2022/12/31
2022年度没ネタ整理60
着替えとかもろもろ取りに向かい、郭嘉くんの病室を扉から除けば簡易ベッドが三つ準備されていた。改めてこの個室すごいな。とりあえず移動に疲れたのか荀ケくんはすやすやしていたので、本を読んでる荀攸くんの背後に回り込めばナマエ殿と叱られたが。
「なんだバレたか〜」
「貴方の足音には癖がありますからすぐにわかります」
「とりあえず郭嘉くんが持ってきた服と、家族きた時用の着替え持ってきたし荀攸くんそれ着ていいよ。荀ケくんには大きいけど私の服着てもらおう」
「え?」
「身一つできたんでしょ?賈詡さんは多分明日以降だろうし」
「……何から何までありがとうございます」
「どういたしまして」
荷物を置きながら郭嘉くんを見下ろす。熱はだいぶ引いたのか随分と落ち着いた顔をしている。ふーむ、顔色もだいぶ戻ったな。うーん、いかん、それ見てまた涙腺が緩む。
「よかった、郭嘉くん死んじゃうかと思った」
声が震えてしまうが仕方ない。いかんのだ。前世的にほら旦那死んで兄と父とか勇士とかみっちゃんとか死んで再婚して色々あってほらまた旦那死んでとかだったから、人の死に目が怖いのだ。そっと肩に手を置かれる。
「はい、僕も喜ばしく思います。郭嘉殿が生きているのは、ナマエ殿のおかげです。郭嘉殿は諦めてらっしゃいました。もう自分は死ぬのだと」
「何馬鹿な決心してるんだ……?」
そう振り返れば手で涙を拭われたけど。イケメンに許される仕草すぎないか。
「全くです。目が覚めたら叱ってやってください」
そう困ったように笑った荀攸くんにはで?と首をかしげる。なんで荀攸くんがこまってるんだ……??
「それよりナマエ殿、衣服だけではないようですが」
「ああ、勉強道具。荀攸くんも一緒に勉強するかなって」
「!ありがたいです」
ということで2人で勉強してたら荀攸先生と満寵先生が夕飯を持って再びやってきた。ちなみに荀ケくんも途中で起きて、荀ケくん用に持ってきた勉強道具で勉強している。可愛いかよ。用事はいいのかと聞いたら賈詡おじと郭嘉ファンサ大明神と荀ケ先生で事足りるから大丈夫だと言われた。めちゃくちゃ巻き込んで申し訳ない。
「いや〜真面目だね〜」
「真田の教科書で勉強を?」
「はい。僕の学校よりも進みが早いですし、教材の質もいいので。趙州殿、この計算式ですが」
理解速度ヤベェ〜と思いながら荀攸くんが示したページをみる。私まだ習ってないな、そこ。
「多分ここを代入してっていう感じだとは思うけどごめん荀攸くん、私そこまだちゃんと習ってないから数学教師な荀攸先生に聞いてほしい」
「見事に二学期の分野ですね。真田が言った通りこの式を代入という形で基本は解きます」
「なるほど」
「趙州殿、公達殿、水を電気で分解すると水素になるようですが、婆娑羅でも……」
「いけません、文若殿。答えとしてはできますが、いけません」
即時に返した荀攸くんに私は口を開く。
「荀ケくん、婆娑羅を使った実験はやめとこう?」
「趙州殿や公達殿はしたのですか?」
その問いかけにペンをおく。荀攸くんもペンがとまる。
「……あれは痛ましい事故でした……」
「文和さんの教科書みた満寵くんの発案……またなんか変な発案してるなと思った私たち……何故かデッカい池という場所を用意した郭嘉くん……」
「理論的にはできるはずとなぜか乗り気の諸葛亮……危なくないかなぁとか言いつつ止める気のない龐統……何故か危険な友人を連れてきた周瑜……」
「満寵くんの婆娑羅でどんどん分解される池の水……」
「水かさが減っているけど実感が湧かないといった徐元直……火を放ってみるかと発言した法正……」
「婆娑羅を扱った孫策……その瞬間爆発する池の上部……」
「爆風に煽られて全員で後ろにあった別の池に池ポチャ……濡れて全員でなんだあれすごいと爆笑……」
「逃げる暇なくすぐにすっ飛んでくる年上……事態が判明し、程c殿と于禁殿、魚粛殿達といった面々で全員で1時間に及ぶ説教……」
「以後その面子で集まるときは誰か大人が付き添うようになりましたね」
あの時は大変でした、と息を吐いた荀攸くんに私は同意しながら勉強道具を片付ける。ご飯を食べたい。話を聞いていた満寵先生が口を開く。
「……婆娑羅で池の水が分解されるということは、もしや婆娑羅には電気を帯びるものがあるのかい?」
「電気というよりは雷ですが、まぁ、そういう認識で良いかと思います」
「へぇ、種類があったんだね。いつもニュースで取り沙汰されるのは黒い霧のようなものだからそれしかないのかと思っていたんだけれど」
満寵先生はそう言って荀ケくんの勉強を見ながら「ここ間違えてるよ」と指摘した。私は口を開く。
「先生達にわかりやすく言えば」
「言えば?」
「武器につけるだか祭器につけるだかの宝玉の属性が人間に宿ってる感じなので種類はあります」
「この上なくわかりやすい説明だね、それは!」
なるほど!と手を叩いた満寵先生に、荀攸先生が少し考えて口を開く。
「炎氷雷風斬毒……あの黒いものは毒ということですか?」
「婆娑羅には斬や毒という属性はないですね。趙州殿の説明がわかりやすいかと思います」
「ケも説明できます!」
はい、と手を挙げた荀ケくんに、ではどうぞ、といってみる。私は料理を並べる。
「婆娑羅は八種類あるのですが、趙州殿は四行プラス二行と二行という考え方で、ケたちが住む婆娑羅地区ではその考え方にならっています」
「四行プラス二行と二行?」
「はい!基本の属性は炎氷雷風の四行ですが、それが何かが原因で変じたのが光と闇という二行、そして特殊なものが感と震という二行です。四行から光と闇の二行に変じることはありますが、二行から四行に戻ることはありません」
「ありませんというか報告例がないだけなんですけどね」
「炎氷雷風は似てるとして、光と闇は?」
「光は相手を失神させやすくしますね。闇は斬と吸生が混ざってます」
「ああ、なるほど!だから普通の人間が巻き込まれると大惨事になるのか」
「そうですね。日本でもたまに起こりますが、婆娑羅が暴走したんでしょう」
「真田達は制御されてますよね?」
「基本的に婆娑羅はコントロールできますよ。周りに理解者さえいれば教えたりもできますしね。しかし、闇の婆娑羅の暴走の場合、変じる、というものが厄介なのだと思います。あくまで私の推論ですが、四行から二行に変じる際はなんらかの心因によるものだと思われます」
「心因?」
「日本にいる兄の友人だとなんらかの事件に巻き込まれて孤児になったから炎から闇に変化した、だったり、心から信頼できる人を見つけてその人に忠を尽くすことを強く決めた、ら、風の婆娑羅が光の婆娑羅に変化した、だったり」
小籠包を小皿にとり、荀ケくんにわたす。わーいと喜んだ彼は可愛らしい。
「僕もそんな感じですね。事件に巻き込まれた後氷から闇に変じて驚きました。趙州殿や郭嘉殿がいなければどうなっていたか……」
「心因によりいきなり婆娑羅が変化で暴走してしまい、止める術がわからないから余計にパニックで悪化、周りも怖がるし攻撃するから余計に悪化する、というわけだね」
「はい、まさにそうでしょう」
そう頷いた荀攸くんが肉まんを頬張る。美味しそうである。
「まーー、深呼吸に誘導したらなんとかなる」
「それは趙州殿だからでは」
「真田や文若くんは何属性なんだい?」
「ケは氷です!たまに光に変じると言われますが、今のところ氷です!」
「趙州殿は二つ持ちです」
「二つ持ちというよりかは炎が光に変じる途中って感じですかね」
「複数持つ方もいるんですか」
「いますね。持つというよりは併発という感じですかね。四つ以上併発してると震という属性が新たに現れ始めます。基本的に震を持ってる人はかなり強いです」
肉まん美味しい、と、もっとっと食べる。宝玉とは?と逆に聞かれたが、荀攸先生が武器に属性を追加するものと告げた。取り外し付け替えが可能な点はかなり羨ましい。
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目が覚めたら病人が隣で寝ていて、ひえっ、てなった。なるほど生きている。いやいやいや、病人はベッドで寝ろ、と思ったが、寂しがりだから寄ってきたのかもしれない。川の字で寝てたからな。額に手を当てても熱は下がってそうだ。ホッと息を吐いて郭嘉くんを病人用のベッドに移せば、起きてたらしい。引っ張り込まれて私が壁ドンならぬ床ドンする格好になる。顔が近い。
「おはよう、ナマエ」
「おはよう、郭嘉くん。いやもう来て早々たおれるから心臓に悪いからやめてほしい」
「隣で眠ったことよりも、ナマエが怒っているのはそちらか」
「そうだね。周りに散々迷惑かけやがってこのやろ〜。たまたま学校の先生と出会えて、たまたま大きな病院を紹介してくれたから君助かっただけだかんね!寝ろ!」
そう言ってほっぺをムニっとひっぱる。白いほっぺがよく伸びることで。ひとしきり満足したので手を離し、起き上がる。
「なるほど、やはりここは病院か。身に覚えのない場所だったから、ナマエら荀攸達がいなければ逃げ出していたところだよ」
「それは結構です」
後ろから聞こえた声に振り返る。荀攸くんいつもピッチリしている髪崩れていてsocute。
「おはよう、荀攸」
「えぇ、おはようございます。今日は賈詡さんが参りますので、怒られてください」
「俺は留学していたナマエに会いに来ただけなんだけどな」
「自分の、体調を、試みてください」
「そうだそうだー!」
きゃいきゃいと告げる。趙州殿は黙ると私も怒られたのでお口にチャックする。荀ケくんが、寝ぐずりそうな予感がしたので近づいておはよう〜!とゆすっておいたら、おはようございむす、とにっこり笑われた。可愛いかな???
「郭嘉殿!ご無事でしたか!よかった、ケも攸兄様も、趙州殿も心配していたのですよ!」
間に割り込む子供の強さよな〜と眺めていたら看護師さんがご飯持ってきて、郭嘉くんが起きてることに驚いていた。そのあと華佗先生がきたけど。華佗先生に怒られろ、と念じていたら婆娑羅地区の状況を嘆いて終わった。保護者きたら呼ぶように言われたが。
「おや、目を覚ましている」
ひょこりと顔を覗かせたのは郭嘉大明神である。うっわ、眩しい。
「郭嘉先生、おはようございます」
「おはよう、真田。髪が跳ねてしまっているよ」
そう手櫛で治す郭嘉大明神に、うわっときめく、といいながら心臓に手を当てる。これでよし、ではない。
「郭嘉先生はこれで何人も女の子落としてきたんだろうなぁ」
「おや?心外だな。私はだれこれかまわずこういうことをしているわけではないよ」
「うっ、郭嘉大明神それはいけない……勘違いしてしまう子が多発する……」
これが真にモテる大人、と思っていれば、彼の視線は私ではなく郭嘉くんと荀攸くんコンビに行っている。面白いおもちゃ見つけた感覚か。荀ケくんははわわと目を塞いでいる。癒しである。こほん、と咳払いした音にそちらを見る。なるほど荀ケ先生。今日も麗しい。
「郭嘉殿」
「ふふっ、おもしろくてついね」
「真田、朝餉を適当に買ってきました。そちらの郭嘉殿の朝餉はもうじき看護師が持ってくるでしょう」
「わー!荀ケ先生ありがとうございます!」
「なるほど、ナマエが言っていた同じ名前の違う人か」
郭嘉くんがそうつげる。
「そういうことになるね。気分はどうかな?」
郭嘉先生が郭嘉くんに近づいてそう尋ねる。とてもいいですよ、お陰様でね、と答えた郭嘉くんを眺める。
「うっっわ、顔がいい。荀カルテットもそうだけど、郭嘉先生と郭嘉くんも美形兄弟かな?」
「ナマエ、すぐにそういうことをいうからすぐ勘違いされるんだよ。俺や荀攸以外に言わない」
「ごめん、私そういう仕様だから無理。綺麗なものに綺麗と言いたいし、かっこいい人にキャーキャー言いたいし、推しのファンサが今生きる活力だから仕方ない」
「何かあったかい?」
「なんにもねーですよ。君は自分の体調を気にかけてくれ頼むから」
「面倒なことでもあった?」
「なんもねーって言ってるでしょうが」
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