2022/12/31

2022年度没ネタ整理52

「ナマエ、大変な思いをしたね」
そう言って抱き寄せた兄に、私はそんなことはないよ、と告げる。誰も信じないのなんて当たり前だ。未来が視えるなんて普通はありえないのだし、夢で未来をみても夢は夢だ。それでも本当に起こりそうだったから、私は好きなものを捨ててまで自分にかけたのである。視えた未来はなんとか途中から協力してくれた悠仁のおかげもあり、阻止できた。兄の知り合いを含むたくさんの人は死ななかった。それは喜ばしいことに間違いない。でも、自分は。自分の居場所は、なくなってしまった。悠仁は親に手を引かれ私に関わるなと釘を刺した。私は魔女と言われて恐れられる立場になった。親は私を見限って、勘当と告げて私を家から追い出した。まだこれからずっと怖いことは起こり続け、やっぱり燃える国。それを阻止する気力も、体力も尽きかけている。それでも何か変わるだろうと、あの未来に足掻けば足掻くほど、化け物を呼んでいるのは私だという、自作自演なのだという風評がついてまわる。もう私が死ねばそんな未来を見なくて済むのでは、とぼんやりしている時に海外出張から戻った兄が私を探し当てたのだ。少し体を離されて、彼は私の目をじっとみた。
「私がいるからね、もう大丈夫だ」
その言葉は、毒にも、薬にもなる言葉である。この人は昔から否定しない。否定するにしても一度は必ず肯定する人なのだ。
「ナマエ、何があったか私に話せるかな?」
「ずっと、同じ夢を見ます、今も、昔も」
微かに目を見開いた彼は心当たりがあるのだろう。幼い頃はその夢をみては、怖い夢を見たのだとこの兄に泣きついていた。
「夢と同じことが起こるんです、今も、昔も」
これは、知らないことだ。それを気づいた頃には、兄は仕事で忙しく飛び回る人だったからだ。
「あれがただの夢じゃないって……だから、止めれるかなって……でも、悠仁以外誰も信じてくれなくて……ただの夢でしょうって」
泣いてしまう。はらはらとこぼれ落ちた涙は止まりそうもない。夢みたいになってほしくないから、頑張ってるのに、私のせいだって。私がおかしいんだって。私があの化け物を呼び出してる魔女なんだって。彼はもう一度私を抱きしめた。きつく。私はどうしたらよかったんだろう、と彼の服を小さく握る。
「兄さん、わたしはどうしたらよかったの?」
その問いかけを聞く前に、限界だった私は意識を失うのだけれども。

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自分が記憶している限り、彼女は眠るとずっと魘されている。同じ夢を延々と視る苦しみを理解できると驕ったような言葉は言えないが、それでもその苦しみを軽くしたかったのである。大丈夫です、と、会えなくなってからさらに細くなった手を握る。
「もう貴方は一人ではありません。俺と二人でもありません。兄達がいます」
彼女が未来が視えることは、俺たち二人の秘密だった。しかしそれはもい公然の秘密になりかける。彼女の兄が帰ってきてからというものの、話の進展は早かった。彼女の兄ーー郭嘉さんはさまざまな心当たりがあったのだろう。それに彼は彼女の机から彼女が小さいころから書き留めては付け足してきた夢の内容の手帳を持っていた。彼女が目覚めない今、それをもとに政府の要人が動いている。関わるなと釘を刺した両親を兄が説き伏せ、俺もそこに加わったのが最近だ。今日も彼女は目覚めない。今日も延々と悪夢に溺れている。今日も俺の言葉は溺れてしまった届かない。

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私の悪夢の原因の降魔を悠仁が殴りつけた夢を見て目を覚ます。知らない場所である。ここはどこだろうか、とまわりをみた。いや、視たことはある。昔に使われていた対降魔施設を兄達が改造した場所だ。そのまま夢のように司令室に向かう。プシュ、と古い音を立てて開いた自動扉に、そこにいた人達が私をみた。そうして、ふっと笑ってから口を開く。
「……眠り姫が目を覚ましたか」
その発言に、はて?と首をかしげる。モニタには兄達の顔が映されている。そっと目を伏せて未来を視れば兄達は無事に帰ってきそうだ。



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「でましたね、俺が一番ナマエを理解していますっていう悠仁の彼氏面」
「そちらこそなんです?強引に行こうとして行動に移せてないようですが」
「二人ともやめておいた方が……」
「「猫被りな元がつく幼馴染みは黙っておいてください」」
「……君たちは言ってはいけない言葉をいったね」

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「ナマエ、何してるんだい?」
「修羅場だなぁと思ってみてます」
「あぁ、本当だね」
「(ほんとこの兄妹顔整ってんな)」

4/8



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