2022/12/31

2022年度没ネタ整理158


「伯寧殿!!」
そう言って李子さんは慌ててかけよると、怪我をしている背の高い男性に近づいた。おや?と首を傾げた彼は李子さんをみおろした。
「ナマエ殿じゃないか。無事だったんだね。君がいなくなって、私達は大忙しだよ」
「その話は後でいたしましょう。怪我の手当てを……」
「ん、それとも私が死んだかな?」
「滅相なことを言わないでください!こちらが仮に死後の世界なら、私は貴方を叩き出します!はやく手当てを」
「はは、ナマエ殿だなぁ……」
李子さんにもたれた背の高い男性に、李子さんは珍しくわわっと声を上げた。
「伯寧殿!!ねないでください!!私一人で貴方を運ぶなど無理です!」
「うーーん、怪我人に手厳しい……というより、私に、てきびしい……」
そう言って意識を落としたらしい。李子さんはバランスを崩しかけたがなんとか保ったらしい。周りは李子さんの珍しい面を見たからだろう。目をパチパチと瞬いている。
「どなたか、てつだって、いただけるとたすかります……」
そう言えば、張郃が李子さんを支え、趙雲殿が手伝ってくれたのだが。

伯寧殿という呼び方、この身長、およびこの白い服にかけ間違えたボタンとなれば、100%満伯寧こと満寵と呼ばれる人だろう。1日2日は寝込んだものの、すぐに回復をした彼は動きやすい服をきてはいるがまたボタンをかけ間違えている。
「伯寧殿、また釦をかけ間違えていらっしゃいます」
「おや?気をつけたはずなんだけどなぁ」
「貴方は相変わらず困った方です」
やれやれと息を吐いた李子さんに、人の本質はそう変わらないよと告げた。満伯寧は李子さんの髪を触る。どこか甘い雰囲気である。あーー、ネオロマ!!ネオロマ無双が始まってしまう!!たまに李子さんもするけど!!ちなみにそれ(ネオロマ無双という名の李子さんのデレ)に一部はころっと落ちるのである。
「ナマエ殿は髪を伸ばしたんだね」
「色々ありました。そりゃもう色々と」
「お互いの状況をすり合わせた方が良さそうだ」
「はい、私もそう思います。故郷では私はどういう扱いですか?……というよりは、貴方の言葉からして死んだことになっていますね」
「ほぼ、ね。特に君が関わりがない国の認識はそうかな。私達はまぁ生きているとは信じているけど、信じていても事実は逆だったということも多いからね。私は死ぬはずはないとは信じているけど、君は死んだと思っていたかな」
はっきりいうなぁと思っていれば、そんな言い方、と星辰が告げたが、まぁ伯寧殿は気にしていないのだろう。
「君に記憶はないだろうけれど、あの世界の前、君は川に沈んで帰ってこなかった。何年も、何十年もね。今回もあの川だ。君は川と相性が悪すぎるんじゃないかい?」
その言葉に首を傾げる。あの世界の前、とは?と考える。もしや、この二人遠呂智の世界からきた……?というか遠呂智の世界ってやっぱり先の人は誰それが死んだって記憶あんのか。辛くないかそれ。
「でも、まぁ、こうやってナマエ殿が生きていることが確認できてよかったよ。うん、それは収穫かな」
「伯寧殿はどうしてここに?」
「恥ずかしながら妖魔の策にはまってしまってね。気づいたらこの近くにいたのだけど……」
伯寧殿の言葉に、李子さんが今度は説明を始める。川に落ちたら空から降ってきて仙人の左慈師匠に拾われたこと、天刑宗の存在、俺が勢いあまって清河をとり政治ができないので独り立ちするまで補佐をしていること、などなどである。周りも李子さんの生い立ちみたいなものを初めて聞く人が多かったんだろう。驚きながらも静かに聞いている。
「落ち着いたら元の世界に戻る術を探そうと思ったのですが」
「ナマエ殿、落ち着いたらとかそういう次元ではないよ。ナマエ殿の業務量は元から多いんだから、変われる人間なんてごく僅かだ。話を聞くにその寵沙殿は武将よりだろう?君の場合官僚を教育して仕事を分散した方がはやいよ」
見抜かれている。ちなみに李子さんはもうそれを実行済みであるが、みんな李子さんに世話をやかれたい感はする。
「かわい子には旅をさせよ、っていうだろう?過保護なのは良くないよ。私に世話を焼いてくれるのはいいのだけれどね」
「伯寧殿は罠や築城の相談をされたいんでしょう」
「そうともいうけれど、構ってほしいともいうよ。だって、君、せっかくほとんど同い年なのにやれ上司の補佐だの、やれ別の上司の資料管理、私達への仕事の振り分け進捗確認に兵達への激励官僚の相談、同盟国との会合関係、ついでに上司の世話……」
などなどなど。うっわーー、李子さん仕事量えっっぐ。いや、今もえぐいが。
「はは、でも、ここにいると私がナマエ殿を独り占めできるね。じゃあさっそく、見かけた装置や城の仕掛けについて聞きたいんだけど……」
「貴方も案外ですよ」
李子さんのツッコミに、満伯寧は首を傾げた。

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