2022/12/31
2022年度没ネタ整理168
やってしまった、と思う。願いは何かと尋ねられて、つい彼らを思い浮かべてしまったのだ。違うと告げたところで、遅い。恐らくは神なのか神ではないのかわからないその存在は、一番私の会いたかった人の姿に変じるのだから。私の記憶からぬきとったような、同じ容姿だ。私の知っている彼だ。
「ナマエ」
そう呼ぶ声でさえ同じだ。私に手を伸ばす癖も同じだ。でも、瞳の中に悍ましい何かを潜ませている。
「願いを言ってごらん?何だって、私が叶えてみせるよ」
その言葉にはらはらと涙を流す。泣いていてはわからないかな、とつげた彼に私は唇を真一文字に噛み締めた。自分が不甲斐ない。もう会えないのだと最後までいた私が一番理解しているはずなのだ。
彼がいれば良かった。私ではなくて彼がいれば。きっと全てがうまくいった。彼が、いたら。どこか遠くで寵沙達の声がする。ほら、はやく、と彼が急かす。
「貴方は一言願えばいいだけだ。私に会いたい、とね」
「……皆を、元の世界に戻してください」
そう告げる。それは苦々しい顔を浮かべる。
「貴方はなんでも願いを叶えてくれるのでしょう?」
「貴方の願いは違うはずだ」
「魂はめぐるものですが、人は蘇らない。決して。蘇ってはいけない。それが世の理というもののはず」
そう言って彼を見て笑う。彼は息を詰めた。
「だからこそ、人は生を謳歌し一期一会の縁に感謝を捧げるのです。敵になろうと、死のうと、その縁はずっと続いていく。あの人は死んだ、次に巡り会えるのはずっと先です」
そうの願えば彼は姿を変える。というよりは、他と同じようにどろりと何か黒いものが溶け出した。私の記憶からではなく違う人の記憶からも形成されるのか人の姿がぶれていく。
「いや、だ、死にたくない」
「生きているものは皆そう願います。でも、死は万人に等しく訪れます。元の世界に」
「ソンナ、コトガ、デキルカァ!」
そう叫んだそれが黒い何かに変じてこちらに襲いかかる。私は手のひらを表向けて飛翔剣をだしてそれを弾いた。
「仕方ありません、武力行使いたします」
そう指を動かせば、飛翔剣はかちゃかちゃと音を立てて戦闘モードに入るのであるが。
飛翔剣が五本尚且つ清浄杖の役目があると大変助かる、のは何かを封じるのにも使えるからだ。何本も、今まで関わった人の刃を、敵を中心に置いて円形の形にす配置していく。最後の一本ーー奉考さんの武器モチーフを地面に刺して清浄杖の機能を使った。青い光がさす。眩しいくらいの。その光がゆっくりとおさまれば、真ん中には誰かがいた。仙界の人が駆け出すあたり、仙界の知り合いかもしれない。
「阿子」
そう言ってやってきた郭嘉殿を見上げる。きっと私はひどい顔をしている。それでも、私は無理矢理に笑う。大丈夫です、と。
12/22
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