2018/01/09
↓改変 ペンは剣より強しと言うが・一
・気づいたら孤児していて、マダムに拾われる
・シャノワールができると同時に清掃員になる
・大神がやって来てなんやかんやでメンバーになる。副隊長に任命される。(3)
・大神帰国後隊長として奮闘したら黒髪の騎士とかいう名称貰った。
・帝都に渡った際に両親を探すが居らず。帝都の事件が落ち着いたので巴里にかえる。(4)
・ジャンヌのに巻き込まれる(君ある)
・数年後なう
・父親が司書。母親が行方知らず
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会いたいとか、あいたくないとかわからない。なぜなら私の記憶からその人達はほとんど抜け落ちているからだ。どうして私だけが異国の街に置いていかれた理由は今更知る理由もない。それでも、会って一発殴ってやんな、とはグラン・マの言葉だ。殴るか否かはともかく、みんなが作ってくれた長い休暇(と言う名の出張)は大神さんに会うことから始まる。あいもかわらず、やぁ、と笑ってみせた彼は好青年の面影を残していた。
「船の長旅、大変だっただろう?」
「好きだから苦ではなかったよ。サクラさん達は?」
「今は稽古をしているよ」
「ふぅん、はい、書類」
そう言って、グラン・マから預かった書類を彼に渡す。ありがとう、と預かった彼は私がどうしてていとにきたか知るんだろうか。
「大神さんは私が来た理由を?」
「グラン・マからは長期休暇だって聞いてるけど」
「……あー、うん、間違ってはない」
目を下に向ける。一人では心細いからついて来てなんて言えっこない。大神さん忙しいし。うじうじとしていれば大神さんが「どうしたんだい?」と首を傾げた。
「……お父さん、見つかったんだって。迫田さんが」
「ナマエくんの、?」
「うん、帝国図書館で司書をしてるって。だから、会いに来た……その為の休暇」
ちらり、と大神さんをみる。大神さんは笑っている。
「ついて来て欲しいのかい?」
「でも、大神さん、忙しいし」
「明日なら時間が取れるし、帝国図書館には知り合いがいるから話をしておくよ」
「いいの?」
「ああ、いいよ」
大神さんの言葉に私も笑う。嬉しい。「ありがとう、大神さん」と言えば、大神さんは相変わらずだね、と告げた。はて?
ちなみにそのあとはサクラさん達の登場によって騒がしくなったのだけど。
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足を止める。どうしたんだい?と尋ねた大神さんに、やっぱやめとこうかな、と小さく呟いた。ぐるぐると頭の中を回る負の思考に、足元を見つめる。
「お父さん、は、会いたくないかも」
「そんなことはないよ」
「会いたかったら会いにきてくれるはずでしょう?」
「きっと理由があったんだ」
「会わない方がいいよ」
「せっかく会いにきたんだから」
「拒絶されたら」
そうしゃがみこむ。大神さんが繋いでくれている手に力が入る。
「拒絶されたら、立ち直れない気がする。だから、帰る。帰りたい。パリに帰る」
そう言えば、大神さんが私の頭を撫でた。
「巴里に帰って、後悔しないかい?」
「会って後悔するよりマシ」
「ナマエくんの悪い癖だね。悪い方悪い方に考えてしまう。大丈夫、俺がついてる。もし、ナマエくんを拒んだら、俺が一発殴ってやる。あとはそのまま帝劇で過ごせばいいさ。みんな喜ぶよ。ゆっくりでいい。落ち着いてから行こうか」
ゆっくりと抱きしめてくれる大神さんは優しいし、安心するから好きだ。恋愛じゃなくて、親愛の類なのだろうけど。
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やっとついた決心に大神さんから離れる。ナマエくん?と首を傾げた大神さんに「決心がついた」と告げた。
「グラン・マが、殴ってこいって言ってたし、私も記念に殴る。頑張る。行く」
そう告げてベンチから立ち上がり建物を目指す。大神さんが苦笑いして後に続く。再度繋がれた手に安心して扉を叩いた。
「タノモー」
「ナマエくん、それは違うよ」
ガチャリ、と鍵がまわり、扉が開く。中から現れたのは壮年の男性だ。
「館長、こんにちは」
「あぁ、こんにちは、大神くん……その子が?」
「はい」
こちらを向いた視線に首を傾げておく。
「俺はこの図書館の館長だ。一応、君の父である臥武の上司にあたる」
「巴里にあるシャノワール劇場で副支配人をしてます、ナマエです。お時間を取らせてしまい、申し訳ありません」
「いいや、構わないさ。君の父親も、君に会いたがってる……ん、だが、今は些かタイミングが悪くてな」
そう苦い顔をした館長さんに、大神さんがどうかしましたか?と首をかしげる。
「文豪達が知ってしまったものだから、チクチクと針を刺されてしまっていてな……」
「あぁ、なるほど、」
「お父さん、会えない?」
「いや、そういうことじや――」
館長さんの後ろが騒がしくなる。誰かの泣き声が近づいてくる。館長さんがため息をつくと、男性が飛び出して来た。
「かんちょおおお、ぶんごうたちが、いじめてくるううう」
「……だろうな。そして、臥武、娘さんが来てるぞ」
「え」
男性はこちらを見て目を瞬く。私も目を瞬く。
「お父さん?」
「ナマエ、かい?」
そうまた目に涙をためた彼に頷く。ごめんねぇぇぇ、と私を抱きしめた彼の背中を叩きつつ、口を開いた。
「お父さん、切実なお願いがあるんだ」
そう言えば大神さんも館長さんも苦笑いから表情を変える。
「苗字教えて」
「え?」
「じゃないと私永遠に戸籍ないから」
べしべしと父親(仮)の背中を叩く。父親は涙でグシャグシャになりながら苗字〜と叫んだ。
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ファミリーネームには、家族のつながりがあると思う。誰の家の娘だとか、そういう意味合いがあるからだ。私はそれをずっと持ち合わせていなくて、名前を名乗る際もファーストネームしか名乗れなかったのだ。大神さんに名乗った時も、苗字はないのかい?と聞かれたし、迫田さんにも同じくだ。それは劣等感に似たもので、家族という繋がりがない私にはそれが羨ましかったのだ。
着替えてくる、と席を外した父親(仮)を見送る。階段から何人かがこちらを見ていたらしい。追いかけて来たのだろうか。
「ナマエくん、よかったね」
不意にそう告げた大神さんをみる。
「苗字のこと?」
「それもあるけど、拒絶されないでよかったね」
そう優しくなでた大神さんに、頷く。
「よかった」
小さく漏れた言葉に、大神さんはうんうんとうなずいた。
「大神さん、ついて来てくれてありがとう」
「どういたしまして」
==なんやかんやで図書館にいつく
どうやらこの図書館も特殊な部類らしい。文豪と呼ばれる彼らは人には見えるが、少しだけ人とはずれた存在とは父親の言葉だ。まぁ、しかしながら彼らはなんら人とは変わらないのだけど。
「よく許す気になれたものだな」
そう告げたのは森先生である。彼と荷風先生はフランス語が通じるので楽だ。
「何がです?」
「父親を、だ」
惚けてみたが、突かれてしまった。異国に置いていかれたのだろう?と続けた彼に、周りがこちらを向いた。
「上司には殴ってやりな、と言われましたね」
「だろうな」
「なんていうか……そりゃあ、置いていかれたのはショックでしたし、言葉が通じないから怖いし、飢え死にするかと思いました、でも、あんまり覚えてないんですよね、両親のこと。今もなんとなくこの人が父親なのかって思うくらいで。まぁ、私は今生きてますし、いいです。今度、ぶん殴ります」
そう言ってサムズアップする。森先生は「そうか」とだけ告げた。
「よほど、お前を育てた人が良かったのだろうな」
「あはは、否定しません。あの人に拾われてなきゃ今頃土の中ですし、今の暮らしをしてるのはあの人と大神さんのおかげですね」
そう笑って、息を吐く。でも、本当は。困ったような表情を浮かべているのは自覚している。周りがきょとんとしたからだ。
「そう言うのは建前で、本当はどう接すればいいかわからないんです。怒ればいいのか、嘆けばいいのか。もう少し幼かったら喚き散らしていたでしょうが、年を重ねた分、どうしたらいいかわからないんですよ」
「そうだな」
森先生は少し考える。
「司書が許してもらえたと錯覚しないためにも、殴ればいいんじゃないか」
「森先生が言うと冗談には聞こえませんね」
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