2022/12/31
2022年度没ネタ整理56
「むずかしい話をする人には、悪魔の食べ物がいいってきいた!」
作ってくる!!とかけて行ったナマエの背を見送る。悪魔の食べ物とは……と顔を見合わせていれば、数分後にナマエは何かと刃物を持ってやってきた。二つのパンの上にまるで雲のような白いなにかが乗っている。
「これはちーずかな?」
「違うよ、マシュマロ!」
「また知らないものが出てきたね」
「マシュマロ知らないの!?メルちゃん大好きだよ!!」
メルといえば戦国側にいるナマエと同じ世界からきたナマエと同い年くらいの女の子である。ナマエとは違い、六匹だけポケモンをつれていて、毛利で世話になっているらしい。
「める?あぁ、噂のナマエと同じ世界からきた子かな?」
「うん!でも、違う地方だと思う!メルちゃんが住んでる場所は海に囲まれた島だけど、ナマエの地方は山に囲まれてるから!多分とおいとこ!」
ナマエはそう言ってマシュマロが載ったトーストをナイフで四等分に切ると、はい!と軍師に渡した。視線が満寵にむかい、興味深くながめていた満寵がはむ!とそのトーストをたべる。
「こんなに甘いもの初めて食べたよ!」
「ああ、なんだ甘いものか」
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「チュリネの葉っぱは薬になるんだけどね、」
「薬ですか?」
「うん。でも、すっっごく苦い」
「苦い」
「煎じて飲んだらいいけど、ナマエはぜっったい飲まない。ヒメンカちゃんの花粉を煮出した液なら飲める。風邪ひいたらヒメンカちゃんの花粉を煮出して、ミツハニーの蜜を混ぜて飲むよ。あとはねぇ、グレッグルの指先から出る毒は薄めで塗ると鎮痛剤になるよ」
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「ナマエ、満寵殿が卵にヒビを……!」
「あ!卵が孵る!」
ナマエはそう言ってぴょんぴょん跳ねる。その言葉をきいて、周りは安堵したらしい。なんだ、と安堵したのも束の間、ぴきり、という卵の殻が割れる音に視線はそちらにむいた。ピキピキとヒビは大きくなり、光が漏れ出したかと思えば黄色い手が卵から突き破った。荀家二人は慌てたようにナマエをみたが、ナマエは気にしていないらしい。ナマエが見やすいように満寵は机に卵をおいた。がんばれー!とナマエが言えば、殻はペリペリと剥がれていく。そうして大きな殻が剥がれたかと思えば、三角の大きな耳がはえた小さな黄色が姿を表すと、はたりと満寵をみた。
「ぴちゅ?」
「ピチューが孵った!」
そう言ってナマエはピチューを抱き抱えた。ピチューは驚いたのか、ピリピリと頬袋から電気を流す。ばちり!という音と共にナマエはぎゃ!と声を上げ、慌てたようにフシギバナがツルでナマエからピチューを取り上げた。フシギバナがゆらゆらと揺らせば機嫌は治ったらしい。きゃっきゃっと喜んでいる。
「ナマエ!?」
「大丈夫だよ〜これくらい。あー、びっくりした」
「今のは……」
「でんきだよ」
「でんき、は、雷の力、でしたか?」
「うん、ピチューやピカチュウ、ライチュウ……他にも色々なんだけど、ほっぺにね、雷の力を蓄えてて、ピチューはまだ加減が下手だから漏れちゃうんだって」
「へぇ、本当に興味深いな、君たちは」
「あとね、多分、ハクネーさんを初めて見たのに、ナマエが取り上げちゃったからびっくりさせちゃったんだと思う」
そう言ってナマエはごめんねピチューと言いながら頭を撫でる。びっくりしたピチューだったがそれを受け入れた。賈詡がそれを見ながら口を開く。
「ひよこみたいなものか」
「ひよこ?」
「初めてみたものを親だと思うんだ」
「うーーん、それに近いのかなぁ」
うむうむとナマエは悩む。親という定義が色々難しいのだ。満寵がピチューの頬をつついて、ピリピリと漏れた電気により髪の毛を逆立てている。それが面白く興味深いらしく、なんだいこれは!とケラケラと笑っているのだが。郭嘉が口を開く。
「では、満寵殿を親だと?」
「たぶん!だから、嫌がってないでしょ?普段はナマエが人に慣れるくらいまで育ててるんだけどね、たまにこういうことがあるよ」
「では、満寵殿はあの子を連れて帰るしかないと……」
「うーーん、ナマエがお兄ちゃんのポケモンみたいに預かってもいいけど、ピチューはそっちの方が嬉しいと思う。あ!いいものあるよ!」
そう言ってナマエは棚を漁る。そうして出てきた何かを持ってきた。ゴム手袋と電球である。
「これは……」
「ビリビリならないやつと、あそこについてるやつ」
「あぁ、夜でも明るい」
荀攸の言葉にナマエは頷く。ピチューに電球を持たせる。心配そうに満寵を見上げたピチューに、ナマエがピカチュウとデデンネを呼べば二匹は走り寄ってきた。そうしてピチューをみて、挨拶をした。
「ぴかちゅ?」
「そ!孵ったんだー!ハクネーさんを見たから、ハクネーさんを親だと思ったみたい」
「ででんね!」
「うん、教えてあげて〜」
ナマエの言葉に、二匹はナマエがひっくり返した荷物の中から同じものを取り出すとピリピリと電球に灯をともして見せた。ピチューはそれを眺めて、思いっきり電流を放ったらしい。つかないそれに、それはいけないという風にピカチュウが嗜めた。
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「満寵殿、それは……」
「ぴちゅうって言うんだけど、私を親だと思っているみたいでね。世話をすることになったんだ。ほら、この前話した三國の間にいる子供の世界の生き物だよ。ぴちゅう、徐晃殿だよ」
「ぴちゅ?」
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目の前をよく知った黄色が駆け抜ける。あ、だめ!という子供の声に関わらず、黄色は荀ケの前に立ち止まるとすんすんと鼻を鳴らして荀ケを不思議そうに見上げた。
「ぴかちゅう殿?どうしてこちらに」
そう尋ねてみれば、目の前にいる黄色は驚いたように声を上げる。かけてきた子どもはそれを聞いて、同じように目を瞬いた。
「……おにいさん、ポケモン知ってるの?」
その言葉に荀ケは理解する。蜂蜜色の髪に、青い瞳はどうも訪れた戦国乱世の国には合わない。恐らくは、ナマエと同じように違う世界からきたのだろう。年頃も近い。荀ケは子供の身長に合わせて屈むと口を開いた。
「はい、知っていますよ。今は連れてはいませんが、私もイエッサンというぽけもん殿を預かっています」
そう言えば、子供は少し嬉しそうにはにかんで笑う。様子を伺っていた毛利元就が口を開く。
「驚いた、三國側にはこの生き物がいるのかい?」
「いいえ、三國の国境地帯に他の世界からきた子供が住んでいるのですが、その子供がぽけもんをたくさん連れているんです」
「子供があんなところに?」
「ええ、離れないものですから今はあのあたりは穏やかです」
そんな言葉に子供は首を傾げる。どうやら自分と同じような子供がいるらしい。
「子供、子供かぁ。いくつくらいだい?」
「恐らくはこの子と変わらないくらいだとは思いますが……あなたも迷い込んで来られたのですね」
そう穏やかに荀ケが訪ねれば、子供は小さく頷いた。大人しい子供である。ナマエの活発さとは正反対である。
「この子一人と六匹とでこの世界に迷い込んだみたいでね。私の陣の近くだったから保護をしたんだ」
「なるほど、そうでしたか」
「荀ケ殿、もしよければなんだけれど……」
「はい、会わせましょう。ナマエもきっと同じ世界から来た子供がいると聞けば喜ぶと思います」
毛利元就の言葉に、荀ケが頷く。子供ーーメルは少し困ったように二人を伺った。ピカチュウはその様子に大丈夫だというふうにメルの足をポンと叩いたのだが。
「ふふ、貴方とピカチュウ殿は仲が良いのですね」
ピチューと満寵も仲がいいのだが、どちからというとピチューが満寵の世話を焼いているのだ。それは恐らく進化しても一緒だろう。荀ケの話を聞いて、ナマエはまた頷き、ピカチュウは満面の笑みで鳴き声をあげたのだが。
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「えっ!!会いたい!」
話を聞いたナマエがぴょこぴょこと跳ねる。それを真似てワニノコや他のポケモン達がぴょこぴょこと跳ねた。遊んでいると勘違いしたらしい。マルもナマエが跳ねるのと同じタイミングでぴょこぴょこと羽ばたいている。
「ポケモンバトルできるかな!?何連れてた!?どこの地方の人?!」
「ナマエ、そんなに慌てて聞かなくても荀ケ殿は逃げないよ」
郭嘉の言葉にナマエは頷いてまた香水の調合に入る。郭嘉はもうすっかりナマエのつくる香水のお得意様の一人だ。郭嘉が好むのは格闘タイプが入ったドレティアの甘すぎない香りとベイリーフのスパイシーな香り、あとは少しユキカブリのスッとした清涼感がする香りを調合したものだ。涼しげな瓶に決まった配合を入れて、最後にタマと呼ばれているタマザラシか郭嘉の連れているロコンが放つ冷気をあてれば完成である。ほうっと冷たい冷気をあてられた瓶の中身は透明な色から青みがかった色に変化した。
「いつ見ても美しいものだね」
「最後の確認!」
そう言ってナマエは郭嘉の手首に一滴垂らす。うん、いつも通りいい香りだ、と告げた郭嘉はいつも通りに報酬を渡した。ナマエはまいどあり!と言ってからそれをいつもの場所にしまう。あとの器具などもきちんと鞄にしまうと、またぴょんぴょん跳ねた。
「その人に会いたい!何連れてた!?何歳くらい!?」
「ピカチュウをお連れでしたよ。ナマエと同い年くらいでしょうか」
「ほんと!?名前はなんていうの?!」
「メルと呼ばれていましたが」
「うーーん、名前からして同じ地方じゃないけど、会いたい!」
ナマエはそう言ってぴょんぴょん跳ねる。メルという子供とはまさに正反対である。
「そういうと思いました。毛利殿が近々許昌の殿を訪ねて来られます。その時に連れて来られるようなので、ナマエも許昌に遊びにくるといいでしょう」
「ここで遊んじゃダメ?」
「ナマエ、ここで遊ぶのもああいけれど、毛利殿のいる居城からここは少し遠くてね、その子が疲れてしまうよ」
郭嘉の言葉にナマエはそれもそうかと頷いた。
「じゃあ、遊びに行く!うーん、でも、バトルするにも、相手のレベルよくわかんないし、とりあえずジュナくんとテルとドレティアちゃん連れて行こ!」
「あまり聞かない名前だね」
「テルは格闘タイプと一緒にいるし、ジュナくんはいつも一番高い木から見張ってくれてるからあんまりいないよ。多分、荀攸さん達も会ったことないと思う。ドレティアちゃんはねぇ、香油のお花の子!」
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「すごーい!同い年で、ここまでバトル強い人はじめて!!」
がしり!とナマエがメルの手を掴む。
「あ、ポケモン回復させるね」
そう言ってナマエは小さな装置にモンスターボールをセットする。テンテンテレテンという音と一緒に回復したらしい。ポン、と音がしてボールからフライゴンが現れた。続いてナマエが回復すれば、モクローとタグマが現れる。しょんぼりしているタグマに、ナマエがこれからも頑張ろう!!と言えばダクマは頷いた。そうしてナマエはメルをみた。
「あらためまして!ネンツァオのナマエです!よろしくね!」
そう言ってナマエが手を差し伸べる。メルにとっては馴染みが全くない街の名前だ。メルは同じく手を重ねた。
「わたしは、アルトマーレのメル、です」
「メルちゃん!よろしくね!」
「うん、よろしくね、ナマエちゃん」
ニコリと笑ったメルに、ピカチュウとフライゴンも挨拶をするように手をあげ、モクローも同じく挨拶をするように手をあげた。タグマは後ろから伺うようにメル達を見るのだが。ナマエはタグマを抱き上げる。
「メルちゃんバトル強いね!ナマエは結構バトル強いほうなんだよ!久々にバトルでワクワクしちゃった!」
「うーん……」
ナマエの言葉にメルは困った顔をする。それをみてナマエは首を傾げた。
「バトル嫌い?」
「……きらいというか……にがてかなぁ」
「にがてならしかたないよねぇ!人間もポケモンもそういうことあるある」
うむうむとナマエが頷く。タグマとモクローもまたうむうむと頷いた。それがなんだかランセ地方でみたブショー達のようでメルはクスクス笑った。
「ナマエちゃんは、バトルすき?」
「うーん、すきかなぁ。ピカチュウとフライゴンはすきなの?」
そう訪ねれば、二匹は頷いた。こりゃあたいへんだ!とはナマエの言葉である。
ナマエとメルのバトルを眺めていた郭嘉達と毛利元就は納得した。通りで二人の世界では人間が武器を持って争わないはずなのだ。熟練した武芸者はともかく、普通の人間が剣や槍を装備するよりも、ポケモンに指示をして共に戦った方が圧倒的に強い。それを人に向けるものではないが、野生のポケモンは人にそれを向けるし、何より古くは人間に向けることがあるようだが。
「ナマエ、今のがばとるですか?」
「うん!ポケモンを一体ずつか二体ずつだしてね、ああやって戦うんだ〜。コータツさんと靛も今度とは言わずに今やろう!」
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