2022/12/31

2022年度没ネタ整理164


あ、これだめだ、李子さんの地雷を踏み抜いている。チラッと李子さんをみれば、動きを止めた。現れた幻影は恐らく李子さんの記憶の中の、李子さんが会いたいと願う人達なのだろう。目の前に現れた郭嘉さんは李子さんをその目に映すと、どこか冷めた笑顔を浮かべた。
「貴方には期待していたのだけれど……」
それは多分李子さんに突き刺さる言葉だ。李子さんは目を大きく見開いた。貴方には失望しました、貴方に代わりなど務まるはずがなかった、君にはできっこない、アンタが遅れてきたから、そう口々に告げる彼らに李子さんは珍しくぐにゃりと泣きそうな表情を浮かべた。そして、さらりと悪気はなく、満寵殿を模った誰かが口を開く。
「ーー郭嘉殿じゃなくて、君が死ねば万時解決したのにね。そうだろう?」
李子さんは何も返さない。目に涙を溜めて口元に手を覆っただけた。けほり、といやな咳が聞こえる。すると、また幻影が現れる。次は水鏡の三人だ。
「私たちを騙していたのですね」
「同門の友人だと思っていたのにねぇ、まさか騙されていたなんて思っていなかったよ」
徐庶に似た幻影が、李子さんを見下ろした。
「君がそんな人だなんて思わなかった」
「きっと先生も失望してる。曹操殿だってね」
「う、ぁ、」
李子さんが崩れ落ちる。さめざめと泣いている李子さんにかけよる。近くにいた幻影は切ったが影のようにとけてきえた。
「李子さん!!李子さん!!あれは、幻影だって!あんなことアンタに対して言うかよ!」
そう声をかけたって、李子さんは泣くだけだ。チラッとこの世界の彼らを見るが、彼らは起こったことを飲み込むのに精一杯なのだろう。不意に影になる。そこにいた曹操と夏侯惇は俺が見えていないかのように、李子さんだけをみた。
「李子よ、敗戦の責任は重い。その責任の取り方をどうするかなど、お前にはわかっていよう」
「恩を仇で返すとはこのことだな」
きっとその言葉は李子さんに取ってとどめだ。ヒュッと息を呑んだ彼女は渡された刃で、自分を。
「李子さん、やめろ!」
「どけ、坊主」
そう言って李子さんの持っていた刃を名無さんが弾く。そうして李子さんの意識を飛ばしてぶん投げた。李子!と保護者筆頭な荀攸殿がそれをキャッチしたけど。幻影はまた姿を変える。そこにいた人は、見たことがないが、名無さんが睨む。
「君がいなくなって助かった。これで私たちの国は統一できる」
「俺の親友がんなこと言うわけねぇだろうが!!うせろ!!」
彼はそう言って炎を戟に纏わせるて叩っ斬った。どろりと溶けたそれにとどめというふうに名無さんは戟を突き刺す。汚い叫びをあげて、それは人のような姿に戻ると息絶えた。思いっきり舌打ちした彼は、気分が悪いんだよクソが、と暴言を吐く。その言葉に俺たちが世界を転移する原因になったやつらである。
「何あの記憶、あれは貴方達の記憶から生み出されるはずなのに、なんで彼らが出てくるのよ」
「あぁ??お前のせいかよ。俺は今気分が悪いんだよ。お前を殺す。第一俺たちがこの世界にきたのはテメェのせいだったよなぁ!?」
「アンタ達もきたかったんだろ?」
「俺たちもそりゃあ行きたかったさ!!同じ奴らがいる元の世界ならな!!でも無理なんだよ!」
名無殿がそう言って戟を振るう。間一髪のところで避けられていたが。
「わかってんだよ、こっちは。戻りたくとも無理だって。李子殿もな。だって俺たちはあの世界で命を落としたことになってんだからよ。会いたくても無理なんだよ、なのに、あれはねぇだろうが!!!!」
「はぁ?何言ってるの?元の世界は同じでしょ?」
「妄想だろ。元の姿に戻して幻想解いてやろうぜ」
「そうね」
ケラケラ笑いながらそう言った相手は、指を鳴らす。すると、何か模様が走って、周りが光に包まれた。なんだ、と目を細めてから目を開く。なるほど、無双7の陸名無がいる。
「で、元の姿に戻ったわけだが、申し開きはあるか?」
名無さんがそうすごめば彼彼女は混乱しながら消えた。それを見送って舌打ちした彼は俺を見る。
「あ?オリアカの主人公じゃん。しかも、蜀軍カラーの」
「あーー、俺か。俺だよなぁ。李子さんどっちの姿になってんの?」
そう言いながら荀攸殿が抱えている李子さんをみる。無双7の李子さんである。
「無双側か」
「無双とか言ってるってことは何?オリアカのはちゃめちゃに協力してくれる城主代理は同じってことでいいのか?」
「そうそう」
とりあえず説明が必要だよなぁ、と思う。まぁ李子さんを安静にしたほうが良さそうだ。


「李子という人物は、貴方達の時代の話に口伝や脚色をつけたした物語に登場する人物です」
そう言ったのは三国史オタクの先生である。口伝や脚色?と首を傾げたまわりに三国史オタクの先生は口を開く。
「李子という人物の設定は変異があるものの、基本軸は同じです。一、幼少期に曹操殿に助けられ、二、水鏡塾で学び、三、郭嘉殿の推挙で魏軍に入り、四、川で行われる大きな戦で命を落とす。これを基本としますが、途中で脚色が入ったのか事実なのかは分かりかねますが、変異し、私達の時代になって定着したのはこうですかね」
先生はそう言ってまた口を開く。
「李子という人物は李将軍の血筋を引く子供であるが両親を早く亡くした女の孤児である」
「女」
そう言って郭嘉殿達は李子さんを見下ろす。男装してるもんなぁ。
「彼女は賊に襲われていたところを曹家の御曹司に助けられたうえに施しをうけ、その時にいた人物の会話から身分の高い人間であること、名前を覚える。そして、そのあと水鏡先生に拾われ門を潜ることになる。男としてね」
「なぜ男として?」
「彼女は貴方達の時代の女としての幸せを掴むより、男として士官し曹操殿の役に立つことを選んだ」
先生の言葉に、曹操殿が目を瞬いている。というかほとんどが驚いている。
「諸葛亮殿龐統殿とは机を並べ徐庶殿に勉学を教える代わりに武器の扱い方を習い、たまにいなくなったと思えば優秀な人と交流していたようだね。そして、郭嘉殿と知り合い、彼女は曹操殿に仕官した。かの敗戦は確かにあるのだけれど、彼女がいるのといないのとでは被害がかなり違う。彼女がいたほうが魏軍の被害は圧倒的に少ないんだ。まぁ、彼女はそこで命を落とすのだけどね。でも、物語では語り手からは語られている。郭嘉殿が生きていれば、魏軍は負けなかった」
そこで彼らは納得した。
「でも、同じ物語の貴方達はこう言っている。李子がいたから、この被害ですんだ。忠義にあつい李子は戻ると言ったなら、自分達はその言葉を信じるだけだ、とね。でも、物語にはそのあと彼女の記載はない」
イコール、そこで読者からしたら死んだことになる。現に李子さんはそこで命を落としたと思っている。でも、死後の世界で会いたい人に会えるわけではなく、彼女は現代に来ているのだ。会いたいはずなのである。
「李子の役職は?」
「軍師祭酒補佐から軍師祭酒代理ですよ。郭嘉度の補佐から郭嘉殿の代理だ」
「後世に綴られた物語とはいえ、よくばれませんでしたね」
「郭嘉殿、聞くが、もしアンタを兄みたいに慕ってついてくる上に言わんでも意図を理解する優秀な補佐がいたとして、それが女だって隠してたらアンタが気づいたらどうする?」
「もちろん隠蔽するね。あわよくば私の前だけでそう言ったところを見せて欲しいくらいだ」
「そういうことだよ」

そんな会話をしていれば、李子さんが目を覚ましたらしい。どろりてした目で曹操殿をみると、小さく、曹操様、とゃんだ。

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