2022/12/31
2022年度没ネタ整理73
=高校生編
母さんが言ってたのはこういうことかー、と遠い目をする。
目の前に広がるのはどう見ても俺の時代じゃないわけである。まぁ日本か中国かって言われたら、まだ森の中だからわからないが。とりあえず、日本なら父親の苗字、中国なら母親の名乗ってた李を名乗ることにする。
マジで軍師ありがとう俺に軍略を仕込んでくれて。張遼さん徐晃さんもありがとう俺に武力仕込んでくれて。ということで三国史である。いや多分これ三国志だわ。父親達と同姓同名いるし、と思いながら徐兄こと恐らく母さんへ友情よりも色々と重い感情を持っている徐元直と同じ名前の人物をみる。いやー、最後の相手お前かー、と思いながら母親と同じく赤壁にて水没するのであった。ちゃんちゃん。
==
「いやほんと母さんなんなの?俺たちの家系呪われてんの??俺、黄巾の乱から赤壁の戦いまで走り抜けてきたんだけど」
そう言えば母親がピシリと固まって顔を両手で覆った。正史なれば184年ぐらいから208年までの間、約二十年間くらいはあの世界にいたことになるのだが、こちらでは半年くらい行方不明になっていたらしい。まぁ、20年もいたかと言われたら時間感覚が分からないので感覚はないが。さすがに半年行方不明に父親は怒っていたのだが、その言葉を聞いて何か考えたようである。
「ナマエのお母上や父上は何かこう言ったことが?」
「ないと思います。あるならば私が見つかった時理解を示したでしょうし……」
そこまで言ってから、母親はかたまる。なんで固まった。
「母の兄が行方不明になって鬼籍入りした、と聞いたことがあるようなないような……しかし、もう何年も連絡をとっていないので確かめようがありません」
そう言った母親に、そういや父親の親族には会ったことがあれど、母親の親族には会ったことがないな、と思いだす。
「とりあえず、桃李が無事でよかった」
いやー、ほんと、命の危機だけでなく貞操の危機もあるんだもんな。黙ってきいていた満寵さんが口を開く。
「赤壁までいたということは、赤壁で何かあった?」
「赤壁で徐兄じゃない徐庶と一騎討ちしてたら水に落ちて戻ってきた」
「えっ」
徐兄が固まった。徐兄この面子に馴染んでんな。まぁ、俺の捜索を手伝ってくれていたんだろう。
「それは魏で?」
「曹魏で。俺的には徐庶めちゃくちゃ仲良くなりたかったんだよなぁ〜。器用にダブルスパイとかしてたし。まぁ、俺を生かすとろくなことが起きないだろうから来世に期待してくれってはっきり言われて燃える船上一騎討ちした」
「負けた?」
「負けた。撃剣間合い掴めないしバーサクしてたから普通に強かった」
「まぁ、結果水に落ちて敗将にならなかったのが救いかな」
そう言った父さんに、それはあるなー、と頷く。敗将になって打首はちょっと嫌だ。
==
「は?荀攸?」
「李子殿?」
とりあえず現代服だけどもボロっとしているあっちの荀攸(多分小中学生くらい)を見つけた。そばにいるちっこいのは荀ケだろうか。こっちに行ったぞ!という声に、荀攸はハッとしたように後ろをみる。追われているらしい。とりあえず限界っぽい荀ケを抱き上げ荀攸の手を掴む。
「まだ走れるな?」
「……はい!」
「荀ケは俺に捕まってろ。こっちだ」
そう言ってとりあえず路地を抜ける。父親の職場の人達が集まる場所はもうすぐのはずなのだ。待ちやがれクソガキ!とかいう声は無視である。大通りに出たところで追手に合流されて囲まれたが、勝った。なぜなら何をしている?と張遼師匠と于禁さんの声がしたからだ。見るからに相手は怯んだらしい。
「ししょー、文則先生、助けて!なんかこいつら俺の友達追いかけてくる!」
そう言えば、周りは俺をみて張遼さんと于禁さんをみる。なに?と近づいてきた二人が警察であるといえば、顔を真っ青にした周りの奴らは退散した。
「行ったか……」
「無事か、桃李」
「なんとか。ありがとうございます、助かりました」
ホッと息を吐いて荀攸をみる。息を整えてはいるが、顔色が悪い。
「……大丈夫か?」
「少し……疲れただけです。休めば治るかと……」
「そのような顔色ではないな。とりあえずホテルの中で休めばいい。このホテルは今日からしばらく貸切だ。お前の父母に頼めば部屋は分けてくれるだろう」
「勝手にいいんですか?」
「李子殿か郭嘉殿あたりが報告するだろうからな。私も口添えしておく」
「ありがとうございます、お二人とも」
「気にするな」
そう言った二人に俺はとりあえず荀攸にもう少し歩けるか尋ねる。頷かれたのでまた手を引いた、見るからにふらふらである。仕方あるめぇ。一度荀ケをおろし、おんぶする形にしてから、おらー!と言いながら荀攸をひめだきにする。抵抗しないあたり本気で体調がわるいとみた。まぁ于禁さんと張遼さんは驚き、李典さんと楽進さんすっ飛んできて抱えてくれたが。
「こう見えて力あるんだけどなぁ」
「みてるこっちがハラハラするんだよ」
==
「だいぶ具合が悪そうだから、私たちの部屋に寝かしていいよ。楽進殿、李典殿、申し訳ありませんが、子供達を私たちの部屋までお運びいただけますか?」
「わかりました」
「私はとりあえず士元を呼んでくるから、水は冷蔵庫にあるしそれを飲んで」
そう言って母親はパタパタと動き出す。荀ケの頭をよくがんばったね、もう大丈夫、と撫でた母親に荀ケがぐにゃりと顔を歪め、わんわんと泣き出した。おっと、と李典さんが慌てたので母さんが変わったらしい。大丈夫、怖かったね、と安心させるような声色でなだめた。李子殿は相変わらずだな、と告げた李典さんに、たまたま近くにいて様子を見ていた荀ケさんが口を開く。
「ナマエ殿、私が龐統殿を呼んで参りますので、その子と共に部屋に」
「ありがとうございます」
母さんはそう頷くと荀ケをだっこする。李典さん達がまたハラハラしてたけど。
==
疲労からくる熱だろうと言った士元にホッと息を吐く。よかった。何か大きな病気かと思った。しかし、大きい子も小さい子体の傷があるときた。大きい子の方がひどい傷であるが。あまりよろしくない環境にいたんだろうとは判別がつく。荀ケ殿と交代で合流してきた郭嘉さんは、息子をみたが。
「桃李、この子達はどこで友人に?」
その言葉に息子は少し考える。……何故考える?
「父さん風に言えば前世、母さん風にいえば行方不明になった時」
「……おや、参ったね。君は演義の世界にいた、と思っていたのだけれど」
「いや、多分演義だとは思う。だって歴史と全然辻褄合わないし。でもこいつは荀攸だし、ぐずったあと母さんにひっついて寝てるのは荀ケ」
荀ケ、と言って郭嘉さんと士元はひっついて寝ている子をみる。えっ、可愛い……。
「子供だった?」
「いや、俺より年下だったというか、俺と賈詡と程cが同い年くらいの感覚で、荀攸とあっちの郭嘉が同い年、離れて荀ケだった。なんか色々年齢の上下がおかしいからやっぱり演義だと思う」
俺の説明に、父親はふむ?と考える。母親が彼を見上げた。
「何かあるのですか?」
「いや……少し法正殿に用事ができてしまったから行ってくるよ。龐統殿、案内願えるかな?」
「……わかったよ、仕方ないねぇ。ナマエ、目が覚めたら水分をとらしてあげるんだよ」
「わかりました、士元、ありがとうございます」
「ナマエの頼みなら仕方ないからねぇ」
「ナマエ、曹操殿には説明をしておくからこちらは気にしなくていい。桃李は眺めるのに飽きたらおいで」
「もうすでに飽きたというかやることないから父さんについていくわ」
そう言って立ち上がる。母さんに任せていいかと聞いたらいいよ、と言われたので任せるとする。
==
すやすやしている子供はどうやら荀ケ殿らしい。とりあえず隣に寝かせるかと思ったが、どうも服を離してくれないので無理そうだ。怖い夢でもみたのが少し魘されたような子供の背を優しく撫で、子守唄を歌う。しばらくすれば、手の力が抜けた為、異界の荀攸殿の隣に並べて布団をかけた。その物音で微かに目を開いた彼に、まだ寝ていなさい、と告げる。熱のある人特有のドロリとした目で私をみた彼に、大丈夫です、ここは安全な場所ですよ、と告げた。
「……李子、殿?」
「貴方のいう李子は桃李を示すのでしょうね。私はその母です。まだ無理をしては行けません。静かにしなければ、彼も起きてしまいますから」
そう言って、とんとんと、子供をあやすように優しく叩く。荀ケ殿がいることを確認した彼はまたゆっくりと目を伏せた。
「父さん、なんかあるの?」
そう言って父親をみる。最近きな臭い話があってね、と告げた父親は俺を見た。いやほんとこの人ら年取らないよなぁー、とは家族や周りを客観視した感想である。
「身元の特定のできない子供の売買が行われているという情報があるんだ。あとは異世界がどうだとかいうカルト集団がいるともね」
父親は俺の発言にその噂がピンときたのだろう。あぁその噂ならあっしも知っているよ、と士元さんが告げる。
「確かに、子供の売買事件は法正殿が一件受け持っていたね」
法正殿といえば、報復報恩する人というイメージである。俺は関わったことがないが、徐兄と仲がよかったはずである。
「それにしても、半年間行方不明になったと思っていたけれど、異世界にいたのかい」
「いやー、なんか演義の方の三国時代にいた。士元さんには会ってないけど、徐兄じゃない徐庶にあった」
「危ないことはしていないだろうね。お前さんに何かあれば、ナマエが悲しんじまうよ。行方不明の間も必死に探していたんだから」
「龐統殿、それが赤壁でその世界の徐庶殿と一騎討ちしたようでね。あなたから叱ってほしい。私が叱っても効果がないんだ」
いやあんたそのあと詳しい話聞いてひたすら爆笑してたじゃねぇかよ。
「おやまぁ、無茶なことをしたんだね。そんなところも父親に似たのかい。危ないことは大人に任せちまいな」
「うっす」
士元さんには俺は素直に頷く。うまく大人を使えってことね。
「あれ、桃李?郭嘉殿と士元をつれてどうしたんだい?」
「やぁ、徐庶殿。私が法正殿に少し用があってね」
「おや?李子殿の旦那がなんのようです?」
「子供が怪しい組織に酷い扱いをされて逃げ出してきたようでね。追われてたのを桃李が助けたようなんだ。今はナマエが様子を見ているんだけれど、法正殿が似た案件を抱えていたことを思い出してね。少し話がしたいのだけれど」
「へぇ、さすが郭嘉殿ですね。いいでしょう。俺たちもまた少し手が詰まっていたところです」
5/23
Comment(0)
次の日 top 前の日