嘉さんが私の頭を撫でる。荀家二人が間髪入れずに「とやかくは言います」と言ったが。
「ナマエ殿、何かあれば必ず私達におっしゃってください。必ず力になりますから」
「……うん」
へにゃりと笑えば郭嘉さんが「眠たい?」と聞いたので素直に頷いておいた。超眠たい。これは酔っている。


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みんな郭嘉さんいないと私に聞いてくるが、わからない時はわからない。踊り子のいる店や綺麗な景色の場所には連れて行ってくれるが、どうもあの人女の子を侍らす店には私を連れて行かない。多分彼には性別がばれているのだろう。あとは戦関係にも基本的には触れさせないようにしていそうだ。まぁ、いつもながら勝ち戦で怪我もなく帰ってくる未来しか見えないのであるが。最近は特に嫌な未来を視るわけでもないために私も深くは首を突っ込まないようにはしているが。





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さて、これはどうしたものか、と思う。おそらくは悪ふざけだ。女装というのか、露出が少ない踊り子の服と化粧道具が届けられた。私を気に食わない人もいるようなので、嫌がらせだろうか、とそれらをみる。確か、今日は宴だと言っていた。そっと紅を手に引く。毒は含まれていなさそうであるをどうせなら驚かせるのもいいかもしれない。とりあえずその服に身を包み、化粧をし、髪を高いところで結おうとした時に荀攸殿が入ってきたらしい。失礼しました、と慌てて外に出た彼が「中に女性がいたもので……」と困惑たっぷりに告げる。後から入ってきた他の面子が私をみて困惑する中、郭嘉さんは私を見て、おや、と口を開く。
「ナマエ、よく似合っているけれど、誰からの贈り物かな?」
その言葉に周りが私をみる。私は肩をすくめた。
「部屋に置かれていました。嫌がらせか私への挑発でしょうが、逆に着てしまおうと。髪を結い上げますので少しお待ちください」


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見えた未来の先、そこにいた人物達に素直に驚く。年を重ねているようであるが。あと少しやつれた気がする。
迎えにいくか、行くまいか、と考えてみる。拒まれる可能性もあれば、偽物だと言われる可能性もある。まぁ、どうせならと一応出陣する賈詡さんに口を開いた。
「賈詡さん、戦場であう荀攸さんのそっくりさんは私の知り合いなので私の名を出さずに連れ帰ってもらえると助かります。喋れない方ですが、私の大切な友人です」
「喋れない?」
「降魔に襲われてから精神的ショックで喋れなくなったと聞いてます……もしかしたら喋れるようになっているかもしれませんが」
「ふむ?わかった、頭に入れておこう。名前は?」
「荀悠仁と言います。おそらく私の世界の荀家の末族だとは思います」



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