2022/12/31
2022年度没ネタ整理160
元の三国世界に戻るかとおもっていたのに、まさかの現代。トリップした当初に戻る年齢。くわえて学校生活である。馴染めなさすぎた。恐らく元の三国世界では死んだ扱いになっているのだろう。だから、戻ることは許されなかった。恐らくはそれだけの話だ。でも、私は気づいた時泣いた。目を腫らすくらいないた。平和な世界になじめといわれても、だ。夢ではないと確信できたのは、もう一つの三国史の世界で作った飛翔剣を扱うための腕輪、死ぬ少し前の郭嘉さんからいただいた簪があったからだ。
その日も私はそれを身につけて、まぁ学校に通っていた、のだが。また何かに巻き込まれて今である。一緒に巻き込まれた人達とは完全に逸れたが、空いている隠れ処を見つけ、拠り所にしていたのだ。一人で暮らすにはちょうどいいくらいだったし。
恐らく、ではあるが、ここはこの人の持ち物だったのかもしれない。
目の前にいるのは荀攸殿と思わしき人である。思わしき人と言ってしまうのは彼が私の世界のようにセンター分けにしたり髪を纏めたりしていないからだ。顔立ちで判断はしたが。恐らく、であるが、彼を見る限り私のいた三国世界でもない。望みを絶たれてしまったな、と思った瞬間、私はまた涙を流した。それをみて、彼は目を見開くと、駆け寄ってくる。
「申し訳ございません。すぐに出て行きます」
そう言えば、彼は周りを見て何か理解したのだろう。いえ、その必要はありません、と断りをいれた。はらはらと涙を流せば、彼は遠慮がちにその涙を拭う。
「ごめんなさい、すぐに泣き止みます」
「お気にせず……驚かせてしまった俺が悪いので」
まぁこの人のことだから敵か味方か判断しているのだろう。没落した家の娘だと思われている可能性はある。とりあえず私が泣き止まなければ話になるまいて。とりあえず、息を整える。そうすれば、涙は止まるはずだ。
「ごめんなさい」
「いえ……」
「こちらの家は貴方のものでしょうか?」
「はい、俺が使用していたものです。貴方も何か事情がおありのようですね」
話を聞いてくれるの、相変わらずだなぁ、と思う。とりあえず、今までの経緯を話せば彼は目を瞬いて、ふむ、と考えた。私は他人の持ち物なのであればここから出て行かないといけないな、と荷造りをはじめる。
「なにを?」
「いえ、こちらが空き家だと思っていたので……立ち去ろうと」
「構いません。安心して過ごす場所が必要でしょう。俺もたまにしか来れませんし、管理していただけると楽です」
人間できてるなこの人、と思いながら、ありがとうございます、とふにゃりと笑れば、彼は動きを止めたが。
「私の名は苗字ナマエと申します。呼びにくければ、李子とお呼びくださいませ」
「俺の名は荀攸……荀公達と申します」
うーん、やはり、測られてる感じはするにはする、が、彼は人間できてるので礼儀正しくしていたら心配いらない。
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荀攸殿の話を聞けば、遠呂智世界であることがなんとなくわかる。私の同級生達が迷惑かけているようで、私は胃が痛い。処刑されないように頑張ってほしい。数ヶ月もすれば、流石に荀攸殿とも打ち解けた。酒を飲む彼は相変わらず饒舌である。
「その点、貴方の礼儀も所作も完璧です」
「私は所作や礼儀を教わったことがありますから。他の方より知識がある、それだけですよ」
そう困った顔をすれば、同じ教育を受けているとは思えませんとぼやく。私は家庭や交流で教わった、ことにしておく。鬱憤が溜まっているらしい。だんだんと酔い潰れかけているので、とりあえず荀攸殿を私の寝台に案内し、私は長椅子で寝るとする。まぁ起きたら逆になっていて「???」となったのだが。
「公達様……?私が長椅子で寝たはずでは?」
「女性をそのような場所に寝かせることはできかねますから」
酔ったふりっぽいな。
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妖魔軍の活動が活発になった、ので、危険だから許昌にくるように荀攸殿に言われてきた。荀攸殿が手配してくれた屋敷に住むことになった、のだが、他の子の安否が確認できないのよな、と、書物を読む。流石の荀攸殿、選書が大変よろしい。あとは風土記みたいなのもあるから楽しい。黙々とよんでいれば、視線に気づいてそちらを見る。郭嘉殿である。ふふ、と笑った彼も少し違う。やはり、こちらも別人である。
「驚かせてしまったかな」
と、言った彼の声は違う。雰囲気は一緒だ。でも、まだ、決定的な違いがあって良かったと思った。でないと私は大泣きする。
「申し訳ありません、書物に熱中するあまり……ご客人が来訪されているとは……」
「気にしないでほしい。私が勝手に中に入ってきてしまっただけだから」
何をしてるのかな?と尋ねた彼に、風土記を読んでいました、と言えば彼は不思議そうな顔をした。
「貴女は読めるんだね」
「少し家で学んだことがあります」
とかえす。不自由なことがないか、とか、色々聞くあたり、荀攸殿の差金だろうか。
「荀攸様は異邦人である私にとてもよくしてくださいます。そのどこに不満を抱きましょうか」
そう困った顔をしていえば、彼は少し笑みを浮かべる。
「貴女は他の子とは違うんだね」
「他の子、ということは、他の方々はこちらに?」
「ここにはもういないかな」
「もう?」
「どうもここでの生活が合わないみたいでね。他の国に渡ってしまったよ」
そう告げた郭嘉殿に目を見開く。
それはどちらだろうか。追放か、出ていったのか。どちらにしろこの世界でその待遇では、現代を生きる彼彼女らなら難しいのではないだろうか。
「心配しなくていい。貴方ならそうはならないと思うけれど」
ということは追放されたと考えるのが良いだろうか。困った顔をしてしまう。生きていたらいいのだが。
「もしや、皆が貴方様達に失礼なことを?」
「そうだとしたら?」
「皆に変わってお詫びを申し上げます」
そう静々と頭を下げる。郭嘉殿のその返答は恐らくイエスだ。彼は一拍置いて顔を上げてほしいと言った。
「貴方が謝る道理はないよ。あの子達の話を聞くに、あの子達は目を覚まさない貴方を置いていったのだから」
ああー、だから私一人で起きたのか。なるほど納得である。その間に野盗に襲われなかっただけ運がいい。
「ナマエ殿、こちらにいましーー郭嘉殿?」
そう言ってやってきたのは荀攸殿である。やぁ、荀攸殿と手を軽やかにあげた郭嘉殿に荀攸殿が不思議そうにしている。
「どうしてこちらに?」
「どういう人か確かめたくてね」
「ナマエ殿は他とは違います」
「うん、私もそれを確認したところだよ」
郭嘉殿はそういうと、貴方の名前はナマエというんだね、と私を見下ろした
「失礼いたしました。苗字ナマエと申します。呼びにくければ、李子とお呼びくださいませ」
「李子?私たちの名に似ているけれど……」
「貴方達のような文化をお持ちの方と交流する際に使っている名です」
そう簡素に言えば彼らは納得したようだったが。とりあえず、荀攸殿が探していたようなので口を開く。
「公達様、私を探されていたようですが……」
「あぁ、いえ、貴方はこの時間はいつも部屋にいらっしゃいますので。少し探しました」
「申し訳ございません、今日は天候が良かったので庭先で書を読んでおりました。公達様が置かれている書はどれも興味深いものばかりで」
そう言えば少し嬉しそうにした荀攸殿可愛いな??昔は頼れる兄みたいな認識と少し生意気な可愛い弟みたいな認識だったが、彼は髪を下ろしているのもあって少しだけ幼く見える。
「それは良かった。俺好みのものばかりですので。偶には外出でもどうかと誘いにきたのですが……」
「おっと邪魔をしてしまったかな?」
「いいえ、ナマエ殿も知り合い増やした方がいいとは俺も常々思っていたので」
「なら、私も共に出かけても?いい店をしってるんだ」
「郭嘉殿のおすすめなれば、美味しい店なのでしょうね」
これは行く流れだな、と思いながら書物を横に置く。侍女達が伺うように私を見た。でかけるなら準備をしろということだろう。
「では、少し準備をして参ります」
「はい、お待ちしております」
「ゆっくりでいいよ」
二人に一礼してから下がる。侍女達が服を持って並んでいたが。うーーむ、動きやすい服がいいのだが。それにしても、彼彼女らが何をして追放みたいなことをされたか調べた方が良さそうだ。
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失礼なことを色々してるし迷惑をかけてるしどうしようもないのだが、どうしたものかと眉尻を下げる。そりゃあ郭嘉殿はぼやかすし、荀ケ殿は私に疑い深くなる。曹操様に頭を下げる。
「申し訳ございません。同郷の者があなた方に大変失礼にも迷惑にもなることをしてしまいました」
「お主がしたわけではないだろう」
「しかし、同郷です。誰かは拭わねばなりません。非礼を詫びていないなら尚更です。大変申し訳ございませんでした」
何もかも、いけない。無礼に値すぎる。曹操様だから多少は許されただけだ。これが董卓なら恐らく彼彼女らはすぐに命を落としている。顔を上げろ、という声に顔をあげる。
「お主の誠意は伝わった。だが、あれらの所業は到底許されるものではない」
「はい、理解しております。そして感謝しております。貴方様が寛大だからこそ、彼彼女らはこの国を立ち去ることで済んだ。人が人であれば命を落としていたでしょう。ありがとうございます」
そう言って挙礼をする。あとは彼彼女らの無事を祈るしかできないが。曹操様がふっと口元をゆるめた。
「お主の名はなんという?」
「苗字ナマエと申します。呼びにくければ、どうぞ李子とお呼びくださいませ」
「李子?」
「貴方達に似た文化を持つ国と交流する際に使う名です」
「そうか、李子よ。お主には何ができる?」
そう問いかけた曹操様は恐らく私を見極めている。
「お主を保護した荀攸は人間ができている。お主が何もできなくとも面倒は見るだろう。が、お主が償いたいというなれば別よ。あれらは損害しかもたらさなかった。お主がつぐないたいのであれば、我らには利がいる。お主には何ができる?」
見たところ武働きが得意というわけではないだろう。
その問いかけに少し考える。私が何をできるのか。兵法は扱える、算術もだ。しかし、女だ。女であればあの頃のように働くのは難しい。何ができるのか。確かにそうだ。孟徳、と夏侯惇殿が曹操様を呼んだ。流石に荀ケ殿も少し困り顔である。
「冗談よ、お主にはそれを求めぬ」
そう言った曹操様は目を伏せる。ふむ、答えるのに時間がかかりすぎたか。
「しかし、われらに害があればお主を捨て置く。覚えておけ」
「かしこまりました」
そうはならないように、しなくてはいけない。荀攸殿のためにも。
「ナマエ殿」
「はい、なんでしょうか、公達様」
あの後だ。家に戻れば心配そうな荀攸殿がきた。
「貴女は有用です。ここにあるのは兵法に風土に関する書、算術に関わる書、その全てを理解できているのであれば、貴女は有用なのです。なぜそれを仰らないのですか」
「公達様、私は女です」
「……」
「女の私ができるといえば、一部の方々は激昂しましょう。この時代に望まれる女性は家を守る者のはずです」
眉尻をさげてそういえば、荀攸殿は口籠る。甄姫様は良いのだ。曹丕様と共にいたいという理由があって、戦場に立つことができる。蔡文姫殿もそうだ。彼女もまた、曹操様に認められている。王異殿にも理由がある。しかし、今の私には理由がない。一族や過去の功績といった後ろ盾もない。恐らく曹操様は余計なことはするなと私に言いたかったに違いない。混乱を招かないためにも。荀攸殿は少し考えて、口を開く。
「ナマエ殿、貴方はとてもよくできた方です。俺には貴方の才を知りながら、家に居ろとは言えません。貴方の実力は俺が保証いたします。心許ないかもしれませんが俺が後ろ盾となりましょう」
そう言ってくれた荀攸殿は優しい方なのである。ありがとうございます、と微笑めば彼はいいえと目に少しだけ感情を灯して口を開く。
「俺に出来ることを口にしたまでのことです」
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郭嘉殿が不在の軍議も珍しい。昨日は若干体調悪そうだったから、今日は休みだろうか。私を連れてきたことで荀攸殿には厳しい視線が向いた。というか私にも向いたが、荀攸殿が庇ってくれたのだ。しかし、そう動くのかぁ、とは思わなくともない。頭の中で段取りを考える。相手の性格などは荀攸殿に教えてもらい、頭の中で合致させたところだ。
「ナマエ殿、何か思うことはありますか?」
「荀攸殿」
官僚が嗜めるというよりは糾弾する声がする。私は無視をして口を開く。
「では僭越ながら」
そう言って口を開く。ここをこうしてああした方がこういう理由で良いのではないかということを言えば、周りが静まった。この人はこうだと聞いたからこうした方が良いし、あの人はこうだからと言う。
「あっはっはぁ、これは驚いた。まさかこんなことができるとは。様子を見たところ、荀攸殿の入れ知恵ではなさそうだ」
「荀攸殿というよりは郭嘉殿のような考え方だね」
「郭嘉の入れ知恵か?」
「いいえ?私は何も言っていませんよ」
後ろからやってきた郭嘉殿はやはり体調が少し悪そうに見える。しかしそれをここで言うのは藪蛇というべきか。
「郭嘉」
「郭嘉殿、軍議に遅刻とは……」
「失礼、可愛らしいお嬢様達がはなしてくださらなかったので遅れてしまいました」
それは嘘だ。違う人だろうけど、同じ人だ。嘘だとはわかる。きっと彼は体調が良くない。彼はゆっくりと歩いて隣にならぶ。
「彼女の策は私の考えに確かに近い。というより、わたしを基準に他を足したような考え方です。ナマエ、ここの理由をもう一度聞いても?」
「はい。こちらはーー」
そこからは郭嘉殿とのほぼ一対一での問答である。ここの戦力は、国力、資源、妖魔軍の兵力、期間。そんなものを混ぜながら勧める。ううむ、郭嘉さんの発言は確かだ。
「確かに貴方様の言うとおりにこちらをこうした方がはやく決着がつきます」
「ナマエ殿の策をよういればこちらの被害は減らせる」
「しかし、期間を短くした方が結果的に被害は減らせる気はします。時間をかければ兵がいなくなる可能性もあるでしょう」
ふむと二人で考える。こちらをこうする、否、こちらをこうした方がいい、という話をしてから別を考えてみる。
「では、この隊をこうして……」
「おや、気が合うね。わたしも今そう言おうとしたところだ。こちらを手前にする。そうしてしまえば期間も短くて済むし、被害も減らせる」
「はい、わたしもそう思います」
そこで、はた、と周りの視線に気づいて動きを止める。曹操様が興味深そうに私を見た。
「失礼いたしました、出過ぎた真似を」
「いや、驚いた。郭嘉の問答についてこれるとはな」
「はい、非常に驚きました。公達殿の言葉は信頼していますが、まさかこれほどとは」
「しかし、何故あの時に言わなかった?」
賈詡殿の発言に、考えていました、と告げる。
「私には後ろ盾は何もありません。理由なく手伝うこともできなければ、一族や功績もありません。知識があると伝えたところで、あの人達の件があります。信頼していただくのは難しいかと思いました」
「それもそうだ」
「それに加え、女です。女は家庭を家を守るもの、でしょう」
今日は公達様に連れて来ていただけたうえに発言を許可されたのでこのようなことにできただけです。
そう目を伏せれば、殿、と郭嘉殿が少し声を弾ませて口を開く。
「彼女は私たちの手伝いをしてもらっても?」
「それがよかろう」
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何故知識を持つのか。誰にその知識を教わったのか。
親交を深めるために食事でも、と郭嘉殿に言われて食事を振る舞われる。出されたのはお酒だろうか。体がほてるような感覚がする。あまり飲みすぎてはいけない。
「基本は先生に教えていただきましたが、応用などとなると兄にような方々になります」
「兄のような方?」
「はい、交流先で私の面倒を見てくれた方々で、ご人いらっしゃいました。昔はその方々の後ろを追うのに必死で……」
必死に仕事をして、必死に生きて、全ては国のために曹操様に恩返しをする目的のために生きて。人生を楽しまないと、とは郭嘉さんの言葉だったが、郭嘉さんが、いなくなって。それから、忙しくて、がむしゃらに走るしかなくて、一人で。そして、水に。
「ナマエ殿?」
覗き込んだ郭嘉殿は、郭嘉さんと同じ仕草で。顔も瓜二つで、私はほろほろと涙をこぼす。彼は少し驚いたように私を見た。それを袖で拭って無理矢理堪える。
「申し訳ございません。泣くつもりなど、なかったのですが……どうやら酔いが回ったようです」
そう言って苦笑いをする。荀攸殿がハンカチのような布を差し出しながら口を開く。
「酔いもありますが、緊張が解れたのでしょう」
大丈夫です、と告げた荀攸殿に、また私は泣いてしまうのだが。
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もしもだ。もしも、続きがあったなら、こうであったのかもしれないと思う。いや、あの日がまるで戻ってきたようだった。
先を行く彼らの背を見つめる。みんな酔いどれだ。街ゆく人も、彼らも。
「ナマエ殿?」
ーーナマエ?
そう言って振り返ったのは郭嘉殿ではなく荀攸殿であるのだが。私は少し小走りで彼に追いつく。
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「李子さん……?」
そう声をかけられて振り返る。そこにいたのは寵沙という名を与えられていた少年である。寵沙?と首を傾げれば、彼はぱぁっと目を輝かせて私によってきた。
「李子さん、元気にしてた!?」
「はい、私は元気です。あれから現代に戻ったのですが、また巻き込まれてしまい……」
困った顔でそう言えば、彼は俺も俺も!と口を開く。
「いやー、なんかさー、高校のオープンキャンパス?に行ってたら巻き込まれてさー、高校生達仲良くないし、俺置いてかれて蜀なんだよ。李子さんは?」
「私はしばらく目覚めなかったようで、置いてかれたそうです」
「は?あの寝てた人李子さんだったの!?俺気づかんかった!ごめん!!」
「いえ、制服だったので気づかなくて当然かと思います」
そう言っていれば、荀攸殿が、ナマエ殿、と声をかける。
「お知り合いですか?」
「はい、同郷の知り合いで……同じように文化交流したりしていた弟みたいな感じです」
ざっくりとそう説明すれば、彼は納得したようである。
「そうでしたか。名を伺っても?」
「苗字ネム……ですけど多分呼びにくいでしょうし、寵沙と申します!よろしくお願いします!」
そうきちんと挙礼をした寵沙が同じ苗字だったのはびっくりである。荀公達と申します、と挨拶を返す。まぁ、ぐわし、と寵沙の頭は後ろから来ていた法正殿に掴まれたが。
「いででで、いでで、」
「誰ですか、魏の軍師相手によろしくとか言ってる馬鹿は。今この現状は味方なだけですよ」
「嫌だって姉みたいな人がそこにいたから、よろしくしたいと思って」
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