2022/12/31
2022年度没ネタ整理162
世界を跨いだら子供になってしまった。だいたい小学生くらいだろうか。ちんまりとした手足、ダボダボになった服。私とその左右隣にいる私よりさらに年下の子供はそうだというのに、周りは見目美しい大人になってはしゃいでいる。まぁそんな折に妖魔に襲われてより集まったような軍に助けられた。ちなみにスカートは完璧に脱げたので、ワイシャツワンピースになっている。イケメンだ美女だと騒ぐ周りを手なづける郭嘉さんはどの世界でも流石だなと思いながら、私はとりあえずお礼を言いに行くとする。ちょうど人間ができてると噂の荀攸殿と曹操様、士元と劉備様、魚粛殿と孫堅様がいるのが見えた。少し挨拶をしてきます、と両端にいる二人に言えば二人とも俺も行く!とのことなので、二人を連れてそこに向かう。まぁ君主組を配下組が庇ったけどな。報告にきていた兵がは私の前で挙礼をした。よし。こちらに向いた視線に私は口を開く。挙礼をして口を開く。
「助けていただき、ありがとうございました。貴方達が来られなければ、どうなっていたことか……」
そう言えば、左右もありがとうございました!と告げるあたりいい子である。
「私の名は苗字ナマエと申します。目を覚ましたら、このような状態でこの子たちやあの方々とこちらにいたのですが、こちらは一体どこでしょうか」
困った顔をして彼らを見上げる。迷い込んでしまったのか、可哀想にと告げるあたり劉備様は劉備様である。この時代、孤児なんて腐るほどいるだろうに。荀攸殿が口を開く。
「こちらは烏林と呼ばれる場所です。身に覚えは?」
めちゃくちゃある、とは流石に言えないのでその問いかけには、考えたふりをしてから「海を挟んだ隣国の土地にそのような名前の場所があるとは知っています」と答える。魚粛殿が口を開く。
「ということは戦国側の子供か?」
「戦国?」
「徳川家康や織田信長に聞き覚えはないのかい?」
そう尋ねた士元に少しだけ考える、ふりをする。
「私の国に古くいた方々です」
「古く?」
「だいたい四百年ほど……」
とざっくり言えば彼らは動きを少し止めた。まぁ、魚粛殿がケラケラと四百年か!と笑い出したが。
「それは途方もない時間だな!」
「未来からきた、と言えば聞こえがいいですが」
「違う世界の似た世界かもしれないからねぇ」
「違う世界の……似た世界?」
やっぱり遠呂智だろうか?と思いながら首を傾げれば、荀攸殿が子供にどう説明したものか……と考えるあたり彼はいい人なのだ。まぁ、そんな雰囲気も隣にいる子供がぐうとお腹を鳴らした為に緩まるのであるが。そちらを見れば、子供が私を見上げる。
「なー、なー、はらへった。ナマエさん、なんかもってない?」
「後で探しますので、もう少し待てますか?知らない場所なのであれば、私たちはこれからどうするか考えなければなりません」
「ナマエさんがいたらなんとかなるなる!」
「なるなる!」
これはもしかしたら名無殿(私と入れ違いで晋にきりかわるあたりに呉いたらしい同郷)と寵沙では、とは思う。
「過信しすぎです。私は大人ではありません。もう少し大人の方のお話を聞きますから、少しだけ我慢してください、ね?」
そう言えば、彼らは仕方ないなぁと言った。意気投合するんじゃない。まぁ孫堅様達がふはっと笑ったが。
「腹が減ったか。それは大変だな。すこしわけてやろう」
「ありがとうございます!!」
「ありがとうございます!!」
わーいと喜んだ二人に、私は重ねてお礼申し上げます、という。
「気にしなくていい。難しい話はお前だけで事足りよう。遊び盛りに腹を減るのを我慢してじっとしておけば苦だぞ」
「苦だぞ!」
「そうだぞー!」
兵が持ってきた饅頭を持ってぴょんぴょん跳ねる二人に少し叱る。
「二人とも、調子に乗りすぎですよ。喉を詰めます、周りの方の邪魔にならないように座って食べなさい」
「はーい!」
そう言って端に言って座って食べている二人のそばにはまぁ呉とか蜀の武将がいるから大丈夫だろう。
「申し訳ございません」
「いや、子供はああいうものだからな、気にするな。お前は腹は減ってないのか?」
「私は大丈夫です。ご心配ありがとうございます」
「うーん、できた子だねぇ。服がこちらの服なら何処かの貴族の子かと思ってしまいそうだ」
士元の言葉にめちゃくちゃ困った顔をしてしまうのだが。これ、女だって言った方がいいのか迷うな。曹操様の視線とかちあったので、困った顔のまま「あの?」と伺っといた。と、思ったら情報収集終えた軍師組が戻ってきたな。私は邪魔にならないように端による。
「その子供は?」
「あの連中と共に迷い込んだらしい」
そう言ってまた向いた視線に、頭を下げる。そして、とりあえず邪魔になるだろうと口を開く。
「貴方様がたのお邪魔になりますので、また後ほどお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
そう伺えば郭嘉殿が口を開く。
「おや、この子はとても礼儀正しいね」
「はい、先程からこのように礼儀正しくこちらと話してくださいます」
「あの者たちはなんと?」
「気づいたらここにいたのだと言っていました。まぁ、見目麗しい連中です。天から降りてきたのかもしれませんよ」
郭嘉殿はそう冗談を告げた。この子供と同じか、と告げた曹操様たちに、礼儀はまるでなっていませんがね、と法正殿が鼻で笑ったが。あちゃあ、と内心思う。一応フォローしておこう。
「恐らくではありますが、私達と貴方がたでは文化が少し違うように感じます。そのことも相まっているのでしょう」
「それにしてはお前さんはあっしらの礼儀がなっているね」
「私は他の方が貴方達にお声掛けする姿を拝見しましたし、知り合いの方から貴方達の文化に似た礼儀を習ったことがございます。偶然できたというものです」
困った顔をして、士元にそうつげる。孔明くんが「学んだことを実践できているのは偶然ではありません」とふっと笑ったが。荀攸殿が頷いているのが見える。郭嘉殿が私の目線に合わせて屈んだ。
「君も一緒にきたのかな?」
「恐らくは。元は同じ場所にいたのだと思います」
「あの人たちは君を知らなさそうだったけれど……」
まぁーー、縮んでますから。元の世界に戻ってからはクラスの端っこ文学少女でいきてますから。読み漁ってるの中国史とかですけど。ふむ、とその集団をみた。うーむ、睨んでくる人、心配そうにしている人、色々だ。考えてから口を開く。向こうが知らないというのであれば。
「おかしいですね、同じ場所にいたのならご存知なはずなのですが……しかし、妙です。よくよく見れば、みなさま私が知っている容姿と異なります。あの服は制服と言って、学校の生徒が着るものなのですが……皆様どう見てもそれにそぐわない大人の方ですね」
「学校?」
「はい。だいたいの皆が通ってる場所で、そちらで色々社会に出てから必要なことを学びます。私たちの国が国民にかしてる義務は15まで学校で学ぶことですが、十八まで学ぶ方が比較的に多いです」
「君はそこで私たちの礼儀を学んだのかな?」
「いいえ、私が学んだのは私的に学びました」
そう受け答えすれば、いい子だねと頭を撫でられたが。うーーん。仕草が一緒。郭嘉殿が立ち上がると共に離された手を目で追えば目があって、ふふっという笑みと共に頭をもう一度撫でられたが。懐かしいなこの感覚。郭嘉さんある一定までこうやって子供扱いしてきてたんだよな。まぁある程度私が歳を重ねたらなくなったが。懐かしい。まぁ、満足したのでもう一度見上げるが。
「あの、ありがとうございます、」
「おや、もう満足したのかな?」
「はい……あまり貴方にそうされると」
「そうされると?」
「一時期兄代わりだった方を思い出して、すこし寂しくなります」
子供だから許されるはずだ。これくらいの発言は。周りは私の言葉を聞いて少し黙りこんだが。気を取り直して、口を開く。
「あの、こちらが烏林と呼ばれる場所であるとは理解したのですが、一体何があったのでしょうか。貴方様たちはいったい……」
そうもう一度伺えば、「難しい話になりますが」と荀攸殿が口を開く。
「ここは貴方達からしては違う世界になります。心苦しいですが、しばらく貴方達は家に帰ることができないでしょう」
ああー、やっぱりかー、と固まる。これはどう返答するのが正解か考える。夢ですか?と問いかければ、まぁ困った顔をされたが。
==
恐らく処遇を決められているのだとは思うのだが。とりあえず饅頭をもらったので寵沙と名無殿に合流しようとしたら、趙雲殿に肩車されたり鈴の甘寧の鈴を全力で鳴らしたりしていたので頭を抱える。めちゃくちゃ無礼なことをしている。子供だから許されることを全力で楽しんでいる。後で一応謝ろう。はー、とため息をついて端の方に座り、饅頭を食べる。あまりお腹は減っていないが、ちょっとは気力が回復しそうだ。
違う人。私の記憶の中の彼らとは違う人。清河では見た目が完璧に違ったからまだマシだったが、今回に至っては見た目がほぼ同じだ。服装、髪型、そんな些細なものは違うし、人によっては声も違うようであるが、同じである。これは、いけない。
「ナマエさーん」
そう言ってよってきた二人に、あまり迷惑をかけないようにと告げる。どうやら撤収する動きになったらしく、将たちは集まっていた。
「ナマエさんお疲れモードじゃん」
「少し疲れただけです」
「腹減った」
「二人で分けて構いません。私はあまりお腹が空いていませんので」
そう言って肉まんを渡せば二人は私を挟んで左右に座った。なかよか。
「で、結局なんなのこれ」
「違う世界に招かれたようです。仙人が作った世界だとか。しばらく家には帰れません」
そう言えば、左右は別の反応をしたが。かたや嫌そうに顔を顰め、かたや目を輝かせた。
「まじか!」
「これ思ってるよりやばくねぇか。俺たち最悪孤児だろ」
「孤児になるのであればなんとかします。というより私たちはなんともなります。問題は」
「あっち、だよなぁ」
ちらりと名無殿が大人の姿になった彼彼女らをみた。
「なんで?なんか見る限り世界超えたことで見た目も能力的にも補正がついてそうだけど」
「補正ついてても、最低限の礼儀がなってないのはやばいだろ。あと知識は補えないだろ。ナマエさんと郭嘉さん達が喋ってる時の表情みてたら、チヤホヤされたい系っつーのはわかるけどよ」
「お二人はいくつです?」
と尋ねたら英語で返答が来た。賢い。
「と、なると私たちから引かれた年齢を向こうは足されてる感じですかね」
「にしては年重ねてないか?」
「向こうにもおんなじようにマイナス補正かかってるやつがいるんじゃない?」
寵沙の言葉にありえますね、と頷く。
「多分今頃ナマエさんをどこに引き取られるか話してそう」
「これ、どうします?三人セットで動きますか?」
「あいつら見張るなら別々でも良さそうだけどな。アンタは青と相性がいい、俺は赤と相性がいい」
「寵沙は緑と相性がいいですね」
「ええー、別れんの?俺は一緒がいいんだけど」
「まぁ、どういうことでもあとは成り行きだよなぁ」
そう言って大人を見た名無殿に、そうですね、と言いながら同じくそちらを見た。
しばらく喋っていれば、完全に撤収することになったのだろう。話がまとまったらしい。兵達が準備をしているのがわかる。ちらほらと同い年くらいの子供がいるのかいないのか兵達に声をかけられては応対はしているのであるが。うーーん、やっぱり甘い考えは捨てた方が良さそうだ。この時代、孤児などかなりいるのである。そう思っていれば、徐庶殿と荀攸殿と魚粛殿達がやってきたが。三人とも目線に合わせてくれるあたり優しい人である。
「この場所から城がある場所に撤収いたします。貴方達も共に行きましょう」
「はい、かしこまりました。ついていけばよろしいでしょうか?」
「子供の足で歩かせるのは酷だから、大人と共に馬に乗ってもらうね」
「馬に乗ったことはあるか?」
そう尋ねた魚粛殿にありますと頷く。同じように告げた二人に、徐庶殿が安堵したように息を吐いた。
「よかった、君たちはあるんだね」
「ああ、えっと、私たちの場所では別の移動手段が確立しているので馬に乗るのは少数で、自ら好き好む方しかいません。私たちは親交があった方に教えていただいたことがあるくらいで……」
そう困った顔をする。なるほど、そうでしたか、と荀攸殿がちょっと気を緩めて話してくれる。
「それは私のような兄代わりの人からかな?」
「わっ」
ひょいっと後ろから抱き上げられて驚く。振り返ったその先にいた人はやはり顔がいい。郭嘉さん、ではなく少し声が違う郭嘉殿である。
「貴方に似た兄がわりではなく、師……先生や友人に教わって……あの、歩けますし、立てます」
「無理は良くないね」
君は足に怪我をしているだろう?
ぼそりとささやかた言葉に郭嘉殿をみる。どこでバレた……ふふ、と笑われたが。
「君にまだ聞きたいことはたくさんあるしね。異存はあるかな?」
「……ありません」
潔く負けを認める。これで拒否したら傷跡つついたりしてきそうだからな。負けを認めるしかない。寵沙が口を開く。
「はーー、最後の砦感満載のナマエさんがあっけなく陥落した。大人の色気ってすごい」
「ぶはっ!!」
名無殿が爆笑している。周りも笑っている。私が何とも言えない顔をしたのをよそに、寵沙がいや、兄がわりに似てるからか、と納得したが。
「いや、だってさ、ナマエさんあんまりそういうのしないじゃん。異存はありますか?ってナマエさんが聞いてるのしか見たことない……いや、結婚云々の時は異存ならべてバッサリ断ってだけど」
「そうなのか?結婚の話はナマエさんの兄代わりがいた時はそいつが防いでたぞ」
ケラケラと笑いながら告げた名無殿と寵沙を見下ろす。寵沙はやべ、李子さん怒ったと徐庶殿の後ろに隠れた。それをみて名無殿がまたケラケラと笑ったが。荀攸殿が立ち上がって首をかしげる。
「李子?」
「私があなた方のような文化圏の方と交流する際に名乗っていた名前です。彼らにも同じようにそういう名があります。緑色の服の方に隠れている方が寵沙、でもう一人は……」
「陸名無です」
そう言って挙礼した名無殿に寵沙も慌てて挙礼したが。郭嘉殿が口を開く。
「こちらに合わせた姓があるのであれば、そちらを名乗った方がいいかもしれないね」
「はい、俺もそう思います。何も知らない兵達は姓をきき勝手に納得するでしょう」
「李一族、趙一族、陸一族、か。まぁ確かにお嬢さんの言動を見れば勝手に解釈されるだろうな。こちらも陸遜に話しておこう」
「では、俺も趙雲殿に一言告げておきます」
おっとこれは名前からして振り分けられた感じにならないか。それで行くと彼らの時代にいた李将軍は蜀ではなかろうか。これは前漢の李家の人間だろうか。まぁ李氏は腐るほどいるが。寵沙が目の前にある撃剣に興味が向いたところで徐庶殿が抱き上げたが。ちなみに名無は歩けますと断っていた。
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しばらく馬での移動だろう。郭嘉殿と楽しく(?)会話しながら移動する。まぁ、ある意味での質問攻めだが、こちらから聞いたことに向こうも答えてくれるのは助かる。とりあえず状況を整理すると、私たちは学舎にいたはずなのだ。それがどういうわけかこの世界にきた。彼彼女らの多くが姿を変え、そして年齢も上がっている。それに引き換えて私達は年齢が下がっている。しかしながら、郭嘉殿達はそういうものではない。彼女達の年齢があがる対価として私たちの年齢が取られた?では、彼彼女らの年齢の上がり方をみるに、同じように若返った人もいるのではないか。力や見た目の対価は?実は全員私たちみたいな経験済みとか?と考えこんでいれば、背中にいる郭嘉殿が考えごとかな?と告げた。私は彼を振り返って見上げながら告げる。
「はい。私たちは本当に貴方達と同じ原因でこの世界に来たのかを考えていました」
「続けて?」
「貴方達は話を聞いていると城であったり、砦であったりといた場所ごとこの世界に来ているでしょう?しかし、私達は人の身だけです。それに、私達は強者と言えないと思います」
「場所の話は確かにそうですね。しかし、貴方達は巻き込まれたからこの世界にきたのでは?」
近くにいた荀ケ殿がそうつげた。
「私たちの国は平和です。多くの人間にとって明日が約束されたようなもので、多くの人には暖かな家に住み食事も約束されています」
「それは良いことですね」
「しかし、その反面、私たちの国は平和なので、武器を持ちません。そもそも、武芸を趣味とする方や国を守る方など一部以外は武器の扱い方を知りません。刀を扱うには資格が必要です。国を守る兵士はいますが、国の決まりで戦争をしてはいけないことになっていますから。そもそも、学舎に通う学生が国を守る兵士にはなれません」
そう説明すると郭嘉さんも違和感を抱いたのだろう。少し黙って考えている。
「私も寵沙も名無殿も、少しだけ教わったことがありますので扱えます。しかし、他の方々はあのように扱えるという話を聞いたことがありません。私達のように黙っている可能性はありますが」
「それに対して李子の推測は?」
「なんらかの形でこちらに来た時に知識などが付随したのかと。しかし、そのようなことができるのは人ではなく、神や仙と言った方がたでしょうし……そう言った方から何かを得るには対価が必要だとお話では決まり文句です。しかし、決定打にかけます」
私の説明に郭嘉殿は「そうだね」と頷いた。
「しかし、少し頭に置いておいた方がよさそうだ。これをあの二人は?」
「いいえ。あの二人ならそのうち同じ意見にいきつきそうですが……それにこう言ったことの知識はあの二人の方がございますので、意見を交換はしたいです」
率直にそう言えば、わかったと彼は頷いた。できる限りの手配はしてくれるらしい。それは安心である、が。こちらがどういう扱いになるのかはまだ見えてこないのが不安であるのだが。
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これは妖蛇騒ぎの最中だろうか。案内されたのは共通の陣地である。私はと言えば荀ケ殿がもってきた服に着替えさせられた。きちんとした女の子の格好である。しかも結構上質かつ名家系の。ちなみに髪も三つ編みにゆわれた。誰の趣味だこれは。荀家が納得しているあたり荀ケ殿の手配だろうか。
「このような衣服まで……重ねてありがとうございます」
「いいえ、私達は殿に言われて手配をしたまで。お礼ならば殿に伝えてください」
「殿」
「はじめに俺と話していた方です」
曹操様流石すぎない??えっ、曹操様好きすぎる。あの素敵な、と口を開いてしまったのは仕方がない。荀家がふふっと笑った。とりあえずもう一度曹操様に挨拶に伺うらしいのでその時にもう一度お礼を言っておいたが。将来が楽しみよ、と言われて「ええ、本当に」と郭嘉殿と荀ケ殿が頷いていたが、多分違う意味がありえるな??
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完璧にお世話になっている手前、しっかり手伝いを申し出てこま遣いなどをしたり、曹操様と囲碁をしたりしている。まぁ、曹操様に私が理由として扱われるために夏侯惇将軍に怒られたりもする、の、だが。
この人の場合、ガチな話をしてくるんだよなぁ。
そう思いながら郭嘉殿と話をする。おもちゃや碁石が置かれてはいるがどうみても布陣図である。恐らく曹操様から話がいったのだろう。ここをこうしてああして、と動かして、こちらはこうだとしたら?と動かされた駒に悩む。うーーん、と考えていれば、郭嘉殿、阿子のもとにいらしたのですね、と荀攸殿がやってきた。ちなみに、阿子というのは私のことである。阿がちゃんみたいな意味で完璧な子供扱いというわけだ。
「こんにちは、荀攸殿」
「はい、こんにちは。阿子、郭嘉殿と何を?」
「郭嘉殿が遊んでくれています」
としか言えないこの状況である。遊んで?と首を傾げた彼は私の手元をみて、郭嘉殿となんとも言えない顔をした。
「殿からの頼みでね。でも、基本は備わっているんだ…-阿子は先程から何を迷っているのかな?」
「東南に行けば被害は少なくなる気はしますが、長期になりそうです。しかし、南西から行けば被害が増えますが短期決戦になりそうです」
「なるほど?では、国力……兵糧……食事を考えるとどうかな?兵糧がなくなってしまえば兵は逃げてしまうね」
「恐らく敵さんはこの辺りに食事の倉庫を置きそうなのでそれを奪取してしまえば……」
「……その情報はここにはないね」
ですよねぇ。でも私ならここにおくし、郭嘉さんでも孔明くんでもこの辺りにおくと思うのだが。
「うーーん、食事の倉庫がわからないのなら、逃げてしまったり病にかかる兵などを考えれば、やはり長期より短期の方がみんなの被害は少なそうです」
そちらを主軸に考える。敵本体を誘き出すためにこちらに進めて、部隊をこう伏せて急襲が得策か。いやでもこの辺り絶対郭嘉さんや孔明くんならぬかりなく兵を伏せてるの 。と、なると、だ。
「……あれ?単に二つ同時に攻めればいいのでは?」
「そうだね、それが一番だと私は思うかな」
こちらを主軸にして、と入る補足にふんふんと聞く。なるほどなぁ、と納得はしてみたが、やはり郭嘉さんがいないとなかなかその結論にいかないのだ。長期戦をやりすぎると恐らく国力は低下するのでやりすぎたらダメなのはわかっているが。
「うーーん、郭嘉殿の遊びは色々考えることがあって難しいです。囲碁の方がご飯のこと、兵のことを考えなくて済むので簡単に思えます」
「そうかもしれないね。でも、阿子には好きになって欲しいかな」
そう言ってぽんぽんと頭を撫でた。いかん、後継者にされてしまう、ので私はその手を握って、また教えてください、と言っておく。わしゃわしゃされたが。
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「郭嘉殿、先程の布陣は」
「そう、次の戦の布陣だね」
さらりと告げた郭嘉殿にやはりと呟く。子供用のおもちゃ、碁石、そんなもので広げられていたがあれは次の布陣図そのままだ。
「曹操殿に兵法を教えるように言われたのだけれど……先程言ったように基本は身についているんだ。応用として昔の布陣図で遊んでいたのだけれど……私が物足りなくなってしまってね」
「貴方の作った布陣と遊んだ?」
「そういうことになるかな。あの子の考えは私のような考えを基準にしている」
「……はい、先程も阿子が告げた短期決戦の形は貴方が提案していた形です。貴方の描く戦は期間を短く、それゆえに華やかに見えますから」
「でも、あの子はそれを理解しつつも動き方は少し違うものをいうんだ。話を聞けばいつも自軍や領土の被害を抑える動きを提案する。この前の戦もあったから、今回の戦は出来るだけ被害を抑えたい」
「しかし、こちらの資源は限りがあり、兵糧庫を奪えたとしても長期の戦は避けたい」
私の言葉にそういうことだねと楽しそうに郭嘉殿が口を開く。
「念には念をと思ったから、阿子に話を聞きに来ていたのだけれど。本当に将来が楽しみな子だ……そして、恐ろしくもある子だ」
他の国には送りたくないほどにね。
確かに他の国には送りたくはない。はじめて挨拶した時からであるが、阿子ーー李子と呼ばれるあの子供は優秀な子供だった。礼儀も所作もできている。服装がこちらの服装であれば、どこかの国の官僚や将の子供と間違えていたにちがいない。他の国の将も感心するほどに。李子の面倒をみることになったのは、郭嘉殿を兄に似ていると告げたことと外堀を埋めたことにままならない。同じ世界からきた他の男女のように不満を訴えたり泣き喚きもしない。混乱するような様子もない。それは話を聞くに、あと二人の子供も一緒だ。子供だから受け入れるというよりかは、他の男女とのやりとりをみていれば中身がまるで逆だ。
「荀攸殿?」
「……いえ、同感だと思ったまでです」
まだいうべきことではないためそう言って話を合わせる。郭嘉殿の思考や文若殿の思考についていける子供など、他の国に渡れば恐ろしいことなど目にみえている。
「阿子が兄のようだと言った方が諸葛亮ではなく、貴方でよかったと」
「阿子の兄代わりはどんな人物だったのか、気になるところではあるけれど」
それもそうなのであるが。
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「李子さーん、たのもー!」
そう言って撃剣の木刀持ってきた寵沙と木刀をもってきた名無殿、そして同い年ぐらいだったり色々する子供に私は苦笑いする。二人の近くにいる徐庶殿と呂蒙殿達は困り顔であるし、私のそばにいる荀家はなんとも言えない顔をしていた。
「そろそろ運動不足で李子さんなまってるだろうし、今なら勝てる気がする!」
「……それ何回目の台詞です?」
「忘れた!」
そうケラケラ笑う寵沙に、なんとも言えなくなる。それでいつも私が勝ってるような気がするが。名無殿が口を開く。
「この中で一番負けた奴は桃奢りな」
「桃?」
「あっちで売ってた」
そう言った名無殿に、桃は食べたいなと頷く。負けても勝っても食べれるだろう。
「いいでしょう、乗りました」
そう言って持っていたものを荀攸殿にわたす。荀攸殿がえっと困惑したような声を出す。少しだけです、と答えて腕につけていた髪結のためのヘアゴムで髪を簡素にまとめた。ほい、と投げられたのは将剣の木刀である。それをうまくキャッチして口を開く。
「どちらから相手を?」
「俺!」
「俺」
そう手をあげた寵沙と名無殿で先に競い合って欲しいところであるが。
「くっそーー!なんで!」
「飛び上がる癖をどうにかしなさいと私は再三言ってるはずなんですが……」
そう言って撃剣の木刀をみる。寵沙はあまり向かないような気がするが。くっそー、年の功にはかてねぇ!と座り込んだ寵沙に失礼な話です、とムッとしておく。外見上はあまり年は変わらないはずである。
「じゃあ次俺で」
名無殿が獲物を持って立ち上がった瞬間、子供から「名無ー!やっちまえー!」という声が上がる。きゃあきゃあいう声もだ。いつのまにか見物人も増えてる。
「相変わらず年下に人気ですね」
「そらアンタのことだろ」
そう言って構えた彼はガチで来る気だとわかる。私も将剣を構える。はじめ!と寵沙が告げた瞬間、彼は距離を詰めてくるのだが。うーん、流石に防戦一方だ。カンカンカンとこきみよく響く音である。どうにか打開する手を考えないと力負けする。戟のリーチの長さを克服するには踏み込むしかない。薙ぐ動きをしゃがんで交わし、間合いに踏みこむ。まぁ慣れてる彼はそれをすぐさまに守りに入ったが。まぁこちらのペースで攻めれるだろう。またカンカンカンとなる音にどうするかを考える。そしてわざと手元の力を弱めた。
「すきあり!」
そう言って薙ぎ払われた将剣はクルクルと上にあがる。まぁ、押し倒され刃に当たる部分を首もとに当てられそうになるのだが、上から落ちてきた将剣は名無殿の頭にぶつかる。いっ!と声を上げた彼には悪いが私の手元には将剣が戻ってきてるわけで。それを首もとにあてといた。
「最後まで油断なさらないことですね」
そう言って戟をのけて立ち上がり砂埃を払う。
「今のは絶対俺の勝ちだった!まぐれだろあんなの!」
「名無さーん、たまに李子さんそれする。真上に武器投げたり飛んだりしてこっちが油断したらやられるやつ。多分飛翔剣の応用」
「まぁ名無殿の場合は体が大人へ変われば私は負けますね。流石に年齢を重ねれば力が変わりますから」
と言っていれば、取り巻きから卑怯だとか言われたけどな。外野は黙ってて欲しい。
「女のくせに生意気だぞ!」
「そうだぞ!女なら織物でもしとけ!」
「男のくせに女の私に勝てない貴方がたに言われたくはありません。男ならだれかの腰巾着にならず自立してはいかがですか?」
笑顔でそう言う。まぁ石投げようとしたから名無殿がゲンコツ落としたけど。そのあとネックホールドしてグリグリしてる。いたそうである。
「あほう、俺にも勝てねぇ奴が喚いてんじゃねぇよ。こいつはお前らよりずっと努力してんだ。文句言うなら同じ努力して同じ土俵に立ってからいえ。第一お前らは何一つあいつらに勝てねぇの。わかる?お前らはあいつに指図するべきじゃねぇよ」
「でも、あいつは」
「話が通じないなら結構です。どうぞ私を男だと思ってください。そちらの方が私も楽です」
「悪いな李子、こいつら絞めとくわ」
「いえ、お気になさらず。そう言うことを言われるのは慣れてます」
「子分の不貞だからお前の分は俺が奢る」
「李子さーん、名無さーん、桃買ってきたから食べようぜー」
そう言って走ってきた寵沙はいい子なのだ。まぁ私は荀家のお説教が待ってるのだがな。私に合わせて屈んだ荀家二人に困った顔をしてしまう。私の方がある意味タチが悪いのだ。周りが大人だからだ。
「阿子、怪我はありませんか?」
「ありません」
「手を」
そう言った荀攸殿に渋々手のひらをみせる。久しぶりに木刀にぎったからか、手が赤くはなってる。
「手が赤くなっています」
「これくらいは平気です」
そう訴えてみたが、荀家にはあまり聞いていないようである。
「阿子、あまり無理をしてはいけません。貴方の言う通り、今は力は均等であっても大きくなるにつれ男の方が力が強くなります」
「大怪我をしてからでは遅いのですよ」
うーーん、これはモンペ。気をつけます、としょんぼりする。
「でも、桃を食べたいです……」
そう言えば、二人は「桃」と繰り返す。反対側では名無殿が呂蒙殿に叱られていたし、寵沙は他の子にも桃を配っていた。
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あー、これは酔った荀攸殿が郭嘉殿に何か言ったな。にっこり笑っているがこれは怒っていると思われるので、賈詡殿でガードさせてもらう。賈詡殿がなんで挟むと言いたげであるが。
「阿子?」
「郭嘉殿、怒ってらっしゃいます」
「おや、よくわかったね」
ほらー、と思う。解せぬ。私ばかりお説教だ。なんなら見ていたらしい将兵からも説教された。自分の身くらいは守れるようになりたいです、と言ってなんとかしたのだが。他の二人も怒られてしまえ。郭嘉殿のお説教を賈詡殿を挟んできく。まぁ、私は君が心配なんだよと頭を撫でられて終わったが。
「阿子ー」
「満寵殿もお説教ですか……」
「説教?君が何かしたのかい?珍しいね。私は違うよ。ほら、この前私の部屋を整頓してくれただろう?どこに何があるかを教えてほしくってね」
「満寵殿の近くに書き置きを残したはずですが……」
「うん、その上にうっかり墨をかけてしまってね」
ああー、それは仕方ない。考慮していない私が悪い。説明いたしますとまた満寵殿の部屋に行けばごちゃごちゃしていた。郭嘉殿の説教から逃げれたのはいうが、これはうーーん。
「またお掃除します。今度はわかりやすいようにしておきますね」
「助かるよ」
==
「李子さんは見事に外堀を埋められてるよなぁ」
そう言った名無さんにうむうむと頷く。李子さんは魏に、正しくは魏の軍師たちに見事に外堀を埋められている。この間もずっと荀家がハラハラしていたし、そのあとも説教されていた。あとは恐らく魏の陣地からあまり出ないことやあの感じをみると奥ゆかしく過ごしているというか、まぁ魏軍師に育てられているのだろう感がすごいする。
「李子と呼ばれるあの子供とお前たちはどんな関係だ?」
「遠縁の親戚。なんでもできる姉」
名無さんの本日の保護者・魚粛殿の問いかけにざっくりと言った名無殿に俺も頷く。なんの縁か善意同じ苗字であるし。
「なんでも?」
「努力してたとおもう。男として結構いい線いってたし尊敬してたけど再会したら女になってた」
「名無さんは李子さんが男装してた時会ったのかー、俺はもう女の時だったしなぁ……」
「……男として育てられた、ということかい?」
俺の本日の保護者・龐統殿の言葉にうーんと考える。
「というより望んで男になりに行ってた感はある」
「まー、文化交流では男として紛れてたしな」
「……ずいぶん行動力があるねぇ」
「まるでうちの姫さんだな。バレなかったのか?」
「バレてなかった」
「いや、本人曰く一部にはバレてたけど黙っててくれたって言ってた」
そう言って渡された桃饅頭をたべる。名無殿はなんとも言えない顔をしたのだが。
「そりゃお前、兄代わり達が結構過保護になるわけだよ」
==
「こんにちは」
==
「ひぎゃあ、李子さんちっちゃい可愛い」
そう奇声を発した子供に首を傾げる。そばにいる少年はやれやれしているが。もしかして、遠呂智世界で出会った戦国側の同郷では。名前はたしか。
「仮名殿と匿名殿?」
「阿子、知り合いですか?」
そう見下ろした荀ケ殿に、はい、友人ですと頷く。阿子、と繰り返した少年と女の子はまた奇声をはっした。まぁ少年が叩いたが。とりあえず荀ケ殿に少し話してもいいですか?と伺えばゴーサインがでた。
「李子さんも巻き込まれたのか。は?ってことはあそこにいたのか?」
「ん……いえ、私が助けられた場所には大人の姿をした方々っ私含めた三人の子供しかいませんでしたが……貴方達がいれば真っ先に声をかけたと思います」
「だよなぁ」
「お二人はどうして?」
「いやー、私達もさー、他校に遊びにきてて巻き込まれたんだけど、気づいたら戦場で毛利とか織田とかに保護された」
「それはどちらで?私達は烏林と呼ばれる場所です」
「別か。俺たちは姉川あたりだったし」
姉川と繰り返して荀ケ殿をみる。荀ケ殿は首を左右に振った。
「烏林とは離れています。貴方達はいつ?」
「えっと、三ヶ月くらい前です」
「阿子と同じですね……原因は同じである可能性は否めませんが」
ふむと考えた荀ケ殿に私も同じように考える。まぁパチリとあった視線に困った顔をしておくが。
「また調べることが増えてしまいました」
「そうですね。地道に調べましょう」
荀ケ殿の言葉にそれしかないと頷く。いやしかし、本当に不可解である。荀ケ殿に見聞を広げるためとこちらにきたが、まさかこちらにも似たような人がいるとは思わなかった。とりあえず名無殿達に情報を共有しよう。
==12/9
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