2022/12/31

2022年度没ネタ整理85


リハなしでそれはちょっと、と思ったが、やるしかなさそうなので頭の中で歌詞を浮かべる。あまりいい感情を持っていない人物がいるのだとは理解してはいるのではあるが。振られてしまったのは仕方ない。随分と仲が良くなった荀攸さん達でぽこぽこ怒っているのを節目に頭の中で自分達の曲を翻訳する。文法的におかしくないか、などを脳内で確認する。
「うーーん、リハなしだとプロの翻訳家が翻訳したわけではないですし、踊りの方に意識が向くので下手したら歌詞間違えるかもですけど、それでもいいなら」
そう告げてみれば、司会者にニヤリと笑われたがそんなものは知らないし、自分は自分のできることをするだけである。何人か必ずいるはずのファンのために数歩前の誰もいない空間に足を運ぶ。というか、音源何があるんだ、と思ったら頭の中で翻訳したものと同じで助かった。切り替える。思考を。あくまで彼であるはずだから彼のイメージを崩すことなく。そうして口を開いて、歌を紡いだ。メロディーを紡げば体は動くのだ。


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できた、と拍手喝采の中後ろを振り返る。曹操さんが手招いたのでそちらにいけばよくやった、とわしゃわしゃ頭を撫でられた。わーい、と喜べば、夏侯惇さんに柴犬と言われたが。知らん。郭嘉さんもよしよしする。
「いやでも翻訳も直訳って感じなので合ってるかわかりません」
「おかしくはないよ。うん、文法も完璧だったしきちんと韻を踏めたね」
その言葉に喜べばぐしゃぐしゃ頭を撫でられる。柴犬、とまた誰かが告げたが。
「いやー、そうしてると主人に撫でられて喜ぶ柴犬だな」
「やはり、そうしていらっしゃる姿からは想像がつきませんが歌ってらっしゃるとプロだなと思いますね」
「ナマエはやっぱり頭が良いよね。さっきの考えてる間にザッと翻訳したんだろう?」
満寵さんの言葉に刻々頷く。荀攸さんが口を開いた。
「これは控えめにいっても我々魏軍営の勝利でいいのでは?」
「そういうわけには」
そう言葉を濁した司会者に、私は定位置に戻る。となりの夏侯覇くんがコソッとぶっつけ本番?と聞いてきたので頷いておいた。


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「ナマエはもう決まってるね、柴犬」
「柴犬……」
そう肩をがっくりと落とす。最近それめちゃくちゃ言われる。
「じゃあ、私は荀攸さんはペンギンだと思います」
「ペンギン?」
「皇帝ペンギンです」
荀ケさんが、そうですね、と納得してるが、本人は俺はそんなに可愛らしい生き物ではないですよと言われる。他は爆笑してる。いや、なんかこう、寒さにじっと堪えるペンギン的な。
「それかヤマアラシとかカピパラ……いやでもペンギンです、やっぱり。南極で微動だにしないペンギン」
「ふふっ、ナマエが当てはめてくれある方がよさそうだ。他は?」
「荀ケさんはアザラシかイルカ、満寵さんがラッコで、賈詡さんがウツボかネコサメ」
「郭嘉殿は?」
「飼育員のお兄さん」
そう素直に言えば盗み聞きしていた周りが吹き出した。動物に例えてないよ、と言われたけどもそれがしっくりくるのだ。
「名前だけ水族館にいないね」
「だから溺れちゃうんじゃない?」
「それはいけないかな」

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「荀攸さんの飲み物の蓋にペンギンを描くのがいまのブームです」
「はい、書いてくれます」
「あぁ、あれナマエが書いてたのか」
「はい、最近頼みます。可愛らしいので」

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「ああああ」
そう言って郭嘉さんの背中に頭をぐりぐりする。台詞と新曲とか殺陣と踊りで頭がパンクしそうだ。郭嘉さんは私を好きにさせている。
「ナマエ?」
「忙しさが重なってパンクしそうなんだって」


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