2022/12/31
2022年度没ネタ整理170
この歪な世界に、また新たな勢力が紛れ込んだらしい。見たことがない建物、その周辺にいた流浪の民も領土に属さない貧しい農民も盗賊達もいつの間にかその勢力の傘下になっていた。どう言うわけか、侵入も難しい。敵が味方かわからない、そん勢力である。いや、正しくは、だった、という過去形になる。
妖魔の大群から逃げ込んだ先が、その領土だったからだ。こっちにはやく!とまだ少年ともとれる茶髪の青年ーー同い年くらいの黒髪青年もいるーーが呼び込んだ先と言っていい。援護を受けながら見知らぬ門を潜った先がその領地だったからだ。呼び込んだ青年と援護に来ていた体格のいい青年が最後に飛び込んで門をしめる。何か紋様が走ったかと思うと妖魔の声はきえさった。
「はー、焦ったー、妖魔軍こんな近くにきてたのか……」
「あれが妖魔?めちゃくちゃゲームに出てきそうじゃん」
少年ともとれる青年がそう言って息を吐く。それをみて、体格のいい青年が二人にゲンコツを落としたのだが。
「いってーー!」
「寵沙サマ、がきんちょ、仕事サボって黙って門から外に出るとはいい度胸してんなァ?おい」
「だって外見てみたかったし」
「戦えると思ったし」
「なら俺か李子さん、仮名か匿名に一言言え!」
もう一度落とされた拳に、二人はまた声を上げた。先程までとは打って変わってただの日常のような。そんな中、この領地の民だか兵がある一定の方向を見て声を上げた。
「李子さま」
「李子さまだ」
どうやら要人であるらしい。人の先から現れたのは青年だった。青年といっても女顔の青年だ。服装が服装であれば女性だと勘違いしただろう。李子と呼ばれたその人は、周りを見渡して手当てや水を配るように手配をしていく。そうしてこちらに気づき近づいてきた。
「皆様ご無事でようございました」
なるほど、声さえも女性のようである。答えないこちらに、彼は周りの兵達を見ると、凛とする声で口を開く。
「我らはあなた方と敵対するつもりはございません。こちらには妖魔が入ってこれないよう結界をはっております。ご安心ください」
そう言うと兵や民、部下らしき人に水や手当の手配をして彼はこちらをみたのだが。
==12/26
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