2022/12/31
2022年度没ネタ整理131
なんでこうなった??そう思いながらそこに居合わせた面々をみる。どう見ても魏軍です、ありがとうございます。私は普段この世界では蜀軍にお世話になっているはずなのであるが、どう見ても魏軍と合流してしまっている。つんだ。目の前にいるのも郭嘉さん(亜種)であるし。
「参ったな、この分だとあの子が蜀軍に混ざってしまっているようだ」
「はい、私もそう推測します。恐らくそれぞれの将が咄嗟に手を引いたのが入れ違ったのでしょう」
「申し訳ありません……」
しょんとした楽進将軍に首を左右にふる。この人のせいでは決してない。向こうも向こうで間違えたようであるし。
「いえ、あなたを責める話では決してございません。偶々あの子と間違いやすい場所にいた私が悪いのです」
「ええと、確かあなたは」
そう伺った荀ケ殿にとりあえず口を開く。私の名は李子、字をナマエと申します、と一礼をすれば、李子殿だね、と郭嘉殿が告げた。少し声が知っている声より低い。私はとりあえずハイと告げてから森に視線を向ける。黒煙が燻っている。
「あちらと合流したいところですが……」
「今はやめておいた方がいいかな」
ですよねぇ、とため息をこぼす。いい人でもいるのかな?と探るのやめて欲しい。
「いえ、そういうわけではないのですが、皆さん恐らく心配してくださっていると思うので」
あとは仕事の肩代わりもしているわけだし、どちらかというとそちらが心配である。郭嘉殿が笑みを浮かべながら口を開く。うーん、顔がいい。
「まぁこうなってしまったのは仕方がない。しばらくは許昌に身を寄せてはどうだろう」
「良いのですか?」
「困ったときはお互い様だからね」
これは何か思惑があるな、とは思うものの、私には今のところそれに頼る手立てしかないのだけれども。とりあえず、ありがとうございます、と返したけども。
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これワザと間違えたな。と、許昌で過ごしている私が思うことである。あの子に与えられた場所は豪華絢爛になっているわけであるが、私にはそう言ったものは必要ないために質素な場所で過ごさせてもらっている。曹操殿の話し相手もするしな。うっかり雇用されかけて私蜀にお世話になってる身なので……といったのだが、今魏軍にお世話になってるわけなので手伝える範囲が有れば手伝います、と言ってしまったのは仕方あるまいて。
「郭嘉殿、こちらは先に片付けた方が良いと思われる案件ですのでお目通しお願いいたします。こちらは後でも多少は構わないでしょう。こちらは賈詡殿にお任せする形でよろしかったですか?」
「ふふ、そうしようかな」
軍師である。いや、最初は楽進李成コンビの仕事の振り分けをしていたのだが、か軍師に引き抜かれた。まぁー、こちらもこちらで膨大な仕事量なこと、である。魏軍は文官多めだと思うのだがそれでも確かにこんな量だった気がする。
「荀攸殿、申し訳ございませんがこちらの案件は荀ケ殿に変わって貴方が関わった方が良いと思われます。荀ケ殿、周りの話を聞くのが貴方の仕事なのは承知ですが、どうかこちらの仕事を先にお片付けください」
「李子殿、満寵殿を見かけてはござらんか?」
「今日の朝、朝食をお持ちした時点では東の方で兵器の修繕をされていましたが……」
そう言えば徐晃殿にそこかぁみたいな顔をした。お礼を言ってそのまま部屋を出ていった彼らを見送れば、劉備と諸葛亮はと賈詡殿が口を開く。
「我々と違い、いい人材を手に入れたようだ。羨ましい限りだね」
「私が仕事には慣れているだけです」
貴方達との、という言葉は伏せるが。というか気密事項たまにあるっぽいけどいいのか。これやっぱり蜀軍に返してくれないパターンでは。
「貴方のような美女がいつもいれば私の仕事も捗るのだけれど」
「そうですか。私ははやく蜀に帰らないと水鏡門下はともかく法正殿に怒られる気がしてますよ」
「……もう怒っていますがね」
おっぷす。そう思いながら後ろを振り向く。海外壁ドンというか、出入り口の柱にもたれかかった彼は絵になる。いつからいたんだこの人は。
「何してるんです?」
「魏軍に保護されたので仕事を手伝っていますね」
「ほう?こちらが必死になって探していたというのにいい度胸ですねぇ?」
「それに関しては謝ります。戻る好機を逃していました。しかし、あなた方もあの子を送り届けたついででは?」
「えぇ、そうですよ。貴方が魏にいるとは思いもしませんでしたが。貴方の分の仕事はたっぷり用意していますのでご心配なく。戻りますよ」
「曹操殿に挨拶を……」
「いりませんよ、劉備殿じかじかに告げてるはずですからね」
そう言って手を引っ張られる。まぁ、郭嘉殿に掴まれたけどな。
「法正殿、いきなり連れて帰るのはいかがなものかと思うのだけれど」
「あぁ?勝手にいきなり連れていったのは貴方達なのだから連れ帰るのはこちらの勝手では?」
「おや、ひどい言種だね。私たちは彼女を保護しただけなのだけれど」
いかん、遠い目をしてしまう。私を挟んでそんな会話しないでほしい。漫画ならバチバチ火花が散っているような気がするが、私は蜀である。
「第一、ナマエ殿もナマエ殿ですよ。貴方、わざと魏軍が貴方とあいつを間違えたことぐらい理解していたでしょう。なんで抜けてだしてこないんです」
「ぬけだしたら絶対間者扱いされて最悪投獄される気がしたので正式に迎えが来るまで待とうと思いまして」
「それは良い判断ですね、確かに魏ならやりかねない」
「どこの国も、では?このような状況下なら怪しんで当然でしょう。諸葛亮殿や貴方だってそう判断するはずです」
そう困った顔をする。売り言葉に買い言葉はよろしくない。
「魏を庇う意味はあるんですか?同情ですかね?それとも私情を?」
「私情と言えば私情ですかね」
法正殿の言葉に肯定する。彼は微かに驚いた。そして、潁川郡で主に話された言葉で口を開く。
「元の世界の兄達のようなに少し似ていたので、懐かしくて。私募などではありませんよ」
あとは普通にお世話になっていたので、と併せて付け足しておく。
「恩は何らかの形で返さなければ」
「言いたいことは分かりました。恩は十分返したでしょう。帰りますよ」
法正殿がそう言った瞬間、劉備殿と趙雲殿、あとは曹操殿がやってきたが。おぉ、李子!無事だったか!とつげた劉備殿と趙雲殿に魏軍のおかげで無事だったことを告げたのだが。まぁその後は引き止められつつも魏を後にした、のであるが、偶に戻っておいでと言われるのは笑った。
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怒ったって仕方がないし、嘆いたって仕方がない。目を伏せて、言いたいのはそれだけですか?と尋ねる。私が元の世界では魏にいたことなんていつかはバレることだろう。私が男装していたことは元の世界の一部にはもうバレている。魏軍の多くが私の外側よりも内側に焦点を当ててくれていただけだという話だ。
「あの世界のことが、この少し違う世界で何の意味があるのでしょうか」
私の知っている彼らと目の前にいる彼らは違う人だ。そんなもの、私が一番いやでも理解している。前の世界の人間関係など、この世界では意味がないことなのだ。足元に転がった剣を見下ろす。私の飛翔剣である。これは幸運だ。とりあえず拾っとこ。
「それで?仰りたいのはそれだけですか?答えとしては最初に私を助けてくださったのがこの世界では蜀の方々で、今の私にできるのはその恩に報いることだけです」
「貴方は騙してたくせに偉そうな口を聞くのはどうかと思うけど」
「騙していたとは?」
「シラを着るの?この世界の人達も、あの世界の人達も。貴方は騙していたのよ」
「身分や肩書き、上部だけの物事に踊らされるような方達ではありません。そして、あの世界のことはこの世界に関係がないことです。この世界の方々も、あの世界の方々も」
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